世界の富裕層が注目するアンティークコイン投資は、日本のニュースメディアにおいても多く紹介される存在だ。ここ1〜2年におけるコイン投資の紹介記事の中には、「稼げる!」「儲かる!」といったキーワードが大変多く見受けられる。またアンティークコイン投資にはコレクターにとっての意外な楽しみもあるため、ただリターンだけを狙って判断や選定を行う金地金や投資信託などを比べて、チャレンジによって得られるメリットの豊富な投資資産になると言えるだろう。
今回は、アンティークコイン投資に興味を持っている皆さんと一緒に、この投資方法の基礎知識や実態を確認していきたい。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
アンティークコイン投資とは?
アンティークコインの現物を投資資産とし、売却価格が上昇するまでコイン保有を続ける方法を、アンティークコイン投資と呼ぶ。
アンティークコインって何?
アンティークコインとは、古く高い価値あるコインの総称だ。歴史的価値や希少性の高いコインであれば、どの国のものでも構わない。また近頃では、明治維新よりも前に発行された大判、小判、丁銀などに興味を示す世界のコレクターも増えているため、日本人であっても自分の身近な歴史からアンティークコイン収集を始められると言えるだろう。
記念コインも狙い目
アンティークコインの中には、五輪や万博、ワールドカップ、天皇陛下や皇太子殿下に関するものも含まれる。例えば、買取額の高い天皇陛下在位10年の記念硬貨については、地金の価値と希少性といった意味で額面10,000円の金貨の方がコイン投資に適している。また銅や銀の記念硬貨については、かなりの数が作られる実態があるため、購入時には名称や価額、素材だけでなく発行枚数についてもきちんと確認すべきと言えるだろう。
アンティークコイン投資の魅力とメリット
アンティークコイン投資には、投資家やコレクターを魅了する多くのメリットがある。
希少性の高さ
その年代の発行数に上限のあるアンティークコインには、長い歳月が経てば経つほど現存数が少なくなる利点がある。また近年のコイン投資における人気から考えると、世界の誰かが売却してもまたすぐに買い手がつくといった意味で、その価格や需要が大暴落する可能性はほとんどないと捉えて良いだろう。こうした希少性による好循環は、アンティークコインの価値や買取額に穏やかな上昇をもたらす。
世界情勢の影響を受けにくい
実際の経済活動に使われることのないアンティークコインは、ゴールドバーと呼ばれる金地金や地金型の銀貨などと違って国内外の経済・政治情勢に左右されることはない。また2008年のリーマンショックにおいても価値の下落は起こらなかったため、さまざまな世界情勢への懸念によって投資への挑戦ができずにいる人にとって、アンティークコインは不安要素の少ない投資対象になることだろう。
コレクションする楽しみ
アンティークコインには、投資以外に集める・鑑賞する楽しみもある。特にオーストラリアやイギリスで発行された金貨には、女神や歴史上の人物の横顔が精巧かつ美しくデザインされている。また金貨の場合は他の現物資産と比べて経年劣化も進みにくい利点があるため、専用ケースなどに入れてれば十分に保管できるところも、アンティークコインの収集家が多い理由のひとつと言えそうだ。
学ぶ楽しみ
アンティークコインの投資や収集を本格的に行う人達は、金貨や銀貨の生まれた歴史的背景にも大変詳しい傾向がある。特に日本史や世界史への関心が高いコレクターは、学生時代の勉強の延長としてコインに関する時代背景を学んでいくようだ。またコレクションを通して習得した知識があれば、店頭でもスムーズにコイン購入への決断ができるようになるため、多くのコレクターが積極的な情報収集や学習にハマる理由も納得だと言えるだろう。
アンティークコイン投資のリスクとデメリット
人気の高いアンティークコインにも、いくつかのデメリットが存在する。
利益を得るまでに長い期間がかかる
アンティークコイン投資を始める上で注意すべきなのは、価値の上昇までに長い期間がかかることだ。こうした形で長期的な保有が基本のアンティークコインは、資金の部分で余裕のある富裕層のチャレンジが多い品目となる。またコインに多くのお金を投資できない一般の人達は、購入資産についても安価なものが中心となるため、アンティークコインは投資家の資金力や保有期間といった部分の余裕によっても利益に大きな開きの生じる投資資産だと言えそうだ。
自分で情報収集や勉強をしなければならない
多くの投資家が楽しんで行っている情報収集や学習も、勉強が苦手な人にとっては面倒と感じられる存在だ。しかしファンドなどの会社を通さないアンティークコイン投資の場合は、コレクター自ら相場や売り時を把握する姿勢が高い利益を生むとも考えられるため、こうした勉強や情報収集を面倒と感じる皆さんにとってアンティークコインは少し扱いの難しい投資資産と言えるかもしれない。
