手元にある永瀬義郎（ながせよしろう）の作品を手放したいが、一体どのくらい価値があるのか素人の自分にはよくわからないという人もいるだろう。また、売り方がわからず処分にお困りではないだろうか。永瀬義郎は日本を代表する版画家で、彼が残した版画や油絵は人気が高く、美術品市場では積極的に売買されている。
損をせずに売るなら買取相場を把握することが一番だが、できるだけ高く売る方法やコツなどもあわせて紹介する。
本記事のポイント
- 永瀬義郎の作品は需要が高い
- ナガセプリント73という技法が有名
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永瀬義郎の経歴・略歴 愛され続ける版画や油絵
永瀬義郎（1891～1978）は大正から昭和期にかけて活躍した茨城県出身の版画家。早くから木版画で頭角を現し、1922年に刊行された著書・版画を作る人へは、版画家の川上澄生や木版画の斎藤清など多くの版画家たちに影響を与えた。
ナガセプリント73が特に有名
永瀬は版画を通して独自の世界を追求し続け、さまざまな表現方法を試みたが、その中で特に有名なのが、ナガセプリント73（1973年）という版画技法だ。ナガセプリント73でシルクスクリーン（インク穴あり・なし両方の版を使った印刷方法）から遠近感を出せるようになり、この方法で印刷された彼の作品は、独特の発色を持ち油彩に近いという特徴がある。
美術館に所蔵のほか、企画展も
永瀬の作品は版画の他に油絵も多く、そのうち何点かは東京近代美術館をはじめ西洋美術館、国際美術館などに所蔵されている。柔らかさと優しさが表現された作品には根強いファンが多く、出身地である桜川市や主要都市を中心に企画展などが度々開催されている。
売り手がつきやすい＝需要が高い現状
その人気ぶりは美術品市場で積極的に売買がおこなわれていることでもよくわかる。美術品の売却はオークションに出品したり骨董品屋に持ち込んだり、専門の買取業者に依頼したりするが、永瀬のような人気作家の作品はたとえ傷んでいても査定してもらえる可能性が高い。そのため、変色部分があるから全く価値はないなどと自分で判断せず、査定員などにチェックしてもらうことをおすすめする。
画家・永瀬義郎作品の買取相場と落札相場
絵画の相場は、その作家の知名度、画法、損傷の程度、画題や、原画であるかリトグラフなどの版画や複製画かどうかに左右される。また、同じ作家の作品でも作品の大きさや時代、絵の内容によってかなり差が出てくる。しかし、買取で重要なのはそれだけではない。
美術専門の買取業者の買取相場
買取相場はそのときの流通相場や流行なども関係してくるため、かなり変動がある。美術品・骨董品を専門に買い取る業者のサイトをチェックしても、買取相場を表示しているところはほとんどない。それだけ絵画は値段が決めにくいものであることがわかるが、永瀬義郎の作品にしても同じだ。買取実績を調べた範囲では、数百円～数万円で取引されており、買取価格は作品によってかなり差がある。
美術専門店の販売価格
美術を専門に扱っている販売業者も、相場の参考になるだろう。売却の場合、販売の利益を考えた上での買取になるため販売価格より安価になるが、作品ごとの相場は見えてくるはずだ。
永瀬義郎作品の販売例
- 「「東洋の旅（3） 馬来（マレーシア）美人図」木版 100,000円（山田書店）
- 「東洋の旅（4） シバの踊り（インド回想）」木版 100,000円（山田書店）
- 「作品（郊外小景）」木版 80,000円（山田書店）
- 「ドール」シルクスクリーン 60,000円（小野画廊）
- 「かんき」木版 50,000円（山田書店）
- 「花」木版 50,000円（山田書店）
- 「もの想う天使（藍刷）」ナガセプリント’73 38,000円（小竹美術）
- 「瞑想」ナガセプリント'73 35,000円（小竹美術）
- 「白秋追想」孔版 8,000円（山田書店）
ヤフオクやメルカリの買取相場
ヤフオク・ネットオークションやフリマアプリ・メルカリといったオークションサイトでも永瀬義郎の作品が出品されている。ネットオークション相場検索サイトによると、永瀬義郎の版画や油絵の平均落札相場は、2019年6月24日時点では2,406円だった。しかし、2021年7月23日現在は、版画や油絵の平均落札相場は7,673円となっている。没後40年を過ぎているため、評価されつつあるのかもしれない。
しかし、これでも数千円が平均価格になっているのは、絵画以外のモノも混ざってしまっていることのほかに、専門の美術オークションや画廊、販売店ではない場合に、贋作が混ざるリスクが高いため、安価になってしまうことがある。
