近年急速に売り上げを伸ばしているのが、格安の料金で通信を行うことが出来る格安SIMである。
以前も格安の使用料金を売りとした通信会社があった。しかし、近年、3大キャリアの通信網が、他の通信会社にも開放されたことにより、自前の通信網を持たず3大キャリアの通信網を利用して格安の使用料金で事業展開する仮想移動体通信事業者 (MVNO)が、ここ数年で大幅に増えて来た。そして、それに伴い格安SIMも売り上げを伸ばしたのである。
格安SIMを展開する通信事業者は、小規模のベンチャーや大手通信会社の子会社など様々な形態があるが、電力会社系列の通信事業者もある。そこで今回は、九州電力系列のMVNOであるQTモバイルを紹介する。
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QTモバイルとは
QTモバイルは、九州電力が運営する通信会社であるBBIQ(ビビック)が展開するMVNOで、2017年3月1日よりサービスが開始された、比較的新しいMVNOである。
ただ、比較的新しいといっても、BBIQは、元々九州限定でBBIQスマホというMVNOを展開しており、BBIQスマホのサービスを全国展開したものがQTモバイル、ということになるだろう。
QTモバイルの特徴
QTモバイルの様々な特徴をいくつか紹介していく。
マルチキャリアMVNOである
QTモバイルの特徴として挙げられるのは、マルチキャリアMVNOということである。
通常、MVNOというと、3大キャリアのどれか一つの回線を借りて通信会社として運営しているのに対し、QTモバイルは、NTTドコモ、auの2つの回線を借りて通信会社として運営している。ユーザーは、NTTドコモかauかどちらかの回線を利用するか、選択することができるのである。
マルチキャリアMVNOのメリットは、所有しているスマートフォンが、NTTドコモ向けでもau向けでもどちらでも使用できる点である。
例えば、au向けのスマートフォンで、MVNOにしたい場合は、au系スマートフォンに対応したMVNOしか利用できない場合が多い(2015年以降に発売されたiPhoneなど一部スマートフォンはどちらでも利用可能)。
MVNOは、NTTドコモの回線を使用した通信事業者が多いので、au向けに利用できるMVNOはあまりなかったが、マルチキャリアMVNOであれば、au向けでも使用することができるのである。
同じ電力会社系のMVNOであるmineo(マイネオ、関西電力系)やFiimo(フィーモ、四国電力系)もマルチキャリアMVNOである。このことから、マルチキャリアMVNOは、電力会社系のMVNOの特徴であるかもしれない。
速度切替アプリが利用できる(Dタイプ)
QTモバイルはDタイプ(NTTドコモ系の回線を使用しているタイプ)であれば「速度切替アプリ」というアプリが利用できる。速度切替アプリを利用することによって通信速度を切り替えられ、データ通信容量を節約することができる。
どの格安SIMを使っても「高速通信可能なデータ通信量」というものが毎月プランごとに決まっている。そのため、特に節約したいときはデータ容量が少ないプランを選ぶ必要がある。
しかし、データ容量が少ないプランにしてしまうと、やはりその分データ容量を使い切ってしまう可能性が出てくる。これによって、翌月まで通信速度が制限されてしまうということも十分あり得る。
速度切替アプリを使って、高速通信時に速度を低速状態に切り替えることでデータ容量を使い切るリスクなどがないため、データ通信を利用することができる。
低速通信でも支障なく利用するときと、高速通信出ないと困るときで上手に通信速度を切り替えられれば、データ通信容量が少ないプランでもお得に、そして問題なくデータ通信を利用することができる。
速度切替アプリには「月間のデータ通信残量の確認」、「データ容量の追加購入」といった機能もあり、インストールした際はそちらも合わせてチェックしておくと良いだろう。
セット購入できる端末のラインナップ(Dタイプ)
Dタイプ限定だが、種類豊富なスマートフォンと端末からセットで購入が可能になっている。スマートフォンだけで約10種類、タブレット端末とWi-Fiルーターは1種類ずつ用意されている。分割と一括購入で支払い方法も選べるので用途に合わせて無理なく購入することができる。
