岩橋英遠(いわはし えいえん)は昭和初期から平成にかけて活躍した北海道出身の日本画家だ。道産子(北海道生まれの人に対する呼名)と自称するほど故郷を愛し、その思いを描き続けた彼の作品には繊細で幻想的な世界が広がり、専門家から一般の人まで高く評価されている。
もし岩橋英遠の作品を持て余しているのなら売却を検討してみる価値はある。大事な作品をできるだけ高く売るために必要な情報を紹介するので参考にしてほしい。
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岩橋英遠作品の魅力や評価
岩橋英遠(1903~1999)は、物心ついたときから独学で油絵を描き始め、21歳のときに山内多門に師事するため上京する。1934年に作品”新宿浦”で再興第21回院展に初入選、その後も彼の作品は白寿賞や大観賞、文部大臣賞、日本芸術院賞といった数々の賞に輝いている。
一方で帝展同人や日本美術院同人として活躍、東京芸術大学の教授も務め、1961年には名誉教授に就任した。岩橋は、北海道の雄大な自然を独自の自然観や創造力で表現し続けた日本画家として知られている。その姿勢が認められて1965年には日本芸術院会員となり、1995年には文化勲章を受章するなど、日本画の発展にその生涯を捧げた人生だった。
数々の作品を残した岩橋英遠は、代表作も多い。”道産子追憶之巻”や”彩雲”、”庭石”などが特に知られ、そうした作品は北海道立近代美術館や北海道立釧路芸術館、東京都現代美術館など複数の美術館に所蔵されている。
岩橋英遠の作品は、雄大な自然を独自のセンスと技法で表現しているところに特徴がある。日本画法をベースに洋画の技法も取り入れることで幻想的な美しさが生まれ、それが多くの人を魅了してやまない。岩橋の作品は日本画の中でも高く評価され、価値あるものとして所有を望んでいるファンも多いのだ。
買取相場や落札相場から見る作品価値
岩橋英遠の作品を売却する場合、気になるのは買取相場だが、絵画の買取相場を大々的に明記している業者はほとんどいない。というのも絵画の買取相場はほかのジャンルよりも変動しやすく、つかみどころがないからだ。たとえば、中古市場でよく取引されているブランド商品だが、買取相場はメーカーがつけた定価を基準に変動するので把握しやすい。
しかし、絵画にはそうした定価がないうえ、売りに出された経緯もバラバラだ。それは岩橋英遠の作品についてもいえることで、彼の作品を買取対象としている業者は多いが、買取相場を明記しているところは皆無ということが起こっている。買取実績は掲載しても、買取価格は明記していないという場合もほとんどだ。
中には、購入者のものになったからと、売却直後にサイトから削除してしまう店もある。このように、絵画の買取相場は一般の人にとっては非常に把握しづらいものとなっている。それなら相場の目安を知ることは不可能かというとそうでもない。岩橋英遠の作品はネットオークションで積極的に取引されているので、その落札相場をチェックすれば、ある程度の売値が分かる。
大手オークション相場検索サイトによると、過去30日間(2019年6月26日現在)に落札された、岩橋英遠作品の平均落札価格は3,582円だった。ヤフオク・ネットオークションでの落札相場を見ると、数千円で落札されたものもあれば、中には10万円以上の値をつけたものもある。
岩橋の作品を買取対象としている買取業者が多いことから、作品には高い需要があると考えられる。オークションでは何十万円という高値で出品されているものもあるので、絵画市場における岩橋の作品の価値はかなり高いといえるだろう。
岩橋英遠作品の売却方法
価値ある岩橋英遠の作品を売却するにはどういう方法があるだろうか。ここでは一般の人が利用しやすい方法について紹介する。
地元の画廊や骨董品店に持ち込む
地元の画廊や骨董品店はアクセスしやすく、気軽に持ち込んで相談できるというメリットがある。かなり高い確率で買い取ってもらえ、その場で現金化できるため、便利といえば便利だ。しかし、画廊と一口にいってもすべての絵画に精通しているわけではなく、近代に描かれた院展系の日本画というふうに、特定の作品に強みを持っているところがほとんどだ。
