ドラム式洗濯機は便利な機能が多く、一度ドラム式洗濯機を使ったユーザーは二度と縦型式洗濯機に戻れなくなるという話も聞く。
しかし、一旦故障してしまうと、全ての機能が止まってしまうというデメリットも抱えているのが現状だろう。ひと昔前に流行した「テレビデオ」(※テレビにビデオデッキが内蔵されているもの)のように、ビデオ部分が故障するとテレビも見られなくなるのと同じデメリットだ。
今回は、ドラム式洗濯機の故障症状とそれぞれの直し方について解説していく。
自分で直すことができる故障や、修理業者に依頼しないと直らない症状まで説明していくので、自分のドラム式洗濯機の症状に合わせて修理の参考にして頂きたい。
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ドラム式洗濯機の故障症状
ドラム式洗濯機の故障の症状で、代表的な症状をメインに説明していく。音、動作、電源など、普段起こりやすい症状から直し方を述べていく。
エラー表示・お知らせ表示
一番多いのが、エラー表示やお知らせ表示が消えないという異常だ。
現代のドラム式洗濯機の多くはコンピューター基板によって制御されている。ドラム式洗濯機全体の挙動や、センサー異常などを検知して、自動的に運転を止めている。この時、基本的にエラー表示は、ドラム式洗濯機の液晶部分(ドット液晶など)にアルファベットと数字の組み合わせによって、エラー内容が表示される。
【直し方】
エラー表示の内容は、ドラム式洗濯機の取り扱い説明書に一覧で掲載されている。「U-〇」、「H-〇」などで表示されているので、該当しているアルファベットと数字を確認して説明書に記載されている異常を直すことで、エラーが消え、いつも通りに使うことができる。
エラーの中には、「修理業者に依頼してください」と書かれている項目があるが、その場合は自分で直すことができない重要なエラーということになる。無理をして、分解しようなどとせずに速やかに業者に依頼しよう。
電源が入らない・電源が途中で切れる
電源関係のエラーは、洗濯機本体のエラーか、電源元のエラーの2種類に分けられる。どちらも自分で直すのは至難の業のため、業者に依頼した方が簡単で確実だろう。
【直し方】
電源元のエラーの場合、賃貸であれば、管理会社に連絡して電源の点検をお願いしよう。
入居後1年~2年は保険が使えることもあるため、遠慮せずに連絡しよう。また、ブレーカーが洗濯用で別になっていないかも確認しよう。一つだけブレーカーが下がっていて、実はそれが洗濯用の電源だったという例もある。
洗濯機本体の異常の場合は、メーカーや、街の電器屋さんに修理を依頼する必要がある。
電源だけなら簡単な修理で直るかも知れないが、制御基板の異常の場合には、メーカーから交換用の部品を取り寄せる必要がある。制御基板の交換には、分解作業が発生するため、専門業者を呼んで対応してもらった方が確実だ。
ドアが開かない・閉まらない
ドラム式洗濯機は、ドアの開閉が運転に大きな影響を与える。
ドアが開かないのは論外だが、閉まらない状態のままだと、洗濯機自体を動かすことはまずできない。縦型洗濯機であれば、洗浄やすすぎは蓋が開いた状態でもできるが、ドラム式洗濯機のドアに関しては、きちんとしまっていないと、洗浄や脱水、乾燥といった、全ての動作ができなくなってしまう。
【直し方】
ドア関連のエラーの場合、まず確認するのが洗濯物の容量だ。
多すぎる洗濯物の場合は、洗濯物が内側からドアを押してしまい、閉まらないといった異常が起こってしまう。ロック自体が甘くなってしまうのも、多すぎる洗濯物が原因の場合が多い。
洗濯物の量が問題なければ、あとは業者を呼んで修理してもらうしかない。ドア丸ごとを交換することもあれば、ドアセンサーだけを修理、交換することもある。どちらにせよ、ドアの不良なのか、ドアセンサーの不良なのかは素人目には判断が付かないので、修理業者に全てをまかせておいた方が安心だろう。
給水異常
ドラム式洗濯機も縦型式洗濯機も、給水に異常があれば、洗濯機自体が動かなくなってしまう。給水異常の原因は、「断水」、「給水弁の故障」、「給水元である蛇口の不良」が考えられる。