ヤフオクで取引された最低落札価格は、版画・ある驚き（10センチ×13センチ）の510円（100円スタート）で、最高額で落札されたのは、1977年に刊行された永瀬義郎直筆サイン入のオリジナル銅版画7作品（松永伍一詩火の鳥）の39,980円だった。オリジナル銅版画は限定65部のみ刊行され、本人のサインが入っているというレア感があるため、このような高額で落札されたのもわかるが、同じ作家の作品でも価格にはかなり差があることがわかる。
美術品の売却は買取業者かオークションか
通常手元にある絵画を売却するときは、買取業者に依頼して買い取ってもらうか、オークションサイトに自分で出品するという2つの方法を選択することになる。
ネットオークションのメリット・デメリット
ネットオークションは、サイトに登録さえすればいつでも好きなときに出品でき、好きな価格を設定できるなど自由度が高い。競売方式で出品すれば、相場価格以上の値で落札されるという醍醐味もある。逆に落札されるか否かは相手次第であり、落札されなければ出品料などを引かれてマイナスになってしまう。落札する相手が必ずしも作品の価値に通じているわけではなく、価値がよくわからないまま出品して、相場よりずっと低い値段で落札されてしまったということも考えられる。
買取専門業者のメリット・デメリット
買取専門業者は、その道に詳しい専門家が持っている知識や流通相場を元に作品を査定するため、査定額は適正価格を提示してもらいやすい。業者が価値あるものと判断すれば、たとえ傷がついていたとしてもそれなりの値段をつけてもらえる。永瀬義郎ほど名の通った作家であれば、よほど損傷がひどくない限り売れないということは考えにくい。
ただし、買取業者といってもすべて良心的というわけではない。中には素人の弱みに付け込んで買取相場よりもかなり低い評価額を提示してくる場合もあるため、業者選びには注意が必要だ。
総合的に考えてどちらが良いか
美術品の価値は素人目ではなかなか判断しにくい。価値がないだろうと思い込んでいたものに予想以上に高値がつくこともあれば、その逆もある。もし、ある程度作品の価値が分かっていればネットオークションに出品しても損はないだろうが、そうでなければ美術品の買取業者に依頼したほうが失敗しにくい。
どちらか1つ選ぶのではなく、専門家に評価してもらってからオークションにという方法もありであるため、自分に一番合っている方法を選ぶといいだろう。
LINE査定に対応している買取業者
買取業者に依頼する場合、どこがいいのか迷うかもしれない。ここでは厳選した美術品買取業者を紹介するため、参考にして欲しい。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは絵画や版画をはじめ、さまざまな美術品や骨董品を取り扱っている買取専門店で、ジャンルも日本美術から中国美術、西洋美術までと幅広い。取り扱うジャンルに合わせた専門の鑑定人が在籍し、美術品の査定にあたっている。在籍している鑑定人たちは、長年の経験を持つ人材ばかりだ。
査定前の情報と実物によほど差がなければ査定額で提示した価格で買い取るという姿勢も評価されている。LINEや電話、メール、出張など複数の査定・買取方法から選べ、クーリングオフ制度を導入しているので利用しやすい。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
大手の美術品買取業者である八光堂は、全国で取引をおこなっている買取業者だ。テレビ出演も少なくない。大手というだけあり、高額の絵画の販売実績も少なくない。「高額だから、すぐに買い取れない」「予算的に高く買い取るのが難しい」ということにはなりにくいと言えるだろう。
出張買取に対応している買取業者
ギャラリー北岡技芳堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ギャラリー北岡技芳堂は愛知県名古屋市をはじめ近畿地方に複数の店舗を構える、老舗の美術品買取業者。長年の実績と市場分析データを元に商品を査定、高価買取を実現してきた実力店でもあり、その実力を買われてテレビ出演も果たしている。さまざまな骨董品の買取をしているため、他に売りたい美術品があったらまとめて査定してもらいやすい。買取方法は、店頭買取と出張買取そして宅配買取の3つの方法から選ぶことが可能だ。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
本郷美術骨董館は東大赤門前にある老舗宝美術店が運営する美術品買取専門店で、俳優の梅宮辰夫が名誉館長を務めている。これまで130万点以上の買取実績があり、版画の取扱経験も豊富。版画についての価値や買取相場について詳しく説明してくれて、相談も受付ている。鑑定方法は画像やLINEなどで可能な他、出張や店頭、宅配査定の他に電話での鑑定も利用できる。
永瀬義郎の作品をできるだけ高く売る方法
