岩谷徹は福島県出身の版画家である。銅版画の技法の1つ”メゾチント”を用いた作品を多く手がけ、35歳のときに渡仏。28年のフランス生活の中で150点ものメゾチント作品を生み出した。1999年に帰国した後は故郷である福島と東京を中心に個展を多く開いている。
この記事では岩谷徹作品を売却するときの買取相場や彼の代表作について、またおすすめの買取業者を紹介する。
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岩谷徹とは
岩谷徹は1936年2月に福島県郡山市に生まれた。高校を卒業後は大学進学のため上京し東京水産大学へと進学する。その後、郡山市に帰省して1965年のときに結婚。このとき彼は29歳。一般企業で働くサラリーマンだった。
しかし、版画家の浜口陽三の作品に感銘を受けた岩谷徹は浜口洋三を師と仰ぎ、彼が復興したメゾチント版画を手がけることを決意する。そして、35歳のときに夫婦でフランスへと移住。画家としては遅咲きのほうだが、作品制作に対して非常に熱心だった。
メゾチントは制作に時間を要する技法で、そのために使用する人も少ない。しかし、彼は年間4作から5作のペースで制作するなど、精力的かつスピーディーに作品制作に取り掛かった。
フランスではなんと28年の間住まいを変えず、夫婦で屋根裏部屋のようなアパルトマンに暮らしていた。その間に発表した版画はのべ150点にも上り、1999年に帰国する。
作家生活35年の間には全30点の作品からなる”能面シリーズ"を完成。これは大作20点を含む大がかりなもので、手間のかかるメゾチントでここまでの作品数をこなしたのは彼以外にはいない。
2006年には公式ホームページを立ち上げ、これまで手がけた作品を掲載。2019年には83歳になったが、福島・東京で開催される個展を中心に変わらず精力的な活動をおこなっている。
岩谷徹が手がけるメゾチントを知る
岩谷徹作品の特徴は、メゾチントという版画の技法によって制作されていること。これは”20世紀のメゾチント復興者”として国際的に有名な浜口陽三が復活させた技法で、岩谷徹は彼の作品に感銘を受けて自らの作品をメゾチントで制作すると決意した。
メゾチントは17世紀にドイツの作家ルドヴィッヒ・フォン・ジーゲンが発明した技法。銅版など凹版の金属板に専用の器具を使って細かい刻みやささくれを作っていくのが特徴だ。細かい技術が要求されるが、でき上がった版画は明暗が微妙な加減で浮かび上がるのが魅力で、18世紀にはイギリスで大流行したといわれている。
メゾチントは白黒のほかにカラーメゾチントがあり、岩谷徹が制作した作品のほとんどはカラーメゾチントで作られている。一見版画ではなく絵画のように見えるほどの細かさで制作されているのが特徴だ。日本では岩谷徹と師匠の浜口陽三だけでなく、長谷川潔や生田宏司などもメゾチント技法を使って版画を制作している。
岩谷徹の買取相場と代表作
そんな岩谷徹作品の買取相場と代表作を見ていこう。
岩谷徹作品の買取相場
岩谷徹作品の買取相場は6千円~6万円前後。一般的に取引されている版画作品の相場は作家によっても異なるが、だいたい5万円~数十万円ほどだ。相場と比較してみてみると、岩谷徹の版画作品は平均より少し手ごろな価格になっているといえる。
彼の作品は美術専門の買取業者だけではなく、インターネットオークションでも取引がおこなわれている。彼自身のホームページでも作品販売をおこなっているため、市場に流通している作品は多いといえるだろう。
岩谷徹の代表作
代表作は、やはりパリで長年手がけて完成させた"能面シリーズ"だろう。これは岩谷徹が1972年から手がけていたライフワークのような作品で、版画家を始めてから35年の間で30数点の作品で構成され完結された。圧倒的な存在感とユニークな構図が観る者を惹きつける。
モノクロからカラーまで幅広く、カラーの場合は赤や黄色などの華やかな色合いが効果的に使われている。メゾチントならではの立体感を上手く活かして和の世界を表現した素晴らしいシリーズだ。
"能面シリーズ"以外の作品とは
"能面シリーズ"以外にも道化師や花をモチーフにした作品を発表することが多く、その作風はマルグリットやキリコの影響を感じさせながらも、彼自身にしか生み出せない作品世界として高く評価されている。
風景を描いた作品もいくつか発表しているが、どれも陰影のつけ方がすばらしく、平面でありながら立体感と奥行きを感じさせて想像力を掻き立てる。鑑賞するたびに新たな発見があるのが彼の作品の最大の魅力だ。
版画を高く売却するためのポイント
いくら平均よりは手軽な価格帯で取引されているとはいえ、その中でも高く売却できるかできないかでは大きな差が出てくる。ここではなるべく高く買い取ってもらうためのポイントをあげていく。
版画は美術専門の買取業者に任せよう
美術専門の買取業者で取り扱っている版画は、大きく分けて銅版画と木版画の2つだ。銅版画はかつて西洋でおこなわれていたもので、木版画は浮世絵に代表されるように日本で作られた作品が多い。
版画は美術品としてリサイクルショップで買取してもらうこともできるが、ほとんどのリサイクルショップには版画の専門的な知識を持った鑑定士はいないため、買取価格が相場よりも安くなる可能性がありおすすめできない。版画の高価買取を希望するなら、やはり美術専門の買取業者で査定してもらったほうがいいだろう。
