江戸時代末期から明治時代にかけて、多数の浮世絵作品を残した揚州周延。激動の時代を記録した彼の作品は、歴史的資料としての価値も高い。そんな揚州周延の浮世絵はいくらで売れるのか、作品が手元にある人は気になるところだろう。
そのような疑問に答えるため、この記事ではWebにおける周延作品の販売価格をもとに、買取相場を解説していく。周延作品を高値で売りたいと考えている人に、参考にしてもらえたら幸いだ。
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揚州周延(ようしゅうちかのぶ)とは
揚州周延は幕末から明治時代に活躍した浮世絵師である。美人画や風俗画を得意とし、そのキャリアは45年に及ぶ。江戸から明治への時代の移り変わりを記録した資料としても、親信作品の評価は高い。
3人の師の元で腕を磨く
周延には主に3人の師匠がいる。歌川国芳と三代歌川豊国、豊原国周である。最後に豊国に師事していたこともあり、画号を「豊原周延」と称している作品もある。
メトロポリタン美術館に収蔵されている代表作の1つ「竹のひと節 本朝二十四孝 狐火」も、この名義で描かれたものだ。
明治からは「橋本」姓で活動
明治時代に入ると、周延は本名の苗字である「橋本」の姓を名乗り「橋本周延」として活動する。明治期に整備された戸籍の名義だったこともあり、辞書によってはこちらをメインの名義として採用していることもある。このように揚州・豊原・橋本とひんぱんに姓が変わったため、画商によっては「周延」として、作品を整理していることもある。
揚州周延の浮世絵の作風と主な作品の特徴
作品の特徴を知っておくと、周延が残した浮世絵の価値をより正しく理解できる。それは売却時の適正価格を知ることにもつながるだろう。結論を書くと「浮世絵でありながらドレスやサーカスなどのモチーフが登場する」点が、特に一般人にもわかりやすい特徴だ。
ここでは、そのような特徴の見られる作品を中心に、周延の浮世絵を紹介する。
女官洋服裁縫之図
これは女性の洋裁を描いた浮世絵だ。明治時代には華族の間で洋服がブームとなり、自ら洋服を制作する女性も現れた。その姿を描いた作品だが、木製ミシンの構造なども細かく描かれており、明治の洋裁技術の資料としての価値も高いと考えられる。
世界第一チャリ子大曲馬ノ図
この作品は、イタリアから来たサーカス団を描いたものだ。「伊太利亜の大曲馬」が、「外神田秋葉原に於て興行ス」と説明の文字が添えられている。登場している動物は馬が中心だが、虎や象などの姿も見える。
明治19年にイタリアからこのようなサーカス団が来日していたことがわかる貴重な資料でもある。
皇国貴顕観花之図
皇族が描かれた珍しい浮世絵である。この作品を含めて周延がいくつかの皇族の絵を制作した後、皇族をモチーフにすることは禁止された。そのため、周延以外で皇族を浮世絵にした画家は非常に少ない。
その点でも希少な作品である。
一谷嫩軍記
ここまで紹介した作品から一転して「浮世絵らしい」作品である。歌舞伎役者を描いたもので、坂東三津三や市川権十郎といった、当時の人気役者たちが登場している。このように伝統的なモチーフと、明治時代の新しいモチーフが混在している点が、周延の浮世絵の特徴であり、魅力であると言えるだろう。
揚州周延の浮世絵の買取価格
周延作品の買取価格がいくらになるのかは、どの業者も公表していない。しかし、販売価格はわかる。それを見れば買取価格を推定することもできるだろう。
ここでは、そのような参考資料として、2019年6月24日時点での販売価格を紹介したい。Yahoo!オークションや各業者の販売ページから集めたデータである。最新の価格は変わっている可能性が高いため、その点のみ注意してほしい。
ヤフオク
ネットオークションでも、揚州周延の作品は多く出品されている。たとえばYahoo!オークションでは、特に下記の作品が高値で売られているものだ。
- ・二十四孝見立画合→430,000円
- ・牛若丸浄瑠璃姫之館忍図→80,000円
- ・十二ひと絵→40,000円
1つ目の「二十四孝見立画合」が突出して高いのは、シリーズの24作品がすべてそろっているためだ。揚州周延の作品にはシリーズものが多いが、それがコンプリートされている場合、このような高値がつくことがある。後ほど説明する「なんでも鑑定団」で330万円がついたケースも同じ理由によるものだ。
大屋書房
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
江戸時代の和本や古地図、浮世絵や版画を専門的に扱う大屋書房でも、揚州周延の作品を多数取り扱っている。特に価格が高いものは下記のとおりだ。
- ・将門山古後所之図→397,440円
- ・日清大戦争我海軍大勝利→270,000円
- ・高貴納涼之図→289,980円
平将門や日清戦争など、歴史の授業で馴染みのあるモチーフも登場している。同書房では成約済みとなっている揚州周延の作品も多く、高額にもかかわらず売れるアイテムであると見てとれる。
山田書店
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
東京神田神保町の古書店である山田書店でも、多数の周延作品が販売されている。特に高値で売られているものは下のような作品だ。
- ・世界第一チャリ子大曲馬ノ図→180,000円
- ・皇国貴顕観花之図→50,000円
- ・彫画共進会之内 盛衰記西八條別館之図→28,000円
「世界第一チャリ子大曲馬ノ図」は、作風の解説でも紹介したサーカスの絵である。このように現代人の知的好奇心をくすぐる歴史的価値のある作品は、特に高値がつく傾向がみられる。上で抜粋したように20,000円を超える作品が多いが、なかには「教育幼稚園之図」など5,000円で販売されている小品も見られる。