【直し方】
断水は事前に通達がある為、給水不良の原因にはなりにくいが、地震などの天災があった場合には、十分考えられる理由でもある。
給水弁の不良とは、給水のオンとオフを切り替える給水弁「ソレノイド」の不調が原因だ。ソレノイドは、電気パーツでありながら故障しやすいパーツでもある為、給水不良によるエラーのほとんどは、この給水弁が関係していると思ってもいいだろう。
給水弁の不良であれば、自分で対応するのではなく、メーカーや専門業者に依頼して修理をしてもらう必要がある。
脱水時の異常
脱水時の異常は、「ドラムに異常がある」場合がほとんどだろう。脱水の途中で止まったり、脱水の表示が出ているのに、モーター音だけがなり、肝心のドラムが回っていなかったりということがある。
そういった場合は、自分で直すのはまず不可能なため、修理業者に依頼するようにしよう。
【直し方】
自力に直す方法として唯一できるのが、ドラム式洗濯機の制御盤リセット動作だ。
電源コードを抜いて5分異常放置して、再度電源コードを入れ、洗濯機を立ち上げ、脱水からスタートする。これによって、ドラム式洗濯機の制御盤の負荷を下げ、再度運転ができる状態にすることが目的だ。
この対処が通用しないのであれば、ドラムの軸の破損や、パルセーター(モーター)の不良などが考えられるため、すぐに業者に修理を依頼しよう。
排水ができない
排水異常は、「洗濯機本体の排水口のつまり」、「洗濯機から排水口に向かう排水ホースのつまり」、「排水口のつまり」、「洗濯機本体の排水弁の不良」が考えられる。
「つまり」に関しては自分で対応できるものと、業者に依頼しないといけないものの二通りがある。排水弁は、業者依頼でも問題ないが、自分でも修理できる場合がある。
【直し方】
「つまり」は、まず「どこが」、「どんな理由で」つまっているのかを確認する必要がある。原則的につまりをチェックする場合には、最終的な排水場所である排水口(洗濯パンやふろ場の排水口)からチェックしていく。
バケツに水を張り、排水パンや排水口に直接水を流すのだ。その時きちんと流れれば問題なしだが、排水口に水が流れていかないのであれば、排水口の清掃が必要になる。
排水口掃除は、業者も対応しているが、簡単な排水つまりであれば、薬剤や、道具をホームセンターで購入して、自分で直すこともできる。パイプフィニッシュなどの液体の薬剤や、パイプクリーナーといったワイヤー式のパイプ洗浄ブラシを使う。どちらもホームセンターで販売しているので、購入して試してみよう。
業者に依頼すると、まったく同じものを使っていることもある。人件費や作業費が発生するよりは、道具代だけで安く済むというメリットもあるので、ぜひ挑戦していただきたい。今後同じような異常が起こったときに、対応できるようになる。
排水ホースのつまりは、基本的に髪の毛の塊や、洗濯ごみの塊がホース内に詰まっていることがほとんどだ。ゴミが洗濯洗剤によって固まってしまい、排水を阻害しているのが原因だ。
対処方法としては、熱湯を通して洗剤をとかし、ホース内を綺麗にしてつまりを直す方法と、排水ホース自体を交換する方法がある。
古い排水ホースの場合は、また同じような異常が起こる可能性が高いため、新しい排水ホースに交換する方が経済的だろう。排水ホースは、どんなタイプでも使える排水ホースがホームセンターなどで販売しているので、長さを確認した上で購入して交換しよう。
洗濯機本体の排水口のつまりは、分解作業が必要な場合には、業者に依頼して掃除をしてもらおう。自分で分解はできるかも知れないが、改めて組み立てなおすとなると、特殊な技術が必要になることもあるため、あまりおすすめしない。組み立てが不十分で新しいエラーが起こる可能性もある為、素直に業者に依頼しよう。
乾燥が不十分
国内メーカーのドラム式洗濯機は、乾燥機も併用していることがほとんどだ。洗濯や脱水に関しては、問題がないものの、乾燥だけが不十分という場合には、機械の異常だけではない原因がいくつかある。
