結婚式、入学・卒業式、その他何らかの式典への出席など、若い世代の女性が着物を着るときに欠かせないのは、まずは髪結いだろう。そして、その髪を飾るのが簪（かんざし）である。
華やかでバリエーションが豊富なかんざしに惚れ込み、コレクション目的で収集する人も多い。しかし、現代では着物を着るのは年に数回の特別な機会しかなくなった。引き出しの奥に眠ったままになっているかんざしがいくつかあるのではないだろうか。
もしかんざしを売りたいのなら、買取店に買取してもらうのがおすすめだ。この記事では、びらびら簪などの和装小物の相場や買取店を紹介する。
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かんざしとびらびら簪について
まず最初に、かんざしとびらびら簪について述べる。かんざしは日本の伝統的な装身具であり、女性が髪を結うときの装飾品として使われており、季節や場の雰囲気に合わせつつ、振袖姿を豪華に見せてくれたり、まとめ髪のアクセントになったりする。着物の種類や髪形、年齢に合わせて買いやすく、着用者の個性を引き出す重要な和装小物となっている。
「髪挿し」や「挿頭（かざし）」や「釵子（さいし）」から変化したものといわれる。差し方には前差し、中差し、後ろ差しがある。今から約300年前の江戸時代の中期以降に盛んに用いられるようになり、後期にはびらびら簪を含むさまざまな種類のかんざしがつくられた。季節をあらわす動植物などをあしらった作品が多い。
かんざしの歴史
かんざしの発祥は縄文時代にまで遡る。先端が尖った細い棒には呪力が宿っていると信じられており、そのような棒を髪に挿すことによって魔除けになると考えられていたのだ。これが後にかんざしへと発展することになる。
奈良時代では男女とも髷を結っていた。中国大陸（当時は隋や唐）から挽き櫛や釵子とよばれるかんざしがもたらされ、日本の服装や飾りに反映された。ただ、平安時代になると女性は髪を垂らすようになり、髪をまとめるためのかんざしは不要になった。それはその後の江戸初期にかけて続いた。
江戸時代初期以後になると新しい髪型が出現したりしたこともあって、再び髪を結いあげるようになった。そのときにかんざしもまた、流行するようになり、櫛などとともに女の人の必需品になっていった。なお、江戸時代初期のかんざしは、現存しているだけでも貴重なものであり稀少価値のあるコレクターズ・アイテムともなっている。
かんざしの素材には木、象牙、べっ甲、ガラスなどが使われた。このように豊富な種類のかんざしがあったとはいえ、封建社会の身分制度のため、高価な素材を使えるのは武家階級だけで、裕福であっても町人には許可されていなかった。
その後かんざしは流行の最盛期をむかえ、玉簪、平打簪、花簪、びらびら簪など、髪飾り専門の職人が技術を凝らしたいろいろな種類のかんざしが誕生した。現代では主に女性が着物を着て髪を結う場合に使われる。その優美な美しさが日本女性の心を掴み、洋装のときにもかんざしを使用しようという気運も生まれつつある。
かんざしの素材
次に、かんざしの素材について説明しよう。素材が何であるかは、買取査定額を決める際の重要ポイントでもある。
かんざしの本体部分には、
- ・金属：金、銀、錫、真鍮、金や銀をめっきしたもの
- ・漆を塗った木：柘植（つげ）、桐、朴、桜など
- ・香木：伽羅（きゃら）や白檀（びゃくだん）
- ・その他：象牙、鼈甲（べっこう）、珊瑚、ガラス
など、さまざまな材料が用いられた。鼈甲では、斑点のない部分だけを使用した物を「白」「白甲」「白鼈甲」と呼び、高価である。明治期にはプラチナも使われた。
かんざしの装飾部分（飾り部分）にも、
- ・貴金属、貴石
- ・珊瑚（さんご）、瑪瑙（めのう）、琥珀（こはく）、翡翠（ひすい）、水晶、真珠
など、さまざまな素材が用いられた。大正期にはセルロイドなども使われた。
