フランス人女性画家・彫刻家のマリー・ローランサンは、パステル調の女性らしい繊細さ、そして柔らかさで日本人にもファンが多い画家だ。そのマリー・ローランサンがかつて残してきた作品は、現在どのくらいの価値があるのだろうか。今回は、マリー・ローランサンの絵画・作品の買取相場をまとめてみた。自宅で眠っている作品、壁に飾ったままの作品を手放そうか考えている人は注目だ。
本記事のポイント
- マリー・ローランサンはパリの貴婦人たちの間でステータスとなったほどの作家
- パブロ・ピカソも注目していた
- メルカリやヤフオクでの落札状況は?
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フランス人画家のマリー・ローランサンとは
20世紀前半のフランス女性画家で彫刻家のマリー・ローランサンは、キュビズムの作家としても知られる。ドイツ人との結婚を機に、第一次世界大戦にはバルセロナでの亡命生活を送っていたが、戦後はフランス・パリに戻り、再び画家として活躍する。
パステル調の色づかいが特徴のマリー・ローランサンの絵画。フェミニンな絵で人気を集め、一躍売れっ子画家となった。マリー・ローランサンに自身の肖像画や自画像を描いてもらうことがパリの貴婦人たちの間でステータスとなっていたほどだ。華やかで美しい女性が描かれている作品は、マリーローランサンの没後から50年経った今でも、根強いファンがいる。
長野県にはかつて美術館も存在した
1983年には、長野県茅野市の蓼科湖畔にマリー・ローランサン美術館がローランサンの生誕100年を記念して作られた。しかし1990年代には次第に観光客が減少していき、2011年9月30日に閉館となった。
この美術館にはマリーローランサンの作品がおよそ500点以上も収蔵されていた。現在では世界各地で巡回展示がおこなわれている。2018年3月24日から2019年1月14日までには、東京都内でマリーローランサンの水彩原画12点が特別公開される企画展がおこなわれていた。
キュビスムの作家だったマリーローランサン
キュビスムとは20世紀初めのフランス絵画の一派で、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックによって創始された。「キュビズム」、「キュービズム」とも呼ばれる。これまで一つの視点から描かれていたものが、あらゆる角度から見て1つの画に収めたのがこのキュビズムという現代美術動向の1つだ。
当時洗濯船(バトーラヴォワール)というアトリエに参加していたマリーローランサンは、同じ時期に参加していたパブロ・ピカソの絵画に影響され、さらなる絵画のセンスを高めたのだ。パブロ・ピカソもまた、マリー・ローランサンの才能に目を留めていた。その後は、特徴的なパステル調の作風で描くようになり、キュビズムからは脱するようになった。
マリー・ローランサンの代表作
有名なマリー・ローランサンの作品がこちらだ。詩人アポリネールと離婚後はバイセクシャルを公言していたマリー・ローランサンは、その後ずっと、フェミニズムを感じさせる女性の絵を描き続けた。
代表作
- 招待(1908年)ボルチモア美術館
- 二人の少女(1915年)テート・ギャラリー
- シャネル嬢の肖像(1923年)オランジュリー美術館
- 接吻(1927頃)マリーローランサン美術館
- 花摘む少女(1948年)個人所蔵
あの有名テレビ番組でも飾られていた
お昼の人気TV番組徹子の部屋には、かつてマリー・ローランサンの絵画が飾られていた。第1回の放送(1976年)から1990年の24年間と、長期間にわたって飾られ続けていたが、現在は外されている。また、マリー・ローランサンの絵画が飾られているセットの回を再放送する際は、著作権の関係で、絵画にぼかしが入るようになっている。
マリーローランサンの絵画買取価格
マリーローランサンの絵画は現在ではいくらくらいの値段価格で買い取ってもらえるのだろうか。絵画買取専門店、メルカリ、ヤフオクの3つを調べてみた。
絵画買取専門店
美術買取では大手の八光堂は、マリーローランサンの買取実績として、「女性像」125万円を紹介していた。
ネット上で確認できるマリーローランサンの絵画・作品の買取価格は、広島市のワールドギャラリーの1店舗のみ確認できた。作品はマリーローランサンのリトグラフ (石版画)で115,000円だ。
多くの絵画買取専門店では買取価格を公表していなかったが、その一方で販売価格は積極的に提示している業者がいた。東京・銀座のおいだ美術では「ジュディス」が77,000円、「舞台稽古」が77,000円、「ロザベル」85,000円、「兎の家のアリス」147,000円、「アリスの眠り」160,000円、「歌」が457,000円など。
多くの作品が、かなり長期間売りに出されている印象があるが、販売価格から買取相場もなんとなく想像できるだろう。そして、タイトルによって価値にかなりの差があるということも合わせてお分かりいただけるだろう。
メルカリ
メルカリは個人間売買の場なので、レプリカが販売されていることもある。低価格で出品されているものは、マリー・ローランサンの絵画のレプリカの可能性が高い。
メルカリで売れていた作品例
- 「ジュリエット」(銅版画)30,000円
- 「人物画」(版画)25,000円
- 「二人の女性」(リトグラフ)24,000円
- 「椿姫」(リトグラフ)22,500円
- 「ギター」(リトフラフ)15,000円
- 「アラベスク」(リトグラフ)12,000円
以前に、「二人の女性」を古物商許可をとっている画廊が73,000円で出品していたことがある。また、フランス著作権協会(ADAGP)で承認済みの自筆サイン付きの絵画(タイトル不明)が、サイン付きはやはり価値が高い期待から、売値が高く設定されていた。これらの商品はまだ買い手がついていなかった。高額の商品はなかなか売りづらい印象だ。
ヤフオク
