お酒は、プレゼントとしてもらう機会も多い。しかし「日本酒は好きだけど、洋酒はあまり好きではない」という好き嫌いの問題があったり、そもそもお酒が飲めないというケースもある。捨ててしまうのはもったいないため、飲まないお酒が家にたくさんあるという人もいるのではないだろうか。
こちらでは、有名なシャンパーニュ・メゾンであるポメリー(POMMERY)の歴史やシャンパーニュの種類、中でも高級品の「ポメリールイーズ」の買取相場について解説する。
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ポメリーの歴史
ポメリーはフランス・シャンパーニュ地方のランスという場所で創業を始めた。1836年のことである。創業者はナルシス・グレノ氏であったが、20年後にルイ・アレクサンドル・ポメリーが経営に携わるようになり、会社名をポメリー・エ・グレノ社と変更した。しかしそれからわずかに2年後、ルイ氏は亡くなってしまう。後を継いだのが妻であるマダム・ポメリーだ。
マダム・ポメリーは経営者として非常に優秀な人物で、ポメリーの名を世界中に広めることとなる。
デザートワイン
当時、シャンパーニュは甘く、アルコール度数が高いのが一般的で、食後に飲むデザートワインとしての扱いであった。シャンパーニュ地方はもともと気候が冷涼で、糖度の高いワインを製造することが難しい。そのため、「糖度の高いワイン=貴重・上質」という評価にもつながっていたのである。
しかし、甘いシャンパーニュは食事に合わせて飲むことができない。そこで、ここを改善すれば、大きなビジネスチャンスになるのではないかとマダム・ポメリーは考えた。実際にも、当時フランス最大の貿易相手国となっていたイギリスでは、糖度の低い辛口のアルコールが望まれていた。
世界初の辛口シャンパーニュ
マダム・ポメリー率いるポメリー社は、いち早くイギリスに代理店を置き、1874年に世界で初めて辛口のシャンパーニュの製造・販売を始める。マダム・ポメリーがこの決断を下したときには、周囲の大反対があったそうだが、いざイギリスで販売してみると、世界初の辛口シャンパーニュは大ヒットとなり、ポメリー社の名前を一躍有名にした。
ちなみに、辛口シャンパーニュのことをブリュットと呼ぶが、現在ではこのブリュット・シャンパーニュはどのメゾンも製造している。まさに、ポメリー社が現代のシャンパーニュの流れを作り出したといっても過言ではない。
世界中で評価されているポメリー
ポメリーのシャンパーニュは世界中で愛されており、これまでに多くの公式行事で供され、また、著名人に飲まれている。ノーベル賞授賞式祝賀会や日本における大正天皇即位礼御饗宴で採用されたことは有名だ。モナコ国王やグレース・ケリーも愛飲していたという。今も世界の約87ヵ国に輸出されており、シャンパーニュ業界での売り上げはトップクラスを誇っている。
ポメリーのシャンパーニュの特徴と種類
世界初の辛口シャンパーニュを製造したことから、ポメリー社は革新的と思われがちであるが、シャンパーニュ自体は非常に繊細な味を表現している。スッキリと爽やかでありながら、まろやかで飲みやすい。どこか女性的な味わいである。
かのマダムポエリーは「シャンパーニュ造りは芸術」という言葉を残しており、現在でもポメリー社は芸術を意識したシャンパーニュ造りをしている。社にはエミール・ガレの制作した巨大な木樽があるそうだ。以下では、ポメリーのシャンパーニュをいくつか紹介する。
ブリュット・ロワイヤル
ポメリーの中では最もスタンダードな辛口シャンパーニュである。あっさりした白身魚の料理や塩味の野菜の天ぷらなどに合うとされている。
ブリュット・ロゼ
「ブリュット・ロワイヤル」のロゼ版である。ピンク色のボトルデザインがオシャレで、女子へのプレゼントにも最適だ。「ブリュット・ロワイヤル」よりはややこってり目の料理、西京焼きや鴨のローストなどに合う。
