アパート売却時の査定価格はどのように決まるのか？

アパートを売却したいと思った時、まず気になるのは一体いくらで売れるかということだ。金額が非常に大きくなってくることもあり、できるだけ納得のいく値段で売却したいものである。

不動産の価格については査定価格、売却査定価格、売り出し価格といくつかの種類があるため、それぞれの意味を把握しておくことは、アパートの売却価格を決める際にとても重要になってくる。

今回、価格の決め方から気を付けておきたい点についても紹介していく。

査定価格について

所有するアパートを売りたいと考えた時、一番最初にすることは不動産会社に相談に行くことである。不動産会社は、様々なデータから計算して査定価格と呼ばれる、これぐらいの値段なら売れるだろうという金額を算出する。この査定価格の算出方法は、「レインズ」と呼ばれるオンラインシステムを利用するのが一般的だ。

レインズとは、不動産情報交換のために国土交通省から指定を受ける不動産流通機構が運営するコンピューターネットワークのことを指す。レインズを利用すると、現在売り出されている不動産の情報はもとより、これまでに売買された物件の情報を検索することが可能だ。

ちなみに、レインズを利用できるのは、会員になっている不動産会社のみである。不動産会社は、アパートの価格査定を依頼されると、レインズを使用して周辺地域の似たような条件の物件を検索し、アパートの状態や固定資産税評価額といったことも参考にしながら、査定価格を出していく。

もちろん、レインズを利用している不動産会社全てが同じ査定価格を出すわけではない。査定価格を算出する際、レインズからの情報だけではなく、さらに机上査定や訪問査定を行いながら具体的な価格を決めていく。

査定価格を出す方法について（机上査定と訪問査定について）

不動産会社が査定価格を算出する際、その算出方法は大きく分けて二種類ある。一つは机上査定でもう一つは訪問査定だ。

まず初めに机上査定とは、所有するアパートの立地や周辺の売り出し事情、売却事例、公示価格など、様々なデータを考慮しながら査定価格を算出する方法である。机上査定は直接アパートを調査するのではなく、目安の価格と考えると良いだろう。机上査定の場合だと、レインズで得た情報も利用しながら短時間で相場を把握することができるため、売却の検討を始めた段階で利用する。

さらに具体的な査定価格を出すために行うのが訪問査定である。訪問査定とは、不動産会社の担当者がアパートに直接訪問して、現地調査や物件調査を行うことでより精度の高い価格を算出することだ。訪問査定の具体的な内容は、アパートの周辺環境の調査、部屋や設備の状況を確認したり、道路や土地の地形など様々である。

また、その他登記記録から権利関係、アパートを売却する際にかかる法規制の調査なども行う。これらの調査を行うことで、より具体的な査定価格を算出することができる。つまり、まずは机上査定を行ってアパートの大体の相場を把握し、その後訪問査定により具体的な価格を出すのだ。

売却査定価格と売り出し価格について

不動産会社に査定価格の依頼をすると、不動産会社は机上査定と訪問査定を行った上で、売却査定価格を提示する。売却査定価格とは、3か月程度で成約できると想定される価格のことを指す。

売却査定価格は、不動産会社が持つ独自の情報や周辺地域の売却事例、取引事例などのデータを元に算出する。さらにその売却査定価格を元にこのぐらいの金額で売りたいという価格、「売り出し価格」を決めていく。ちなみに、売り出し価格を決めるのは不動産会社ではなく売主である。

売主は、不動産会社が算出した売却査定価格を元に、売却希望価格と売却可能価格という上限値と下限値を考慮に入れながら売り出し価格を決めていくことになる。では、どのように売却希望価格と売却可能価格を想定していけば良いのだろうか。

まず初めに、売主がこの金額で売りたいという価格が売却希望価格となる。つまり、売値の上限値を決めることだ。この時、不動産会社が提示した売却査定価格とかけ離れた価格を設定してしまうと、売却の成立が難しくなってくるだろう。もちろん、売却希望価格と売却査定価格にかなりの差がある場合は、自分が納得のいくまで理由を説明してもらい確認しておくことが大切だ。

そして、この売却価格なら売っても大丈夫だと思う売却可能価格の下限値を決めていく。安ければ売れると思いあまりにも下限値を低く設定しすぎると、利益が全く出ないどころか不動産を売る意味がなくなってしまうため注意が必要だ。売却予定のアパートにローンがまだ残っている場合は、その残金や売却にかかる費用も踏まえた上で、売却可能価格を想定していくと良いだろう。

一方、不動産を購入したいと考えている人にとって、気になる物件を安く買いたいと思うのは当然のことだ。もし、不動産の相場からかけ離れた売り出し価格を設定してしまうと、物件を問い合わせる人が少なくなるだけでなく、アパート売却が成立するのに長期間かかることにもなる。