例えば、乾燥容量を超えた洗濯物が入っている場合だ。基本的に乾燥容量と洗濯容量は違う。洗濯容量が10kgだとしても、乾燥容量は、6kgや7kgで設定されている。乾燥が不十分と思って、故障と断じるのではなく、まずは乾燥容量をオーバーしていないかの確認を最初に行うようにしよう。
【直し方】
乾燥容量が基準内で、乾燥が不十分の場合、二通りの問題が考えられる。洗濯物自体の脱水が不十分な場合と、乾燥機の機能事態に異常がある場合だ。
脱水が不十分だと、乾燥にかかる時間は長くなる。脱水機に異常がないのであれば、洗濯物の素材に水を含みやすいものがあるかを確認しよう。バスタオルや、タオルケット、低反発枕などは、水分を含みやすい。脱水時間を少し長めにして、しっかりと水分を絞れば乾燥時間を長くすることなく対応できるだろう。
乾燥機能の異常は、排気ダクトに汚れなどが詰まって、十分に湿気を逃せていない場合だ。排気ダクトは、取り外し可能なものと、洗濯機を分解しないと清掃できないものがある。
メーカーや型式によっても異なるが、もし分解せずに取り外し可能なものであれば、十分に排気ダクトの熱が冷めている状態で、排気ダクトに詰まっている埃やごみを取り除くことで解決する。
上記2点でも乾燥状態が悪い場合は、熱風を作っているヒートポンプや、ヒーターの不調が考えられるため、修理依頼が必要になる。
音が気になる
ドラム式洗濯機の「音」に関するエラーは、意外に多い。
そして「音」が発生するものは、総じて修理依頼をしないと直らないケースがほとんどだ。自分で直せる「音」の異常は、洗濯機の傾きによる脱水時の振動音くらいだろう。それ以外は修理が必要で、その修理も緊急性が高いことが多い。
【直し方】
洗濯機の傾きによる脱水時の振動は、洗濯機を置いている接地面を水平に取ることで改善される。
平地ではない屋外などの場合は、設置面に木材やコンクリートブロックなどを置いて、水平を取れば振動音は改善される。屋内の場合も同様だ。また、振動を抑える特殊なゴム脚なども効果的だ。ホームセンターや大型電器量販店などで販売している。
臭いが気になる
臭いに関する異常は、基本的にドラム内部の臭いか、洗濯をしたはずの衣類が臭いことが挙げられる。
運転中の臭いは、モーターや、内部機構のオーバーヒートが原因のため、自分たちで直そうと思っても直すことは不可能だろう。ドラム内部や、洗濯物の臭いの原因はドラムの外側に付着している「カビ」が原因だ。
【直し方】
ドラム式洗濯機のほとんどには、ドラム自動洗浄機能が付いているものが多い。メーカー推奨では、洗濯を行なうたびに自動洗浄を行なうことをすすめているが、実際に洗濯のたびに自動洗浄を行なっていては、水道代がかかってしまう。そこでおすすめしたいのが、市販されているドラム洗浄用の薬剤を使用した清掃方法だ。
種類も豊富で、1パックで5回使えるものや、1パックで使い切りのものなどがある。どれがいいかは甲乙つけがたい。一番いいのは、ドラム式洗濯機のメーカーから購入できる薬剤と同じ成分のものだろう。メーカー用の薬剤は、ドラム式洗濯機のドラム部分に負荷を与えないような薬剤が使われている。
一度そのメーカーに問い合わせて、薬剤を試しに購入してみよう。薬剤の外側に原材料が表記されているので、その原材料をメモしておいて、メーカー推奨の薬剤と同じような成分のものを購入して使用すれば、安全にカビの除去や清掃が行なえるはずだ。
カビは、時期に関わらず発生するため、1週間に1回程度の頻度でドラムの洗浄を行なえば確実だろう。
まとめ
ドラム式洗濯機の故障の症状とそれぞれの直し方について解説してきた。ドラム式洗濯機は、内部機構が複雑になっているものも多い。
また、メーカー独自の機構を搭載している製品もある。そういった特殊な機構が故障した場合には、自分で修理をしたりせず、メーカー修理や、修理専門業者(街の電器屋さんなど)に頼った方がいいだろう。下手に触って、違う箇所の故障にも繋がってしまうことを考えると、最初から専門業者に依頼することをおすすめしたい。
高価なドラム式洗濯機は、維持をするのも縦型式洗濯機よりお金がかかるということを覚えておいてほしい。