インターネットのオークションで自動車を売買する人が増えている。なかでも代表的な存在が「Yahoo!オークション(ヤフオク)」だ。ほかのサイトに比べて圧倒的にアクセスが多く、外車やスポーツカーを売買するのにも大変に便利である。
しかし、外車やスポーツカーなどの売買には特有の注意点があり、安易に売買をすると思わぬトラブルが発生することもある。この記事では、ヤフオクで外車やスポーツカーを売買する際に起こったトラブル事例を解説していくので、ぜひ参考にしてもらいたい。
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高級外車の売買にかかわるトラブル
高級外国車は中古市場で非常に人気が高い。代表的なものは、「ベンツ」や「BMW」などのドイツ車である。新車では700万円から1,500万円程度の価格帯が中心であるため、一般的な収入の会社員などではなかなか手を出すことができない。
しかし、外国車としては市場に出回っている台数が多いため、値落ちもしやすいという特徴がある。そのため、中古車であればさほど収入がなくても、憧れのドイツ車を手に入れることが可能になるのだ。
安いのには理由がある
中間マージンがほとんどないネットオークションであれば、さらに安く手に入れることができる。ヤフオクの場合は、出品者に約6,000円程度の手数料しかかからないため、安い価格で売り出しても十分に元が取れるからだ。そのため、中古の高級外車を探す際は、中古車の検索サイトだけでなく、ヤフオクなどのネットオークションをチェックすることも一般的になっている。
しかし、オークションで安く売り出されている高級外車には、安いだけの理由もあることに注意が必要だ。
保証がない
高級外車には、ディーラーで購入した「正規輸入車」と、ディーラー以外の自動車販売業者が独自に輸入した「並行輸入車」の二つが存在する。ヤフオクなどで安く売られている高級外車は並行輸入車が少なくない。
並行輸入車はデメリットも多い
ドイツ車に限らず、日本で販売されている高級外車は本国での価格に比べてかなり高く設定されていることが多い。そのため、本国で買い付けて輸入すれば、かなり安く販売することが可能であるのだ。
しかし、並行輸入車は安い分デメリットも多いことに注意が必要だ。「保証」がほとんどないのである。中古といえども、高級外車は数百万円もする買い物であるため、買い手からすればそれなりのアフターサービスを期待してしまうかもしれない。
しかし、そこは「自己責任」であるのがヤフオクなどのネットオークションである。ここをきちんと理解していないと、故障などをめぐってトラブルになる恐れがあるので注意したい。
並行輸入車は売り手にもリスクはある
こういったリスクは、売り手にとっても同じである。並行輸入車を中古車販売店で買った場合、正規保証はなくても販売店独自の保証を付けてくれることが多い。しかし、その車をネットオークションで売却した場合、店の保証は消滅してしまうことがほとんどである。
そのため、売り手は無保証の車を売却することになるため、買い手に「自己責任」であることを十分に納得してもらう必要がある。契約がスムーズに完了したとしても、後から故障などについてクレームをつけられる可能性があるので十分な注意が必要である。
古い外車に多いトラブル
ヤフオクやメルカリなどのネットオークションには、思わぬ「掘り出し物」を見つけることができるという楽しみがある。
ネットオークションには、一般の中古車販売店の店頭には並ばない古い外国車が出品されていることがあり、根気よく探せばかなり安い値段で手に入れることが可能だ。これは売り手にとっても大きなメリットがある。しかし、古い外車には注意が必要だ。
査定がゼロ円
いかにベンツやBMWなどの人気外車といえども、バブル期以降は大量に国内に流通しており、20年落ちのような古い車は国産車同様にスクラップ行きとなる。つまり、古くなると査定がゼロ円になってしまうのだ。
莫大な修理費がかかる
しかし、外車には古い型でも根強いファンがいるため、一般の市場では値がつかないような外車でも喜んで買ってくれる人が一定数存在している。ヤフオクなどのネットオークションは、こういったニッチなニーズをマッチングさせるのに最適な媒体なのである。
しかし、古い車の売買には大きなリスクがあることに注意が必要である。古い外車は安い価格で売買されることが多いが、もともとの車両価格は非常に高い。そのため、少しでも機関に不調が生じると、莫大な修理費が必要になる。エンジンやミッションなどの主要機関が壊れた場合は、10万円の車両価格に対して数百万円の修理代がかかることも珍しくない。ベンツの「Sクラス」やBMWの「7シリーズ」など、新車価格が1,000万以上の車が20年落ちになると、ほとんど値段がつかないのはこういった理由からだ。
こういった古い外車を買ってよいのは、車の知識が豊富で修理なども自分で手配できる人に限られている。売り手も、オークションに出品する際はこういった事情をしっかりと説明しないと、引渡し後にトラブルになる可能性が高いので注意が必要だ。本当にその車が好きだという買い手であるかどうかを見極める必要がある。
クラシックな外車のトラブル
外車・国産車を問わず、車は古くなるにつれて価値が逓減し、やがて査定がゼロ円となってスクラップ行きとなるのが一般的だ。しかし、「名車」と呼ばれる車やあまりに古くなったものは「クラシックカー」としての価値が生まれてくる。
1960年代より前の「フェラーリ」など、市場価格が1億円を超えることも珍しくない。そこまでいかなくとも、1980年代のBMW「3シリーズ」など、少し前までは査定ゼロ円だったものにクラシックカーとしての価値が出てくるといった現象が起こっている。
