2014年10月、総務省は2015年5月より国内の携帯・スマホのSIMロック解除を義務付けることを発表した。当時はマスコミがこぞってこのニュースを取り上げていたため、テレビや新聞で「SIM」という文字を目にした方も多いのではないだろうか？SIMカードとは携帯番号などの情報を識別するためのもので、各端末に必ず搭載されている。今まではSIMカードにロックが掛かっていたため他の携帯会社の端末に挿入しても使うことができなかった。
Taking out the iPhone 4 SIM card / sillygwailo
しかし、ロック解除によって理論上はどの端末でもSIMカードが機能するようになる。また総務省はSIMロック解除を無償で行うことも定めているのだ。SIMロック解除義務化まであと数十日。いったい日本の携帯事情の常識はどう変わるのか？今回は、予想されるメリットとデメリットについて、またネット上で広がる憶測についてを紹介してみたい。
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海外旅行での携帯利用が簡単に！
Made With Love Earth embroidery pattern / wildolive
SIMロック解除は海外旅行や出張時にも恩恵をもたらす。端末さえ持っていけば、海外のSIMカードを挿入するだけで快適にネットを使えるようになるのだ。携帯電話会社が提供する料金プランを利用したり、自ら設定を行う手間も省ける。海外にいる間にうっかり日本の回線と繋いでしまい、通信料が高額になるというハプニングも防ぐことができるだろう。
海外で利用できる回線の自由度が上がるとすると、携帯電話会社にとっては今後いかに自社の回線を使ってもらえるかが勝負所となる。総務省がSIMロック解除の義務化を発表した直後、ソフトバンクは早速最初の一手を投じてきた。
世界最大の携帯会社である中国チャイナモバイルと国際ローミング提携を結び、更に「アメリカ放題」というアメリカ本土でも国内と同料金でデータ通信ができるプランを発表したのだ。元々のソフトバンクのSIMカードのままでも十分海外を楽しめる環境が一気に整い始めたといっても過言ではない。SIMロック解除に対して各携帯電話会社はどのような動きを見せるのか。今後も注目が集まるだろう。
また、海外でのSIMカード利用だけであれば、SIM下駄という裏のツールがあり、数千円でiPhoneをSIMフリー化できる。たった2000円程度！格安でSIMロックiPhoneをSIMフリー状態にしてくれる「SIM下駄」とは何か？というコラムをご覧いただきたい。
iPhoneだけはSIMロックが解除されない？！
iPhone 4 Bumper + Universal Dock w/o Adapter / Yutaka Tsutano
これが一番の懸念ではないだろうか。ソフトバンクに続きau、docomoがiPhoneを取り扱うようになってからというもの、街中でiPhoneを持つ人を頻繁に見かけるようになった。現在iPhone購入を検討されている方の中には、「SIMロックが解除されれば、格安SIMカードでiPhoneを安く利用できるのでは？」と思った方も多いかもしれない。
残念なことに、iPhoneのSIMロックは解除されない可能性がある。というのも、iPhoneを製造しているApple社はアメリカにあるし、彼らはSIMフリー版のiPhoneを直販もしていることから、競合するような今回のSIMロック解除命令の対象外である可能性が高い。これまでdocomoに限ってはSIMロックの解除を広範囲の商品ラインナップに対して有料で行っていたが、iPhoneは対象外であったことも参考になるだろう。
国民の大多数はiPhoneを利用しているだけに、この点は非常に大きな問題。はたしてiPhoneは総務省の通達の範囲内なのか範囲外なのか。ネット上では様々な憶測が飛び交っている。またiPhoneのSIMロックが解除されることで、盗難被害が増えるのではないかという懸念もあるようだ。かといってiPhoneのSIMフリー版は未だに高い買取相場にあるように、人気端末である。なかなか手が出せない。