そのため、日本画に詳しくない画廊に持ち込んだ場合、適正価格以下の値段で買われてしまう恐れもある。鑑定や相談だけならいいかもしれないが、売るときには慎重になったほうがいいだろう。
ネットオークションに出品する
ネットオークションの魅力は、オークションサイトに登録さえすれば好きなときに出品できるうえ、希望金額を設定できるという手軽さだ。仲介料も安く、大手のオークションサイトではたくさんの落札数が期待できる。高額で落札される可能性がある反面、落札されないというリスクもある。
特に絵画の場合、値段が高くなればなるほどそれは本物か偽物か慎重になるユーザーが増え、落札者が出にくくなることも考えられる。原画や肉筆画など出品する場合、鑑定に出して本物と認定してもらったり、どのくらいの価値があるのか専門家に相談してからにしたほうが無難だ。
美術品の買取業者に売る
絵画や美術品を専門に買い取っている業者に依頼する方法もある。専門業者は全国各地に点在し、地元で活動する小規模な店から、全国展開している大手チェーン店までさまざまだ。LINEや電話、メールなどで査定の依頼を受けつけている業者も多いので、とても利用しやすい。
通常作品の鑑定にはその道の専門家があたり、適正な買取価格を提示されることも多いが、査定基準や査定人の質、サービス内容は業者によってバラバラなので、良心的な店を選ぶことがポイントになる。
絵画買取業者を選ぶコツ
絵画の売却を買取業者に依頼する場合、どうやって店を選んだらいいだろうか。選ぶコツは、日本画に詳しくしっかりとした業者を選ぶことと、複数の業者を比較して選ぶことである。
日本画に詳しく、しっかりとした業者を選ぶ
美術品や骨董品を取り扱う業者は、古物商許可を得る必要がある。古物商許可を取得しているかどうかは、その店のサイトに表示されているので、とりあえずチェックしておこう。日本画を売却するなら、日本画について詳しい店が望ましい。
詳しいかどうか調べるには、直接店に問い合わせ、作品の得意分野や取り扱っている作家、岩橋英遠についてはどうかなど詳しく聞いてみるといい。いろいろ質問しているのに、とりあえず品物を持ってきてくださいと言葉を濁された場合は注意だ。
複数の買取業者について調べたり比較して選ぶ
買取業者を決める場合、複数の業者を比較してからのほうが失敗しにくい。めぼしい業者を5~6店選び、その店のサービスや利用のしやすさ、口コミ、買取実績などを調べ、比較してみる。このときに無料査定で見積もりを取り寄せてもいいだろう。
こうしてさらに3店ほどに絞り込み、よく検討するという手間を掛けることで自分に合った買取業者が見えてくる。
絵画買取のおすすめ業者
絵画を買い取ってくれる業者はとても多いので、どの店を選んだらいいか迷うかもしれない。参考までに岩橋英遠作品の買取に向いている買取専門業者を紹介する。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画を中心に、美術品やアンティーク品など幅広い買取を展開している総合美術買取センター。店のサイトでは、買取実績を随時掲載しているので、どんな商品を買い取ってもらえるかがすぐ分かる。幅広いジャンルの美術品を買い取るため、さまざまな得意分野を持つ鑑定人が多数在籍している。
査定はLINEやネットで受けつけていて、専門の鑑定人による仮査定を受けられる。買取方法は訪問または宅配で依頼できる。
古美術・八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
八光堂は東京銀座を拠点に、全国主要都市に店舗を構える老舗の美術品・骨董品買取専門店。店主は鑑定歴40年以上のキャリアを持ち、鑑定士としてテレビにも多数出演している。店のサイトには鑑定士が紹介されているので、どんな人に見てもらえるか事前に把握しやすい。
