モイズ・キスリングは1900年代初頭からパリで活躍していたエコール・ド・パリ、通称パリ派と呼ばれる画家の一人。多くの西洋画家の中で、現代でも愛され人気を博している一人である。今回はキスリングの買取情報と、絵画を査定に出す際に注意すべきポイントを紹介していく。
本記事のポイント
- キスリングは、モンパルナスの帝王と称されることがある
- 1,000万円を超える落札事例もある
- 贋作と複製画の違いとは?
CONTENTS
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画家・モイズ・キスリング(モイーズ・キスリング)とは
モイズ・キスリングは1891年生まれ。ポーランド国籍のユダヤ人の画家である。1910年に19歳で芸術の都パリに登り、モンマルトルで画家として活動を始める。非常に面倒見の良い兄貴肌で、エコールド・パリ(パリ派)のリーダー的存在であったという。
キスリングはフランス外国人部隊の一員として第一次世界大戦に従軍。終戦後にフランス国籍を得て生還。画家としての活動を再開した。第二次世界大戦時ユダヤ人であったキスリングは、ドイツに占領されたフランスからアメリカへ亡命。第二次世界大戦終結後にフランスへ帰還する。
画家というとゴッホを代表として死後にその作品の価値が認められる者も多いが、彼の作品は生前から高く評価されており、キスリングは当時の画家としては珍しく経済的にも成功している。アメリカ亡命時は自らと同じ亡命画家の仲間たちを金銭的に支援することで彼らの活動を支えていた。
キスリングの作風や特徴について
キスリングは女性などの人物画や『モディリアーニの肖像画』などの肖像画、『ミモザの花束』などの花の絵、『果物のある静物』のような静物画など花の絵などを多く手がけており、画風が華やかなことで有名である。そのため彼の作品は部屋に飾ることに比較的向いており、収集家もさることながら、絵画好きの一般人が買い求め自宅に飾ることも多い。
キスリングの代表作品 モンパルナスのキキ
キキことアリス・プランは、パリのモンパルナスで若手の貧乏画家たちのモデルを務めていた女性。パリ派の中にはキスリング以外にもキキをモデルにした作品を残している画家は多いが、キスリングの描いたモンパルナスのキキが人気を博したことから一躍有名人となる。キスリング描いたキキは、女性らしさを強調した曲線と明るいタッチの色調で描かれており、彼女の美しさを後世へと残した作品となっている。
エコール・ド・パリ(パリ派)について
エコール・ド・パリ(パリ派)は、1920年代を中心にパリで活動した画家たちの総称。芸術の世界では、技法や師弟関係を表す○○派という言葉がよく出現するが、パリ派の画家たちには共通の師匠や特定の技法などはない。言ってみればモンパルナスに集まって交流していた画家を、一種のコミュニティのようなくくりでパリ派と呼び親しんでいるのだ。彼らは互いの作風に影響を受けたり、時にはライバルとして切磋琢磨しながら活動を続けていた。
キスリングの同年代で交流のあったパリ派の著名な画家には、戦争の悲惨さを強烈な作風で表現したゲルニカで有名なパブロ・ピカソなどが存在する。
キスリングの絵画作品の買取価格相場
ブランド品や貴金属などと違い、絵画などの美術品の買取価格は数万〜数千万までかなりの幅があり、保存状態や技法、買取業者によっても金額が左右されるため一概に相場を出すことが難しい。
あくまで参考にはなるが、過去にキスリングの描いた8号サイズの裸婦画の真作がオークションにて230万円ほどで落札された例がある。そのほかにも、15号の「花」が1,900万円で落札されたり、サイズなどの詳細は不明だが「花瓶の花」が520万円、「花(フクシア)」が210万円で落札されたりしている。原画であれば数百万円台、モノによっては1,000万円を超えることがある程度が買取相場といったところだろう。
基本的に複数刷られている版画は、原画よりも低い価格になる。取引事例としては、「マルセイユ」の16,000円がある。といっても、生前に刷られたものかどうかや、刷られた枚数など、あらゆる要素によって価値が決まってくるため、価格差は大きいだろう。キスリングの絵画は、真作ともなれば収集家にとってはそれだけの価値があるものだということを覚えておいてほしい。
なお、ここで紹介した取引事例は全て、美術を専門としたオークションでの落札価格事例である。専門ではない買取業者やヤフオクといったオークションサイトの場合に、査定額の難しさやコレクターなど求める人が多く参加していないといった様々な要因から、安価な査定・落札になってしまうこともあるため、注意願いたい。
