ヘネシーはコニャックで世界最大のシェアをもつ企業だが、創立者はアイルランド人だ。オタールやハインなど、有名なコニャック製造業者のなかには創立者がアイルランド人やイギリス人という例が結構ある。これは偶然ではなく、歴史的背景がある。
今回はヘネシーやコニャックの歴史を紹介しながら、ジャズヘネシーXO グリーンボトルの相場を見ていくことにしよう。
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コニャックの歴史
コニャックはもともとオランダ人が貿易のために生み出したものと言われ、昔も今も主な消費地はフランスではなく、イギリスやアメリカを初めとする外国だ。ここでは現在に至るコニャックの歴史を眺めてみよう。
オランダ商人とコニャック
16世紀初頭からオランダ商人は活発な海上交易を展開し、フランスの大西洋岸にはいくつかの寄港地が形成された。主要な輸出品の1つにワインがあったが、なかには貯蔵に適さず腐敗しやすいものもあったため、輸送中の腐敗を防ぐためにワインを蒸溜したり蒸溜したものをワインに混ぜたりといった対策が考え出された。蒸溜によって濃縮して容量を減らし、オランダに持ち帰ってから水で戻すというようなこともおこなわれた。
こうして生まれたのがブランデウェイン(焼いたワイン)、のちのブランデーである。コニャックはオランダ商人の寄港地ラ・ロシェルに近く、コニャック産のワインはブランデー向きだったため、オランダ商人によるブランデー貿易の中心地となった。
イギリスのアーリーランデッドとアメリカのカクテルブーム
オランダ商人の覇権はやがて崩れ、イギリス人らが海上貿易に割って入るようになる。イギリス向けのブランデーは蒸溜後樽詰めしたばかりの状態で輸出し、イギリスの波止場で熟成させるという方法がとられた。これはアリーランデッド・コニャック(熟成以前に陸揚げされたコニャック)と言ばれた。
19世紀の後半にアメリカではカクテルブーブが起こり、ベースの酒としてブランデーが盛んに輸入された。
害虫によるブドウ畑の壊滅と競争激化
19世紀の終わりにかけてフィロキセラという害虫がフランスに広まり、ブドウ畑が食い荒らされフランス全土でほぼ壊滅状態に陥った。被害は周辺の国にも広がっていった。フィロキセラは品種改良のためにアメリカから移入されたブドウについてきたもので、この虫に耐性のないヨーロッパ原産のブドウに疫病のように広まったのだった。さまざまな対策が無駄に終わった後で、アメリカから耐性のあるブドウを移入することでやっと沈静化した。
この間にスコッチやバーボンなどの別の蒸溜酒が世界に広まり、フランスから離れた東欧の国などでブランデーが盛んに作られるようになって、復活後もコニャック産業は苦闘を強いられた。それでも富裕層向けの高級な蒸溜酒としての名声は維持し続けた。
20世紀末から21世紀のコニャックブーム
20世紀を通してコニャックの消費量はあまり伸びなかったが、世紀の終わり頃に2つの源からブームが起こった。1つはアメリカのヒップホップ文化で、都市部の比較的貧困な若者たちの間でブランデーの消費が伸び、コニャックの高級銘柄は憧れの的となった。ドクター・ドレー、リュダクリス、T.I.など、成功者となった黒人ラッパーのなかにはコニャックメーカーとパートナー契約を結んで商品をプロデュースしたり広告塔となる者も出た。
もう1つは中国での消費の爆発だ。中国人富裕層による爆買いは日本でも有名だが、高級銘柄を中心にコニャックがさかんに中国で消費されるようになった。
ヘネシーの創設と発展
ヘネシーの創設者はアイルランドに生まれ、イギリスの圧政を避けてフランスに渡り将校として活躍した後、コニャック地方に移り住み1765年にブランデー生産を始めた。彼の出自はイギリスやアメリカ向けの輸出に有利に働いたことだろう。
1817年、コニャックをこよなく愛するウェールズ公(後のイギリス国王ジョージ4世)が非常に優れていて(very sperior)、古くて(old)、澄んだ(pale)コニャックをヘネシーに注文。これがV.S.O.Pの始まりである。1865年にはV.S(very special)、1870年にはXO(extra old)が生まれ、これらは後にコニャック生産者の間で等級表記として採用され今に至る。
このような歴史を反映し、コニャックの主要消費地は今に至るまでフランス国内ではなくイギリスやアメリカなどの外国である。V.S.O.P、XOといった等級表記の正式名称が英語なのもその表れと言えるだろう。これはプライドの高いフランス人というイメージにそぐわないやり方のように思えるが、商魂のほうが上に立ってきたのがコニャック業界の歴史なのかもしれない。