そのため、売り出し価格を決める際には売却事情や期限を踏まえた上で、不動産会社としっかり相談して売却計画を練る必要がある。自分一人で売り出し価格を決めたところで、そのまま売却がスムーズにいくとは言えないのだ。

売り出し価格を決める時の注意点

売り出し価格を決める際、時間に余裕がある方は、売却希望価格を売り出し価格にしたまま買主が現れるまで待つことができる。つまり、売却査定価格が2千万円であったとしても、売り出し価格を3千万円に設定することは可能である。

もちろん、売却査定価格は、不動産会社が持つ独自の情報や専門性の高い判断・分析を行った上で算出しているため、この価格とかけ離れた売り出し価格を設定してしまうと成約の可能性が非常に低くなることは考慮しておこう。時間に余裕がある場合でも、まずは不動産会社と相談しアドバイスを踏まえた上で売り出し価格を設定することが大切だ。

もちろん、最初は高い価格で設定しておき、物件の問い合わせ状況や内覧した人の状況を見ながら、徐々に売り出し価格を下げていくこともできる。こうすることで、より売却希望価格に近い値段で成約できる可能性が高くなるだろう。

次に、売り出し価格を決める際に、売却期限が決まっている時は注意が必要だ。もし、住まいの買い替えといった購入する物件がすでに決まっている時や、相続税の納付期限が決まっており売却期間に余裕がない時は、早めに所有のアパートを売却する必要がある。

早期に物件を売却するためには、不動産会社が算出した売却査定価格を売り出し価格に設定し、物件の問い合わせや内覧者の状況を踏まえながら徐々に売り出し価格を下げていくと、売却期限までに成約できる可能性が高くなるだろう。

だが、気を付けておかなければいけない点として、不動産売買契約が成立したからと言って、売買契約当日に全ての金額が入金されるわけではないということだ。一般的に、不動産売買契約が締結すると、残金決算と不動産の引き渡しは数か月後に行われるため、不動産売買の代金全額を手にするのはそれ以降となる。そのため、残金決算と不動産の引き渡しスケジュールを踏まえた上で売却計画を立てることが大切だ。

このように、売却期限が決まっている時、その期限の長さによって価格を調整するタイミングが限られてくる。したがって、売り出し価格を設定する際に事前に不動産会社としっかり相談しておくのは非常に重要なのだ。

アパートを売却するために適切な不動産会社を選ぼう

このように、アパートの売却を考えた時、まず不動産会社に相談に行き、査定価格を出してもらうことから始まる。

査定価格には机上査定と訪問査定の二種類があり、まずは机上査定により価格の相場を出し、より具体的な価格を算出するために、訪問査定で物件の中や周辺など様々なことをチェックする。この査定価格を踏まえた上で、不動産会社側は売却査定価格と言う3か月で成約に至るであろうと想定される価格を提示するのだ。

もちろん、不動産会社が提示する売却査定価格を全て鵜呑みにして売り出し価格にしてしまう必要はない。自分の売却事情に合わせて、売り出し価格を設定することが可能なのだ。もちろん、価格相場からあまりにもかけ離れた高い値段を設定してしまうと、売買契約が成立するまで時間がかかるだけではなく、いつまで経っても買主が現れないといった事態になってしまうだろう。

そういったことを避けるためにも重要なのは、適性かつ自分が納得できる売却査定価格を提案してくれる不動産会社を選ぶことだ。では、信頼できる不動産会社を選ぶためにはどうすれば良いのだろうか。

不動産会社と言えど、アパートの売却を得意とする会社や、戸建、土地が得意という会社もある。どの分野が得意であるかは、その不動産会社が取り扱っている物件の数でチェックすることができる。

まずは、売却実績や販売活動、売却までにかかっている期間など、担当者に直接聞いてみるのがよいだろう。ホームページがあれば、会社の実績について詳しく調べることもできる。

そして、その担当者と相性が合うかどうかも非常に重要になってくるだろう。どんなに会社が信用できようが、担当者の対応が良くなければ所有する不動産の売却を依頼するのは考え物だ。

売主のニーズをしっかり考慮した上で提案してくれること、物件に関する情報を細かいところまで確認してくれること、質問に対して丁寧誠実に答えてくれるなど、こういったことができる担当者に出会えれば、所有の不動産を納得のいく金額でスムーズに売却することができるだろう。

良い不動産と相性の合う担当者を見つけるためには、まずは、一つの不動産会社に売却を依頼してしまうのではなく、複数の不動産会社にアパートの査定価格を依頼してみることだ。不動産という大切な資産を売却するのだから、自分が納得できる値段を設定してもらえるよう、信頼できる不動産会社を見つけるまで妥協してはいけないのである。

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