ロワイヤルブルースカイ
辛口シャンパーニュが代名詞のポメリーの中では珍しい、甘口のシャンパーニュである。氷を入れて飲むスタイルで、その名の通りスカイブルーのボトルが非常に目を引く。夏場のパーティシーンにも似合うデザインである。
シーズナル
ポメリーには、四季を楽しむための季節限定シャンパーニュがある。「スプリングタイム」・「サマータイム」・「フォールタイム」・「ウィンタータイム」の4つで、ボトルデザインにも季節感を表現するための工夫が凝らされている。
ポップ
200mlサイズのシャンパーニュである。一般的なシャンパーニュのサイズは750mlであり、「誰かと一緒に楽しむ」というイメージがあるが、この「ポップ」は1人で飲み切るのにちょうど良い。ストローを使ったり、そのまま口をつけて飲むなど、これまでにはない新しいシャンパーニュスタイルを提案した製品である。
クロポンパドール
生産本数が少なく、ポメリーの中で最も希少性の高いシャンパーニュである。ポメリーの敷地の決まった畑から採れるブドウのみを使い、瓶内で10年間熟成することによって製造されている。さらに、現時点で出されている「クロポンパドール」は収穫年も単一年に限定しており、その年のブドウの味をダイレクトに味わえるシャンパーニュだ。
最高級のヴィンテージ・シャンパーニュ「ポメリールイーズ」
前述したようなシャンパーニュの他に、ポメリーには最高峰と位置づけられるヴィンテージ・シャンパーニュがある。それが「ポメリールイーズ」だ。しかし一口にルイーズと言っても、「ポメリーキュヴェ・ルイーズ」「ポメリーキュヴェ・ルイーズ・ロゼ」「ポメリーキュヴェ・ルイーズ・ナチュール」の3種類あるので、以下でそれぞれについて説明しよう。
ポメリーキュヴェ・ルイーズ
シャルドネを主に使用し、ピノ・ノワールをブレンドしている。ルイーズ全てに言えることだが、ブドウのできの良い年しか製造されない。柑橘系のスッキリした味わいと、熟成されたことによるバターのようなまろやかな香りが特徴である。
ポメリーキュヴェ・ルイーズ・ロゼ
ルイーズの特徴に加えて、ロゼならではの豊潤な味わいも持っている。イチゴやリンゴ、モモのような香りが感じられる。肉料理や魚料理、フルーツ、デザートなど合わせられる料理が幅広い。
ポメリーキュヴェ・ルイーズ・ナチュール
熟成した、糖度の高いブドウを使用している。ドサージュもしていないため、ブドウそのままの味を楽しむことができる1本である。魚介類などとの相性は抜群である。
ちなみにドサージュとは、混ぜ物のことだ。通常のシャンパーニュは澱の除去をした後に減った容量を、甘味を足したリキュールで補っている。ドサージュをしていないシャンパーニュはノン・ドサージュと呼ばれ、よりブドウの味そのままを楽しむことができ、近年人気が高まっている。
スタンダード
シャンパーニュを売買するときに、よく耳にすることとなる「ランク・グレード」についてもふれておこう。このランクは瓶やラベルに記載されていないことも多いので、大まかな見分け方を覚えておくと便利だ。ランクは3つある。
1つ目は「スタンダード」ランクで「ノン・ヴィンテージ」と言われることもある。ブドウの収穫年にこだわらず、複数年のワインをブレンドして製造されている。価格が手ごろで購入しやすいのが特徴だ。
3,000円から7,000円前後で販売されていて、ラベルに年号の記載がなければ「スタンダード」と考えて良いだろう。
ヴィンテージ
2つ目は「ヴィンテージ」ランクだ。単一年に収穫されたブドウから製造される。手間がかかるため、「スタンダード」より価格は高くなるが、その年のブドウの出来がダイレクトに分かる。ラベルに、年号や「Millesime(ミレジメ)」、「Vintage(ヴィンテージ)」などの記載があればこのランクに該当する。
プレスティージュ
