医療機器の製造販売には、行政により厳しい規制が掛けられている。それもそのはず、人間の体を扱う機器であるためだ。
Big MRI / Muffet
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医療機器の定義
そもそも医療機器の定義については、ご存知だろうか。
日本では薬事法において「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であって、政令で定めるもの」と定義している。そう、人の疫病の診断・治療・予防に使用される機械は、基本的に医療機器に該当するのだ。
医療機器の区分け
当然、身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的の機械器具と定義されているので、影響の度合い等によって規制の区分けがされている。簡易的には、一般医療機器、管理医療機器、高度管理医療機器(高度管理医療機器の中でもクラス分けがある)と区分けされる。 なお、医療機器の定義に属さない、人間の健康に関する機器は「健康機器」と一般的に呼ばれている。
区分けされた機器の具体例
これらの区分けを聞いても、業界関係者以外の方は、ほとんど何がどう該当するのかわからないのではないだろうか。
具体例を挙げると、一般医療機器では、主にメスやピンセットなどの小物類や聴診器、水銀柱式血圧計などが、管理医療機器では、電子体温計や電子血圧計、そして補聴器などが該当する。高度管理医療機器になると身近なところでは、コンタクトレンズ、AEDやペースメーカー等である。
医療機器にあたる健康機器
ちなみに、意外と思う方もいるかもしれないが、マッサージ器(チェア)は一般的に管理医療機器に該当する。細かく言うと、体重計も体重を量るだけのものであれば健康機器になるが、現在主流になりつつある体内のあらゆるデータを採るタイプの体重計は医療機器となる。歩数計も一緒だ。
家庭用医療機器の買取
では、こういった医療機器を買取に出すことはできるのだろうか。
結論から言うと、医療機器を取り扱う専門業者は存在し、問題なく買取に出すことはできる。しかし、一般の総合買取業者では、グレーとでも言うべきである。なぜなら、あくまでも医療機器の製造(修理を含む)と販売は、行政において規制が掛けられているからだ。何の許可もいらない家電等を直接修理し、販売するような買取業者では、買い取ってもらえないかもしれない。
また、オークションも同様だ。直接医療機器を利用することを目的とした人へ売却するのは、厳密に言えば規制に引っかかっている。そのため、結局のところは、専門業者に買い取ってもらうのが無難であり、最適でもあるのだ。
壊れている医療機器の買取について
前述に記載したような医療機器は、日本ではありふれたものであり、新品のような品質で取扱説明書等一式が揃っている状況でない限り、高額な買取りには繋がりにくい。当然、壊れている状態であれば、値段は下がり、場合によっては買い取ってもらえないかもしれない。
通常、壊れた医療機器を処分するときは、家庭用医療機器なら粗大ゴミとして処分し、事業用医療機器なら自治体の粗大ゴミでは回収してくれないので医療機器の処分専門業者に廃棄を依頼することになる。医療機器は廃棄するだけでもお金がかかることがあるので、壊れた医療機器があるのなら、高く買い取ってもらおうとせず、無料で引き取ってもらうことを期待し、買取に出してみよう。
高額買取の可能性のある機器
しかし、一方で、家庭用の医療機器の中でも専門業者に高額で買い取ってもらえる可能性が高いものもある。例えば、「低周波治療器」や「電位治療器」の類である。これらは、高価なものでありつつ、流通量が決して多くない。そのため、多少壊れていたとしても、高値で買い取ってもらえる可能性は十分にあるので、業者に相談してみる価値はあるだろう。
事業用医療機器の買取
事業用医療機器の買取についても少し説明しておこう。
今日、中古医療機器を扱う業者が増え、業界規模も大きくなっている。開業する医者は常に一定数存在し、また、それとともに閉業する医者も多数存在するためだ。インターネットの普及により、医療を受ける側が医療を選ぶ時代になったことも一因だろう。
なぜ中古品の規模が増えているのか
事業用の医療機器は、人間の身体を扱うという性質上、耐用年数が明確に設定されており、機器のライフサイクルも短い。さらに、医療機器の技術向上は、多岐に渡って進化するし、機器の衛生面も考えねばならない。こうしたことから、事業用医療機器の中古品は大量に存在するのだ。
また、事業用医療機器の廃棄は一般ゴミのように簡単に廃棄できない。そんな事情に商機を見出し、事業用医療機器を専門に扱う買取業者が増えているのだ。
買取後の中古品の行方
では、買い取られた中古品は、どうなるのだろうか。
当然、ある程度は国内で販売される。しかし、今はグローバルな視点を多くの業者が持っており、中古の事業用医療機器を海外にどっさり持っていくのだ。
海外での需要
海外では、事業用医療機器の不足が問題化している国が多い。こうした国では、事業用医療機器は中古品であっても重宝されるのだ。 また、日本ブランドは医療機器の分野でも羨望の的だ。メイドインジャパンの医療機器を欲しがる国が多いことは、容易に想像がつく。
このような現状を背景に、事業用医療機器の買取に積極的な業者が多く、かき集めていると言えるぐらいである。そのため、買取競争も相まって、事業用医療機器は、たとえ壊れていたとしても、それなりの値段で買い取ってくれるケースが多々あるのだ。
まとめ
日本は、これから超高齢化社会を迎える。高齢化社会においては、家庭でも医療機器が必需品となってくる可能性が高く、医療機器買取業界は、今後まだまだ活性化すると考えられる。
今後、買取が増加するであろう医療機器
例えば、補聴器。以前の補聴器は機器も大きく、利用者から敬遠される傾向にあった。しかし、現在では機器も小型化し、耳に負担がかからない素材や形なども多角的に研究され、商品化されている。
品質の向上に伴い、補聴器を購入する人が増えているのだ。体重計や歩数計に至っても同様だ。単なる機器を超え、IT技術と融合することで新たな需要を掘り起こしている。シニア世代の健康思考も追い風になるだろう。
医療機器の分野は、高齢化社会を突き進む日本にとって、絶対的な成長業界なのだ。
医療機器の買取業界は、社会レベルでの需要の高まりを背景に、しばらく活況が続いていくと考えるのが自然だろう。