マンション買い替えを計画通りに進める上で、古い物件が売れない状況は最も避けたいトラブルだ。マンション物件が売れない時に生じる問題は、先売り・先買いといった方法によってその内容が大きく異なる実態がある。また買い替えを行う人に経済的余裕がある場合は、売れない状況も大きな苦にならない傾向もあるようだが、不要な不動産をいつまでも所有し続けるから生まれるデメリットを考えると、1日でも早く手放すことが全ての売り手の理想となるだろう。
今回は、マンション買い替え時の質問で非常に多い「売れない場合はどうなるのか?」という皆さんの疑問を、先売り・後売りというパターン別に解説していきたい。
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マンション買い替えにおける「先売り」とは?
買い替え初心者でもリスクの低い先売りは、その名のとおり「古いマンションを先に売り、そのお金をローン完済や次の物件の購入資金にあてる」という方法だ。ここではまず、実際の不動産業界で行われている先売りの流れとともに、この方法を使ってマンション売買をする際のポイントを簡単に解説しておこう。
先売りは価格相場の把握から始まる
買い替えなどでマンション売却を行う際には、まず売り手自身が物件の相場を調べる作業を行わなければならない。インターネットの普及する今の時代は、下記のサイトや方法を使って自分の不動産に近い相場情報の調査を行える。
- ・地価公示
- ・不動産価格指数
- ・都道府県地価調査
- ・レインズマーケットインフォメーション
こうしたサイトに目を通すと、この地域で自分のマンションに似た物件がいくらぐらいで売れているのかの把握ができる。また同じ建物内に売り出し中の物件がある場合は、より高い精度でマンションの相場が見えてくることだろう。
物件を売りに出すまでのやり取り
おおよその相場の把握ができたら、次は不動産会社(仲介業者)を探す流れとなる。この際、多くの業者から相見積もりをとるのが面倒といった場合は、今話題の一括査定サイトを使ってみても良いだろう。
メールや電話などのやり取りを経て信頼できる会社が見つかったら、媒介契約によって仲介を依頼する形となる。契約方法には、一般媒介契約の他に専任媒介契約、専属専任媒介契約といった種類もあるため、自分に合ったものを選ぶことも忘れないようにして欲しい。
媒介契約を結ぶと何をしてもらえるの?
媒介契約を結んだ仲介業者は、売り手のためにさまざまな販売活動を行ってくれる。例えば、REINS(指定流通機構)にマンション情報を登録すれば、全国の加盟不動産業者がその内容をチェックできる形となる。
またインターネットやチラシなどにも広告を出してくれるため、この契約を結ぶことにより幅広い人達に自分のマンションの存在を伝えやすくなると言えるだろう。また不動産会社は、売り手に代わって購入希望者との調整や交渉なども行ってくれる。
マンション売却に欠かせない内覧対応
先売りにおける難所とも言える内覧対応は、購入希望者にマンション魅力を伝える上で欠かせないステップとなる。
内覧のスケジュールは、基本的に買い手の希望日に合わせるのが理想となっている。また当日までにはマンション内の専有部分だけでなくベランダや廊下などの共用部分も綺麗にするのが一般的となるため、将来的に先売りで買い替えを考えている人は少しずつ掃除や片付けなどを進めておくのが理想となるだろう。
交渉・情報開示・売買契約
内覧者の中に購入の意思が強くなった人がいた場合は、価格やリフォーム、引き渡しスケジュールに関する交渉や、物件の瑕疵の情報開示を経て契約へと進む流れとなる。
後々のトラブルを防ぐためには、契約前の段階でマンション物件の欠陥や不具合を相手方に伝えておくのが誠実な対応となる。瑕疵を含めた諸条件に合意ができたら、売買契約の際に買い手から手付金を受け取るのが一般的な流れだ。
引き渡しまでにも行うべきことはたくさんある
売買契約が完了しても、売り手側には引き渡し準備やローン解約、抵当権の抹消といった多くの手続きが残っている。解約前に行うローンの完済では、買い手から受け取った売買代金が充当されるのが一般的となっている。
ローンの完済ができない場合は、次のマンション購入時の費用と併せて住み替えローンなどの契約を検討しなければならない。また現段階で次のマンション購入を終えていない時には、仮住まいをする賃貸物件を見つける必要もあるだろう。
購入の流れは比較的シンプル
先売りのメインとも言えるマンション物件の売却が済んだら、次は比較的シンプルな流れで進む新しい物件の購入手続きに移る形となる。自分の条件に合うマンションが見つかった後は、仲介業者との売買契約や手付金の支払い、住宅ローンの契約といった流れで手続きが進んでいく。
ローンについては不動産会社でも金融機関などの紹介をしてくれるようだが、より負担の少ない契約を希望するなら、自分自身でも情報収集や比較検討を進めておく必要があると言えるだろう。
マンション買い替えにおける「後売り」とは?