部品の交換期
ヤフオクなどのネットオークションで人気なのは、このBMWのような手頃な価格帯の「ちょっと古い」モデルである。クラッシックといっても電子制御などが一般化してきた時代であり、日常的に使える車が多い。そのため、売り手も買い手も気軽に取引をする傾向がある。
しかし、1980年代や1990年代の車は「全ての部品の交換期」に差し掛かっていることが多いので注意が必要である。1970年代以前のクラシックカーは、プロの職人によってエンジンから外装まで一通り手が入っていることが多い。しかし、「ちょっと古い」クラッシックモデルは、一度も本格的なオーバーホールを行っていないことが多い。快調に走っていても、突然深刻な故障に陥る可能性があるのだ。
エンジン・ミッションには注意
特にエンジン・ミッションなどの主要機関には注意が必要だ。高速道路などで突然走行不能に至る可能性があり、大きな事故を招く恐れがある。こういった場合、買い手だけでなく売り手も損害を被る可能性がある。
ヤフオクなどでは「ノークレーム・ノーリターン」を条件として売買契約を結ぶことが多いが、売り手が告げなかった事実については「ノークレーム・ノーリターン」が適用されず、責任が問われてしまうということは知らない人も多い。
つまり、故障の可能性について「知らなかった」としても、責任が問われてしまう可能性があるのだ。実際、こういった故障や事故をめぐるトラブルは多く、裁判沙汰になったケースも少なくない。最近でも、売り手に損害賠償が命じられたという判例が東京地方裁判所で出ているので確認しておきたい。
海外のスーパーカーに起こるトラブル
ネットオークションが普及するにつれて、1,000万円を超えるような海外のスーパーカーも売買されるようになってきている。代表的なものがイタリアの「フェラーリ」や「ランボルギーニ」などのスーパーカーである。
日常の整備が困難
これらは値段が高いだけでなく、相当特殊な作りの車両であるため、よほど知識がある人以外はネットオークションでは手を出さない方が無難である。年式が古いものはほとんどレーシングカーのような構造で、日常の整備すら一般の人間には困難である。
特に保証がない場合は、取引自体が運頼みの危険な駆け引きとなるので注意が必要だ。高額な取引になるため、直接取引となるヤフオクでは支払い・回収などの問題が発生する可能性もある。
メンテナンスが大変
ドイツの「ポルシェ」は価格帯が広く、取引台数も多い。また比較的故障が少なく、取引もしやすい。ネットオークションにおける売買の注意点は、「ベンツ」や「BMW」とさほど変わらない。
しかし、少し前の「911・空冷エンジン」はかなりマニア向けの構造であるため、注意が必要である。見た目は最近の「911」と似ているが、エンジンの構造が全く違うためメンテナンスが大変である。毎週エンジンをチェックするのが楽しみな人でないと、維持するのが難しいモデルだ。
ネットオークションで売買する場合はこの点をしっかりと確認しておかないと、故障をめぐるトラブルになる可能性が高い。
スポーツカー全般に起こるトラブル
スポーツカーもネットオークションでは人気のジャンルである。しかし、スポーツカーは「走り」を楽しむものである以上、各部の消耗が激しいことに注意が必要である。
タイヤなどは交換すればよいかもしれないが、エンジン内部の消耗などは簡単にリカバーできるものではない。本格的なオーバーホールが必要なほどエンジンなどがくたびれている場合は、引渡し後に「瑕疵担保責任」をめぐってトラブルになることが多い。メーターが交換されていて走行距離が不明な場合も多いため、売り手・買い手とも現車の確認は慎重に行うことが大切である。
事故車
「事故車」が多いこともスポーツカー特有の問題である。事故車とは「修復歴」のある車のことで、フレームなど車体の骨格部分について交換・修正の履歴があるものを指す。
最近は修正技術が飛躍的に向上しているため、修復歴があってもしっかり直っているのであれば問題はない。しかし、いい加減な修理をされた場合は「まっすぐ走らない」「一定の速度を超えるとハンドルが取られる」ということがあり、非常に危険である。大事故につながる恐れもあるため、売り手・買い手ともしっかり確認しておきたい部分である。
また、事故車であることを隠してネットオークションに出品する人もいるので注意が必要だ。あからさまに「無事故」とは謳っていないものの、「詳細不明」と書いたり、全く触れていないというケースが多い。修復歴の有無はスポーツカーの性能に直接影響するため、車の価値を大きく左右する要素である。しかし、ヤフオクなどではそれを証明することも、判断することも難しいのが現実である。
プロの判断で安全な取引
無事故のスポーツカーがほしい場合は、専門店などで購入することが安全な方法といえる。これは売り手にとっても同様である。修復歴を判断できるのはプロしかできないため、「ガリバー」などの大手自動車買取店に査定してもらうことをおすすめしたい。
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
まとめ
ヤフオクで外車やスポーツカーを売買するときのトラブル事例を見てきた。ちょっとした油断が思わぬトラブルを招いてしまうかもしれないため注意が必要だ。
購入後に多額の修理費がかかってしまったり、メンテナンスが大変だったりすることがあるので、事前にしっかり確認しておきたい。ヤフオクで外車やスポーツカーの取引しようと考えている人は、トラブルを回避するための行動を心がけよう。
個人間でオークション取引するときには、出品者と落札者がお互いに気を付けなくてはいけないことが多い。安全に売買をしたい人は大手自動車買取店を検討するのも良いだろう。