基本的にかんざしの買取額は、製作年代のほか、素材によるところが大きい。金や銀などのかんざしや、ベークライトを使用した明治初期のかんざしは貴重で、高額で買取査定されやすい。
びらびら簪とは
前置きが長くなったが、びらびら簪について紹介する。びらびら簪は、江戸時代の寛政年間（1789年～1801年まで）に登場した、未婚女性向けのかんざしだ。本体から何本もの鎖がびらびらと下がっており、蝶や鳥などの飾り物が付いているのが特徴だ。主に裕福な商家の娘などに用いられ、既婚女性は身に付けなかった。
天保年間（1831年から1845年）に入ると、京都大阪地域の裕福な家庭の若い子女の間で、鎖の先にガラスの飾り物を下げたタイプが人気となった。本格的に普及したのは明治以降（1868年〜）で、左のこめかみの辺りに挿して使われる。
びらびら簪には金属でできたものが多いが、古いものでは金属が変色していたり、びらびら部分の装飾が取れたりしている場合がある。ただ、そのようなケースでも、稀少価値の高いものであれば高価な買取価格がつくことがある。
びらびら簪を買い取ってもらうには
びらびら簪も含むかんざしは、一般に和装小物と呼ばれている。ここで注意したいのが、和装小物を買取してくれない買取店があることだ。以下、びらびら簪を買取してもらうためのポイントを2つ紹介する。
和装小物を扱っている店に買取に出す
着物の買取をおこなっている買取店であれば和装小物も買取してくれそうだが、必ずしもそういうわけではない。逆に、かんざしなどの和装小物のみでの買取をおこなっている買取店は少ないのが現実だ。新品のかんざしが数千円～数万円程度で購入できるため、わざわざ中古のかんざしを購入するという需要が少ないというのが理由として挙げられる。
和装小物のみでも買取してくれる買取店が皆無というわけでもない。有名作家が作った和装品、産地物の和装品のような、骨董品並に扱われる稀少な品物も少なくないからだ。ニッチ分野の専門店というのは昨今の流行でもある。
買取を依頼する前に、和装小物を扱っているかどうかを確認するようにしよう。また、一般のリサイクルショップではなく、きちんと着物や和装小物の価値に精通した専門の査定員がいるかどうかも重要だ。
着物とセットで買取に出す
着物買取業者は、和装小物も買取対象にしている場合が多いが、和装小物だけでの買取はなかなか難しい。基本的に和装小物は着物あっての物なので、買取店としては在庫に和装小物ばかりたくさん増えるのは望ましくないのだろう。
そこで、和装小物の買取依頼にあたっては、着物や帯と一緒に買取に出す、という方法がよく取られている。つまり、着物・帯と和装小物をまとめて査定してもらうのだ。かんざし以外にも、帯締め・帯揚げ・長襦袢・草履やバックなどの小物を一緒に査定してもらうことで、個別の査定よりも買取価格が高くなる可能性も期待できる。
びらびら簪の買取店
それではいよいよ、びらびら簪を含む和装小物を買取してくれる買取店を紹介していこう。着物や和装小物を買取している買取店なら、経験豊富な査定員に1点1点正確に鑑定してもらえる。思わぬ高額査定も期待できるかもしれない。
まんがく屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大阪に本社がある着物の買取店だ。郵送買取では、発送用のダンボールと伝票、まんがく屋への送料は無料だが買取は10点以上からで、査定額に合意できなかった場合の返送料は負担することになる。出張買取も10点以上からで、対応エリアは大阪府・兵庫県・奈良県・京都府の一部地域のみ。持込買取りなら1点から買取してもらえる。
委託販売をおこなっており、まんがく屋に商品を預けて販売を代行してもらうこともできる。販売手数料は応相談である。
古美術やかた
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術やかたは、京都祇園骨董街（歴史的保全地区に指定）にある古美術店で扱う品物は一般の実用品ではなく、骨董品になる。買取した品物については、お店やホームページで価格表示して掲載（販売）されているので、不当に低い価格で買い叩かれる心配はまずないだろう。老舗骨董店ならではの安心感があるといえる。