買取方法は各店舗に持ち込めるほか、全国無料出張買取にも対応している。
銀座おいだ美術
国内外の絵画や版画、現代アートを中心とした美術品の買取と販売を手がけている。銀座おいだ美術は岩橋英遠作品の買取実績がある。買い取った作品は、”翔鶴”(木版画)や”湿原に翔ぶ”(リトグラフ)など。
査定フォームやLINE、メールなどから無料査定が申し込め、宅配による買取が可能。
できるだけ高く作品を売るためのポイント
手放すならできるだけ高値で売却したくなるが、岩橋英遠の作品を高く売るためのポイントについていくつか紹介する。
査定の評価基準を押さえる
絵画の査定額を左右するのは、作品のジャンル、描かれた時代、作家、サイズ、人気などで、買取業者の査定基準にもなっている。岩橋英遠の作品でも売値に大きな差が出てくるのは、描かれた作品の時代や作品のサイズ、それから人気度に開きがあるからだ。
そのほか、査定でチェックされる点は、原画かどうか、需要が高まっているかどうかなど。市場に出回っているものには、作家が直接描いた原画と複製画があり、前者のほうが査定額は高くなる。絵画は市場の動向にも大きく影響される。その作品や作家がメディアで注目を浴びたりすると買取相場が一気に上昇することがある。
査定人にとっては、作品の状態も大事なチェックポイントになる。岩橋英遠という著名な作家の肉筆画であれば、多少シミや日焼け部分があっても評価されるが、完璧な状態から比べれば査定額は下がる。売ると決めた時点で、作品の保管には十分注意したほうがいいだろう。箱など購入時についてきた付属品は欠けていないかという点も査定ではチェックされるので、必ず備品は一緒に査定に出すようにしよう。
買取相場の変動をチェックする
定価がない絵画の買取相場は、需要によって大きく変動される。いくら払ってもいいから岩橋英遠の絵が欲しいという人が現れれば、それだけで買取価格は跳ね上がる。こうした個人の需要をチェックすることは難しいが、作品に需要が出てきたかどうかはある程度把握できる。
たとえば、岩橋の個展や企画展が開催され、メディアで盛んに宣伝されたり、テレビで岩橋の特集が組まれたりしたときは、相場が上がる確率が高くなる。オークションでの出品状況もチェックしてみよう。出品数や落札者が増えるなど、取引が活発になってきたら売るタイミングと考えていいだろう。
買取業者に価格交渉をする
その作品の買取価格は固定されているわけではないので、業者に対して価格交渉する余地は十分ある。成功しやすいのは、複数の業者から見積もりを取り寄せてから交渉に臨むことだ。あの業者はこの金額を提示してくれたので、といえば査定額を引き上げてくれる可能性が出てくる。
まとめ買いによる交渉も有効だ。買取業者はまとめ買いで査定額を上げる傾向があるので、ほかに売れそうな品物が家に眠っていたら一緒に査定に出してみよう。
査定を依頼するときの注意点
いうまでもなく、岩橋英遠の肉筆画は高く評価されるが、コピー品の評価はゼロだ。本物だと思って査定に出したら実は偽物だった、ということもあるので、査定前には鑑定に出して鑑定書を取得したほうがいいだろう。横山大観の作品鑑定なら大観記念館など、作家の鑑定には専門の鑑定機関がある。ちなみに岩橋英遠の鑑定は、岩橋英遠鑑定委員会がおこなっている。
作品の状態は査定に響くので、保管には気をつけよう。作品は箱に入れ、直射日光があたらない場所に置き、ときどき箱から出して風通しを良くしておく。査定前に掃除はしておいたほうがいいが、表面についたホコリを取り除く程度にして、自分で修理することはしない。下手に修理して価値を下げてしまうことがあるからだ。
まとめ
岩橋英遠の作品についてお伝えしてきたが、その価値は高く、作品によっては高値で売買されることもある。特に肉筆画になると何十万円という売値がつくことがある。売却方法はいくつかあるが、買取業者を利用する場合は複数から見積もりを取り、比較することが高く売るポイントになる。絵画は高温多湿や直射日光で劣化が進むので、売却を決めたら早めに査定依頼するといいだろう。