前述の先売りと対照的な後売りは、下記のとおり何かとデメリットが目につきやすいマンション買い替え方法だ。それなりに金銭的に余裕のある方々が欲しいマンション物件を確実に手に入れる上では、先売りよりも後売りに挑戦した方が遥かに高いメリットが得られる。
しかし人によっては後売りの難点により売買が失敗することもあるため、必ず下記のような注意点に目を通しておく心掛けが必要だ。
資金計画の立てにくい後売り
先に欲しいマンションを買ってしまう後売りの場合、今現在住んでいるマンションが「いくらで売れるのか?」や「本当に誰かが買ってくれるのか?」といった部分が大きな不安要素となる。
こうした難点のある後売りでは、後々まで具体的な売却額がわかりにくいという理由で、資金計画についても複数パターンのシミュレーションをしておく必要がある。また後々入ってくる売買金額をイメージするためにも、相場の調査も欠かせないと言えるだろう。
二重ローン
手持ちの現金や預金で古いマンションのローン完済をしないまま新しい物件を購入した場合、2つのローンを契約するダブルローンに陥る可能性が高くなる。それなりに金銭的余裕がある人からすれば、二重ローンによる月々の支払額の増はそんなに負担に感じられないかもしれない。
しかし病気や転職により収入が減少すると、二重ローンの支払いが大きく生活を圧迫するため、後売りで高いマンションの購入を考えている人は注意をして欲しい。
ローン審査が通らないこともある
古いマンションの残債が残った状態で新しい物件購入をしようとすると、積み上がったローン総額があまりにも大きいことにより、審査に通らなくなる可能性もでてくる。銀行などのローン審査の条件には、申込者の年収や職業、今までの支払い実績といった信用情報が大きく関係してくる。
また年収と比べてあまりにも借り入れ希望額を含めた総額が大きい場合は、古いマンションの残債を完済しない限り審査通過は難しいと捉えた方が良さそうだ。
買い替え特約
後売りでマンション売買をする方々に注目されているのが、買い替え特約を付ける契約方法だ。
住宅購入をするにあたり、「一定期間内に自宅のマンションが希望額で売れなければ、この物件の契約を白紙に戻して欲しい」といった停止条件の付けられる買い替え特約は、前述のように後売りによるさまざまな不安を抱える方々にとって嬉しい契約法として高く注目されている。しかし売り手と買い手の間で契約を結ぶ買い替え特約は、多くの売り主が嫌がる難点もあるため、過度な期待は禁物と捉えた方が良さそうだ。
先売りによる買い替えでマンションが売れないとどうなる?