古美術永澤
買取価格
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手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
古美術永澤は、創業当初から骨董品の買取を専門とする美術商だ。幅広くいろいろな骨董品・美術品を買取している。 経験豊富な目利きがさまざまな骨董・美術品の相場を常に把握しているので、買取希望の品物を正確に査定してもらえる。
出張買取は全国対応で、東京と神奈川なら最短で即日も可能だ。目の前で査定してほしい場合に利用するとよいだろう。宅配買取は電話・メール・LINEなどで連絡後、買取可能なら着払いで送るという方法である。ただし査定金額に納得できない場合の返送料は負担しなければならない。
福ちゃん
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ウイルス
対策
福ちゃんでは、着物や帯だけでなく、帯、簪、草履、バッグなどの和装小物も買取している。和装小物だけの査定依頼や買取もしてくれるところが特徴だ。出張買取、宅配買取、店頭買取に対応している。いずれの買取方法でも、買取の際には身分証明書が必要になる。
バイセル
買取価格
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ポリシー
ウイルス
対策
かんざしや帯留、帯締めなど、和装小物のおすすめ買取店はなんといってもバイセルだ。バイセルは幅広い品目を買取対象にしており、着物や和装小物の専門買取店ではないが、規模や知名度においては最大の買取店のひとつだ。
国内のみならず世界中の着物関連需要に応えられるほどの規模を生かした再販力がある。全国で買取した和装小物は、国内外の業者のほか、オークションへも出品されるため、一般的に中古需要が旺盛とはいえないかんざしでも、積極的に買取してもらえる。他店で断られてしまったものでも、買取の専門家が1点1点評価して値段をつけてくれる。
バイセルは相談料・査定料・手数料、そしてキャンセル料までが完全に無料である。まずは電話一本で自宅に無料出張してくれる出張買取がおすすめだ。出張査定では女性の査定員を指定することもできるので、安心して買取を依頼できると評判が良い。
びらびら簪の買取相場
一般的なかんざしの買取価格の相場としては、おおむね数百円～数千円程度が目安となる。ただし、1点1点の品物の素材や状態などにより、大きく異なる。珊瑚や鼈甲などが使用されていたり、漆塗りの蒔絵が描かれていたり精細な細工が施されていたりするような、工芸品的なかんざしなら高額の買取査定が期待できる。
まんがく屋での売値
買取価格ではなく販売価格だが、上で紹介したまんがく屋での価格を見てみよう。買取額は売値から想定するしかないが、状態と素材を重視していることや、どんな状態や素材のかんざしがどのくらいの値段で売られているかがわかる。
珊瑚や鼈甲、純銀などの素材のものが高く、一般的なびらびら簪ではあまり高くない。これらの販売価格から、買取価格をある程度予想できるだろう。
- ・本鼈甲・本珊瑚簪…17,550円（税込）（状態：非常によい、素材：本鼈甲・本珊瑚）
- ・作家物 本鼈甲蒔絵透かし簪…9,504円（税込）（状態：非常によい、素材：本鼈甲）
- ・本鼈甲簪…7,128円（税込）（状態：非常によい、素材：本鼈甲）
- ・彫金ベビーパール簪…5,940円（税込）（状態：非常によい、素材：黄銅・ベビーパール）
- ・彫金透かし孔雀羽簪（11．65グラム）…4,752円（税込）（状態：非常によい、素材：純銀）
- ・本鼈甲簪…2,592円 （税込）（状態：非常によい、素材：本鼈甲）
