古物商には13品目存在し、美術品類、衣類、時計・宝飾品、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自電車類、写真機器類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革及びゴム製品、書籍、金券類で分類される。近年は新しいものが多く生み出され、定義が難しいものも多く、行政書士や警察へ確認しないと品目がわからないものも多いだろう。しかし、「自動車二輪及び原動機付自転車」に至っては、そもそも何を指し示しているかわからない人もいるのではないだろうか。
調べても、自動車二輪や原動機付自転車、自転車などの明確な違いが簡単に出てこない上、定義もわかりにくいと感じる。そこで、どこまでが範囲か理解するためにも、ここでは古物商における自動車二輪車及び原動機付自転車とはなにか整理していく。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
自動二輪車及び原動付自転車とは
車両としての二輪車の区分は、道路交通法と道路運送車両法がある。運転免許については、道路交通法によって区分がおこなわれている。
道路交通法による場合
- ・原動機付自転車:排気量50cc以下
- ・普通自動車二輪車:排気量50超~400cc
- ・大型自動二輪車:排気量400cc超
道路運送車両法による場合
- ・第一種原動機付自転車:排気量50cc以下
- ・第二種原動機付自転車:排気量50cc超え125cc以下
- ・二輪の軽自動車:排気量125cc超え250cc以下
- ・二輪の小型自動車:排気量250cc超え
自動二輪車とは
自動二輪車を区分するのは少しややこしく、道路交通法によると、普通自動車二輪車(排気量50超~400cc)と大型自動二輪車(排気量400cc超)に分かれる。これを道路運送車両法で区分すると、二輪の軽自動車(排気量125cc超え250cc以下)、二輪の小型自動車(排気量250cc超え)となる。原付との大きな相違点は、(二人乗りOK)、(高速道路OK 251cc以上)というところである。
先に原付を説明したが、原動機を搭載した二輪車をオートバイと呼ぶことがある。けれどオートバイは和製英語なので、法令ではオートバイという語は使われない。よって日本ではバイクや単車、自動二輪車と多様な呼び方をしている。
普通自動二輪車の免許種類
16歳以上から取得できる普通自動二輪車は免許の種類がいくつかある。それが以下のとおりだ。
- ・AT小型限定普通二輪車免許:排気量50cc~125cc(AT限定)
- ・小型限定普通二輪免許:排気量50cc~125cc
- ・AT限定普通二輪免許:排気量125cc~400cc(AT限定)
- ・普通自動二輪車免許:排気量125cc~400cc
また、18歳以上から取れる大型自動二輪車の免許については、以下の2種類となる。
- ・大型自動二輪車免許(大型二輪免許):400cc超(AT限定)
- ・大型自動二輪車免許(大型二輪免許):400cc超
AT限定とはなにか
バイクにも車と同じように、ATとMTがある。これはギアの変速を自動か手動かという違いを示す。ATについては、変速が自動、MTについては変速が手動となっている。AT限定はATのみを操作できて、MTには乗れないことが定められている。
小型自動二輪免許(ATを含む)とはなにか
原付は二人乗りができないが、小型二輪から二人乗りが可能になる。これは交付されてから1年後に可能になる。車体も小さく、比較的気軽に取れる免許である。
普通自動二輪免許とはなにか
中型バイクから主に趣味の範囲に入り、乗りたい人が取得する免許となる。車検があるため費用は掛かり、車体も大きくなるので取得も難しい。高速道路も走れるので長距離も可能になる。
大型自動二輪免許とはなにか
車種によって費用はかなり高額になり、車体も大きいので難易度は高めである。条件として18歳以上でなければ取得できない。
普通自動二輪車免許の取得方法
普通自動車二輪を免許を取得しようと思った場合、所定の手順を踏む必要がある。流れは以下のとおりだ。車と同様、教習所についてはいかなくても免許の取得ができる。
自動車教習所
