投資用に購入したアパートを売却したいというときには、不動産会社による査定を受けて販売価格を決定するのが基本である。高く売って利益を大きくするにはアパートの価値を高く評価してもらえるようにすることが必要だと考える場合が多い。
査定額を上げるには掃除や修理をあらかじめ行っておいてもらった方が良いのかと疑問を抱く人もいるが、その実態についてはよく確認しておいた方が良い。実際に準備として何が必要なのかを理解しておくのが売却を成功に導くポイントである。
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掃除をしても査定額は左右されない
アパートの査定を受けるときには簡易査定と訪問査定という二つの段階を経るのが一般的である。簡易査定とはアパートの住所や床面積、築年数などの物件そのものの基礎情報に基いて行う査定であり、書面のみで行うことから机上査定とも言われている。この方法ではアパートの現況を加味できないため、実際の販売価格からはかなりの誤差が生じることになる。
そのため、実際に現場でアパートの状態を見る訪問査定を行った上で最終的な査定額が算出される。掃除をした場合に影響し得るのは訪問査定の結果だけだが、結論から言えば掃除をしたところでほぼ確実に査定額は左右されない。不動産会社は査定のプロであり、掃除前の状況で購入希望者に対して引き渡すとは考えていないからである。
その前に十分なクリーニングを行ったという仮定でどの程度の価値があるかを判断してくれる。落ちやすい汚れかどうか、修繕可能な範囲の傷かといった点はプロから見れば一目瞭然であり、細かなところまで掃除をしたところで査定額に違いは生じない。
まれに現場経験の少ない担当者が査定に来る場合があるが、その場合には多少は掃除をしておいた方が良いだろう。部屋が暗い様子があるのが壁紙の汚れや窓の曇りが原因であると気づかないような場合が全くないとは言い切れないからである。あらかじめ不動産会社にベテランに見て欲しいと強く訴えておけばこのような問題も生じにくいので、あえて査定を受ける前に掃除をする必要はない。
また、投資用アパートの場合には査定は収益還元法によって行われるのが基本であり、現況の影響があまり大きくない場合が多い。
収益還元法とは、そのアパートを賃貸経営することで将来的にどれだけ収入を得られる可能性があるかを試算し、収益力から査定額を算出する方法である。投資用アパートを購入する人は賃貸経営によって家賃収入を得るのを前提としているため、物件の価値は収益性で決まることになる。
これまで賃貸経営をしてきた場合にはその年間家賃収入や利回りなどの収益に関わる最新の情報がある。それに基づいて計算をすればアパートの価値を正しく評価できる。
そして、その簡易査定額から極めて物件価値を損なうような部分については指摘して査定額を引いていくというのが基本になる。壁に亀裂が入っていたり、周辺が高層ビルで囲まれていたりすれば査定額がマイナスになることは否めない。
しかし、壁が汚れていたり、部屋のクロスにシミがあったりする程度なら掃除は後ですれば良いと判断されるので査定額に影響を与えないのである。
修理をすれば査定額は上がるが事前には不要
掃除は査定額に影響を与えないが、修理については査定額を左右するので気をつけた方が良い。
修理が必要な箇所はアパートの価値を著しく低下させる要因となるため、収益還元法で求められた査定額からマイナスになる。壁に亀裂がある、ドアノブが壊れて動かない、鍵が破損していてかけられない、共有部分の電灯が点灯しないなどの様々な故障があり得る。そのどれもが賃貸経営をする上では大きな支障になるものであり、修理しなければ入居者を獲得することは困難だ。
そのため、査定の際には物件の購入者が買い取ってから修理しなければならないと判断することになる。つまり、修理が必要なかったと仮定した場合のアパートの査定額から、修理に必要な費用を差し引く形で査定が行われるのである。
通常は、査定を依頼した不動産会社に出入りしている修理業者に依頼した場合の費用か、地域での修理相場に相当する費用を適用して査定額から差し引くことになる。この引き方には明確なガイドラインがあるわけではないため不動産会社によって異なるが、購入者が修理の発注などを行う手間や、修理が必要な箇所の存在による物件としての魅力の低下を考慮し、修理費用よりも多めに査定額を引き去ることが多い。
ただし、不動産会社によって査定結果の開示の仕方には違いがある。修理箇所がなかった場合の査定額、修理費用を加味した査定額といった形で提示してくれる場合も多くなっている。また、あくまで購入者の手間などは販売価格を決定する上で加味すべき内容と考え、査定を受けた時点ではそれを反映させた価格は出さないという方針を取っていることもよくある。
このように、詳細がわかるように査定をしてくれる場合には、修理をしていなくても修理済みという仮定での査定額も、修理をしていない状態での査定額もわかる。