版画の保存の仕方
版画を高く売却するためには、やはり保存状態がいいことが何よりも重要。版画はとてもデリケートな美術品で、温度や湿度の変化に敏感である。さらに部屋の照明にも影響を受けやすいので、版画を美しく保つには温度・湿度・光の3点に気をつけなければならない。保管するときは中性紙に挟んで桐の箱に入れておくと傷みを防ぐことができる。
ただし、市販の防カビ剤はガスを発生させ、それが版画にシミを作る原因になるので使用は避けてほしい。もし部屋に飾る場合は、照明の明るい部屋や湿度の高い台所・浴室に隣接している部屋は避け、温度変化に左右されにくい内側の壁に飾るようにしよう。
高価買取につながるポイント
高価買取の対象になる版画は、やはり高名な作家が手がけた作品だ。彼らが手がけた作品にはサインが入っているため、自分が所有する版画には作家のサインが入っているかきちんとチェックしよう。また、岩谷徹の”能面シリーズ”のように版画は連作として作られた作品も多いため、作品にエディションナンバーが記載されているかもチェックすることを忘れてはいけない。
エディションナンバーとは、この版画が連作中何枚目に制作されたかを示す数字のこと。番号の若さが価格に影響するわけではなく、エディションナンバーがあること自体がその作品の価値になり高価買取のポイントになる。また、版画は量産できることが特徴なので、作品の制作年代が古く再現率が低いものは高価買取の対象になる。
おすすめの買取業者
岩谷徹の作品を取り扱っている美術専門の買取業者は多い。中には、自社ホームページで買取対象作家として名前を記載している業者もいるため、保存状態が良ければ相場の金額に沿って高価買取が期待できる。版画は作品制作の性質上量産される美術品なので、高額買取だけでなく真贋の判定も重要だ。
また、買取業者は2店舗以上で査定することがおすすめ。作品の買取金額は最新の相場や需要によって大きく変動するため、査定金額も店舗一律ではない。また、査定のときは高額でもいざ契約の段階で金額が下がるという悪質な対応をする買取業者もいる。美術品の買取はプロの見極めが重要なので、良心的なところを選ぶことが重要である。
ここでは前評判の高い美術専門の買取業者をいくつか紹介する。
絵画買取価格査定
絵画買取価格査定はStudio Arts株式会社が運営している美術専門の買取業者。全国展開をおこない年中無休で対応している。名前の通り美術品の中でも特に絵画に特化して査定・買取をおこなっている。査定はLINEとメールによって送られた画像でおこなわれ、その後店頭・配送・出張買取のいずれかで作品と直に接し、最終的な買取価格を決定するという流れだ。
取り扱っている画家はピカソ・草間弥生・ムーア・奈良美智と幅広い。絵画買取価格査定は国内外問わずに著名な作家の作品買取をおこなっているが、もちろん岩谷徹作品も高額査定の対象なのでまずは問い合わせてみよう。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは全国展開している美術品専門の買取業者。対象となる美術品は、絵画はもちろん、中国美術品や西洋アンティークと幅広い。それぞれのジャンルに精通した専門の鑑定士が多数在籍しているため、しっかりとした目で査定をおこなってくれる。著名作家は特に高価買取することをモットーにしている。
同時にクーリングオフ制度も取り入れているため、万が一買取金額に納得がいかない場合、契約日から8日以内であれば無条件でキャンセルをすることも可能。お客様に常に寄り添った買取をおこなっている。高い専門性と柔軟性のある対応から評判の高い買取業者である。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
本郷美術骨董館は北海道から九州まで幅広く展開する美術専門買取業者。俳優の梅宮辰夫がイメージキャラクターを務めていることでも有名である。作品の鑑定は写真・店頭・宅配・出張で対応可能。これまでに買取した実績は実に150万店以上。
鑑定士は専門的な知識を持つほか、最新の相場をもとにしっかりとした買取査定をおこなってくれるので信頼度が高い。買取で疑問に思ったことは相談しやすく、さらに最新の相場や作家の需要についても説明してくれるところも心強い。納得した内容で買取査定を希望する人には特におすすめの買取業者である。
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品・絵画買取センターは、絵画からアンティークまで幅広い美術品に対応した買取業者。30年の長い実績を持ち、自社でオークションもおこなっている。
査定後の高価買取を徹底しているほか、査定結果は24時間以内に返信するなどスピーディーな対応を心がけている。店頭はもちろん、出張と宅配で査定ができる。査定に納得できない場合はキャンセルも可能なので、まずは相談してみよう。
まとめ
岩谷徹は長年精力的に活躍している版画家なので作品の点数も多い。メゾチントという技法の特殊さからも、リサイクルショップより美術専門の買取業者へ査定を依頼したほうがいいだろう。
版画はとてもデリケートな美術品なので室内の温度や湿度に気をつけて保管しておくことが重要だ。同時に大切に扱ってくれる買取業者に託すことも重視したいポイントである。ぜひ記事を参考に最適な買取業者を探してみよう。