織田一磨 版画・作品の買取相場・価値まとめ

織田一磨（おだ かずま）は、明治時代から昭和時代にかけて活躍した版画家である。代表作は『東京風景』や『大阪風景』で、近代都市の風景や人々の営みを感じさせる生き生きとした作品を描いている。

本コラ厶は織田一磨の経歴を解説した上で、作品の価値や買取相場について紹介する。織田一磨の作品をコレクションしたいと考えている方や、所持している作品を買取に出そうと検討中の方は読んでおくといい。

織田一磨の経歴や作品

織田一磨（1882-1956）は、明治15年11月11日に東京で生まれた。主に石版画の技法を用いた作品を多く手がける版画家で、明治から昭和の時代をかけて活動していた。複製技術として位置づけられていた版画を、美術の一つの分野として確立するために、創作版画運動に積極的に参加するなど、版画界の発展に尽力した人物である。

織田一磨は石版画工として複製版画や広告図案を手掛けていたことがあり、大阪市役所図案調製所や広島石版印刷所で勤務していた経歴をもつ。石版画は16歳の頃から兄の織田東禹に学んでおり、後にオットマン・スモリックや金子政次郎に師事し、洋画は川村清雄のもとで研究していた。

1909年に美術雑誌「方寸」が母体のパンの会に所属し、創作版画運動に参加する。この頃から、下絵の作成から彫り・摺りのすべての工程を自らおこなう創作版画に力を入れるようになり、「方寸」が廃刊になるまで作品を作り続けて発表していた。

織田一磨の作品は、1916年から連作した大正期の代表作「東京風景」や「大阪風景」のシリーズが有名である。そこに生きている人々の文化や風俗を描いた都市風景を得意としており、高く評価されている作品だ。1918年に山本鼎らと日本創作版画協会を設立し、日本の創作版画の発展に大きく貢献していた。1930年には洋風版画協会を設立にも携わっている。

昭和期の1931年には吉祥寺に住まいを構え、日本橋白木屋でおこなわれた第三回現代創作木版画展覧会にて、「松江大橋」や「牡丹」「伯耆大山遠望」や「賀茂川の花火」などの8点の芸術性に優れた木版画を手がけて出品した。1933年頃になると地方風景を描いたり、登山を好みはじめたことをきっかけに山岳風景の作品も多く発表している。晩年は花鳥をモチーフにした作品や、仏画風の版画など、表現の幅を広げた作品づくりにも努めている。

日展に第7回展から毎年のように出品を重ねており、没年まで精力的に活動していた。また、江戸時代の葛飾北斎をはじめとする浮世絵作家たちに心酔した織田一磨は、「浮世絵十八考」や「浮世絵と挿絵芸術」など、版画作品以外にも数々の研究著書も出版している。

版画・作品の相場

ここでは本題の織田一磨の版画・作品の買取相場について紹介していく。相場を把握しておくと、相場以下の安い値段で売ってしまうという失敗を防ぐことができる。

美術品や絵画を取り扱う買取店では、織田一磨の版画作品の取引履歴はあるが買取価格を表示しているところはない。美術品は商品の保管状況や状態、真作であるかの証明の有無など、所有している作品によって大きな価格差があるのだろう。ほとんどの買取店で要相談や問い合わせにより査定や相場を教えてもらえるようだ。

ここではネットオークションの売買価格や、美術品・絵画専門店の販売価格を掲載しておく。いろいろな中古市場でどれくらいの金額で売れているのかを知っておくことも、市場相場を確認する手段の一つになる。

ネットオークションの売買価格

• ・「夜店」木版画 サインあり 目立つ傷汚れ無し︰21,500円
• ・「都会生活・石版画集１０点セット」紙 アオイ書房発行 51/250部 1941年製作︰40,000円
• ・「東京二十景 石版画集 20枚1組」経年劣化有り︰3,000円

版画はヤフオクなどのネットオークションサイトを利用して売ることも可能だ。ヤフオクは出品したらオークション形式で入札がスタートし、作品が欲しい人同士が競り合うことで、価格が釣り上がっていく仕組みになっている。自分の想像以上の価格で売るには、まず作品を買いたいと思う人が増えるように、出品情報を充実させることが大事だ。

作品の詳しい詳細や保存状態、真作の証明や写真の取り方、今までの取引履歴の内容なども買い手に見られるポイントである。あまりにも出品情報が乏しければ、買い手に見向きもされず価格が上がらない場合や売れ残るケースもある。また、自分でオークションに出品するのは難しそうと感じるなら、美術関連の業者が主催するオークションが年に数回あるので、日にちが合えば利用してみるのも良いだろう。