「開運!なんでも鑑定団」での鑑定価格
テレビ東京の人気番組である「開運!なんでも鑑定団」にも、揚州周延の作品が登場した。2011年6月21日放送の回で、公式ページの「OPEN THE PRICE」というボタンを押すと、鑑定価格と総評を見られる。事前の出品者による本人評価額は700,000円だったが、鑑定価格は330万円と4倍以上の値段がつけられた。
総評によれば、出品されたのは親信の代表作である「千代田之大奥」「千代田之御表」のシリーズで、それぞれ全作品が完全にそろっているものである。「大奥」のほうに200万円、「御表」のほうに100万円という値段がつけられ、さらに30万円がうわのせされた。どちらも本にとじられているため光や風に当たることなく、発行当時に近い状態が保存されていることが高く評価された。
揚州周延の浮世絵を高値で売る3つのコツ
もともと高値で売りやすい揚州周延の作品だが、さらに高値で売るためのコツもある。これらのコツは他の絵画や家具家電などを売るときにも応用できるため、この機会にぜひ知ってもらいたい。コツは多数あるが、特に重要な3つを解説しよう。
シリーズ作品は可能な限りコンプリートする
販売価格の紹介でも解説したとおり、周延作品で特に高値がつくのは「シリーズ作品ですべての絵がそろっているケース」だ。漫画の全巻セットも同じだが、シリーズ作品は全部そろうことで高い価値を生み出す。逆に1つでも欠けてしまえば、価値は大幅に下落してしまう。
もし自身が売ろうとしているシリーズに欠けている絵があれば、それをまず補うのもいいだろう。業者の販売ページやネットオークションなどで、その作品を探して購入するのだ。そうして全作品をそろえてから査定に出してみよう。
欠けている作品を購入するコストはかかるが、それを大幅に上回る利益を得られる可能性が高い。
オークションでは「同じ作品が出品されているとき」は売らない
買取業者に対して売らず、ネットオークションやフリマアプリを使って自ら売りたいという人もいるだろう。その場合は、そのオークションやフリーマーケットで「同じ作品が売られていない」という状況で売るべきだ。揚州周延の作品は版画が多く、同じ絵が大量に刷られている。
そのため、自身が売ろうとしている作品と、同じ絵が出品されているケースもあるのだ。その状況で売ってしまうと価格競争になり、単独で売るときよりも安値がつきやすい。売るタイミングを少し遅らせて、競合がいない状態で売る方がいいのだ。
ヤフオクやメルカリ、ラクマなどでの販売を考えている人は、この点を意識してほしい。
買取業者による査定はできるだけ多めに受ける
揚州周延の作品も含め、浮世絵のようなアート作品を高値で買い取ってくれるのは、やはり美術商や古書店などの買取業者である。それらの業者で査定を受けるときも、件数をできるだけ増やそう。査定価格を比較することで正しい相場がわかり、もっとも高く買ってくれる業者に売れるためだ。
多数の査定を受けるのは難しいと思うかもしれないが、現代ではLINE査定やメール査定などのサービスもある。また、自宅まで業者が来てくれる訪問査定、出張査定などのサービスも利用可能だ。こうしたサービスを提供している業者であれば、複数の査定を受けることはそれほど難しくない。
時間のない人や交通の便が悪い場所に住んでいる人でも、無理なく相見積もりをとれるだろう。
揚州周延の浮世絵を売るときにおすすめの買取業者
周延作品をできるだけ高く売りたいと考えるのであれば、高額買取をしてくれると期待できる業者を選ぶ必要がある。ここではそのような期待をできる業者を2社紹介する。ここまで紹介してきた古書店などと合わせ、これらの業者の査定も受けてみるといいだろう。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
名前通り、あらゆるジャンルの美術品を総合的に買い取っている業者である。特に絵画の買い取りに力を入れており、周延の浮世絵が含まれるジャンルである日本画についても、売買の実績が豊富だ。どの分野の美術品でも、そのジャンルで20年以上の鑑定経験を持つ一流の鑑定士が査定をしてくれる。
歴史的価値の高い揚州周延の浮世絵についても、適正な値付けをしてくれるだろう。査定はLINEやメール、電話などあらゆる方法によって無料で受けられるため、気軽に申し込んでみてはいかがだろうか。
ギャラリーホープ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
名古屋に本社をおき、東京の銀座や大阪の梅田にオフィスをかまえる買取業者である。美術品のなかでも絵画の買取りを専門的に行っており、日本画・版画・洋画とオールジャンルに対応している。木版画が多い揚州周延の浮世絵についても、積極的に買い取ってもらえると期待できる。
査定は電話・メール・LINEなどの方法で受けられ、いずれの無料となっている。最終的な査定も店頭持ち込みだけでなく、出張査定や宅配査定などの方法を選べるのが魅力だ。日本全国の査定に無料で対応しているため、住んでいるエリアに関係なくおすすめしたい。
まとめ
周延作品に限ったことではないが、査定を受けることにはメリットこそあれ、デメリットはない。査定を多く受けるほど正しい相場を把握でき、高値がついたらそのまますぐ売ることもできる。
現時点では売却を考えていない人でも、いつか売却が必要になったとき、査定を受けた経験があればスムーズにストレスなく、作品を売りやすいだろう。このように多くのメリットがあるため、まずは気軽に査定だけでも受けてみてはいかがだろうか。