- ・指定自動車教習所に入学する
- ・適性検査を受ける
- ・学科講習を受ける(大型免許、普通免許、大型特殊免許などを持っている人は短縮)
- ・技能講習を受ける
- ・技能卒業検定に合格する
運転免許試験場
- ・適性試験を受ける
- ・学科試験に合格する
- ・運転免許証を交付してもらう
なお、費用は各都道府県によっても異なる場合があるが、教習所に行っているか否かで異なる。教習所卒業者の場合には、おおむね受験料1,750円、交付手数料:2,050円となる。教習所に行っていない人については、受験料2,600円、試験車使用料1,450円、交付手数料2,050円、取得時講習料12,000円、応急救護講習料4,200円となるようだ。
原動機付自転車とは
原動機付自転車は原付と呼ばれていて、免許は16歳から取得できる。普通自動車免許は18歳であるため、まず原付の免許を取ってから普通自動車免許を取得する人と、18歳で初めて普通自動車免許を取得し、そうすることで原付を運転する資格を得る人もいる。原付には、第1種(道路運送車両法/50cc以下)第2種(道路運送車両法/51cc~125cc以下)があり、原付は主に第1種を指している。
第2種は原付免許、普通自動車免許を取得しても運転はできない。運転するには、小型自動二輪免許以上の免許が必要となる。それでも道路運送車両法による区分はあくまで原動機付自転車である。ヘルメットの着用が義務付けられているが、ミニカーや普通自動車などの扱いとなる場合は除く。
原付免許の取得方法
教習所に通わなくても、運転免許試験場で取得できる。取得の流れは以下のとおりだ。
- 1.適性試験を受ける:視力、色彩識別能力、運動能力の検査
- 2.学科試験で正解率90%以上:交通ルールやマナーに関する試験
- 3.原付講習を受ける:実際運転をして基本操作などを学ぶ
なお、費用は都道府県によって異なる場合があるが、おおむね試験手数料1,500円、交付手数料2,050円、原付講習料4,200円となるようだ。
原付の注意点としては、二人乗りができないこと、速度制限は30km/h以内であること、高速道路は走れないことがある。また、原付のタイプには2種類あって、ギアチェンジするタイプとスクータータイプがある。また変わり種として、ペダル付きの原付があり、ペダルをこいで人力だけでも走行可能である。勿論原付免許で運転でき、自転車感覚で乗れるのも特徴である。
自動二輪車及び原動付自転車と自転車の違い
これまで、自動二輪車及び原動付自転車を調べてきたが、自転車との相違点を探ってみよう。ここでは、自転車について詳しく特性を確認していく。
自転車とは
道路交通法において、自転車はペダルなどによって人力で運転する二輪以上の車を指す。一定の基準内にある自転車は、普通自転車と呼ぶ。
自転車の定義
普通自転車は、「車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの」(道路交通法第63条の3)でとされ、該当する内閣府令である道路交通法施行規則第9条第2項目で以下の基準が定められている。
道路交通法第六十三条の三の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を越えないこと。 |
---|
イ 長さ 百九十センチメートル |
ロ 幅 六十センチメートル |
二 車体の構造は、次に掲げるものであること。 |
---|
イ 側車を付していないこと。 |
ロ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く)を備えていないこと。 |
ハ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。 |
ニ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと”(「道路交通法」第2条第2項) |
電動アシスト自転車とは
電動アシスト自転車とは、電動機により人力を補助する自転車のことである。搭乗者がペダルをこがなければ走行しない。普通自転車と原動機付自転車との中間的な車両で、ペダルを踏む力や回転数などをセンサーで検出し、搭載しているモーターによりペダルを踏む力を低減させる。道路交通法では、「人の力を補うための原動機を用いる自転車」あるいは「駆動補助機付自転車」とされている。
