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質屋には盗品を持ちこまれた際の対応策が無い

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更新日:2021/02/12
公開日:2017/02/20
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質屋には、日夜さまざまなお客が来店する。多くのお客は当然自分の所有物を持ってくるわけだが、ときどき盗品が持ち込まれることもある。窃盗を働いた人が換金のために質屋を利用することがあるのだ。

今回は質屋に盗品を持ち込まれた際に対応策がないという話をしよう。実際の事例などをもとにして分かりやすく解説していく。

質屋が盗品を預かってしまうリスク

質屋にとって盗品を質預かりしてしまう、あるいは買い取ってしまうことは、経営上の大きな痛手となる。とりわけ、質預かりでは買取よりもリスクが大きい。

質預かりの場合、質物にかかる所有権はしばらく留保され、すぐに移転されない。そのため、質屋は質物をしばらくの間保管しなくてはならないことになっている。

買取とは異なり、質預かりではこの保管期間を設けなければならないため、期間中に盗品であることが判明することが少なくない

また、盗品であることが発覚すれば、警察に証拠品として提供することにもなってしまう。お金は取られ、物は手元からなくなり、二重の損だ。

盗品の持ち主が返却を希望した場合

それでは、盗品の元の持ち主が返してほしいと言ってきた場合はどうであろうか。質屋営業法第22条・古物営業法第20条ではそれぞれ盗品及び遺失物の回復について、元の持ち主は1年以内であれば質屋に対して無償で返還を請求できる旨定められている。

なお、これらの条文においては、1年を経過した場合はこの限りではないと但し書きされている。つまり、盗まれたものが質屋の手に渡っても、元の持ち主は盗まれてから1年以内であれば無償で返還を請求できることになり、質屋も法的にはこれに応じなければならない

また、民法第193条では前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失のときから二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができると定められている。

盗まれてから2年以内であれば返還請求ができる

平たく言うと、元の持ち主は盗まれてから2年以内であれば有償または無償で返還請求ができるということになる。次条第194条とあわせて考えると、質屋が盗んだ人から盗品を質預かりした、あるいは買い取ってしまった場合、元の持ち主は2年以内であれば無償で返還請求できることになる。

これは、質屋からすれば、担保である質物を販売することができず、期待していた利益を上げられないだけではなく、場合によっては無償で元の持ち主に返還する必要がでてくるので、経営的に大きなリスクといえる。

そのため、質屋は盗品を質預かり、あるいは買取しないように細心の注意を払って鑑定しているが、現実的には盗品であることを完全に見抜くことは難しく、質屋にとっては頭を悩ます大きな問題である。

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質屋は盗品を買い取ってしまう理由

これまでお伝えしてきたように、盗品を持ち込まれた場合に、質屋側にはメリットがないので、当たり前だが、盗品とわかって買い取るわけはない。

では、なぜ盗品を買い取ってしまうのか?それは簡単で、買取時に盗品と見分けることができないからだ。偽物かどうかについては、プロの査定員がいるわけだから、見分けがつく。

しかし、そのブランド品などが盗まれたものであるかどうかについては、超能力でもない限り見分けることはできない。では、どのようにして、盗品と知ることができるのだろうか。

どのようにして質屋は盗品と知ることができるのか

質屋に持ち込まれた品物は、原則最低3か月は質屋に保管の義務がある。

また、質契約をしたものに関しては、質屋はそのものを勝手に売却することはできない。そのため、基本的に3か月の期間、品物を預かっておくことになる。盗品かどうかが判明するのは、3か月という一定期間おく必要があり、その期間に判明することが多いということだ。

質契約の仕組み上、ものを預けるのと引き換えにお金を借りることができるため、盗品(費用のかかっていないもの)をお金に変えて、そのままお金を返さなければ盗品が質屋にとられることになるだけなので、盗品を持ち込まれる事態が発生する。

そのように、質屋には度々盗品の持ちこみがあるため、警察などから被害届のFAXが送られてくるのだ。盗難被害に遭った人が警察に届け出ると、警察は質契約がされた可能性を疑って質屋に連絡するのである。

質屋が預かっている3か月の間に、犯人が見つかった場合は、犯人の供述で、質屋に質入れしたと白状する場合もあれば、家宅捜索で、質札が出くる場合もある。そうすると、質屋にあることは明確になるため、ものは警察に押収される運びとなる。

こういった被害は質屋だけに限った話?

質屋に盗品が持ち込まれた場合の質屋側のリスクについてはお分かりいただけたことだろう。では、質屋以外のサービスではどうなのか。

近頃、利用者が急増している、ヤフオクやメルカリなどの消費者間のサービスの場合は、どのようなことが起きるのだろうか。これらのオークションサイトやフリーマーケットサービスでは、消費者が気軽にものを売り買いできることから、盗品に関しても多くの被害が報告されている

品物は、ブランド品や高級時計だけでなく、服や化粧品などの比較的安価なものまでその被害は及んでいる。

メルカリで実際にあった盗品トラブル

平成27年12月7日午前10時ごろ、京都市内の私立大の教室内で、大学3年の女子学生(20)の有名ブランドアナスイの財布(時価5000円相当)と、中身の現金約5500円を盗んだ容疑で19歳の男が逮捕された。

授業前の教室に忍びこみ、女子学生の財布が入った鞄を漁って犯行に及んだという。女子学生は同日、財布をなくしたとして警察署に遺失届を提出したが、翌日、消費者間でものの売買ができるアプリメルカリで、盗まれたものとよく似た財布が出品されているのを発見。

女子学生は、すでに5000円で購入していた購入者に連絡を取り財布を買取、特徴などから自分の財布であることを確認したうえ、警察に被害届を提出した。出品者の情報などから犯人をたどったという。

盗品を見分けるのは実質不可能

上の事例から分かるように被害届が出されなければ出品者情報は開示されず、犯人は捕まらないままだった。つまり、質屋の場合、ネットにも出ないため盗品だと判明するケースがほとんどない。

実際質屋はマネーロンダリングの温床になりやすく、盗品をキレイなお金に変える際によく使われる手法だ。

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まとめ

メルカリの例にもあるように、アプリでも質屋同様にトラブルは起きている。盗品に関しては、握らされた質屋は損をするが、結局のところ、遺失届などでバレてしまうケースが多い。

ブランド品に付与されている番号で判明する場合や、逮捕時の家宅捜索で質屋やアプリにたどり着いてしまうので、盗品を買い取ってもらっても犯人は自ら足をつけてしまうことになる。

質屋もそういったトラブルを避けるのは難しいが、そのリスクを含んだ貸付額に設定するなど、工夫が必要かもしれない。

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運営会社

会社名
株式会社ジラフ/ Jiraffe Inc.
設立
2014年10月29日
資本金
11.6億円(資本金・資本準備金含む)
株主
East Ventures、TLM、アドウェイズ、ドリームインキュベータ、アナグラム、ポケラボ創業者 佐々木俊介、アイ・マーキュリーキャピタル、GREE、アドベンチャー、メルカリ、hey代表取締役 佐藤裕介、Amazon Japan創業者 西野伸一郎、DGベンチャーズなど
E-mail
info@jiraffe.co.jp
代表者
代表取締役社長 麻生輝明
所在地
〒164-0001
東京都中野区中野5-52-15 中野ブロードウェイ218号
企業理念
2030年のスタンダードをつくる
事業内容
インターネットサービスの企画、開発、運営
従業員数
40名
古物商許可番号
東京都公安委員会 第303311606477号
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