ヤフオクではマリー・ローランサンの絵画が多く出品されている。一番高値で出品されているのが220,000円での出品だ。その後に100,000円台が並ぶが、入札は0件となっている。>オークションの場であっても、やはり原価よりも複製画やリトグラフはさらに安価な落札となる。
全体的に見てもメルカリ同様、購入歴は少なく、個人間売買の場ではマリー・ローランサンのような価値のある絵画は売りにくいことも伺える。もし手元にあるマリー・ローランサンを売りたい場合は、絵画専門の買取店に依頼をしたほうがスムーズではないだろうか。
高額買取のコツ
実際にマリー・ローランサンの作品を売る際は、ちょっとしたことで査定額がアップする可能性もある。特に絵画買取専門店では、メルカリやヤフオクのようにこちらで価格を決められない分、少しの配慮でグンと査定額がアップするものだ。ここではそのポイントを紹介しよう。
カタログ・レゾネに掲載されているか
カタログ・レゾネとは、マリー・ローランサンの全作品の年代や技法、寸法、部数などが記されている総カタログだ。ここに掲載されているものは、いわばマリー・ローランサンの傑作集ともいえるものだ。これらは高額買取されるケースが多い。ちなみにカタログ・レゾネでは、版画、油彩など製作スタイルに合わせて冊子が分かれている。
鑑定書があるか
マリー・ローランサンの絵画・作品の場合、贋作(がんさく)つまりニセモノが出回っていることも多く、本当にマリー・ローランサンの絵画かどうかは、正式な真贋鑑定をする必要がある。ただその場合は費用も日数もかかってしまうため、サクッと売りたいという場合には割に合わないだろう。しかしその分、鑑定書があれば買取評価額も高くなる。
サインがあるか
キャンバス裏面にサイン、枠が付いているものはその枠にもサインがあると高額買取となる。”Marie Laurencin”とブロック体で書かれているか、筆記体を崩したサインのどちらかで書かれていることが多い。
サインはマリー・ローランサン本人が書いたものを示すものであるが、実際に本人が書いたかどうかは、サインだけでは素人が判断するのは難しい。上記でもお話しした真贋鑑定が必要である。
複数作品をまとめて売る
マリー・ローランサンの作品が他にもある場合、ぜひまとめて査定に出してみてはいかがだろうか。買取業者では多くの場合、まとめて査定に出すと買取額を何%かアップしてくれることがある。マリー・ローランサンの絵画も、業者によってはまとめて売ることで査定額を上げてくれる可能性がある。査定に出す際は、複数の業者からしっかり見積もりを取り、まとめて売った場合どこが一番高く買い取ってくれるかしっかり見極めよう。
査定のマイナスポイント
版画作品の場合、経年劣化による退色、押入れの奥に長らくしまっておいたものは、日本特有の高温多湿によりカビがついてしまうことがある。白くなっているのはカビの恐れがある。また絵画の場合は、虫食いや焼けなどのリスクもあるので要注意だ。
長期保管していたマリー・ローランサンの作品を査定に出す場合は、隅から隅までチェックしておこう。そして、あらかじめキレイにできる場合はなるべくキレイにしておこう。
出張買取に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは、20年以上の経験を持つ各分野の鑑定士が査定しているという。買取方法は宅配もしくは出張買取。取引に納得がいかない場合に、8日以内であれば返金に対応するクーリングオフをおこなっている。
ギャラリーリッチ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ギャラリーリッチは大阪にある画廊で、絵画の買取もおこなっている。オークションへの出品代行も実施しているため、面倒な手続きなしで手持ちの作品を出品することも可能だ。
マリー・ローランサンの絵画も買取と販売の両方をおこなっており、これまで「女性と犬」「犬と鳥と女」「冠をかぶったミューズ」などを取扱ってきた。出張エリアは基本的に大阪となり、そのほか遠方は問い合わせが必要となる。
LINE査定に対応している買取業者
シバヤマ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画の専門的な知識が豊富なArt&artistic frame シバヤマは、日本画から洋画、海外作家など多くのジャンルの絵画の取扱いをおこなっている。店内には、ギャラリーも併設されており、様々な作家の作品を楽しめると人気だ。
フランス出身の画家マリー・ローランサンの作品が豊富で、特にマリー・ローランサンの作品を象徴するリトグラフ技法で描かれた女性画を多く買取・販売しているのが特徴。マリー・ローランサン作品の需要が高いだけに、高価買取が期待できるかもしれない。依頼する場合、LINEを使った査定後の買取方法は、持ち込みか郵送となる。
おいだ美術
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
おいだ美術は、先ほど多く販売例を紹介したように、マリー・ローランサンの作品について、度々展示会なども開催しており、多数の買取実績がある。
これまで「花を持つ乙女」「笛を持つ少女」「歌」など、多くのマリー・ローランサンを買取っているため、安心できそうだ。持ち込み・宅配買取が可能で、LINE査定と合わせて利用できる。出張買取については、要相談だ。
まとめ
フランスの女性画家であるマリー・ローランサンの絵画の買取価格は大体数万円〜100,000円前後が相場という結果になった。絵画買取専門店ではあまり詳細な価格は出していない。ということは競合店同士で買取価格がかなり違うということもあるだろう。
また、マリー・ローランサンは作品の数も多く、もちろんタイトルによって買取価格が変わる。なのでマリー・ローランサンの絵画・作品を査定してもらう場合は、複数の業者に問い合わせてみるのがいいだろう。ぜひ納得する金額でマリー・ローランサンの作品が売れることを祈っている。