大変リスクの低い先売りでも、マンション売却ができなければ下記のような悪循環が増大していく。
ローン返済が終わらなくなる
先売りでマンションが売れない時に生じる最大の問題は、期待していた金額がいつまで経っても入らないことにより、新たなマンション購入前に終わっておきたいローンの完済が難しくなる点だ。
それなりに貯金がある人なら、「自分のポケットマネーから立て替えておこうか?」といった案も生まれるかもしれない。しかしマンションが売れる確証のない段階で自分が長年貯め続けてきたお金を使ってしまうのも、かなりリスクの高い行動だと言えるだろう。
次のマンション購入の軍資金も得られなくなる
子供たちの自立や離婚、地方へのIターンなどの理由でランクダウンの買い替えを行う際にも、古い物件が売れない状況は大きなデメリットとなる。
例えば、東京都心のマンション売却によってローン完済+αの金額が入ることを想定する方々は、そのお金を新たな物件の購入資金に当てようと考えている。しかしいつまで経っても古い物件が手放せなければ、単純に軍資金が減るだけでなく、新旧2つのマンション分の固定資産税なども発生してしまうのだ。
気になるマンション物件を諦めざるを得なくなる
こうした状況に陥った方々の多くは、以前から興味を示していたマンション購入を諦めざるを得なくなる。
前述のとおり、ある程度の預金があれば、新しいマンションを先に手に入れる後売りという方法に方向性を変えることもできるだろう。しかし最初に先売りを選ぶ方々の多くは自分が当初から考えている資金計画での買い替えを希望する傾向があるため、先売り→後売りといった方向転換は非常に難しいと捉えた方が良いだろう。
スケジュールどおりに引っ越しができなくなる
古いマンションがなかなか売れない状況は、今までご紹介した金銭面だけでなく、引っ越しなどのスケジュールにも大きな支障をもたらす。
例えば、結婚や子供の進学などのライフイベントを機に先売りでマンション買い替えを考えていた場合、売却がスムーズにできなければ当然、仮住まいで暮らす期間も長くなってしまう。また普段の仕事や学校が忙しい家族の場合、予定よりも売却が1ヶ月遅れるだけで、みんなの引っ越しに向けたスケジュール調整もかなり難航すると言えそうだ。
仕事や日常生活に支障が出る
いつまでもマンションの買い手が見つからなければ、それだけ長い期間の内覧対応も必要となってくる。また仲介業者の担当者との連絡も、3ヶ月以上の長きに渡ると仕事に支障が出るほどのストレスになってしまうケースも少なくないようだ。
また引き渡しや引っ越しのスケジュールが決まらないモヤモヤも、仕事への集中力を大きく下げる要因になると言えるだろう。
売り出し価格を下げざるを得なくなる
転校や転勤、結婚といったライフイベントによるマンション買い替えの場合、予め設定したタイムリミットまでに売買を完了させなくてはならない。そのため、あまりにも長く売れない状況が続くと、多くの人が二束三文とも感じられる安値で妥協をする実態があるようだ。
こうした形で古いマンションを手放せば、いつ売れるかわからないことによる不安などは解消できる。しかし売却によって得られる金額がかなり低いと、資金計画の立て直しも必要となるだろう。
ダブルローンもしくは住み替えローンを選ぶ形になる
自ら設定したタイムリミットによって早く引越し先を決めなければならない場合、古いマンションの売却に至っていなくても新たな物件を探し始めるしかなくなる。こうした状況下で新たなマンションを購入すれば、ダブルローンもしくは住み替えローンの利用により資金計画が大きく変わってしまう。
しかし将来的に家族が増える、子供が大学などに進学する予定がある場合は、今回のダブルローンによって決まった金額を本当に支払い続けられるのかを考えた方が良いだろう。
仲介業者の変更に至る
どんなに古いマンションが売れなくても、ダブルローンを組めるだけの余裕はないといった場合は、多くの人が仲介業者を変える方向に動き出す実態がある。新たな業者の売却活動が功を奏せば、今までの不安を一掃するほどの流れでマンション売却に至ることだろう。
しかし今の時代は内覧対応にサクラを送り込んでくる悪徳業者も大変多い実態があるため、簡単に業者変更を行う前に、理想的な不動産会社の選び方や注意点などを再確認しておいても良いだろう。
マンション買い替えを諦める人も少なくない
自身が設定したタイムリミットまでにマンション売却ができない場合、転勤先などへの引っ越しを済ませる必要性や、ダブルローンを組めない状況により今回の買い替えを諦める方々も少なくない実態がある。
また中には、万が一マンション売却が上手く進まなかった時のために、賃貸物件として誰かに貸すことを検討している方々も少なからず存在しているようだ。しかし不要なマンションの賃貸には貸主にさまざまな負担が生じるため、注意をして欲しい。
後売りによる買い替えでマンションが売れないとどうなる?