3つ目のランクは、最高級の「プレスティージュ」である。最も手間暇をかけて製造されており、それぞれのメゾンを代表する最高級シャンパーニュである。このランクに属するシャンパーニュはラベルにその旨が記載されているわけではなく、見分け方が難しい。
中には「プレスティージュ」でありながら「ヴィンテージ」に属しているものもある。簡単な見分け方法はやはり価格で、1万円以上するものであれば「プレスティージュ」と考えられる。
ポメリールイーズを購入するには
有名なポメリーの中でも最高峰に位置づけられる「ポメリールイーズ」を、せっかくだから購入したいと思う人もいるだろう。製造年に特にこだわらなければ、「ポメリールイーズ」は輸入食品店やお酒の通販ショップ、オークションサイトなどで購入が可能だ。販売価格は、「ポメリーキュヴェ・ルイーズ」は29,000円前後、「ポメリーキュヴェ・ルイーズ・ロゼ」が大体46,000円で売られているが、この価格は箱付きの場合である。
プレスティージュ
箱がついていないものとなると、価格はもっと安くなる。「ポメリーキュヴェ・ルイーズ・ナチュール」に関しては、非常に希少で残念ながらほとんど出回っていないが、2004年物を30,000円程度で販売しているショップがある。
お店によって販売価格が大きく異なるというのが、ポメリーに限らずお酒全般に言えることだが、安さに惑わされすぎず、信頼できるところできちんとした品質のものを購入するようにした方が良いだろう。
ポメリールイーズを売る際の注意点と買取相場
では、「ポメリールイーズ」を売却したいときには、どのようなところに気をつければ高値がつくのだろうか。
保管状態
「ポメリールイーズ」だけではなく、お酒を高値で買い取ってもらうためには保管状態が非常に重要である。直射日光があたるような場所に置きっぱなしにしていて、見るからに品質が劣化しているようなものは、元がどれだけ高価でも買取価格は下がってしまう。
保管状態に気を付けて、飲まないと分かっているときにはできるだけ早く売却することがコツである。
外箱
さらに、外箱の有無も査定金額に大きく影響する。各サイトやショップでの販売価格を見ても、外箱のあるなしでは大体数千円程度の価格差がついている。箱がついている場合には、捨てないで必ず取っておくようにしよう。
他の付属品がある場合も同様だ。また、お酒は置いておく期間が長いと、その間に品質がどんどん劣化してしまう。そのため、お酒の売買実績が少ない買取業者やリサイクルショップだと、買取をしたがらないことも多い。
「ポメリールイーズ」を高値で売却したいのであれば、お酒専門の買取業者を中心に、複数のお店に査定依頼をするのがおすすめだ。
オークションサイト
ヤフオクなどのオークションサイトを利用するのも良いだろう。ただしその際には、先に買取業者に宅配査定などを依頼して、品質劣化や真贋をチェックしてもらってから出品するようにしよう。品質が劣化しているものや偽物を出品すると、トラブルに発展したり、場合によっては犯罪となってしまうこともある。
ちなみに、2019年2月時点の買取相場は、「ポメリーキュヴェ・ルイーズ1990年」がラベルに難ありで15,500円前後、「ポメリーキュヴェ・ルイーズ2004年」が箱付きで10,000円前後となっている。平均して大体12,000円程度が買取相場のようだ。
まとめ
今回はお酒好きの方におすすめの、有名なシャンパーニュ・メゾンであるポメリーの歴史やシャンパーニュの種類、中でも高級品の「ポメリールイーズ」の買取相場を紹介した。最高峰に位置づけられる「ポメリールイーズ」を、せっかくだから購入したいと思う人は、製造年に特にこだわらなければ、輸入食品店やお酒の通販ショップ、オークションサイトなどで購入が可能だ。
偽物も出回っている可能性があるため、安さに惑わされすぎず、信頼できるところできちんとした品質のものを購入するようにした方が良いだろう。ぜひ買取をうまく利用しながら、コレクションを楽しんでいただきたい。