シャンパン好きにとって、世界中の銘柄を集めることはこの上ない喜びではないだろうか。一方、家庭内でそのような趣味が家族に理解されずに、泣く泣く手放さざるを得なくなるということも考えられなくはない。
しかしながら、たとえそうなったとしても残念がる必要はない。シャンパンは資産としての評価も高いことから、人気のあるボトルであれば場合によっては購入時よりも高く買い取られる可能性があるのである。
そこで以下では、ジャック・セロス VO ヴァージョン・オリジナルを一例として、その特徴と買取相場を見ていくことにしよう。
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ジャック・セロス VO ヴァージョン・オリジナルの特徴とは
まずはじめに、ジャック・セロス VO ヴァージョン・オリジナルとはどのようなシャンパンであるのかを知るために、それを作っているジャック・セロスについて触れておくこととしよう。
ジャック・セロスの歴史
ジャック・セロスは、1949年という第二次世界大戦が終結して間もない頃に、同名の創業者によってフランスで設立される。そのため、他の数多くの老舗のシャンパーニュ・メゾンのように数百年の歴史を有しているわけではない。逆に、それほど長い歴史があるわけではないにもかかわらず、世界中で高い評価を得ているということは、それだけ同社のシャンパンが優れていることの証左であるといえよう。
伝統的なスタイルからの脱却
このジャック・セロスの名を世に広めたのは、1974年に二代目を継承したアンセルム・セロス氏である。それまでシャンパンというと伝統的な製法が確立されており、多くのメゾンもこれにならってシャンパン造りをおこなっている。しかしながら、アンセルム氏は当主の座に就くと、すぐさまブルゴーニュのようなスタイルでシャンパン造りを開始し、それまでの伝統的なスタイルからの脱却を図るのであった。
ブルゴーニュ流のシャンパン造りとは
その方法というのは、約10パーセントの新樽を含んだ228リットルのフレンチオークを用いて一時発酵をおこなったうえで、6か月間にわたって樽熟成をおこなうというものである。この発酵に新樽を用いるというのがブルゴーニュ流のスタイルであり、それまでシャンパン造りでは採用されてこなかった。そのため、当初は彼のシャンパンに対して否定的な意見もあったが、実際に完成したシャンパンが素晴らしく美味であったことから、それを口にした人々からはやがてそのようなネガティブなコメントは聞かれなくなった。
ジャック・セロスの特異性
ジャック・セロスは、モエ・エ・シャンドンやヴーヴ・クリコといった名だたる大企業が軒を連ねるシャンパーニュ地方にあって、小規模で洗練されたシャンパンを世に送り出しているメゾンとして稀有な存在である。一般にシャンパーニュ地方は冷涼な気候であることからワインの出来が年によってまちまちであり、シャンパン造りのためには大量にストックを保有しておく必要がある。
また多額の設備投資を要することから、小規模のメゾンでは経営が困難であるとされている。そのようなマーケットにおいて、独自の製法を引っ提げて小規模でありながら高品質のシャンパンを作り続けていることは、特筆すべきことであるといってよいであろう。
ジャック・セロスのシャンパンとは
では、次にこのジャック・セロスのシャンパンについて、ラインナップの中から代表的ないくつかのボトルを取り上げておこう。
シュブスタンス・ブリュット
シュブスタンス・ブリュットは、ジャック・セロスの看板といってもよいシャンパンである。毎年樽から22パーセントだけを抽出して出荷に回しており、この方法は1984年から継続されている。
新旧のワインがブレンドされることで、ヴィンテージによる味わいの違いがなくなり、どのボトルを空けてみても同様に味わい深く楽しむことができるようになっている。味わいはシャンパンのなかでもかなり複雑な部類であり、通好みの一本ということが理解できるであろう。
ヴァージョン・オリジナル エクストラ・ブリュット
略してVOと呼ばれるこのボトルは、入手が困難なものが多いジャック・セロスのラインナップの中では、比較的手に入れやすいものである。ジャック・セロスでは3か所にブドウ畑を所有しているのだが、このボトルはその全ての畑で栽培されたブドウが使われており、ノン・ドサージュによって作られる非常に辛口の一本となっている。甘味は控えめで、かなり重い部類に属することから、しっかりとシャンパンの味を楽しみたいという方におすすめのボトルである。
ジャック・セロス イニシャル・ブリュット
こちらもVOと同様に、ジャック・セロスの中では比較的入手がしやすいものである。とはいえ、年間の出荷本数はわずか30,000本ほどにすぎず、希少なものであることに変わりはない。味については、トーストや桃がほのかに香るようなフルーティな味わいであり、エントリー向けと言われることも多いように、万人受けしやすいタイプといえるだろう。
ジャック・セロス VO ヴァージョン・オリジナルの買取相場
ここまで、ジャック・セロスの特徴とそのラインナップについて簡単に見てきた。ここからは、いよいよVO バージョン オリジナルの買取相場について調べてみることにしよう。シャンパンを売却する際に候補となる先はいくつか存在するが、ここではまず、もっとも多くの人にとって使い勝手のよいと考えられる買取業者において、どの程度の価格でジャック・セロスが買い取られているのかについて検証することとする。
大黒屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