贋作と複製画について
絵画には画家が肉筆で直接描いた本物、いわゆる真作のほかに、コピー品である贋作と複製画が存在する。贋作と複製画はどちらもコピーであることは同じなのだが、この二つは一体何が違うのだろうか。
絵画の贋作とは
ブランド物のコピー品と同じく、絵画にも偽物、すなわち贋作が存在する。後世の画家が塗りやサインを真似て精巧に作成した物から、コピー機で印刷した粗雑な作りのものまで多岐にわたるが、いずれにしても贋作は素人目には真贋の判別をつけるのが難しい厄介なものだ。
そのため絵画を購入する際は専門業者による鑑定書付のものを選びたい。もしお持ちのキスリングの真贋が不明な場合は業者に依頼して判定してもらうことをおすすめする。
複製画とは
では、贋作ではなく一般に複製画として出回っている絵画は一体何なのだろうか。複製画とは、絵画を多くの人に見てもらいより広く楽しんでもらうため、複製した品だとわかるようにした上で流通しているコピー品のことだ。
機械でスキャンコピーされたものなど安価なものは、美術館のお土産コーナーでも取り扱われている。中には手描きのものや、最新技術で模倣された精巧な複製画も存在し、そのような複製画は美術品としての価値を持つこともある。そのため美術館に所蔵されている非公開の真作の代わりに展示に利用される例もある。
機械コピーした複製画だと買取は難しい場合もあるが、精巧に作られた複製画の中には、美術品としての買取が可能なものも存在する。
買取価格を上げるテクニック
絵画の買取価格にはいくつか基準となるチェックポイントがある。せっかくの価値ある作品なのだから少しでも高い金額で買取してほしいものである。では、なるべく絵画の査定金額を高め、高額買取してもらうにするにはどうすればいいのだろうか。ここでは、絵画の査定に響くポイントと、品質を落とさないようにするテクニックをご紹介しよう。
査定価格が落ちてしまうポイント
絵画の査定価格が落ちてしまう最大の要因は保存状態の悪さにある。たとえ名画の真作であっても、状態の悪いものは買取価格が大きく下がってしまうため注意したい。
絵画の日焼け・色落ち
紙は紫外線によって激しく劣化する。特に古い絵画にとって太陽の光は天敵といっていい。日焼けによって茶色く焼けてしまった絵や、絵の具が劣化し色あせてしまうと絵の持つ魅力を最大限に伝えることができない。そのため日焼けした絵画は査定価格に大きく下がってしまう。
絵画の破れ
保管場所で絵画に物が倒れてきた場合や、飾ってある絵画にぶつかってしまった時など、絵が破れてしまう事故はままあるだろう。業者に修繕を依頼しておらず、破れたまま査定に出してしまうと、これも査定価格ダウンの原因となる。
保管の仕方で品質を保つ方法
傷みやすい絵画を守り、少しでも良い状態で保存しておくため保管には注意が必要となる。絵画の保管について気をつけておくべきポイントをご紹介しよう。
保管場所
先に紹介したように、絵画の天敵は太陽の光、すなわち紫外線だ。そのため保管場所は暗所か、太陽光の入って来ない屋内が望ましい。
リビングや居間などの壁に掛けている場合も、蛍光灯のわずかな紫外線で徐々に絵画が劣化してしまう危険がある。そのため定期的に暗所に収納するか、季節ごとに他の絵画に掛け替えるといった工夫で焼けを防止する必要がある。
また、紙や絵の具にはカビが生える。湿度の高い場所はカビが繁殖しやすいため、保管場所には風通しの良い場所を選ぶのがおすすめだ。具体的には60%程度の湿度で、20度ほどの気温の冷暗所が理想となる。 。つまりは人間にとっても不快な高温多湿を避けて紫外線に当てないようにすれば、おおむね絵画の傷みは防ぐことができる。
保管方法
絵画を購入した際の箱や保存袋がある場合はそれにしまっておくと傷や汚れから作品を守ってくれる。収納場所に他にも絵画があり、複数点保管したいような場合は平積みではなく、本を収納するように縦置きで保管するようにしよう。また、定期的に箱から出して紫外線の当たらないところで風に当てると湿気によるダメージや虫害の防止になる。
査定前に絵画の手入れをおこなう
ブランド品やアクセサリーなどの場合は事前に手入れをおこない汚れを落としたりホコリを払ったりすることで査定の金額を上げることができる。では絵画の場合、自分で手入れして査定金額を上げることは可能なのだろうか。
絵画本体の手入れはできる?
