幕末から明治時代にかけて、浮世絵師・新聞人として活躍した落合芳幾。彼の作品が手元にある人は、売るといくらになるのか気になることもあるだろう。芳幾の作品は特にシリーズものが多く、同じシリーズでも号によって価格が大きく異なるなどの特徴がある。
この記事ではそのような特徴も含めて、落合芳幾の浮世絵・作品の買取相場を解説する。芳幾作品の売却を検討している人に、ぜひ参考にしてもらいたい。
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落合芳幾とは
落合芳幾は江戸時代の終盤から明治時代にかけて活躍した浮世絵師である。1833年に生まれ、1904年に没した。この時代を代表する浮世絵師であり、同時代に活躍した月岡芳年と人気を二分していた。
東京日日新聞の立ち上げに参加してからは、新聞人や挿絵画家としての活動が主軸となる。芳幾の作品によって錦絵を新聞に掲載することが流行し、錦絵新聞というジャンルが成立した。
毎日新聞の発起人となる
芳幾が発起人の1人となった東京日日新聞は、今で言う毎日新聞のことである。つまり、芳幾は毎日新聞の創刊メンバーの1人と言える。東京日日新聞にとどまらず、芳幾は「平仮名絵入新聞」や「歌舞伎新報」などの発行にもかかわった。
画家としてだけでなく、新聞や雑誌の出版関係者としても大きな功績を残したと言える。
ライバルの弟弟子・月岡芳年
同時期に人気を二分した浮世絵師の月岡芳年は、芳幾の弟弟子である。両者はライバルとして知られ、芳年は新聞事業に傾注していく兄弟子の芳幾を、批判的に評価していたとされる。2人がライバルだったこともあり、競作した「英名二十八衆句」は、どちらのキャリアの中でも代表作の1つとなっている。
落合芳幾の浮世絵の画風と特徴を解説
浮世絵から新聞まで幅広いジャンルで活動した芳幾の作品は、時期によって大きくテイストが異なる。それぞれの時代の作風や評価を知っていることで、より適切な価格で売却しやすくなるだろう。そのような意味も込めて、芳幾の作風を主な作品とともに紹介していく。
英名二十八衆句
落合芳幾の代表作とされるシリーズである。歌舞伎や講談における殺害シーンのみを28作描いたものだ。ライバルだった月岡芳年との競作で、それぞれ14作ずつ描いている。
「血みどろ絵」とも評されたこのシリーズは、現代のホラー映画の「スプラッター」のジャンルを思わせる。明治初期の人々が、どのようにホラーコンテンツに関心を示していたかがわかる点でも、価値のある作品と言える。
鰐魚
1875年頃に描かれた新聞錦絵である。まるで「ウルトラマン」に登場する怪獣のような生き物が描かれている。鰐魚は「がくぎょ」と読み、ワニのことである。
ワニはまれに日本国内で目撃されることもあり、情報の乏しい明治時代に出現したのであれば、大きな騒ぎになったことは想像に難くない。浮世絵師である芳幾が描いたワニの絵が、ウルトラマンの怪獣によく似ている点は、キャラクターデザインの歴史資料としても価値があると言えるだろう。
時世粧年中行事之内・競細腰雪柳風呂
当時の銭湯の女湯が描かれた作品である。左側には派手に喧嘩をする女性たちが描かれている。壁面には薬や化粧品、寄せなどの宣伝ビラが所狭しと貼りつけられている。
銭湯は当時の代表的な広告掲示場であり、その様子が伝わる資料としても興味深い。
今様擬源氏
このシリーズには多くの作品があるが、特に現代人にわかりやすいのは金太郎が描かれたものだ。「今様擬源氏・四十八・早蕨」がその作品だが、褐色の肌をした金太郎が、動物に相撲をとらせているシーンが描かれている。「怪童丸」という文字が添えられているが、これは金太郎のことである。金太郎が昔はどのように描かれていたのかがわかる点で、浮世絵についての造詣が浅くても楽しめる作品の1つと言えるだろう。
俳優写真鏡
これは文字通り「俳優を写真のように描いた浮世絵」である。西洋の肖像画に近い、写実的なタッチで描かれている。芳幾は「五代目尾上菊五郎」などを描いているが、ほぼ同時代に活躍した豊原国周の浮世絵と比較すると興味深い。
同じ尾上菊五郎を描いていながら、国周の方は完全な江戸時代風で、芳幾の方は現代風になっている。尾上菊五郎の代が違うこともあるが、浮世絵が明治期にどのように現代化したのかがわかる、基調な資料と言えるだろう。