知っている買取業者の名前についてアンケート調査をおこなう場合に、大黒屋の名前を挙げる人は多いのではないだろうか。買取業者の中でも同社は大手として知られており、各地にその店舗があることから、持込んで買い取ってもらう際には使い勝手のよい業者であると考えられる。
大手ならではのサービスと自信
もっとも、同社は店頭での買取だけをおこなっているわけではなく、遠方にいるような場合には宅配を使って買い取ってもらうことができるようになっている。査定の申し込みについても電話やメール以外にLINEでもおこなうことができるため、スマートフォンが広く流通するようになった今となっては非常に使い勝手のよい業者である。
また、同社ではさまざまなシャンパーニュ・メゾンのボトルの買取価格をホームページ上で公開している。多くの業者が価格を非公開にしている中で、それだけ買取金額に自信があるということかもしれない。
大黒屋でのジャック・セロスの買取相場
同社のジャック・セロスの買取価格は次のようになっている。
- ・コントラスト:42,000円
- ・ミレジム :40,000円
- ・シュブスタンス エクストラ・ブリュット :27,000円
- ・キュヴェ・エクスキューズ・セック:25,000円
- ・ロゼ ブリュット:21,000円
- ・ヴェルシオン・オリジナル ノン・ドゼ:18,000円
- ・VO ヴァージョン・オリジナル :15,000円
- ・イニシャル・ブリュット ブラン・ド・ブラン:14,000円
その他の業者
それでは、ほかの買取業者での相場はいくらぐらいだろうか。いろいろと調べてみたが、買取事例について紹介しているところはあったものの、買取価格まで公表しているところは大黒屋以外には見当たらなかった。
このことから分かることは、買取業者にとって買取価格は自社の仕入れ相場を知られることになることのでなかなか公表しづらいということ、一方で、ジャック・セロスは流通本数が少ないために、買取事例そのものが少ないという2点である。
オークションやフリマアプリにおける買取相場
ジャック・セロス VO ヴァージョン・オリジナルの買取相場を調べるといった手前、大黒屋の買取金額だけを紹介するというのでは、さすがにお粗末であろう。そこで、買取業者以外にシャンパンを買い取ってもらうことができる場として、ネットオークションとフリマアプリの2つについても調べてみることとした。それぞれ、代表的なものであるヤフオクとメルカリにおける過去の取引事例を検索することで、VOがどの程度の金額で売買されているかを検証してみようというわけである。
ヤフオク
インターネットオークションで国内最大級のヤフオクでは、さまざまなシャンパンが売買されているが、そのなかにジャック・セロスのものも存在することが確認できる。しかしながらVOとなると、過去の履歴からはわずか3件しか取引が成立しておらず、ここを見ても同ボトルの希少価値が分かるのではないだろうか。
それらの落札価格は、23,000円、23,500円、27,500円となっており、買取業者と異なり中間マージンがないぶん、いくぶん高めの金額となっている。
メルカリ
一方、フリマアプリのパイオニアともいえるメルカリでジャック・セロスを調べてみたところ、残念ながらVOが出品された形跡を見つけることができなかった。希少なボトルということで、なかなかフリマでお目にかかることはできないということなのかもしれない。
なお、その代わりに、メルカリではVOのボトルをデザインしたキーホルダーが何点か出品されており、おおむね2,000円ほどで購入されているケースがいくつも存在している。キーホルダーであってもそれだけの値段で取引が成立していることからは、本物のボトルがいかに高い評価を得ているかが分かるのではないだろうか。
高く売るために知っておきたいこと
最後に、シャンパンはワインと同様に品質が非常に重要である。しっかりと管理しておかなければ、あっという間に劣化してしまい、いかに評価の高いボトルであったとしても無価値になってしまうことも大いにありえるのである。特にシャンパンは温度変化に弱いため、管理するにあたってはなるべく一定温度を保つことができる環境に置いておくことが求められる。
安価なボトルであれば、冷蔵庫に入れておくということでもよいかもしれないが、ジャック・セロスのような高価なものであれば、それでは十分ではなく、専用のワインセラーを用意してしっかりと保管することをおすすめする。
加えて、買取にあたって評価が下がる要素の一つに付属の箱が欠けてしまっていたり、ボトルやコルクが破損しているということがある。時々箱がなくても保存に困らないからといって、中身だけ出して箱を廃棄してしまう人がいるが、買取の可能性を想定した場合に、それは非常にもったいないことである。間違っても箱だけを捨ててしまうことのないように、良質のシャンパンは購入時の一式をセットにして置いておくことが高額買取のポイントである。
まとめ
ジャック・セロス VO ヴァージョン・オリジナルの買取相場は以下の通りだ。
- ・大黒屋 → 15,000円
- ・ヤフオク → 23,000円~27,500円
中間マージンがない分ヤフオクのほうが高い値段がつく可能性があるが、オークションとなるため出品作業をすべて自分でおこなわなければならなかったり、すぐに売れるかわからないということもある。自分の都合に合わせて選ぶのが良いだろう。
手放すことを視野に入れているなら、ワインセラーでの保管がベストだ。また、箱などの付属品も忘れずに保管しておくことが高く売るためのポイントである。