時計ブランドは世界に数多く存在するが、その中でも高い資産価値が認められるものは一握りに過ぎない。
そのうちの一つであるショパールは、日本でも馴染みのブランドであるが、名前を聞いたことはあっても、その特徴を詳しく説明できる人は意外と少ないのではないだろうか。
そこで、以下ではショパールの特徴について歴史とともに見ていくとともに、代表作の紹介とその資産価値についても実際の金額を交えて書き残しておくことにしよう。
Watches (26) 1.1 / backpackphotography
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ショパールの歴史と特徴
ショパールは、1860年にスイスの山脈地帯に存在しているソンヴィエという村で誕生した。
創業者は時計職人であったルイ・ユリス・ショパールで、その名から明らかなようにブランド名は創業者の苗字から取られたものである。当時の時計業界の中心は懐中時計であり、ショパールも懐中時計の製造によって高い評価を獲得することとなった。
その証左は、同社の懐中時計が高い精密性を必要とされるスイス鉄道に納入されていたことや、ロシア皇帝であったニコライ2世も愛用していたという事実からも明らかである。
その後、ルイの孫のポール・アンドレ・ショパールの代になって、1920年にショパールは本社を時計業界のメッカともいえるジュネーブに移転させることとなる。
同地でも引き続き高評価を得ることに成功した同社は、ここから世界的なブランドへと成長を遂げていくのである。
転機
1963年にショパールは、それまでのショパール家による同族経営から大きな転機を迎えることになる。
この年、ドイツ人のカール・ショイフレという人物がショパールとコンタクトすることになる。
しかし、彼こそが高級ジュエリーや高級ジュエリー時計などを手掛ける腕利きの職人であり、その経営する会社に買収されたことによって、ショパールはそれまで保有していなかったジュエリーをジュエリー時計の製造にかかるノウハウを獲得するに至るのである。
これによって高級腕時計ブランドへと成長を遂げたショパールは、新たにジュネーブに大工場を建設するなど飛躍的に販売数を増やすことに成功し、一躍トップブランドへと駆け上っていくのであった。
この時代の同社を代表するモデルが、1979年に発表された「ハッピーダイヤモンド」である。
このモデルは、もともとは男性用の角型の時計というのがコンセプトであったが、折からのクオーツブームによってより小型かつ薄型の腕時計が求められるようになり、その需要に見合うショパールの小型ムーブメントを採用することでより女性的なモデルへと進化を遂げることとなった。
そのため、現在ではハッピーダイヤモンドといえば女性用のジュエリーウォッチとして知られるようになっている。また、その後ショパールはジュエリー分野にも進出し、そこでも成功を収めることとなった。
このようにラグジュエリーかつエレガントなショパールの腕時計は、華やかな映画シーンでも見栄えのする存在であり、多くのセレブに愛用されていたり、カンヌ映画祭のオフィシャル・パートナーにも選ばれている。
特に、パルムドールとして知られる同映画祭の最優秀賞のトロフィーはショパールによって制作された作品であり、これを獲得することが映画界におけるステータスの象徴にもなっているのである。
このことから分かるように、現代におけるショパールは、その高い技術力やデザイン力はさることながら、ブランドとしての高いステータスも兼ね備えた一流時計メーカーの地位を確立していると言えよう。
ショパールの代表モデルとその価値とは
それでは、ここからはショパールを代表するいくつかの作品とその価値について見ていくことにしよう。
価値を見るに際しては、新品での販売価格と併せて、中古での価値についても紹介するが、取り上げる売買事例については、近年急速に利用者が増加しているスマートフォンのフリマアプリであるメルカリと、インターネットオークションの元祖ともいえるヤフオクから抜粋して取り上げることとする。
ハッピーダイヤモンド
既に概要については触れたが、ショパールの代表作として真っ先にその名が挙がるのがハッピーダイヤモンドである。
その特徴は、文字通り高品質のダイヤモンドが文字盤上で自在に動き回るようにデザインされているのである。
世界一固い鉱物とされているダイヤモンドと文字盤とが接触して傷つくことのないように、同社ならではの非常に高い技術が用いられているという点にある。
具体的には、ダイヤモンドの周辺を薄い金の素材で覆うことによって、文字盤へのダメージを最小限に抑えることに成功している。こうした技術は、かつてのショパールでは実現できなかったものであるが、ショイフレがもたらしたジュエリーの加工技術によって可能となったものである。
このハッピーダイヤモンドであるが、高価なダイヤモンドが装飾されているというだけあって、新品での価格はかなり高くなっている。
同じモデルでも様々なタイプが存在するため、一概に金額を特定することはできないが、手ごろなものでも100万円超、高価なタイプになると400万円近くするものもある。
また、中古品としての価格であるが、過去にメルカリでは状態のよいハッピーダイヤモンドが40万円という高値で成約されたケースが見受けられる。
一方、ヤフオクでは、さらに高額での成約事例を見ることができ、その価格は54万円となっている。このように、ハッピーダイヤモンドは中古であっても人気が高く、高額で取引される傾向にあると言えよう。
インペリアーレ
インペリアーレもショパールを代表するモデルの一つである。
ハッピーダイヤモンドが女性らしいフェミニンなデザインが特徴となっているのに対し、このインペリアーレはよりスタイリッシュでエレガントなデザインとなっている。
