マニアの間で高く取引されていることも多い古銭は、オークションサイトなどでも頻繁に見かけるアイテムだ。中には、発行時の何倍もの価格がつけられるレアなアイテムもある。
しかし、中には意図的に古銭の偽物を出品して、入札者をだまそうとする人も少なくない。購入を検討している人は慎重に古銭の特徴を見極めて、本物だけを選ぶようにしよう。この記事では、古銭を購入する際に本物と偽物を見極めるポイントについて解説していく。
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古銭の偽物防止の特徴
古銭にはおおまかに「硬貨」と「紙幣」がある。いずれも特別な印刷がほどこされていたり、社会や文化の象徴になっていたりしてマニアの目を楽しませている品々だ。そして、古銭には偽物を防止するための工夫も加えられているので、購入を検討するときの参考にしてみよう。
偽物の硬貨を見極めるポイント
硬貨の本物と偽物を見極めるポイントにはどのようなものがあるだろうか。詳しく見ていこう。
ギザ
硬貨の側面には細かい溝が彫られている。これを「ギザ」と呼ぶ。ギザは特別な機械を使わなければ再現できない印であり、溝の深さから間隔まで一定を保っている。つまり、ギザの間隔があらい硬貨は偽物の可能性が高いということだ。
重量
日本で発行された硬貨は、基本的に重量まで指定されている。偽物かどうかを見極めるときは重さを量ってみてもいいだろう。ただし、時代を経た古銭になると、表面が削れるなどして重量に誤差が生じている場合もある。あくまで「明らかな損傷や破損がないのに重量がおかしい」硬貨のみ、偽物の恐れがあるといえる。
彫刻
日本の硬貨は複雑な彫刻が美しい。マニアを集めている所以でもある。ただ、この彫刻は単なる装飾ではなく偽造防止の役割も果たしている。古銭を買うときは彫刻に目をこらそう。雑に作られた偽物だと、彫刻がところどころ甘くなりがちだ。
素材
基本的にすべての硬貨は素材が決まっており、わずかでも配分が違うと本物と認められない。素材を確かめるためには専門的な検査が必要だが、手で触れるだけでも違和感は覚えられる。
表面がザラザラしすぎているなど、硬貨らしからぬ感触があれば厳重に分析をしよう。なお、硬貨の素材によってはサビが出ないものもあり、保管状態からもある程度、本物は見極められる。
紙幣の偽物を見極めるポイント
硬貨と比べると、紙幣の偽物は圧倒的に数が少なくなる。日本の紙幣はデザインが精巧なため、どんなに技術の高い人間でも再現するのが困難だからだ。しかも、紙質からインクまで細かく決められているため、少しでも違う素材が混ざっていると大きな違和感に変わる。
とはいえ、古銭の偽札もゼロではない。マニアはだませなくても、古銭収集を始めたばかりの初心者なら偽札を買ってしまう可能性がある。初心者狙いで偽札を取り扱う悪人は絶えない。
また、わざと汚したり、色をぼかしたりしてデザインをわかりにくくする方法もある。「紙幣だったら偽物をつかまされることはないだろう」と思い込まず、古銭を取引する際には細部までチェックするようにしよう。
以下、偽札を見破るために注意したいポイントだ。
色
日本の紙幣はインクの濃淡によって、複雑なデザインを作り出している。わずかでもインクの配分が違えば、紙幣全体が不自然になるだろう。色合いのおかしい紙幣は避けるようにするのが鉄則だ。
デザイン
紙幣のデザインは緻密であり、正しい絵柄を知っておくと偽物を見つけやすくなる。怪しい紙幣については、背景や人物の服装などをチェックしてみよう。また、数字や文字が記載されている場所もズレていないか確かめることが大事だ。
透かし
日本の紙幣には「透かし」と呼ばれる技術が用いられている。光に透かすと、デザインが浮かび上がるようになっているのだ。透かしは再現が困難な技術なので、多くの偽札が透かしを入れられないまま出回っている。ただし、透かしは大昔の紙幣だと導入されていない。昔の紙幣に透かしがないからといって、偽札だと早とちりしないようにしよう。
紙質
日本の紙幣は和紙と洋紙のブレンドによってできている。どうしてわざわざ2種類の紙を混ぜているのかというと、偽造を防ぐためだ。日本の紙幣の感触は独特であり、和紙だけでも洋紙だけでも再現はできない。偽札に触れたときは、マニアでなくてもおかしいと気づけるだろう。
その他のポイント
そのほか、偽札では「発行年数がおかしい」「字体の間違いがある」など、うっかりしたミスも多い。古銭に関する歴史も学んでおくと、作り手の誤りに反応できるだろう。
トラブルに巻き込まれないためには
鑑定士を悩ませるほどの精巧な偽物も出回っており、思わぬトラブルを引き起こす原因にも。では、トラブルに巻き込まれないためにはどうすればいいのか。
鑑定士にチェックしてもらう
大前提として、鑑定士がチェックした古銭は安全だといえる。しかし、精巧な古銭になれば、鑑定士すらも悩ませることがあるのだ。特に、明治以前の硬貨に関しては、価値が高くなるために偽物もたくさん作られている。
大昔の硬貨が偽造しやすいのは現存している量は少ないために、比較しにくくなっているからだ。よほどの知識がある鑑定士でなければ、偽物と本物の判別ができない。