続いて、後売りの方法でスタートしたマンションが売れない時の問題について、具体的に生じ得る状況を見ていこう。
ローンが払い終わらない
最初に新しい物件を購入する後売りにおいても、マンションが売れなければ当然、古いローンの支払いに頭を悩ませることとなる。例えば、「3ヶ月後ぐらいには売却できるだろう」という安易な予測でダブルローンを組んだ場合、4ヶ月経ってもマンションが売れなければ当初の資金計画が失敗となってしまう。
またこの段階で古いマンションの割引をすれば、売却できたとしても即座にローン完済できるだけのお金は得られにくくなると言えそうだ。
マンションの相場が下がっていく
売却のスケジュールに余裕を持つ人が多い後売りの場合、あまりにもゆっくり売却活動を行なっているとマンションの価値が下がる問題が出てくる。
また時間がかかっても高値で売りたいと思っても、中古物件の需要におけるボーダーラインとも言える10年を過ぎた物件は、その価値がどんなに高くても注目してくれる人も激減すると捉えた方が良さそうだ。
売り手のモチベーションも下がっていく
次の住み家が最初に決まる後売りの場合、売却活動におけるモチベーションの維持が非常に難しいデメリットもある。
マンション売却が決まらない限り先に進めない売り先行の場合、面倒な内覧対応もローン完済や軍資金調達に向けて一生懸命行う人が多い実態がある。これに対してお気に入りの物件を早々と手に入れてしまえる後売りの場合は、なかなか物件が売れない状況が長引くと、売却活動に消極的になる人が多いとも言われている。
売却ではなく賃貸に切り替える人もいる
そんなにお金に困っていない人の場合、面倒な売却活動をやめて賃貸にシフトするケースも少なからず見受けられる。それなりの好立地にある人気の高い間取りのマンションであれば、賃貸による固定収入も十分に見込めると言えるだろう。
しかし前述のとおり古いマンションの賃貸の場合、設備の修理などの費用は貸主が支払う形となる。また固定資産税も発生することを考えると、買い替えから賃貸へのシフトはそう上手くいかないと言えそうだ。
買い替え予定の人がマンションをスムーズに売るためには?
先売り・後売りどちらにも問題を生じさせるマンションが売れない状況は、その多くが売り手自身の努力によって解消できるとも考えられている。また適切な方法を頭に入れておくことにより、売れない場合の次の策を検討しやすくなるため、マンション買い替えを初めて行う方々はぜひ下記のポイントをしっかり確認した上で売却活動を始めるようにしてほしい。
優良な不動産会社選びのポイントとは?
自分のマンションを早く高く売るためには、悪徳業者ではない優良不動産会社と出会う必要がある。一般的には、下記の条件を満たせば信頼できる優良店である可能性が高いと言われている。
- ・査定額の算出根拠がわかりやすく書かれているか?
- ・直近1年間における周辺地域の成約実績があるか?
- ・正確、迅速、丁寧な対応ができる担当者か?
- ・売却マンションのある地域や住宅ローン全般、建物に関する知識が豊富な担当者か?
自分に合った媒介契約を結ぶ
早く確実にマンション売却をするためには、3種類の媒介契約の中から自分に合ったものを選ぶ必要がある。例えば、複数の会社で広告を出してもらいながら売り主自身も売却活動を行いたいという場合は、一般媒介契約がおすすめとなる。
これに対してひとつの専門店の担当者と二人三脚で売却活動を進めていく場合は、営業活動の報告なども週1回以上報告してもらえる専属専任媒介契約が適していると言えそうだ。
自分の優先条件をしっかり持つ
購入希望者への返答を含めた多くの判断が必要となるマンション買い替えでは、売り主自身が自分の希望条件をしっかり固めておくことも非常に重要だと言われている。例えば、ローン完済に向けて絶対にこの金額が必要と考えている場合は、スピードよりも価格重視で売却活動を進める形となる。
またこうした軸が予め決まっていると、万が一売れないことによる問題が生じた時にも、失敗にならない方向で方向性を変えやすくなるとも言えそうだ。もし軸を固める方法に悩んだ時には、相場確認にも活用できる一括査定サイトなどを使ってみても良いだろう。
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