見立似たかきん魚
落合芳幾は、動物の擬人化も得意とした。その象徴的作品が「見立似たかきん魚」である。これは金魚の顔を歌舞伎役者の似顔絵に置き換えた「人面魚」を描いたものだ。
人面魚と言えば、1999年に大ヒットしたゲーム「シーマン」を連想する人もいるかもしれない。このシーマンのデザインと、芳幾が描いた人面魚のデザインも、雰囲気がかなり近い。魚に人間の顔をつければ自然とそうなるという可能性もあるだろう。
しかし、先述の「鰐魚」を見ても芳幾のデザイン感覚と現代人のそれが近いことを感じさせる。
落合芳幾の浮世絵・作品の買取相場
落合芳幾の作品は、ネットオークションや販売業者のホームページに多数出品されている。それらの価格を見ることで市場における相場がわかり、買取価格も推測しやすくなるだろう。ここでは、2019年6月24日時点での、ヤフオクや各業者での販売価格を紹介する。
最新の情報は変化している可能性があることに注意し、参考にしてもらいたい。
ヤフオク
Yahoo!オークションにも、落合芳幾の浮世絵は多く出品されている。作品と価格の一部を抜き出すと下記のとおりだ。
- ・英名二十八衆句 邑井長菴→100,000円
- ・誠忠義臣銘々伝→45,840円
- ・春色三十六会席 芝 車屋→12,000円
これだけ見ると「意外と安い」と思う人もいるだろう。しかし、一番上の「英名二十八衆句」のシリーズは、100,000円の作品が他にも多数出品されている。このシリーズは芳幾の代表作であるため、このような高値がつくと考えられる。
山田書店
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
東京神田の古書店山田書店では、芳幾作品の中でも「太平記英勇伝」のシリーズを多く扱っている。一部の価格を抜き出すと下記のとおりだ。
- ・浅井備前守長政→10,000円
- ・朝倉左衛門尉義景→9,000円
- ・福島左衛門太夫正則→15,000円
- ・滝川左近一益→9,000円
- ・荒木摂津守村重→10,000円
上記のとおり、9,000円から15,000円の価格帯となっている。浅井長政や朝倉義景、福島正則や滝川一益といった名前は、戦国時代の歴史に興味がない人でも聞いた記憶があるだろう。
山星書店
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
名古屋市の古書店である山星書店のホームページでは、芳幾の浮世絵の中でも「東海道中栗毛弥次馬の内」のシリーズが多数販売されている。東海道中膝栗毛のシリーズであるため、作品はすべて「地域」で分けられている。その一部の価格を紹介すると下のとおりだ。
- ・由井/奥津→25,000円
- ・吉原/蒲原→28,000円
- ・沼津/原の駅→23,000円
- ・箱根/三島→28,000円
いずれも2万円台であり、このシリーズの相場は比較的統一されていると考えられる。いずれも版画で、保存状態は良好という条件だ。
秋華洞
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
掛け軸や日本画、浮世絵版画を取り扱う秋華洞では、「東京日日新聞」で芳幾が描いた作品を多く扱っている。価格の一部を抜粋すると下の通りである。
- ・3号→10,000円
- ・40号→10,000円
- ・50号→12,000円
- ・185号→12,000円
- ・697号→40,000円
現代の毎日新聞の歴史と考えると、3号などの古いもののほうが価値は高いように思うだろう。しかし、上の数値を見る限り発行号が古いことと価格は関係ないと言える。突出して高い697号は、先述した「鰐魚」が描かれている号だ。
号数よりも「何が描かれているか」という要素のほうが、このシリーズの価値を左右すると考えていいだろう。
落合芳幾の浮世絵を高く売るには
幕末から明治時代の歴史的資料としての価値もあり、落合芳幾の作品は高値で取引されやすい。しかし、より高値で売るためのポイントを知っていれば、さらに売値を上げることもできるだろう。ここではそのようなポイントを3つ紹介する。
芳幾の作品ごとの相場を調べる