それに、大昔の硬貨は表面がつぶれていたり、すりきれていたりすることもありえる。鑑定士でさえも、「わざとつぶされた」のか、「自然につぶれた」のかを見抜けないときもある。有名店が取り扱っている古銭にも間違いはあると覚えておこう。
状態の悪い古銭は避ける
プロフェッショナルですら見抜けなかった古銭の偽物を、一般人が見抜くのは困難だ。万が一、本物だと思って買った古銭が偽物だったとすれば、大損をすることになる。
それに、手に入れた古銭を再び買い取ってもらおうとしたとき、偽物だと鑑定されると身に覚えのない罪を着せられる危険も生まれる。古銭の取引を健全に続けるには、そもそも状態の悪い古銭に関わらないのが賢明だ。
どんなに値打ちのある時代の古銭だったとしても、形が保たれていなければ確認のしようがない。また、古銭の取引にはトレンドがあり、価値が高騰した硬貨はそれだけ偽物が多くなる。人気のある硬貨の取引では、偽物をつかまされる確率も高くなると肝に銘じておこう。
出自のわかる硬貨だけを購入する
古銭などの収集物では出自が非常に重要だ。どのようなルートをたどって売りに出されているのか、確認できるならするべきである。健全なショップでは「ある古い屋敷の改装をおこない、倉を整理すると大量に硬貨が出現した」など、出自をしっかり説明してくれる。
一方、出品者の素性がわかりにくくなる可能性があるのはネットオークションだ。もちろん、ネットオークションのすべてが危険なわけではない。過去の取引で信頼を高めており、好意的なコメントを集めている出品者なら、少なくとも意図的に偽物を取り扱うようなことはないだろう。
ただし、初めてのIDでいきなり高価な古銭を出品してきたようなユーザーには注意を払ったほうがいい。取引相手のプロフィールも、偽物と本物を選りわける要素となる。
エラー貨幣とは
偽物の古銭と混同されがちな品が「エラー貨幣」だ。本来のデザインと違った状態で世に出た点では、偽物と同じといえる。ただし、エラーの場合は正規のルートで製造されたにもかかわらず、その過程でミスが起きてしまった貨幣なのだ。
有名なものでは、「5円玉なのに穴が空いていない」「デザインがズレている」などの特徴が挙げられる。エラー貨幣は滅多にできるものではないが、だからこそ希少価値がついており、マニアの間では高値で取引されている。
古銭を収集する際には、偽物とエラー貨幣を見抜けるかも醍醐味だ。せっかく貴重なエラー貨幣を手に入れるチャンスがあっても、偽物と勘違いして避けてしまったら後悔するだろう。
エラー貨幣を見抜くポイント
以下、エラー貨幣のポイントである。エラー貨幣の偽物も出回っているので慎重に確認しなくてはいけないが、基本的には本物の貨幣なのに1点だけ違和感があるものが多い。
年代が集中している
エラー貨幣は製造された時期が集中している。同一の工場で同時期に作られた貨幣がエラーになっているためだ。逆をいえば、ほかのエラー貨幣とは製造時期が違うのに、エラー貨幣の特徴がある品は偽物の確率が高くなる。
素材やインクは本物
エラー貨幣はあくまで「ミス」であって「偽造」ではない。そのため、素材もインクも本物とまったく変わらない。
昭和以前の貨幣
平成に入ってからエラー貨幣の数は減っている。エラー貨幣の大半は昭和以前に発行された品だ。
エラー貨幣の偽物は見抜けるか
意図的にエラー貨幣の特徴を再現しようとした偽物には、実物のエラー貨幣にはない違和感がある。たとえば、「穴なしの5円玉」の場合、本物は「穴を空ける過程が飛ばされた」貨幣なので、全体的に平坦だ。
しかし、偽物は5円玉の穴を後からふさいでいるので、凹凸が生じてしまう。よく見れば、穴をふさいだ素材が周りと違うケースも珍しくない。
そのほか、「一部の模様がない硬貨」というエラー貨幣もあるが、後から硬貨を削った偽物は、やはり表面がザラザラする。エラー貨幣の偽物は肉眼で確認できるが、巧みなものになると一般人ではだまされてしまう。もしもエラー貨幣を手に入れたら買取業者などで鑑定してもらおう。
古銭を購入するなら
古銭はオークションサイトでも取引されている。しかし、実物を手にとって確認できないオークションサイトは、偽物を出品しやすい空間でもある。「偽物が多い」とまでは断定できないが、可能性が高いのは事実だろう。
逆に、バイセル(BUYSELL)などの査定を経て販売されている古銭は、プロの目によって確認された本物だといえる。
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対策
古銭を購入するなら、できる限り信頼できる専門家の鑑定が済んだものにするのが賢明だ。どうしてもオークションサイトを利用したいのであれば、出品者の経歴は深く調べるようにしよう。過去の取引でトラブルを起こしているような出品者とは取引をしないのが無難である。
まとめ
古銭はマニアの間で高値で取引されることもあるため、偽物も多く出回っている。しかし、硬貨や紙幣は偽物を防止するためにさまざまな工夫がされているので、ぜひ今回紹介したポイントを参考にして本物を購入してほしい。
とはいえ、ときには偽物が鑑定をすり抜けることもある。少しでも怪しいと感じたら購入を避け、信頼できるものだけを購入しよう。