その洗練されたフォルムは「完璧なディテール」と形容されたこともあるほどであり、見る人が見れば一目で同モデルであることが分かるほどである。
ケースとベルトのつなぎ目が独特の形をしており、国内外を問わず高い人気を得ている作品でもある。
このインペリアーレも様々なタイプが存在するが、文字盤がステンレスでできているかゴールドでできているか、またダイヤモンドとアメジストのどちらかもしくはいずれもが装飾されているかによって価格は大きく異なってくる。比較的手ごろとなっているのは、ステンレスの文字盤にアメジストのみが配されているタイプであり、これだと50万円台のものも存在する。
一方、ゴールドの文字盤にダイヤモンドが配されているものや、稀少価値の高いホワイトゴールドで文字盤ができているものなどは500万円を超える高額商品となっている。
このインペリアーレであるが、メルカリやヤフオクでは成約事例はおろか出品事例もほとんど見ることはできない。そこで、参考までに中古買取店における査定事例を見てみると約40万円での買い取り実績が存在した。
このことからは、もともとの金額が高いため個人間で売買されることは少ないものの、売りに出した場合には高額での売却が期待できることが分かるのではないだろうか。
ショパールの資産価値を高める要素
ショパールは腕時計ブランドの中でも、高い時計製造の技術に加えて、高品質の宝石を装飾に用いており、この二つの要素によって高い価値を実現している。
時計製造の技術
腕時計の価値を左右する最も重要な要素と言えるのが、組み込まれているムーブメントの精巧さである。
この点、ショパールは、自社の工房で時計職人の手によって一つずつ丁寧に製造された自動巻きのムーブメントを搭載しており、それに用いられている技術は150年を超える同社の歴史のなかで生み出された高度なものとなっている。
ショパールの技術力は、時計業界をけん引するスイスの中でもトップクラスのものであるという評価が定着しており、その技術の粋を集約して製造されている同社の腕時計はそれだけで高い価値を有することが分かるだろう。
宝石の品質
次に、ジュエリーブランドとしての地位も確立しているショパールであるだけに、腕時計に装飾される宝石の品質も非常に高いものとなっている。
特に、ダイヤモンドの品質においては同社ならではのこだわりをもっており、noneからfaintの間に分類される蛍光の度合いを満たした石だけを使うこととしている。
また、4Cと呼ばれるカラット、クラリティ、カラー、カットについても一定の基準を満たした石のみを厳選している。
公式サイトなどでは、具体的に、0.2カラット以上、クラリティはIF(Internally Flawless)からVS(Very Small Inclusions)の間、カラーはDからGのグレードのみといった点が強調されている。
以上のようにショパールの商品は時計の技術と宝石の品質によって高い資産価値を実現しているが、その裏付けとなる要素はこの二つに留まらない。
ブランドステータス
まず一つ目の点としていえることは、ショパールの持つブランドとしての非常に高いステータスによって、同社の腕時計は非常に高い資産価値を有しているということである。
現在のショパールは腕時計ブランドとしてもジュエリーブランドとしてもトップクラスであるという評価を確立しており、実際、世界のセレブリティがこぞって身に着ける代表的なブランドの一つになっている。
そのため、ショパールの時計であるということ自体が資産価値を高めるのに大きく寄与しているのである。
世界的な人気
また、二つ目の要素として、ショパールの愛好家は世界中に存在しているという事実を挙げることができる。
セレブリティだけでなく、一般人の中にも同社のモデルを好んで収集している人は数多くおり、そのことは世界有数のオークションサイトであるEbayにおける取引事例を見れば明らかである。
愛好者が多ければ、その分商品の価値が高まることとなり、このこともまたショパールの資産価値を高める一因となっていると言えよう。
ショパールの時計ブランドにおける地位
ショパールは一流の時計ブランドのなかでジュエリーブランドととしても高く評価されている企業で、かなり稀有な存在であるということである。
ショパール以外には、カルティエやブルガリなどのブランド名を挙げることができるが、これらはいずれもコンサルティング会社や広告会社が過去に公表しているブランド価値ランキングで上位に来るようなハイブランドである。
これらのブランドに比べると、ショパールは規模がやや小さい分、ランキングの上位に登場することはあまりないが、逆に言うと規模を抜きにして比較すれば、これらに勝るとも劣らない存在であると位置づけることもできよう。
次に、ショパールは世界的に愛好家を有しており、たとえ中古品であっても高値で取引がなされている。そのようなブランドはそれほど多くなく、この点においても高いブランド価値が認められるはずである。
以上の点を勘案すると、明確に時計ブランドで何位ということは難しいものの、ショパールは間違いなくトップ10に入るようなハイブランドであるということが可能である。
まとめ
高級腕時計のショパールについて紹介してきた。
ショパールの代表モデルは2つある。フェミニンなデザインのハッピーダイヤモンドと、エレガントなインペリアーレだ。
ハッピーダイヤモンドは高価なタイプになると400万円近い。インペリアーレは稀少価値の高いものになると500万円を超える。
これだけの高値が付くのは、高い時計製造の技術だけでなく、高品質の宝石を装飾に用いていることも理由だ。
またショパールは、世界中のセレブリティだけでなく、一般人にも好まれていて、それだけ愛好者が多いと言える。
そのショパールの商品の価値が高いことは疑いもないだろう。