SIMカードの相性を考える必要がない、端末代金を分割で支払うことができる、初期設定を業者が行うため手間がかからない、などのメリットが端末のセット購入にある。特に、スマートフォンについてあまり詳しくない人にとっては利便性が高いと言える。
そして、セット購入可能な端末の種類が豊富なので、好みのスマートフォンを選びやすくなる。
SMS機能(Aタイプ)
AタイプのデータSIMを契約する場合はSMS機能が無料で付いてくるため、SMSの使用頻度が高い人にとってはお得に使うことができる。DタイプのデータSIMのSMS機能の搭載は月々140円かかってしまうため注意が必要。
5分間かけ放題サービス
QTモバイルでは、5分間かけ放題サービスを実施している。これは、通話時間が5分間であれば、通話料が無料になると言うサービスである。
しかも、相手は、QTモバイル加入者だけでなく、他社のスマートフォン、携帯電話加入者、固定電話などとの通話にも適用される。
QTモバイル電話アプリをダウンロードし、アプリから発信することで実現するもので、スマートフォンでよく通話する人には嬉しいサービスであろう。
ただ、このサービスは、データ通信+通話プラン契約者のみ適用される。さらに、月額850円(税別)が必要となるので、このサービスを加入する前に十分検討したほうがいいだろう。
1GB・20GB・30GBのプランが追加
QTモバイルは以前はなかった、「1GB」「20GB」「30GB」のプランが新たに追加されたのも一つの特徴である。この3つのプランが追加されたことで、ユーザーにとって選択肢が増え、大きなメリットとなったのだ。
月額料金についてはは本コラムに記載してあるので参考にしてみると良いだろう。
端末補償サービス
端末補償サービスとは、万が一の端末やスマートフォンに関するトラブルが起こった場合に対応してくれるオプションサービスのことである。月々500円で、docomoショップ、auショップまたは量販店などで端末やスマートフォンの修理や交換にも対応してくれるため、利用することをオススメする。
QTモバイルの料金体系
QTモバイルの料金体系を記載する。NTTドコモ系の回線を使用するDタイプとau系の回線を使用するAタイプとも同じ月額使用料金となっている。
(データ+通話 データ)
- 1GB 1,450円 800円(税抜)
- 3GB 1,550円 900円(税抜)
- 5GB 2,200円 1,520円(税抜)
- 10GB 3,260円 2,560円(税抜)
- 20GB 4,900円 4,200円(税抜)
- 30GB 6,900円 6,200円(税抜)
MVNOの料金体系としては平均よりやや高めの価格設定で、高いわけではないが、他のMVNOと比べると安くは感じない、といったところだろう。
ただ、QTモバイルでは、2017年6月現在スタートキャンペーンを実施している。スタートキャンペーンの内容としては、2017年3月1日から2017年8月31日までにQTモバイルに申し込んだ場合は、月額料金を利用開始月から12ヵ月間割引というものである。
スタートキャンペーンを適用すると上記料金が以下のようになる。
- 1GB 890円 600円(税抜)
- 3GB 990円 700円(税抜)
- 5GB 1,590円 1,300円(税抜)
- 10GB 2,690円 2,300円(税抜)
- 20GB 4,690円 3,900円(税抜)
- 30GB 6,690円 5,900円(税抜)
(データ+通話 データ)
スタートキャンペーン適用後の料金価格は、MVNOの料金体系としては安い方の部類に入り、特に3GBのプランは、業界最安値かそれに準じる価格といっていいだろう。
ただ、注意したいのが、この料金が適用されるのは、使用開始から1年間限定ということで、1年経過すると、キャンペーン適用前の料金となってしまうことである。
QTモバイルでは、データ通信+通話プランで最低12か月つまり1年の利用期間が設定されており、12か月以内に解約する場合は、契約解除料が必要となる。
ただ、1年を過ぎると、この契約解除料は必要なくなるので、スタートキャンペーンの適用が終了したら、他のMVNOに乗り換えるなどを検討するのもいいだろう(ただし他社へMNP転出の場合はMNP転出手数料(3,000円/電話番号)が必要)。
QTモバイルの通信速度について
QTモバイルは、まだサービスを開始したばかりなのか、速度についての報告はあまりない状況だ。各種MVNOの通信速度測定サイトにおいても、QTモバイルとして測定されたデータは、まだないようだ。
