絵画や美術品を買って節税することは可能か?

平成27年1月1日施行の美術品にかかる減価償却資産制度の見直しにより、絵画や美術品を買った時の費用を節税に繋げやすくなった。またこの制度改正により節税に関わる美術品選びのポイントなどを紹介する情報サイトなども増えているため、これから絵画購入などを検討中の法人や個人事業主の皆さんにも行動を起こしやすい時代であると捉えて良いだろう。

今回は、これから絵画や美術品買おうと考えている皆さんと一緒に、節税に繋がる購入目的や諸条件を詳しく確認していきたい。

絵画や美術品を買って節税することが可能な理由とは?

絵画や美術品購入で節税が可能な理由は、諸条件を満たせば、購入費用を経費として減価償却できるからだ。国税庁で定めたこの制度は、法人だけでなく個人事業主でも使うことができる。また美術品には会社のロビーや応接室などの雰囲気を良くする特徴もあるため、資金面に余裕があるなら節税自社のイメージアップを兼ねて絵画購入にチャレンジしてみても良いだろう。

どんな美術品や絵画でも経費で買えるの?

悪質な脱税を防ごうと考える国税庁では、経費で購入する美術品についてさまざまな条件を設けている。この条件に合わない絵画は、どんなに素晴らしい作品であっても節税に関するメリットは得られない。また平成27年1月1日施行の減価償却資産制度の見直しによって大幅に諸条件が変わっているため、かなり昔に従来型の基準で美術品購入をしていた人は必ず、これから紹介する新ルールの確認を忘れないようにして欲しい。

絵画や美術品で節税をする条件1 購入目的

美術品や絵画を会社経費で落とすためには、まず購入目的に関する注意が必要となる。このポイントが曖昧な状態で美術品を買うと、取得価格の部分でどんなに諸条件を満たしていても税務署から減価償却資産として認められなくなる

社内に飾る場合

節税目的の美術品購入では、応接室や会議室、ロビー、エントランスといった社内に飾る目的が必要となる。こうした形で多くの従業員や来客者の目に触れることを目的にすれば、取得価格の経費計上ができる条件のひとつがクリアできるのだ。これに対して、会社のお金で買った美術品を社長が自宅に持ち帰ってしまった場合は、個人使用や鑑賞が目的の購入という理由で経費計上はできなくなる。

販売用

将来的な販売目的で購入した絵画や美術品については、売却時に購入費用を原価として経費にできる。また販売前の美術品については在庫として棚卸資産に計上できるため、会社に飾る目的ではなくても節税面のメリットはあると捉えて良いだろう。

絵画や美術品で節税をする条件2 取得価格

購入費用の経費計上に欠かせない社内に飾るという目的がクリアできたら、次は取得価格に関わる諸条件についてもチェックしなければならない。このポイントを確認せずに画家名や話題性だけで高価な美術品を購入すると、どんな工夫をしても経費計上できないミスに繋がることもある。また節税に繋がる諸条件がわかっていれば、画商に購入希望額や予算を伝えて絵画作品選びをすることもできるため、節税に関わるミスも回避できると言えるだろう。

取得価額が30万円未満

美術品の取得価額が30万円未満の場合は、消耗品として経費計上することができる。この判定に欠かせない取得価額には、美術品の運賃や設置費用運送保険料といった諸費用も含められる。また壺などを入れるガラスケースや箱、絵画を入れる額縁代なども取得価額に含められるため、美術品を消耗品扱いする場合は注意をして欲しい。

取得価格が30万円以上100万円未満

減価償却資産として取り扱えるのは、取得価額が30万円以上100万円未満の絵画や美術品だけとなる。室内装飾となる陶磁器や絵画については、8年の耐用年数で減価償却によって経費計上できる。これに対してブロンズ像などの金属製の彫刻については15年の耐用年数となるため、節税を目的とする場合はどのカテゴリの美術品を選ぶかについても検討すべきだと言えるだろう。

取得価額が100万円以上(原則)

購入価額が100万円以上だった美術品や絵画作品は、経費としても減価償却資産としても経費計上できない非減価償却資産という扱いとなる。しかし何らかの理由で廃棄や売却をした場合は、取得価額を経費計上できるのだ。この考え方は、先程紹介した販売用の美術品購入と同じと捉えて良いだろう。

取得価額が100万円以上(例外)

ただし取得価額が100万円以上であっても「時の経過によって価値が減少することが明らかな美術品」については、減価償却可能である。しかしこの条件を満たすためには、下記3条件に該当する美術品でなければならない。

  • 1.不特定多数の人が利用する場所(葬祭場のホールや会館など)における無料展示や装飾目的で取得されていること
  • 2.移設困難、当該用のみでの使用が明らかであること
  • 3.他用途への転用を仮定した時に、使用状況や設置状況から考察して美術品としての価値が見込まれなくなること

