著作権の権利に関して、その権利の範疇や意味などを把握している人は少ないと思われるが、この著作権という言葉を一度でも耳にしたことのある人は多いだろう。
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裁判沙汰になりやすい著作権
この著作権の問題は裁判沙汰になりやすく、またメディアも取り上げられることが多い。そういったこともあり、著作権に関してはある程度、基本を押さえておかなれば、自身もトラブルに巻き込まれる可能性が高くなってしまうのだ。
ということで、今回は「デザインにおける著作権」にテーマを絞り、この著作権がどういった権利なのか、簡単にではあるが要点を押さえつつ、注意しておくべきポイントも交えて記述していこう。
著作権とは、著作者を守る法律で定められた権利
ここでは、デザインにおける著作権について触れていく。だが、その前に著作権とはどういった権利なのか、また、何故このような権利が存在しているのか、よくわかっていない人もいるだろう。まずは、その著作権がどういったものなのかについて述べていく。
著作権は何を有する権利なのか
著作権はどういう権利なのかについて、ここで述べていこう。
著作権とは、著作物を造った著作者が、その著作物の財産権を所有していることを認めるという権利である。つまり、著作者がその著作物を独占できるということだ。
この権利を所有していない者が、本人の許可を取らず勝手に仕様することができないということでもあり、これは著作者の権利を守るために定められている。
著作権というのは総称であり、いくつかの権利が含まれている
あくまで著作権というのは総称である。ここをよく勘違いをしている人が多いようだ。
どういうことかというと、著作権にはいろいろな権利が含まれている。その権利は、大きく2つにわけられる。「著作権(財産権)」「著作者人格権」である。また、さらにこの2つの権利も総称であり、具体的な権利が細かく制定されている。
著作権(財産権)とは
では、まず、著作権についてだが、この著作権とは財産権とも言われており、法哲学的に、知的財産として認められている。
そして、著作権の具体的な権利というと、複製権、公衆送信権、貸与権、展示権、譲渡権、翻案権がある。複製はコピーする権利、公衆送信権は、公に配信などをする権利、貸与権は、貸し出す権利。そして、展示権は展示をする権利、譲渡は、誰かに譲る権利、最後の翻案権(ほんあんけん)であるが、思いのままに変えることができる権利である。
つまり、これらの権利はすべて著作者にあり、著作者の許可なしでこの権利を侵してはならないのである。これだけの権利が著作権にはあるということも理解していただきたい。
著作者人格権とは
次に記述していく著作者人格権に含まれている権利は、公表権、指名表示権、同一性保持権の権利である。
それぞれの権利の範疇だが、公表権はその名のとおり、公の場で発表する権利、指名表示権はこれまた読んで字の如く、指名を表示する権利。そして、同一性保持権が定める権利の範疇は、創作した著作物の保持できる権利である。
端的に解釈するのであれば、その制作物の変更を禁止するできるという権利である。
著作権は著作者の権利を考慮した人権である
上記で述べてきたように、この著作権は著作者を守る権利だということが言えるだろう。法哲学的な考え方に基づいた自然権なのである。
著作者の著作物は財産であり、その権利は著作者に自然と付与されるものであり、人権なのである。自然に発生する権利であるため、とくに申請や登録するというものでなく、創作をした瞬間に生まれる、手続きを必要としない無方式主義の権利である。
デザインの著作権買取で注意しておくべきこととは…
ここまで、著作権はどういった権利なのかについて、簡単ではあるが解説した。あくまで基本的なポイントばかりだが、押さえておいてほしい。
最低限、上記で記述した著作権が、いかなる権利なのかを認識しておかなければ、デザインの著作権買取で損益を被ることになりかねないのだ。次は、そのデザインの著作権買取で注意しておくべきことに触れていこう。
著作権の買取では、どの権利を譲渡するのか、貸し出すのかが重要
デザインに限らずではあるが、著作権の買取ではどの権利に関しての使用、譲渡なのかというところがポイントとなるだろう。これは契約書を結ぶ上で非常に重要なポイントとなる。
先ほど記述したように、著作権は総称で複数の権利が含まれている。その権利を認めることで使用料を貰うのか、また、その権利を譲渡するのかで、権利の範疇は大きく変わる。
おそらく、一般的な買取というのは使用料のことだ、と認知されている人も多いだろう。だが、「譲渡権も含めての買取」という意味での買取も多いので注意が必要だ。
基本的には、著作権は著作者に帰属する
ここで知っておくべきなのが、基本的に、著作権は著作者に帰属するということである。著作権の買取で書面上で契約を交わす際には、細かな条件提示が必要なのだ。こういった取り決めも著作者の権利を守る上で定められている。
ただ、著作権に関する契約を交わし譲渡しても、その著作権は著作者に帰属するのである。著作者が著作権を知らない内に譲渡したとしても、そう簡単に権利を失わないような仕組みになっているのだ。
譲渡するのであれば、明確にどの権利を譲渡するのかを明記する
では、どのように著作権の全てを譲渡するのかという点になるが、契約を結ぶ際に条件を明記するということである。
何度も記述しているが、著作権は総称であるため、どの権利を指している条件なのかを、はっきり明記する必要がある。ただし、著作者人格権に関しては譲渡できないため、「行使しない」ということで契約をすることができる。
ただし、著作権の権利で最も注意すべきことがある
著作権の権利において、最も注意すべきことがある。それは、著作者が社員として勤めている会社の業務の一環として、創作した著作物の権利である。この場合の著作権の権利は、会社に帰属する。なぜなら、「職務著作」という例外が適用されている からだ。
この例外措置により、著作物は著作者ではなく、創作を依頼した会社に著作権が帰属するのである。このような例外も認められている。
まとめ
ここまで、著作権という権利の範疇や役割、また注意すべき点を述べてきた。
著作権の認識度に違いがあるためトラブルになる
まず、なぜ、本題のテーマである、著作権のトラブルが起きてしまい裁判沙汰になるのかだが、これはやはり、著作権の認識度の違いが要因となっているだろう。著作権は著作者の権利を守るための人権であるため、非常に複雑なものとなっている。そこで認識の違いが生まれるのである。
著作権が自然権である
そして、意外と知られていないが著作権は自然権で、登録や申請などが必要なく権利が付与される。その点も一つの要因と考えられるだろう。そのようなトラブルに見舞われないためにも、著作権の基本的なポイントは押さえておくべきだ。ぜひ、ここで記述したポイントを参考にして、デザインの買取で損をしないように気をつけてほしい。