絵画本体の傷みや汚れは、素人が清掃や修繕をおこなうと現在の状況よりさらに悪化する可能性がある。そのため絵画本体は現状より状態を悪化させないことを目標に、先ほど紹介した保管方法を参考にして保存しておいてほしい。
もしお気に入りの絵画でこれからも部屋に飾っておきたいので修繕を希望するという場合は、専門の修繕業者に依頼をしよう。油絵・水彩画・日本画など業者ごとにそれぞれ得意とするジャンルがあるため、お持ちのキスリング作品がどれに該当するのか事前に調べておくと良い。
額の手入れの方法
次に絵画の額について。額はその材質ごとに手入れの方法が異なる。木製のフレームは、水濡れや薬剤によって変色を起こす可能性があるため汚れやホコリは柔らかい布で乾拭きすることで清掃をおこなうようにする。
金メッキなどのコーティングや塗装を施されている額は、ブラシや布で強くこすると塗装がハゲてしまう恐れがあるので注意が必要だ。クロスなどの柔らかい布やハケで優しくホコリを落とし、細かい部分の汚れは綿棒で軽く擦って清掃する方法が表面を傷つけないのでおすすめである。
買取業者を選ぶポイント
絵画の査定を初めて依頼する方は、どの買取業者に頼めばいいか分からず迷う場合もあるだろう。実は、芸術品の査定はその性質上どこの買取業者に依頼してもいいわけではない。業者選びを失敗すると本来の価値よりかなり低い金額での買取になる場合もあるので注意したいところだ。ではどういった点に注意して業者を選べば良いのだろうか。業者選びで失敗しない方法をご紹介していく。
美術品の専門業者に買取を依頼する
まず、絵画を売却したい場合は美術品買取の専門業者に依頼してほしい。高級画廊からそのあたりのリサイクルショップまで、絵画や骨董品といった芸術品の買取を手がける業者は多く存在している。しかし、芸術品は査定が難しく、正しい知識と経験を持ったその道の専門業者でなければ正しい価値を判定することはできない。
美術品の買取経験の少ない業者に持ち込んでしまうと、適正価格で買い取ってもらえない場合もあるため注意が必要である。中には真作を贋作であると嘘の査定をした上で安く買い叩く悪徳業者も存在する。そのため業者を選ぶときは必ず次に紹介する相見積もりを利用してほしい。
相見積もりで買取価格を比較する
相見積もりとは、同時に複数の業者に査定を依頼し、それぞれの提出してきた金額を比較した上で売却する業者を選ぶこと。先ほど紹介したとおり、絵画はブランド品や貴金属など比較しても、査定にはより高度な専門知識と審美眼が必要になるため、正しい価値を知るには相見積もりが一番手っ取り早い方法なのである。
美術品の専門業者に査定依頼する場合でも、業者の査定基準の他に査定を担当するスタッフの技量や経験によって買取金額にバラつきが出る可能性がある。その絵画本来の価値より安く買い取られて損をすることのないよう、ぜひ相見積もりで買取価格を比較することをおすすめしたい。
キスリングのおすすめ買取業者
実際に業者を選ぶにあたり、参考として当サイトヒカカク!に掲載しているものの中から、絵画の査定を得意としているおすすめ業者を紹介する。査定を依頼する際にぜひ選択肢の中に入れてみてほしい。
LINE査定に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品専門の買取店でLINE査定や出張買取にも対応している総合美術買取センター。各分野でそれぞれ20年以上の経験を持つ業界トップの鑑定士が在籍し、特に、著名作家の買取価格に自信をもつ。買取対象作家としてキスリングも入っておりホームページでは略歴が紹介されている。
翠波画廊
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
創業30年。魅力あるアート作品を多くの方のもとへお届けしたいという思いでアート作品を紹介する画商の翠波画廊はLINE査定や出張買取にも対応している。エコール・ド・パリの時代に活躍したキスリングの作品は高価買取対象。特に高価買取対象の図柄として人物、裸婦、花を挙げている。
出張買取に対応している買取業者
ギャラリーホープ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ギャラリーホープは、東京の銀座と大阪の梅田に店舗を構える絵画の買取業者である。目の肥えた利用者が多い東京・大阪の一等地で長く営業してきただけあり、美術品に関する審美眼は信用に値するだろう。査定方式は自宅まで現物を見にきてくれる出張査定・持ち込みでの店頭査定・宅配査定の3種類の方法があるため、都合に合わせたスタイルを選ぶことができる。また、ギャラリーホープはキスリングの絵画を高額買取対象としているため、買取価格も期待できる。
ワールドギャラリー
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
20年に渡り骨董・美術品の買取を専門におこなっている買取業者。美術品の長年の取り扱い実績により多くのノウハウを蓄積しており、経験に裏打ちされた精度の高い査定を売りにしている。ワールドギャラリーは出張・宅配による二種類の買取方法が選択可能であり、買取をキャンセルした場合でも手数料などはかからない。キスリングも買取対象となっているため、所持している場合は査定に出してみるのもいいだろう。
まとめ
西洋絵画の中でも、ファンが多い画家の一人であるキスリング。その作品は現代でも人気が高く多くの人々から愛されている。もしもキスリング作の絵画を所持しているなら、一度査定に出してその価値を確かめてみるといいだろう。多くの業者は、売却を決めていない方の査定のみでの利用も歓迎している。また当サイトヒカカク!からも最短1分の入力で一括査定が可能となっている。ぜひ利用してみてほしい。