取得価格が少額の際には特例もある

絵画や美術品の償却資産については、会社の規模や使用可能期間などによって特例が該当することもあるため、前述の目的と取得価額と合わせて確認をするようにして欲しい。

少額の減価償却資産

購入した美術品が「取得価額が10万円未満」もしくは「使用可能期間が1年未満」の場合は、少額の減価償却資産として、事業用にと供した事業年度に取得額の全額を損金処理した場合に、損金の額に算入することができる。また、いったん資産計上したものをそれ以降の事業年度で一時に損金経理を行っても、損金の額に算入できなくなるため、注意が必要だ。

一括償却資産

取得価額が10万円以上20万円未満の美術品は、税務上、一括償却資産として3年で均等に減価償却することができる。ただし会計においては「全額費用とする」もしくは「資産の部への記載により3年で均等に減価償却する」のどちらかから選択する形となるため、注意が必要だ。また損益計算書上で費用になっても税務上は費用にできない一括償却資産の場合は、税申告時に税務調整で処理する必要も出てくる

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

「資本金または出資金が1億円以下」もしくは「出資や資本を有しない法人で、常時使用する従業員が1,000人以下の会社」の場合は、中小企業者の特例により、取得価額相当の金額を損金の額として算入することができる。この特例の対象となるのは、取得価額が30万円未満となるため、自分の会社が前述の条件に該当する中小企業に該当する場合は、この制度の確認をしてみて欲しい。

会社でお客様(個人)への贈答用として絵画や美術品を購入した場合

法人や個人事業主においては、いつもお世話になっている取引先への引越し祝いや贈り物といった形で美術品が選ばれることもある。会社内に飾る目的ではないこの場合は当然、経費計上可能な償却資産にはならない。しかしこのケースにおいても税制上の取扱い注意点があるため、ここで少し確認しておこう。

美術品の購入費用を「寄付金」とする

文化庁のホームページでは、法人や個人が美術品などを国などに寄付した時、時価相当額や取得価額の控除ができる現行税制優遇措置を紹介している。企業や個人に私蔵された絵画などを美術館などに役立てるために存在するこの制度は、相手方が国などでなければならないため、一般的な中小企業にとっては少しハードルの高い存在と言えそうだ。

「寄付金」として計上しない会社も多い

ここで注意すべきなのは、税制上の寄付金として扱える美術品には、贈答先となるお客様などに対して「見返りを期待しない」という条件が必要となることだ。これに対して、例えば将来的な成約や繋がりを目的とした美術品贈答の場合は、交際接待費や広告宣伝費として経費計上するのが一般的だ。

法人が寄付金扱いにする場合の注意点と考え方

このように「何処へ?何の目的で?」という条件によって経費計上の方法が変わってくる美術品の購入予定がある場合は、誤った判断をしないように早めに税理士に相談するのもおすすめだ。早い段階で寄付金・広告宣伝費・交際接待費などの区分を把握しておけば、自社の節税に繋がる美術品購入のタイミングなども予測しやすくなる。また贈答用として美術品購入をする場合についてもさまざまな注意点があるため、買い物をする前に税理士に詳しい話をしておくのが理想と言えるだろう。

美術品の贈与を受けた側にも注意点がある

何らかの理由で美術品の贈与をする場合は、相手方に一時所得として確定申告が必要となることも忘れてはならない。一般企業においては、基礎控除額の50万円を超える贈与を行うことは基本的にないだろう。しかし1点30万円以上の絵画や美術品については、ゴルフ会員権や金といった他品目との損益通算となるため、注意が必要だ。

絵画や美術品購入には節税以外にもメリットがある

企業や個人事業主が美術品を買って得られるメリットは、節税だけではない。

飾られた美術品が「おもてなし」に繋がる

会議室やロビー、ミーティングルームなどにセンスの良い美術品を飾ると、会社を訪れたお客様に明るい印象を与えることもできる。またお客様が絵画に詳しい場合は、そこから新たなコミュニケーションが生まれるため、美術品を社内に飾るメリットは事業主と従業員以外にも好循環をもたらすこともあると言えるだろう。

美術品投資も流行っている

減価償却資産制度が見直された平成27年1月1日以降は、美術品投資を目的に画廊などに問い合わせをする事業主も増えている。例えば、将来的に価値や人気の高まる可能性の高い若手作家の絵画を100万円以内で購入すれば、減価償却できるだけでなく投資のメリットも期待できると言えるだろう。また節税と美術品投資という2つの購入目的を画廊や美術商に伝えれば、自社のニーズに合った作品を紹介してもらいやすくなると捉えて良いだろう。

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