絵画の買取相場は常に変動するが、できるだけ高く売るにはいくつかのポイントがある。
買取相場から売りどきをおさえる
相場が上がるのは、作家やその作品に需要があるときだ。たとえば永瀬義郎の企画展が開かれた、テレビで特集が組まれたなど、話題になると需要が高まる可能性が出てくる。ニュースやテレビを常にチェックしたり、買取相場の変動に敏感な専門業者に相談するのもいいだろう。良心的なところであれば、きちんと説明してくれるはずだ。
永瀬義郎の買取を強化している業者を選ぶ
買取業者の中には、永瀬義郎の作品の買取を強化しているところもある。そういう業者は他より高い査定額を提示してくれる可能性が高くなるため、利用したい店が買取強化を実施しているかどうかチェックしてみよう。永瀬義郎の作品に限らず、買取商品に対して査定額をアップするキャンペーンを実施している店も狙い目だ。
保存状態の良いものを売る
人気作家の美術品は多少汚れやキズがあっても評価される場合が多い。しかし、査定評価は下がってしまうため、保存状態の良いもののほうが高く売れる。もし永瀬義郎の作品を複数持っていたら、保存状態の良いものから売るといいだろう。その作品に知名度があり、評価されていたものであれば更に高く売れる可能性が出てくる。
まとめ売りで査定額を上げる
多くの買取業者は、まとめ査定で評価額を上げるとしている。倉庫などに眠っている美術品や骨董品はないだろうか。もしあれば、一緒に査定に出してみよう。「本当に価値はあるのだろうか」と疑問に思うものもあるかもしれないが、専門家にとってはお宝という場合もあるからだ。
美術品買取業者を選ぶときのポイント
永瀬義郎の版画や油絵をできるだけ高く買ってもらうためには、良い買取業者選びは欠かせない。失敗しない業者の選び方についてポイントを紹介する。
事前に無料査定を依頼する
ほとんどの業者は本格的に査定する前に、無料で仮査定を実施している。申し込むにはその店のサイトや電話、メールなどで簡単にできるため、必ず依頼しておこう。無料査定を受けることで、だいたいの買取価格が把握できる。
できるなら、1店だけではなく、複数の業者から査定額を取り寄せよう。どの業者が一番高額で買い取ってくれるかがわかるだけでなく、相場から外れた値段で買い取られるということを防ぐこともできるからだ。その見積もりを持って後で価格交渉することもできるため、複数の見積もりを取り寄せるメリットは多くある。
複数の買取業者を比較する
買取業者について、査定額だけでなくサービスや口コミといった点も忘れずに比較しておこう。高額な査定額を出しても、後で査定額を変更したり、しつこい営業電話をかけてくる業者だったりということがあるかもしれないからだ。利用してみたいと思った業者を複数ピックアップし、そこから3～4店ほどに絞り込んで、さまざまな点から比較検討することがポイントになる。
査定時の注意点
基本情報を伝える
美術品の売却を買取業者に依頼するとき、まず問い合わせをするが、そのとき作家や作品名、描かれた技法やサイズといった基本情報を伝える。このときの伝え方で査定がスムーズにおこなえるかどうかが決まってくるため、聞かれたことはできるだけ正確に答えるようにしよう。
永瀬義郎は版画家だが、油絵もたくさん描いているため、画法は間違えないように気をつけることが大切だ。作品の状態を聞かれることもあるが、包み隠さず正直に伝えよう。査定額の変動を防げ、仮査定とほぼ同じ価格で売れる可能性が高くなるからだ。
保存状態に細心の注意を払う
査定では作品の保存状態が重視されるため、状態が悪くならないように保管には注意が必要になる。作品についてしまった傷や変色は仕方ないが、ホコリを被っていたら査定前に取り除いておく。保証書など購入時についていた付属品が欠けているだけで減額されてしまうので、査定のときは一緒に出すことを忘れないようにする。
宅配の場合には梱包を工夫する
宅配買取の場合は配送方法に気をつける必要がある。到着したら傷がついていたということを避けるため、梱包には買取業者から送られてきた宅配キットを必ず使うようにし、指示通りに進めよう。もし宅配キットがなければ、送る商品のサイズに合ったダンボールや緩衝材、新聞紙などを用意して、できるだけ商品を保護できるよう梱包を工夫する。作業中に疑問が出てきたらすぐに業者に質問するようにすると間違えにくい。
価値ある永瀬義郎の作品の売却はお早めに
永瀬義郎の版画や油絵は評価が高く需要もあるため、多少傷があっても売却できる可能性は高い。作品の売却はネットオークションまたは買取業者に依頼するという方法があるが、買取業者に依頼する場合は、良い業者を選ぶことがポイントになる。
買取強化キャンペーンなどを利用すれば、より高値で売れる可能性も出てくる。できるだけ高額で売却するなら状態の良し悪しはとても重要であるため、売ると決めたらすぐに行動に移そう。
