軍用手票(ぐんようしゅひょう)とは、戦争状態にある際、軍隊が物資や労働の対価などの支払いのために発行した擬似紙幣を指す。主に軍隊により占領された地域、もしくは勢力下の地域に使われた。
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日本における軍事手票
日本における軍事手票は西南戦争時に西郷軍が使用した承恵社札や西郷札が最初とされ、その後の日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、シベリア出兵、日華事変、太平洋戦争でも発行、使用された。
ただ、日華事変、太平洋戦争時に中国大陸や東南アジア、太平洋地域で発行された軍事手票は、日本の敗戦とサンフランシスコ講和条約により旧日本軍が発行した軍事手票に対する請求権が放棄されたために紙屑同然となり、一部地域で国際問題となったこともある。
現在は歴史的資料として保管されているほか、コレクターの収集対象となっている場合もある。
軍用手票の買取について
日本における軍用手票は、前述のように西南戦争から太平洋戦争まで何度か発行され、様々な種類の軍事手票が存在した。中にはコレクターにより高額で取引されるものもあり、明治通宝などの古紙幣と同様の市場が存在するまでになっている。
ここに軍用手票の一部の買取について記載する。
承恵社札、西郷札
1877年に西郷軍が発行した日本初の軍用手票。
承恵社札は額面が5円、1 円、半円の3種類、西郷札は額面が、10円、5円、1円、50銭、20銭、10銭の6種類が発行された。どちらも戦争終結後に明治政府が回収、廃棄したため現在まで残っているものは多くはなく、希少価値が高い紙幣といえる。
承恵社札については、5円券については現存するものは確認できていない。1円札、半円については、状態にもよるが数万円~10万円、買取業者によってはそれ以上で取引されている。
西郷札についても同様で、状態にもよるが数万円~10万円、買取業者によってはそれ以上で取引されている。額面で一番高額の10円券が高額で買取される傾向にあるようだ。
日清戦争時の軍事手票
日清戦争時に発行された軍事手票は中国大陸で使用されたため、額面は清の通貨単位が採用され、10両、5両、1両、5銭、2銭5分の5種類が発行された。
ただ、日清戦争は早期に終結したために軍事手票の発行自体が少なく、さらに戦争終結後ほぼ全数回収されたことから、現存するものは額面が1両の軍事手票が数枚確認されるのみである。
そのため、もし日清戦争時の軍事手票が市場に出されればかなりの高額となる可能性が高いが、取引の記録は現在までない。
日露戦争時の軍事手票
日清戦争時に発行された軍事手票は日本の通貨単位が用いられたものの、中国大陸、朝鮮半島での使用が想定されていたために、中国語、ハングルにより表記された。
日露戦争時の軍事手票は額面が10円、5円、1円、50銭、20銭、10銭の6種類が発行され、大量に使用された。多くは回収されたが、帰還した兵士が記念に持っている場合もあり、現在も比較的多く残っている。
買取価格は額面が高いほど高額となっており、10円券で15万円~30万円、5円券で12万円~20万円、1円券で2万円~3万円、50銭券、20銭券で1万円、10銭券で千円~2千円となっている。状態や買取業者により買取価格は上記より上下することもある。
青島出兵時の軍事手票
第一次大世界戦時に当時ドイツの租借地であった青島に出兵した時に発行した軍事手票。
額面が10円、5円、1円、50銭、20銭、10銭の6種類が発行されたが、多くが回収されたために現在まで残っているものは少なく、高額で買取されている。
買取価格は10円券、5円券が50万円、1円券が10万円~15万円、50銭券が数万円~10万円、20銭券が数万円、10銭券が1万円~3万円となっている。状態や買取業者により、買取価格は上記より上下することもある。
シベリア出兵時の軍事手票
第一次世界大戦後、シベリアに出兵した時に使用された軍事手票。日本語とロシア語が記載され、額面は10円、5円、1円、50銭、20銭、10銭の6種類が発行された。こちらも残存数が少なく希少価値が高い紙幣となっている。
買取価格は10円券、5円券が20万円~40万円、1円券が数万円、50銭券、20銭券、10銭券が1万円~3万円となっている。状態や買取業者により買取価格は、上記より上下することもある。
日華事変軍票
1937年には日華事変後の主に中国大陸で使用された軍事手票。1938年11月から使用され、戦争の進展により多くの種類の軍事手票が発行された。
種類は、甲号券、乙号券、丙号券、丁号券、戊号券、ろ号券があり、この他正式に発行されたものではない軍事手票もあった。
日華事変軍票は現在でも残っているものが多く、全体として買取価格はあまり高くない傾向にある。だが、比較的発行枚数が少ない初期の軍事手票である甲号券は高額で買取されている。
買取価格は10円券で10万円~15万円、5円券で数万円~12万円、1円券、50銭券で1万円となっている。
また、ろ号券は、仏領インドシナで使う目的の軍票として発行されたが、実際はほとんど使用されなかったため希少価値は高く、買取価格は10円券、5円券で3万円~15万円となっている。
大東亜戦争軍票
1941年から始まった太平洋戦争時に使用された軍事手票。旧日本軍が支配下においたアジア、太平洋地域で発行されたが、各地域の通貨制度を踏襲したことから、各地域にむけた軍事手票が発行されたために種類が多く、さらに時期、金額によりバージョンが多く存在した。
は号券、に号券、ほ号券、へ号券、と号券が存在したが、基本的に現在も多く残っているため、希少価値はそれほど高いわけではなく買取価格も高額がのぞめないものが多い。
その中で、は号券は通貨単位が途中でグルテンからルピアに変更になった経緯があるため希少価値が高いものもあり、は号1000ルピアの軍事手票で、3万円~10万円で買取されるようだ。
買取業者の選択について
西南戦争から太平洋戦争までその時に使用された様々な種類がある軍事手票であるが、それだけに軍事手票がもつ正確な価値を査定するには、軍事手票に精通した専門家に依頼するのが一番良い方法である。
そのため、もし軍事手票を売却する場合は、軍事手票に精通した専門家がいる買取業者に依頼したほうがいいだろう。
見積は複数手に入れる
軍事手票を買取業者に売却する場合は、事前に複数の買取業者に見積を依頼したほうがいいだろう。
買取業者1社だけに見積すると提示された見積が高いか低いかわからず、さらに軍事手票に精通した専門家がいないと、本来は高い価値がある軍事手票を間違って低く見積ってしまう可能性もある。
しかし、複数の買取業者に見積を依頼すれば、提示された見積を比較することで高額で買取する買取業者がわかるので、高額で買取される可能性が高まり、逆に軍事手票の価値を見抜けずに誤って低く見積してしまう可能性は低くなると言える。
買取実績、サービス内容もポイント
また、見積を依頼する買取業者については、買取実績が豊富で、サービス内容が良い買取業者に依頼したほうがいいだろう。
買取実績が豊富であるということは、多くの利用者がその買取業者に売却したことになることから、優良な買取業者である可能性があるといえる。
さらにサービス内容が良い買取業者であれば、トラブルなくスムーズに取引ができる可能性が高い。