自分で購入先・換金先を探さなければならない
現物資産となるアンティークコインは、投資家自ら購入や売却の手続きも行わなければならない。また売却によってより高い利益を得るには、買取業者での相見積もりなども欠かせない要素となるため、こうした作業を面倒と感じてしまう人にとってもアンティークコイン投資は難しいと言えるだろう。
偽物も多く流通している
アンティークコイン投資や収集において、偽物を掴んでしまうことが最大のリスクと考えられる。特に誰もが手軽に出品できるヤフオクなどでは、出品者自身もそのコインの真贋を調べていない可能性もある。また偽物を買った場合は、買取業者に転売ができない時点で大損になるため、アンティークコインの購入先選定には細心の注意を払うべきだと言えるだろう。
盗難のリスクもある
アンティークコインの所有や保管をする際には、盗難対策についても考えなければならない。アンティークコイン収集を行う富裕層の中には、たった1つで数百万円もの価値のあるコインを世界の旅行や出張などに持っていく方々も存在する。しかし渡航先で何らかのトラブルや盗難に巻き込まれるリスクを考えると、自分がどこに居ても安心できる金庫や保管場所を作っておくことも本格的なアンティークコイン投資をする上で欠かせない心掛けだと言えるだろう。
アンティークコインの購入先とは?
アンティークコインの買える場所は、下記のように意外とたくさん存在する。しかしこの市場に偽物を掴むリスクがたくさんある実態を考えると、信頼できる業者と取引することが欠かせない注意点だと言えるだろう。
ディーラー(コインショップ)
アンティークコイン専門店に行くと、実物に触れながらコインに関するさまざまな知識を吸収できる。またコインショップの店主は自身もコレクター並の知識を持っているため、買取相場や価格の上昇率、おすすめコインなどを含めて直接教えてもらっても良いだろう。安心材料の高い専門店を求めるなら、日本貨幣商協同組合の加盟店を訪ねてみて欲しい。
コインショー・イベント・ライブオークション
東京、名古屋、大阪といった主要都市では、日本貨幣商協同組合などが主催するアンティークコインの展示即売会などが行われている。多くのファンが集うイベントに参加すると、コレクターやコイン商との繋がりや新たな知識の収集もできる。また参加店の中にはネットショップを運営するところもあるため、自宅近くに店舗がない地方都市在住の皆さんは、こうしたイベント参加を通して信頼できる業者と繋がるきっかけを作っても良いかもしれない。
ヤフオクなどのネットオークション
誰もが簡単に利用できるネットオークションには、偽物を掴むリスクが最も高い特徴がある。特に個人出品の場合はそのリスクが増すと考えられるため、STOREマークや過去の取引実績などをきちんと確認した上で入札を行うようにして欲しい。
アンティークコインの売却先とは?
アンティークコインの市場には、高価買取の狙えるさまざまな売却先が存在している。
コインオークション
富裕層が大注目するレベルのコインなら、世界のコレクターが集うコインオークションに出品してみよう。この市場でアンティークコインを出品すると、主催者側で格付けをしてオークションカタログに掲載をしてくれる。またコインオークションには資金力の高い業者やコレクターが多く集まるため、店舗などに直接持込するよりも遥かに高い価額に繋がりやすいサービスになることだろう。
ディーラー(コインショップ)
アンティークコインの専門店を利用するときには、いくつかのショップに問い合わせをして必ず相見積もりをとって欲しい。またコイン買取店のサービスが充実する今の時代は、オンライン査定と宅配買取サービスを使って地方都市在住の皆さんでも簡単に自慢のコインを売却できるシステムが整いつつある。この2サービスを上手に活用すれば、問い合わせから1週間以内に現金化ができると考えて良いだろう。
ヤフオクなどのネットオークション
それなりに需要の高いアンティークコインであれば、最低落札価格を高めに設定してヤフオク出品する方法でも売却できる。また人気コインの場合は日本国内にも多くのコレクターが存在するため、それなりに余裕を持った期間で適正価格の範囲内の出品を行っていれば、他の方法よりも納得の落札が期待できると言えるだろう。
ヤフオク利用における注意点
ヤフオク利用の場合は落札者との間に生じるトラブルを防ぐためにも、出品者となる自分自身が真贋の確認をしているコインだけを市場に出すのが理想となる。またもし真贋がはっきりしていないアンティークコインがあるなら、落札者とのトラブルを防止するためにも早めにコインショップに持ち込んで本物かどうかを確認してもらうようにして欲しい。