美術品・絵画専門店の販売価格

美術品・絵画専門店では買取価格の記載はないが、販売価格を公開しているお店は複数見られた。買取価格を推測する参考になるのでチェックしておこう。

「大阪風景 中之島」

• ・大正7年（1918）
• ・保存状態良し
• ・33.4x48.6cm
• ・石版画
• ・販売価格︰160,000円

「新東京風景 日本ばし附近」

• ・昭和27年（1952）
• ・31×48cm
• ・石版画
• ・販売価格︰150,000円

「大阪風景 京町橋夜景」

• ・大正7年（1918）
• ・42.5×27.5cm
• ・石版画
• ・販売価格︰100,000円

「牡丹」

• ・昭和3-7年（1928-32）
• ・23.5×36.5cm
• ・木版画
• ・販売価格︰60,000円

「京都風景清水寺雪景」

• ・大正14年（1925）
• ・40.5×29cm
• ・石版画
• ・販売価格︰80,000円

版画・作品の価値はどうやって決まるのか

版画作品は、どんな査定ポイントや価値が評価されて価格に反映されるのだろうか。査定前に知っておきたい査定情報をまとめたので、売る前にチェックしておこう。

知名度のある作者や人気の作品

知名度のある作者や、人気のある作品は需要が高いため、高価格で買取できることが多い。業者は保管管理が難しい美術作品を、できるだけ在庫を抱えずに売りたいと考えるので、お客さんによく買われやすい人気の作品は高価買取になる傾向がある。

版画技法の種類によって値段が違ってくる

版画は木版や石版、銅板やリトグラフ、シルクスクリーンなどを使って刷った絵のことで、それぞれの技法により作風も違ってくる。技法が違えば査定額にも影響するということも押さえておこう。

希少価値がある

版画が日本画や洋画と違うところは、原版があると複数枚の作品を刷ることができること。ただし、刷ったあとに一枚一枚綺麗に仕上がっているかチェックしたりと、手作業で手間もかかってしまう。刷る数が多いと原版が傷むため、作品により出回る部数の少ない作品もある。そういった希少な作品は需要があり、高額査定になりやすい。

状態は重要

版画作品は見た目が重要なポイントで、状態の良好な作品ほど高く売れる。ホコリがかぶっていたり、汚れがあるもの、カビや日焼け、経年劣化が見られる作品は大きな値下げ対象になってしまう。

ホコリ程度なら自分で除去することはできるが、汚れなどは取ろうとすると、修復不可能な悪い状態になってしまうことも。汚れやカビを取る場合は、プロの復元師に頼むことはできるが、出費になるためできるだけ状態が悪くならないように、日頃から保管場所に気をつけたり、ときどきメンテナンスをすると良い。

直筆サインがある作品

絵画によく見られる直筆サイン。これは世界の作者が共通しておこなう習慣である。19世紀ごろから始まった古い習慣で、作者が自身の作品だと認めた証になる。ノーサインの作品は安価で売られるケースが多いため、買取金額も抑えられた値段になるだろう。

付属品にも価値がある

版画作品を購入したときや貰った際に、鑑定書や証明書、箱や額縁・額装などの付属品が付いていることがある。これらも全て価格が付く価値のある大事な物なので、査定依頼をするときは一緒にそろえて出そう。

価値が認められない・買取不可になる作品とは

版画作品を売ろうと査定に出しても、価値が認められず買取不可になる場合もある。それはどういった作品かというと、作者が不明であったり、盗品と思われる物、有名作品の偽物や贋作である。また、有名作品によっては破損や汚損が目立つ作品も買取可能になることもあるが、買取を断られるケースも多いことも知っておこう。

版画・作品の売却先

ここでは、版画・作品を買取対象にしている買取店について触れていく。気に入ったお店があれば査定に出してみると良いだろう。

古美術こもれび

国内や海外の絵画作品や骨董品など、幅広いジャンルの美術品を取り扱っている古美術こもれび。版画ではリトグラフやシルクスクリーン、木版画や銅版画など種類豊富な買取をおこなっており、知識も熟知しているので価値をしっかりと評価してくれる。

1点からでも気軽に査定や質問の問い合わせに応じていて、親切・丁寧な対応が評判を呼んでいる。買取は来店での持込買取と、愛知県や周辺地域での出張買取、遠方の方は郵送買取も相談が可能で、希望に沿った売り方に柔軟に対応してもらえる。

古美術ますけん

古美術ますけんでは、美術品や骨董品の豊富なアイテムを買取している実績多数の買取店である。版画はさまざまな技法の作品を取り扱いしていて、深い知識と熟練の目利きをもつ鑑定士が在籍している。

引っ越しや片付けの際に出る沢山の美術品の買取もおこなっており、1点1点丁寧に査定をしてくれる。出張買取と宅配買取、持込買取の3つの方法の中から売却の準備をすすめられる。迅速・丁寧な対応で、リピーター数も多く、安心して依頼できるお店だ。

ギャラリー北岡技芳堂

ギャラリー北岡技芳堂は、昭和25年創業で65年以上の歴史がある。絵画や骨董品などのあらゆる美術品の買取の査定や相談を受付している。最新の市場データや、確かな眼で正当な査定をしてくれるので安心感がある。

美術雑誌にも紹介されることが多々あり、メディアからも注目されている存在だ。買取方法は、宅配と店頭、出張買取を利用できるため自分のライフスタイルにあった方法を選ぶといいだろう。

まとめ

買取に出すときは、版画作品の分野に強い美術品・絵画の専門店を利用することを推奨する。版画の技法や作者のことなど、深い知識をもつ専門店なら価値を存分に評価してもらえて、高値で売れやすい。お店によって査定基準は違うため、複数店での相見積もりは必ずしておくと良い。価格を比較して納得のいく取り引きに繋げよう。