芳幾の作品はとにかく数が多い。特に東京日日新聞の錦絵は膨大に残されており、その号によって価値は大きく異なる。業者のホームページで号ごとの価格を調べると、どのような号の絵が特に高く売れるのかわかるだろう。
また、自身が持っている号が出回っていなければ、高く売れる可能性がある。東京日日新聞の錦絵にとどまらず、他のシリーズでも同様に相場を調べていこう。「他の出品がない」というケースは特にチャンスである。
芳幾砂浜は版画が多いため、時間が経つと誰かが出品してしまう恐れがある。そうなると価値が落ちるため、他の出品がないときには、早めに業者に売却することをおすすめしたい。
シリーズものはまとめ売りする
落合芳幾の浮世絵の特徴として「シリーズものが多い」という点が挙げられる。代表的なシリーズだけでも、下のようなものがあるのだ。
- ・英名二十八衆句
- ・東京日日新聞
- ・東海道中栗毛弥次馬の内
- ・太平記英勇伝
こうしたシリーズものは、できるだけ一緒に売るほうがいい。漫画の古本を全巻そろえて売るほうがいいことと同じである。さすがに芳幾作品のシリーズを「すべてそろえている」という人はいないだろうが、多めに出すほど有利なのは間違いない。
コレクターや業者の側で、すべてそろえやすくなるためだ。
あらゆる売り方を検討する
基本的には、落合芳幾の作品は買取業者に売るのがいい。価値を正しく判断してもらえることに加え、作品の買い手も業者の元に多く集まるためだ。しかし、いくつかの業者の査定を受けて、その価格に満足できなかったときには、別の売り方を検討するのもいいだろう。
現代では美術品を自分で売る方法も多数ある。メルカリやラクマなどのフリマアプリもあれば、Amazon(アマゾン)などのネットショップもある。Amazonは小口出品のサービスもあり、個人でも作品の販売をしやすい。
楽天市場は出店料が高いため、楽天のサービスならラクマを検討するほうがいいだろう。
落合芳幾作品の売却でおすすめの買取業者2選
芳幾作品にとどまらず、浮世絵を高値で売りたいのであれば業者選びが特に重要だ。それは理解していても、具体的にどの業者に売ればいいのかは判断しにくいだろう。ここでは、そのようなケースでの参考となるよう、芳幾作品を売るのにおすすめの業者を2社紹介する。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
落合芳幾の浮世絵の買取りを業者に依頼するのであれば、総合美術買取センターを第一におすすめしたい。東京の品川を拠点とする業者で、絵画を中心に多種多様な美術品を買い取っている。芳幾の浮世絵のような日本画のジャンルでも、豊富な買取実績がある。
査定の方法も幅広く、電話やメール、訪問にLINEとあらゆる方法で査定を受けることが可能だ。地方に住んでいる人でも、忙しくて時間がとれない人でも、簡単に見積もりをとれる。拠点を東京に絞ってコストを削減しているため、同社の買取価格は他社よりも高いと期待できる。
費用もかからないため、まずは気軽に同社の査定を受けてみてはいかがだろうか。
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターと合わせておすすめしたい業者は、美術品・絵画買取センターだ。同社は屋号に「絵画」と入っているほど、特に絵画の買い取りに力を入れている。落合芳幾のジャンルである日本画に加え、洋画や現代アート、具体美術や中国美術など、さまざまなジャンルで豊富な売買実績を持っている。
特に24時間以内のスピード査定ができる点が強みで「芳幾作品を急いで現金化したい」という人にもおすすめだ。査定は電話・LINE・メールフォームなど、さまざまな方法で申し込める。査定が早いということは、受け取らなくても「すぐに相場がわかる」ということでもある。
「まずは相場を早めに知りたい」という人も、同社の査定を利用してみるといいだろう。
まとめ
芳幾に限らず、浮世絵師の作品は版画が多い。同じ作品が多数刷られており、同じ絵をどこかで誰かが保有していることが多いのだ。その人が出品した後では、同じ絵の価格が大きく下がってしまうこともありえる。そのような事態を防ぐためにも、落合芳幾の作品は早めに業者の査定を受けて、売却を検討することをおすすめしたい。