ジャズヘネシー XO グリーンボトルの特徴
相場情報を見る前に、ヘネシーXOとジャズヘネシーXO グリーンボトルについて簡単に説明しておこう。
ヘネシーXOの特徴
コニャックの等級は熟成期間で決められ、XOが最上だ。熟成期間だけで決まるのだから一口にXOと言ってもピンからキリまである。また、等級のスケールには収まらないような超高級銘柄もある(ヘネシー「リシャール」「パラディー」、レミーマルタン「ルイ13世」など)。
ヘネシーXOはコニャックの6つのブドウ生産地のうち上位4つで栽培されたブドウから作られた原酒だけを用いている。ボトル・ラベル・キャップに何度かマイナーチェンジが施されており、古さと希少価値を示す目印になっている。一般にブランデーは古いものほど価値が高い(もちろん状態にもよる)。
ジャズヘネシーXO グリーンボトルの特徴
これもヘネシーXOであることには変わりがない。ヘネシー社の正式名称はJAs Hennessy & Co.で、旧ボトルでもとくに古いものにはこの表記があり、ジャズヘネシーと呼んで区別される。
現行のボトルがクリア(透明)なのに対し旧ボトルは緑がかっており、グリーンボトルはこれを指している。キャップは古いものは金色で、クリアボトルになってからまず形が少し変わり、ついで色が黒になって現在に至っている。
古い順にならべると、ジャズヘネシーXO グリーンボトル 金キャップ、ヘネシーXO グリーンボトル 金キャップ、同 クリアボトル 金キャップ、同 クリアボトル 金キャップ(改)、同 クリアボトル 黒キャップとなる。
ジャズヘネシーXO グリーンボトルの相場
では、2019年4月4日現在で得られた相場情報を見ていこう。ヤフオクについては2018年4月から2019年3月までの1年間の取引きだけをあつかう。
業者の買取価格
大黒屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合買取業者の大黒屋では、ジャズヘネシーXO グリーンボトルの参考買取価格が18,000円となっている。ヘネシーXOの価格を古い方から並べると18,000円、17,000円、15,000円、13,000円、6,000円だ。
さすがや
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
同じく総合買取業者のさすがや上越アコーレ店では、ジャズヘネシーXO グリーンボトルの箱なし・美品が2018年11月に23,000円、次に古いヘネシーXO グリーンボトルの箱なし・美品が2019年3月に14,000円で買い取られている。
ヤフオクの落札価格
上記期間中にヤフオクで多数の取引きがあった。落札価格をおおざっぱにまとめると以下のようになる。
- ・箱・本体とも美品…4万円台後半
- ・箱あり、本体美品…4万円台前半
- ・箱なし、美品…3万円台後半
- ・キャップやラベルに少し傷み(箱はあってもなくても)…3万円前後~3万円台後半
- ・キャップやラベルに目立つ傷み、1割程度の目減り…2万円前後~2万円台半ば
- ・キャップやラベルに大きな傷み、大きな目減り…1万円台
キャップ・ラベルの状態が非常に悪く、1,500円(1円開始)で落札されている例もあった。ジャズヘネシーXO グリーンボトルは、かなりの数が同時に出品されるのであまり状態が悪いとスルーされて非常に低い金額で落札されてしまう可能性がある。
メルカリの購入価格
箱あり・美品が39,000円、箱なし・美品が35,000円と29,000円、箱なしでラベルに軽い傷みのあるものが23,000円と20,000円で購入されており、ヤフオクの相場よりやや低い金額になっている。メルカリではよく見られる傾向だ。商品についての知識があまりなく詳しく調べるつもりもない、手っ取り早く売ってしまいたいといった出品者の割合が多いように思われる。
まとめ
ジャズヘネシーXO グリーンボトルは業者の買取価格の1.5~2倍ほどで落札される可能性があり、手間やリスクを考えてもヤフオクに出品するほうが得策と言えるかもしれない。ただし同時期にかなりの数が出品されるから、品物の状態とタイミングによってはあまり値が上がらないという場合もあるだろう。賭けの要素が大きく、開始価格の設定も比較的難しい。
手っ取り早く換金したいなら業者がおすすめだ。上に見たように業者によって買取価格はかなり違うから、複数の業者に査定を依頼して比較したほうがいい。一括査定を使えば1回で複数の業者に依頼できるのでぜひ活用したい。本コラムで述べた相場情報は査定額の検討や業者との交渉に利用できるだろう。