修理をあらかじめ行ってしまうと修理済みのアパートの査定額しかわからない。つまり、修理によって実質的に査定額は上がるものの、特に修理をしたことによってあらためて得られる情報はないのが基本である。
そのため、査定を受ける前に修理をしておくことはあまり意味がない。むしろ査定を受けることによってどこを修理しなければならないかが明確になるので、それを参考にして修理をするか、あえて修理をせずに売りに出すかを検討するのが賢明な判断である。
需要を考えてリフォームやリノベーションをするのは効果的
リフォームやリノベーションはアパートを売却するときにしばしば検討されるようになった。掃除や修理と同様にアパートに対して手を入れる点では同じだが、リフォームの場合には新築当時の状況を目指して劣化している部分を修繕することになる。リノベーションの場合にはさらに手を加え、新築当時よりも優れたアパートにするのを目指すのが特徴だ。
アパートの査定額を上げたいというときにはリフォームもリノベーションも効果的な方法であり、物件価値が飛躍的に上がるのは間違いない。修理しなければならないような箇所が多い場合には、その部分をリフォームするのも良い対策になる。本当にあちこちの修理が必要ならリノベーションしてしまった方がコストパフォーマンスが良い可能性もある。
特にその地域での需要から考えて、間取りや住宅設備などが不十分となっている場合には検討してみた方が良い。アパートを売却したいというときには購入希望者がいなければならず、賃貸物件として需要がない仕様のアパートは誰も買ってくれずに困ることになるからである。
査定で用いる収入還元法ではここまでは加味していないため、訪問査定を受けて大幅に査定額が下がったときに需要の低さが原因だったということも珍しくはない。その点でリフォームやリノベーションで需要に合った仕様にするのは効果的だ。
しかし、コストパフォーマンスを考えて実施しないと損をすることになりかねない。リフォームやリノベーションは費用がかさみがちであり、それに見合った査定額の上乗せを実現できるのかが問題になる。
ちょうど相殺する程度なら売れやすくなる点でメリットはあるが、数百万円という単位で損失を生む可能性もある。リフォームやリノベーションを実施した後を想定し、その場合の査定額を収益還元法で計算した上で実施するかどうかを吟味するのが無難と言える。
アパートに手を入れるタイミングはいつが最適か
掃除や修理、リフォームやリノベーションといった形でアパートに手を入れるのはいつが適切かをわきまえておくと、売却をスムーズに進めることができる。
基本的にはまずは不動産会社に査定を受けてから考えるのが最善策だ。査定は受け直すことができるため、まずは査定を受けて問題点を指摘してもらい、必要に応じて適切な対処をした上で再度査定を依頼すれば良い。
修理、リフォーム、リノベーションについてはかなりの費用がかかる場合が多い。個々の施工内容ごとに査定額がどれだけ上がるかを不動産会社に見積もってもらった上で実施を検討するのが賢い方法である。
同時に需要についてもプロである不動産会社に聞き、このままでは売れない可能性があるという判断の場合にはリフォームやリノベーションを考えれば十分と言える。これから手放す予定の物件に不要なほどに手を入れるのは時間と労力の無駄になってしまうからである。
一方、掃除についてはアパートの売却の場合には二回に分けて行うのが適切だ。不動産会社と媒介契約をして販売活動が開始されるタイミングでまずはアパートの外側は十分に掃除をしておいた方が良い。不動産会社に問い合わせる前に実際にアパートを見に来ている人もいるため、そこで好印象を与えるために重要になるからだ。
そして、内覧の申し込みがあったときには内装のクリーニングも実施しておくと良い。不動産会社はプロなので汚れが目立ってもきれいになると考えてくれる。
しかし、アパートの購入希望者は千差万別であり、不動産投資を活発に行っている手練の人もいないわけではないが、これから初めてアパートの購入を考えている人も多い。汚れが目立つと悪い印象を受けてしまって購入を断念することになりやすい。
清掃の際には、細かなところまで見る人は多いのでレンジフードや排水口の見える範囲などの細かな部分まで徹底して行っておくのが重要だ。個人の力でもできるが、業者に依頼して直前にクリーニングを行ってもらうのが合理的な方法である。
なお、内覧前にクリーニングする部屋は見せる予定の一つだけでも大丈夫だと考えがちだが、他の部屋も見せて欲しいと要求される場合があるので気をつけなければならない。空き部屋も全てクリーニングしておけば安心して内覧に来てもらえる。
このように清掃は販売開始時と内覧前に、修理などは査定後に行うのが合理的である。修理などをしていないことが査定額に影響したとしても、その後に修理などを行ってから再度査定を受けられるので、焦らずにまず査定を受けてみるのが重要と心しておくと良い。
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