本稿では、チェーンとスプロケットを取り上げ、手軽な洗浄方法や、各メーカーの歯数の組み合わせを紹介する。これらのパーツは人力を推進力に変えるにあたって非常に重要なパーツであるので、性能を保つため、こまめにメンテナンスすることを心がけたい。
CONTENTS
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チェーン
チェーンを選ぶときに注意すべきポイントは、使用しているコンポーネントの変速数に対応したチェーンを選ぶことである。
現在6~11速のコンポーネントが存在しているが、チェーンは4種類ある(6~8速用、9速用、10速用、11速用)。変速数が多くなるほどチェーンの幅が薄くなる。互換性がないので、間違った規格の製品を選ばないよう注意したい。
チェーンには定期的にオイルを差す必要があるが、空気中のチリが付着したり、オイルが酸化したりするため、洗浄する機会が多い。ここでは、チェーンのメンテナンスに便利なアイテムを紹介する。
チェーン洗浄機
洗浄液とブラシが組み込まれた洗浄機をチェーンの一部分に取り付け、チェーンを回すことでチェーン全体を洗浄することができる。チェーンを切断することなく、手早く洗浄出来ることがメリットである。
ミッシングリンク
チェーンに取り付けることで、チェーンの着脱が容易になるパーツである。本来、チェーンを切るためにはチェーンカッターを使って、チェーンのアンプルピンを抜く必要がある。再度取り付けるときには、新品のアンプルピンをチェーンカッターで押し込む。
ミッシングリンクが付いているチェーンであれば、取り外しは専用工具を使って、ワンアクションで行うことが出来る。また、取り付けに関しては工具なして行うことが出来るため、チェーンの着脱が非常に簡単になるのである。
チェーンを外すことで、フロントディレイラーやプーリーセットなども洗浄しやすくなる。一方、強度面での脆弱性が指摘されることもあるので、ミッシングリンク自体の摩耗にも注意しなくていけない。
交換頻度
チェーンはコンポーネントの中で消耗が最も激しいパーツの一つである。走行中には、チェーンリングとスプロケットに引っ張られるため、次第に伸びてきてしまう。伸びたチェーンを使用していると、チェーンリングやスプロケットを削ってしまう可能性がある。また、変速の度にスプロケットやチェーンリングと摩擦する。約4000~5000kmを目安に交換することが推奨されている。
スプロケット
スプロケットとは、後輪の右側に取り付けられ、10枚前後のギアを束にしたパーツである。異なる大きさのギアにチェーンが移動することで、フロントのチェーンリング1回転に対応する後輪の回転数が変わり、ライダーはペダルの重さが変わったように認識する。
例えば、フロントのチェーンリングが50である時に、歯数10のスプロケットから20のスプロケットに変速することを想定する。変速前は、ペダルを1回転させると後輪が5回転し、約3.5m進む計算になる。変速後、ペダルを1回転させると、後輪は2.5回転し、1.75mしか進むことができない。逆にいえば、1.75m分の推進力を与えるとペダルが1回転するので、変速前と比べると、ペダルが軽くなったように感じるのである。
このように、後輪のギアは歯数が多いほど、ペダルを踏んだ時の感触が軽くなる。大きい歯数を使うと重く感じるフロントチェーンリングとは真逆の関係になっていることに注意したい。
近年のスプロケットは11枚のギアから構成されているが、これらのギアの歯数の組み合わせはメーカーが数通り用意している。自転車競技の山岳ステージでは大きいギアを含むスプロケットが好まれる。一方、タイムトライアルやトライアスロンなど、平地が多いようなコースでは、小さいギアが中心の組み合わせが使われることが多い。
以下は、各メーカーのギア歯数組み合わせの一覧である。
シマノ(CS-9000)
・11-23T
11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,23
・11-25T
11,12,13,14,15,16,17,19,21,23,25
・11-28T
11,12,13,14,15,17,19,21,23,25,28
・12-25T
12,13,14,15,16,17,18,19,21,23,25
・12-28T
12,13,14,15,16,17,19,21,23,25,28
カンパニョーロ(スーパーレコード)
・11-23T
11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,23
・11-25T
11,12,13,14,15,16,17,19,21,23,25
・11-27T
11,12,13,14,15,17,19,21,23,25,27
・12-25T
11,12,13,14,15,16,17,19,21,23,25
・12-27T
12,13,14,15,16,17,19,21,23,25,27
・12-29T
12,13,14,15,16,17,19,21,23,26,29
スラム(レッド)
・11-25T
11,12,13,14,15,16,17,19,21,23,25
・11-26T
11,12,13,14,15,16,17,19,21,23,26
・11-28T
11,12,13,14,15,16,17,19,22,25,28
スプロケットも摩耗が激しいパーツである。変速のたびにチェーンと摩擦するためである。約10000km、もしくはチェーン交換2回を目安に交換することが望ましい。
スプロケットの取引価格
スプロケットの取引価格を確認する。価格に及ぼす影響が小さいので、歯数の組み合わせに関しては無視する。なお、消耗品であるチェーンは、中古品取引がほとんど存在しない。
シマノ
取引量が最も多い。デュラエースは定価の4割ほど、アルテグラは5割ほどで買い取られる。
・デュラエース:8540円(マクサス)
・アルテグラ:3560円(マクサス)
カンパニョーロ
現行モデルよりも、ビンテージモデルの流通量が多い。チタン使用モデルは高額で買い取られる。
・スーパーレコード:18940円(マクサス)
・レコード:15260円(マクサス)
スラム
定価は50000円ほどであるので、値段の落ちが激しい。耐久性の低さが価格に反映されていると言える。
・レッド:10000円~15000円(ヤフオク実績)
・フォース:5000円程度(ヤフオク実績)
スプロケットも、消耗品としての性質が強いため、中古品の流通量が少ない。買い取り業者を探すのであれば、パーツが消耗していないことを証明するものがあるといいだろう。