- ・彫金漆塗り蒔絵簪…2,160円 （税込）（状態：非常によい、素材：金属）
- ・本鼈甲簪…1,728円（税込）（状態：よい、素材：本鼈甲）
- ・つまみ細工花びらびら簪…864円（税込）（状態：非常によい、素材：布）
- ・珊瑚練玉簪…864円（税込）（状態：非常によい、素材：樹脂）
古美術やかたでの売値
同じく販売価格だが、古美術やかたでは高額の商品が多数見つかった。蒔絵のものなどが、これらは実用品と言うよりは美術品や工芸品に属するものだ。箱があるのも好評価で、買取価格は高額になったであろうことが予想される。買取を考えているかんざしがこのような類の品物にあてはまるかどうか、念のため確認しておきたい。
- ・櫛・簪 べっ甲 蒔絵螺鈿細工 ＜在銘・箱付＞…150,000円
- ・木製、櫛・簪 ＜箱付＞…150,000円
- ・べっ甲 簪…50,000円
- ・蒔絵 櫛・簪 ＜箱付＞…50,000円
- ・江戸ガラス 水色 簪…40,000円
- ・べっ甲 櫛・簪 ＜箱付＞…15,000円
ネットオークションやフリマアプリ
かんざしのような和装小物は、それ単独では買取してもらえないこともある。そんなときにはネットオークションやフリマアプリのような、個人間取引で買い手を捜してみる選択肢を検討してみても良いだろう。
個人間取引のメリットとデメリット
このような個人間取引には、メリットとデメリットがある。メリットは、売却に関するかなりの部分を自分でコントロールできること。売値などを適切に設定できれば、買取店に買取してもらうよりも多くのお金を手にすることができる可能性がある。
逆にデメリットは、諸手続きを自分で全ておこなわなければいけないことだ。出品してから売れるまで、かなりの手間と時間がかかる。手間賃分を上回る金額で売れなければ割に合わないところもある。
購入希望者がいつ現れるのか、そもそもいるのかどうかさえわからない。買取店に買取してもらうなら基本的におまかせでも良いが、個人間取引にはかなりの負担があることは覚悟しておかないといけない。
取引相場
フリマアプリ代表のメルカリと、ネットオークション代表のヤフオクで、びらびら簪の取引相場を調べてみた。はっきりと対照的な結果となった。
まずはメルカリをみていこう。ユーザー数が多いためにびらびら簪だけでも数十件の取引があった。ただ、金額的にはそれほど高くなく、平均して1,000円～2,000円といったところだ。気軽に購入しやすい価格帯での取引が活発におこなわれているようだ。
一方のヤフオクはメルカリとはまさに1桁違いで、10,000円を越える価格で落札されているものが10件以上あった。最高は29,000円もの高額での落札だ。珊瑚や純銀などを使い、江戸や明治や大正の職人によってつくられた工芸品といえるようなびらびら簪は、やはり高額で落札されるのだ。
1,000円程度で落札されているものもあるが、落札額の平均は8,000円程度。メルカリでの取引状況とは明らかに異なっていた。お手持ちのびらびら簪がどのようなタイプに属するのかによって、どちらを利用すべきかが分かれるといえそうだ。
まとめ
びらびら簪を含むかんざしなど和装小物の買取について紹介してきた。和装小物は単独では買取してもらいにくいので、注意が必要だ。かんざしの買値は主に素材と状態で決まる。職人の高度な技術で作られた骨董品・美術品レベルのかんざしが良い状態で残されていれば、高値での買取が期待できるだろう。
査定は無料のところが多いので、まずは査定に出してみよう。専門家に査定してもらえば意外な高値になる可能性もある。査定を依頼する際には、一括査定を利用すれば複数の買取店同士で比較できて便利だ。
個人間取引では、高額になりそうなものはネットオークション、手ごろな価格のものはフリマアプリを利用するとよさそうだ。あまり使用する機会がなく、引き出しの奥にしまわれたままになりがちなかんざしだが、もしそのようなかんざしを持っていることに気付いたら、買取などを検討してみるのも良いだろう。