どうしても手持ちのiPhoneをSIMフリー化し、格安SIMなどで運用したい人は、ファクトリーアンロックサービスという裏技を使うのも手だ。完全自己責任で行っていただくものであるが、【完全自己責任の裏ワザ】SIMロックiPhoneをSIMフリー化してくれるファクトリーアンロックサービスに迫る！【格安SIM攻略】や、【検証】iPhone6・6PlusのSIMロック解除方法を調べてみたというコラムをチェックしておくと良いかもしれない。
携帯端末が値上がりする？！
Pound Coins / Images_of_Money
SIMロック解除に伴い、各携帯電話会社が端末などの料金を引き上げるのではないかという噂が流れている。企業側はこれまで、ユーザーにできるだけ長く自社の回線を使ってもらえるよう、2年契約をデフォルトにしたりSIMカードにロックを掛けてきた。端末の値段が安かったのも、長期間契約が保証されていたからなのだ。
しかし、SIMロックが解除されれば、端末だけ購入して他社回線を利用するユーザーも増えると考えられる。企業はどうしても端末料金などの見直しをせざるをえなくなってくるだろう。一部では、10万円まで引きあがると予想しているアナリストもいるようだ。SIMロック解除でユーザーはより安価に他社への機種変更などができるようになると思いきや、むしろかかるお金が増えてしまう可能性もあるのかもしれない。
結局の所、端末代は料金プランとセットで課金するビジネスモデルで携帯キャリアは考えているので、何らかの負担を強いられる可能性は高い。端末代を実質0円に見せたりしつつも、高い月額料金で課金してきた過去を見逃せないだろう。
格安SIMカードでの運用はあまり得にならない？
dead SIM / Yaisog Bonegnasher
SIMロック解除に合わせて、格安SIMカードに注目が集まっている。現在日本で利用している層は数%に過ぎないが、どの端末にも入れられるようになるとすれば話は別だ。おそらく今後は、格安SIMカードを手に携帯電話会社で端末のみを購入するケースが増えてくるだろう。
しかし、その選択が必ずしもお得とは限らない。携帯電話会社はこぞって通話定額料を安く設定し、格安SIMカードを別に買うよりも携帯電話会社で端末とSIMカードをセットで契約した方がお得になる状況を作り出しているのだ。何か問題が起こった時にすぐサポートしてもらえることも、SIMカードの扱いに不慣れなユーザーにとっては嬉しいポイントだろう。全国に直営店を持つ携帯電話会社の強みは、価格競争の時代でも十分健在だ。
格安SIM・格安スマホの注意点については、MVNOは普及しない？！格安スマホ・格安SIMのデメリット・問題点で注意すべきポイントまとめ。にて解説している。
解除は本当に得なの？心配される細かな懸念点
今回ご紹介したもの以外にも、ネット上ではSIMロック解除にまつわる様々な予想が飛び交っている。もちろん最大の論点は、本当にユーザーにとって得になるのかという点だ。しかしSIMロックが解除されても、現段階では全ての端末であらゆるSIMカードを使える保証はなく、料金に関しても2年契約の縛りがある限り、解約金を支払わないとSIMカードのみ他社製品に変えることはできない。
その他にもauはソフトバンク・docomoと回線の種類が違うため、SIMロックが解除されてもauへの出入りがしにくいのではという声も聞こえてきている。端末料金が値上がりするかどうかも未だ憶測の域を出ない。そして何より、みんなの使用しているiPhoneはSIMロック解除されないかもしれない。SIMロック解除まであとわずか。いかに安く携帯・スマホを利用できるかは、ユーザーの一人ひとりの判断に委ねられると言っても過言ではないだろう。
《番外編》中古スマホのフリマサイトを紹介
SIMロック解除がされて、通信形態が多様化する中、通信料金だけでなくスマホ本体のコスパも抑えたいと考える人が多くなるのではないだろうか。そこで紹介するのが、個人でスマホを売買できる、スマホのマーケット（スママ）だ。売り手は新しいスマホに買い替えした時などに不要になったスマホを簡単に出品することができる。そして買い手は種類豊富な出品中のスマホの中から、好きなスマホを安く購入できるのだ。両社の間にスマホのマーケットが入るので、端末のチェックや取引を円滑に進めることができる。お得にスマホライフをおくるために、スマホのマーケットをチェックしてみよう。