そのため、実際使用している時の速度はまだわからないが、QTモバイルのホームページによると、NTTドコモの回線を使用するDタイプの通信速度は、
データ通信速度:Xi(クロッシィ)相当(受信最大375Mbps、送信最大50Mbps)、FOMA相当(受信最大14Mbps、送信最大5.7Mbps)
となっている。
また、auの回線を使用するAタイプの通信速度は、
データ通信速度:au 4G LTE相当(受信最大225Mbps、送信最大25Mbps)
となっている。
通信速度は、ベストエフォート方式であるため、上記の速度が出ることはまずないと考えた方がいいだろう。
さらに、MVNOは、NTTドコモやauなどの回線の回線を借りて通信事業を行っている。そのため、NTTドコモやauなどの回線が混雑する昼間は、MVNOに割り当てられる通信回線が少なくなり、そのためMVNOの通信速度が落ちる傾向にある。そのため、昼間に動画視聴やアプリダウンロードなどデータ量が大きい操作をする時は注意したほうがいいだろう。
申し込みから利用開始までの流れ
まずはホームページ(「ご利用の流れ」)に記載されている必要なものをきちんと確認し、揃えてから申し込み手続きを開始するとスムーズだろう。万が一他に気になる点があれば、ホームページ右上の「よくある質問」で確認しその場で解決しておくと良い。
そのあと、ホームページから申し込み手続きを開始し、画面の指示に従って手続きを進め、完了したらSIMカードや端末が自宅に配送されるのを待つ。あとは接続設定を行うだけで、気軽に利用開始ができる。
QTモバイルの評判について
QTモバイルの評判についてだが、2017年3月1日よりサービスを開始した新しいMVNOである。そのため、まだ、QTモバイルの使い勝手や速度などの口コミはあまりなく、評判を判断するまでに至っていない。QTモバイルにしてよかった、という投稿もあれば、QTモバイルの通信速度が遅い、という投稿もあり、それらが本当にそうなのか判断できないのが、実情である。
評判については、これから利用ユーザーが増えてきて、様々な口コミやネットの書き込みなどが出てくるはずであるので、それらを確認したほうがいいだろう。
QTモバイルのキャンペーンについて
QTモバイルのキャンペーンについては、2017年6月現在、スタートキャンペーンを実施している。スタートキャンペーンの内容としては、2017年3月1日から2017年8月31日までにQTモバイルに申し込んだ場合は、月額料金を利用開始月から12ヵ月間割引というものである。
また、過去にスマホ端末などが大幅割引されるスマホデビューキャンペーンや契約事務手数料0円キャンペーンなどが不定期に実施されている。QTモバイルのホームページなどをこまめにチェックして、キャンペーンの実施などを確認したほうがいいだろう。
QTモバイルで取り扱っている端末
QTモバイルでは、格安SIMと端末をセットで購入することができる。初めてスマートフォンを持つ人にとっては嬉しいサービスとなるだろう。
取り扱っている端末は、NTTドコモの回線を使用するDコースでは、HUAWEI、ASUS、SHARP、富士通など、様々なメーカーのスマートフォンを購入することができる。
auの回線を使用するAコースは、Dコースほどの端末はなく、ASUSと富士通のみとなっている。
他に、ガラケーを彷彿とさせる折り畳み式の端末や(Dコースのみ)、データ通信のみを行うモバイルルーターもあるので、自分の使用シーンにあった端末を選択できるといえる。
QTモバイル対応端末をお得に購入しよう
中古のスマホ端末なら、定価より格安で購入できる。そこで今話題のスマホのマーケット(通称スママ)だ。スママは、中古スマホ専用のフリマサイトで、個人同士の中古スマホの売買を仲介している。売り手と買い手の間にスママが介入することで、購入端末の不具合や破損などのトラブルを回避している。スマホ買い替えの際にスマホのマーケットをチェックしてみてはいかがだろうか。
まとめ
2017年3月1日からサービスを開始したQTモバイルは、電力会社系MVNOとして、NTTドコモとauの回線を選択できるマルチキャリアMVNOとして展開している。特に、au系のMVNOが少ない現状では、au系回線も選択できるQTモバイルは、有力な選択肢となるだろう。
各種キャンペーンなどによりお得に使用できる場合もあるので、キャンペーンの内容を確認しつつ、QTモバイルの使用を検討してみるのもいいだろう。