進学、就職、結婚、出産などなど、人生の節目には引っ越しがつきものだ。筆者も人生において何度か引っ越しをしたことがあるが、新しい生活に期待が弾む一方で、毎度のことながら引っ越しの見積額を見ると急に気分が重くなる。
新生活には、とにかくお金がかかる。家賃に加えて敷金・礼金、不動産会社への手数料、通信インフラの整備、そして引っ越し費用など、数十万のお金が一気に吹っ飛ぶのが普通だ。きっと多くの方は、どうにかしてこうした金銭的負担を軽減したいと考えているのではないだろうか。中でも引っ越し費用は、自分の努力と工夫次第では、かなり圧縮できるものだ。
Moving / David Bailey MBE
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部屋を片づけて引っ越し費用を抑えよう
引っ越し費用の節約を考えるとき、大多数が取る手段が引っ越し業者から相見積もり（複数の業者に見積もりを依頼して、比較すること）を取ることだ。確かに、相見積もりを取ることで安い業者を見つけることができるかもしれないが、最近では大手間での価格差はさほど大きくなくなってきているため、実は節約しているようで、節約できていない場合も割とある。
そんな時は、もっと根本的な手段を取ることをおすすめしたい。そう、部屋を片づけることだ。部屋が汚いだけで、引っ越しの見積もりは上がると思ってほしい。
モノが多いと引っ越し費用は高くつく
引っ越しにかかる費用を少しでも安くしたいのなら、まずは今住んでいる部屋の片づけ・掃除をしよう。ポイントを絞っていうと、とにかく運ぶ荷物を少なくすることに努めよう。
何をどれだけ運ぶかというのは、引っ越し費用を決める大きなポイントだ。もちろん、引っ越し距離や搬出・搬入する階数（高層階は高い）などによっても変わってくるが、それよりもなによりも、荷物の量が決定的に費用を決めることとなる。
引っ越し業者や希望プランによっても多少の差はあるかもしれないが、荷物の量によって、使用するトラックの大きさや台数、そして当日の作業員の数が決まる。使用するトラックが大きければ大きいほど、トラックの台数が多ければ多いほど、そして作業員の数が多ければ多いほど、当然引っ越し費用がかかるというのは、誰しもが納得のいくところだと思う。
そのため、引っ越すことを決めたのなら、せっかくの新生活ということもあるのだから、とにかく不要なモノはできるだけ処分し、引っ越し費用を浮かせよう。浮いた費用は、新居での新生活の費用にあてることもできるだろう。
なお、参考までに、引っ越し費用を膨らませる原因になる、よくある不要品を挙げておこう。
ピアノ
部屋にあるけどあまり使うこともなく、かつ捨てるに捨てられない代名詞とも言えるのがピアノだ。もちろん、普段からピアノを弾いている人に捨てろと言うつもりはない。ただ、子どものためにピアノを買ったけど、結局使わずじまいということは結構多いようだ。ピアノは大きいうえに、扱いに慎重になるものなので、引っ越し費用を安く抑えたいと思うのなら、引っ越し前に処分できないか検討してみよう。
地デジ非対応テレビ
ご存知の方も多いだろうが、テレビは処分するのにお金がかかる。しかも、割と高い。地デジ導入前には1万円しないで買えるテレビもちらほら売っていたものだが、これらを処分するのにも数千円かかる。そのため、お金を出して捨てることをあきらめ、部屋の押し入れにしまいっぱなしにしている人もまだまだ多くいるようだ。まさに臭いものにフタ状態だ。しかし、引っ越しをして、部屋を引き渡すようなことになると、荷物を置きっぱなしにするわけにもいかない。だからといって、全く使えない地デジに対応していないテレビを新居に持っていくのもバカバカしくはないだろうか。当然、引っ越し見積もり時にチェックされる項目なので、できれば見積もり前に処分の英断をおすすめしたい。
旧型ミシン
長く住んでいた家には、旧型の非卓上ミシンがあることが多い。最近ではあまり目にしなくなったが、実はこれ、結構でかくて、しかも脆い。引っ越し時には搬出的にもお値段的にも厄介な荷物となるので、特に愛着がないようなら、処分してしまおう。
営業担当者の心証が良くないと不利益を被るかも
汚い部屋というのは、ことさら引っ越しにおいては、デメリットが多い。前述のとおり、モノが多ければ、それだけで引っ越し費用の負担が重くなるのだが、さらに実際とは見合っていない見積もりが提示される可能性もあるのだ。
というのは、引っ越しの見積もりは、基本的に営業担当者が訪問し、状況を見て、その場で見積もるケースが一般的だ。搬出するモノなどの詳細をもとに見積もりを作成していくわけだが、このとき営業担当者の頭の中では、どのトラックがどれだけ必要で、作業員を何人確保しなければならないといったことをシミュレーションする。このとき、当然営業担当者は「リスク」についても十分に考慮する。
ここでいう「リスク」とは、実際に搬出するときに、思った以上に荷物があってトラックに載りきらない、あるいは人手が足りずに時間内に終わらないというようなものだ。そのため、大きい目立った荷物以外に、予期せぬ荷物がどれだけあるかにも気を配っている。
このとき、部屋が汚ければどうであろうか。モノの上にモノが覆いかぶさり、一目見ただけでは何がどれだけあるのか見通すこともままならない状態では、営業担当者は「リスクあり」と判断するだろう。こうなると、例えば本来はトラック1台で済むはずだったものが予備として2台用意されたり、2～3人で済むはずのところに4～5人駆けつけたりしてくることなんかが生じやすい。当然、その分の費用は、見積もりに上積みされることになる。
このケースで厄介なのは、営業担当者だけではなく、当事者本人も何がどれだけあるのか把握していないところだ。これでは、見積もり内容の妥当性を適切に判断することもできないだろう。
引っ越し会社の営業担当者の心証は、思いのほか大切だ。部屋を片づけるのなら、必ず営業担当者が見積もりに来る前に済ませ、できるだけ「さっぱりとした部屋」であるという印象を与えるようにしよう。こうすれば、きっと適正な見積もりが出てくるだろうし、値引き交渉も円滑に進むだろう。
ハウスクリーニングを頼むのなら、なおさらキレイにしておこう
引っ越し会社は、実際の引っ越し作業以外にもいろいろなサービスを提供している。引っ越しに伴うちょっとした悩みを解決してくれる、痒いところに手が届くサービスが多く、中でも搬出後のハウスクリーニングは結構人気がある。
もし引っ越し業者にハウスクリーニングも依頼する予定なら、なおさら部屋はあらかじめキレイにしておこう。
ハウスクリーニングを頼むのにキレイにするとは、なんだか矛盾しているように感じるかもしれない。しかし、ハウスクリーニングは通常、なかなか掃除が行き届かないところだけをお願いするようなものだ。例えば、浴室の内壁や浴槽構造内、排水管、換気扇、天井などだ。単純な部屋の雑巾がけなども頼めば、それだけ余計な出費は増える。例えば、部屋の拭き掃除など、自分でキレイにできるところは自分でやってみよう。余計なサービスを頼めば、それだけ引っ越し費用の負担は大きくなることを忘れないようにしよう。
引っ越しは、いろいろな要素を見て値段が決まる。そのいろいろな要素が簡素で少なければ、相応に安くなると思って差し支えないだろう。もし、引っ越し費用に頭を悩ませているのなら、ぜひとも、まずは部屋が汚くなっていないかチェックし、さっぱりと片づけておこう。
