アマチュアの漫画家や小説家、クリエイターが自らの作品を冊子にした同人誌。これらの中には、完全オリジナルの作品ではなく、既存の漫画や小説からキャラクターや設定を拝借したいわゆる「二次創作」と呼ばれるものも多い。
先日、そうした作品を中古で売り買いすることは著作権の観点からして違法ではないか、との質問を受けた。
当コラムでは、これらの同人誌の売り買いが違法なのか合法なのか、どのようなところで取引などが行われているのかをまとめていくので、今後の参考にして欲しい。
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CONTENTS
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結論的には合法
結論から言ってしまえば、同人誌は「グレーゾーンであるが、暗黙の了解の元、売り買いは可能」である。ただし、中古での同人誌の売買については、まんだらけ、K-BOOKSなどの専門業者を通じて行う事が原則とされている。
同人誌を取り扱ってくれる業者は少ないため、ここでいくつか同人誌の売り買いを行なってもらえる業者を紹介していくので、今後の参考にしてほしい。
まんだらけ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
まんだらけは幅広いジャンルに対応している買取業者だ。買取方法も店舗買取、宅配買取、出張買取の三つの方法で対応しているため、住んでいる場所がどこであれ買取してもらうことができる。
しかし、店舗は首都圏内や大きめの都市にしか存在しないため、地方の人で店舗を希望する場合にはあまり良心的と言えない。近くに店舗が無い場合には出張買取か宅配買取を利用してみよう。送料も無料なため安心だ。
K-BOOKS
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
K-KOOKSは秋葉原、池袋、なんば、名古屋に店舗を構える買取業者だ。現在では宅配買取の制度を廃止し、店舗買取のみの買取となっているため、近くに店舗がない人には利用しにくいかもしれない。
ホームページ上では買取の流れや、よくある質問等を見ることのできるページもあるため、お近くに住む人にはとても良心的な業者といえるだろう。
明輝堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
明輝堂では女性向けの同人誌であれば30冊以上あれば買取してもらうことができる。これは査定に出す際の冊数であるため、査定額がこれを下回っても買取は行なってもらえる。サイズやコミック、小説を問わず買取をしてくれるため、数が揃っているのであれば問い合わせしてみよう。
パソコン、電話、FAXに対応しているため、自分に合った方法で問い合わせしてみよう。宅配買取に対応しており、どこに住んでいても利用可能。ぜひ近くに買取してくれる店舗がない人はホームベージを確認してみてほしい。また、ホームページ上では買取品目について詳しく記載もあるため、事前に何が買取可能かわかる。
同人誌自体は著作権的にグレーゾーン
まずそもそも中古での売買以前に、同人誌自体、著作権的にみてグレーゾーンなものである。昨年もTPPに関連して、同人誌を、原作者の告訴無しに警察の取り締まりが可能な「非親告罪」の対象とするかが議論された。(これについては「非申告罪としない」方向で一旦落ち着いている。)
詳しくはこちらの記事を参照して欲しい。
「オークション禁止」に法的拘束力は無い?
それゆえ、多くの同人作家が、同人誌が不特定大多数の目に触れる場所におかれることをよしとせず、巻末に「オークション禁止」の記載をしている。ここには、非営利を原則に作られた同人誌を元値以上のマージンを付与して転売する行為を快く思わない意思の表れが読み取れる。
もっとも、こうした「オークション禁止」の文言には法的拘束力は無く、慣習的に奥付けに記載している作家もいることは事実だ。
良識ある取引を
それでも、同人誌を中古で買取してもらいたいと思う場合には、あくまでそれが非営利を前提に作られたものであることと、オークションへの出品を嫌う作家の意志を尊重し、価格を上乗せしての転売行為等は行わず、中古販売サイトで買取してもらうことがマナーと考えるべきだろう。
なぜ同人誌の売り買いが合法なのかを頭に入れておこう
同人誌の売り買いは、利益の規模が小さいこと、そして作品の人気を高める役割を担っていることから黙認されている。そのため、作品のイメージを大幅に崩壊させてしまうような内容や、読者を混乱に導いてしまうものなどは禁止とされている。
過去にあった「ドラえもん最終回」という同人動画は本当の最終回と言う噂が立ち、マスコミをも巻き込むほどの大ごとになった。まだ続いている作品に終了の勘違いを招き世を混乱させ、多額の利益を獲得していたため、違法ではないが動画の削除が求められることとなった。
また、個人により勝手に作成されたキャラクターグッズなどの販売も利益が大きくなる可能性をもつため禁止となっている。同人誌はあくまでファンがその作品を元に娯楽として書いているものであるため、違法とはならないのである。
買取業者も同人誌を取り扱っている
なお、先日とある同人誌売買会社の方に話を伺ったところでは、公式サイドから「同人誌を取り扱わないで欲しい」と要請があった作品については、売買を行わないが、それ以外の多くの作品については、公式から黙認された状態で流通業務を行っているとのことだった。
同人誌の売買取引はどこでする?
グレーゾーンではあるが、著作権も含め、同人誌を売り買いの取引をするのは合法だ。しかし、料金を上乗せしたり、勝手に作成されたキャラクターグッズなどの売り買いは避けるようにしよう。著者の権限を守りながらの範囲や、作品のイメージを壊さないよう気をつけながら取引に挑むようにすることをおすすめする。
また、同人誌はどんな買取業者でも取り扱っているわけではなく、古本屋に持ち込んでも買取してもらえないこともあるため、事前に業者を調べ比較してからどこに依頼をするかを検討しよう。その際は、のコラムも参考にしていただきたい。