道路交通法で定められた基準を満たせば「自転車」として扱われ、原動機付自転車では必須の運転免許やヘルメットの着用及び自賠責保険への加入が不要となる。普通自転車としての基準を満たすものであれば、車道や路側帯のほか、一定の基準に従い、自転車歩行者道である歩道を徐行または通行できる。
電動自転車とは
電動自転車とは、電動機でも走行可能な自転車でペダルでも走行できる。ペダルをこがなければモーターが働かない電動アシスト自転車との混同を避けるために、フル電動自転車と呼ばれることもある。
電動自転車は、原動付き自転車または自動車扱いとなり、そのままの状態で自転車のつもりで使用すると、法令違反となる。日本ではほとんど利用されておらず、国内メーカーは研究をしていたものの、現在では海外メーカーが中心である。
自動車や原動付自転車扱いにならないもの
自動車や原動機付自転車の扱いにならないものは、古物商の品目にある「自動車二輪及び原動機付自転車」に該当しないと言えるだろう。ここでは、自動車や原動機付自転車の対象とならないものを確認していく。
- ・電動車いす、シニアカーなど:道路交通法施行規則第1条の4の基準
- ・歩行補助車、シルバーカーなど:道路交通法施行規則第1条の基準
- ・電動アシスト自転車:道路交通法施行規則第1条の3の基準
自動二輪車及び原動付自転車と自転車の違いとは
上記で違いを述べたが、簡単に言えば自転車はアシスト自転車を除き、あくまで自力で動かすものである。原動機を搭載して走行するものつまりバイクは、運転免許を取得し、道路交通法の観点から言えば、自転車より遥かに法規制がなされているということである。
自動二輪車と原動機付自転車は古物商で扱えるが、通称オートバイ商と呼ばれている。自動車を扱う古物商とは違い、申請の際に提出する書類も資格も少ない。「自動二輪車と原動機付自転車」で扱えるのは、オートバイや原付バイクの本体、タイヤやミラーといったパーツである。
「自転車」を扱う古物商は自転車本体、自転車の部品などで、古物商の13品目に入っている。これは、かごやサドル、空気入れ、一輪車、三輪車、乗用玩具も含まれる。また、電動付き自転車(電動アシスト自転車)も含まれる。原動機が付いているかいないかで判断され、電動アシスト自転車はエンジンではなくてモーターなので自転車類となるのである。
自転車、自動二輪、原付を古物商として全て扱う場合は、「自転車類」「自動車二輪及び原動機付自転車」の2つの申請が必要だということである。ただ、あまり多くの申請を出すより、これだというものに絞った方がスムーズである。後に変更届を出すことも容易だからだ。
オートバイ商について
「自動車二輪及び原動機付自転車」の品目で営業をおこなう古物営業は、基本的に通称オートバイ商に該当するだろう。そこで、オートバイ商についても確認をおこなっていく。
オートバイ商を開業するのが簡単
「自動車二輪及び原動機付自転車」の品目で営業をおこなう、通称オートバイ商は、比較的、古物商許可を取得しやすいと言われている。その理由についても確認していきたい。
申請時に必要な書類や資格が少ない
自動車を扱う場合は、駐車場の契約書の提出が必要であったり、仕入れもそう簡単ではない。これと比較すると、必要書類が少なく営業しやすいと言える。
申請する品目が少ない
仮に、自転車、自動二輪、原付を古物商として全て扱う場合でも、2つの申請だけで済む。通常、品目が多くなると審査も厳しくなるため、それと比較すると古物商許可が取得がしやすいと考えられる。
商品の単価が安い
扱う商品の単価が比較的安いので開業しやすい。原付などが10台くらいでも始められ、コストが掛からないというメリットがある。
金属くず商・金属くず行商の許可を得ておくと便利
なお、金属くず商と金属くず行商の許可を取っておくと便利だと言われている。この許可を取っておくと利便性がある。例えば買い取ったタイヤのホイールなどの金属部品を金属の塊として売ることができるからだ。
金属くず商許可は営業所で金属類を買取り、販売することができる許可であり、金属くず行商許可は金属くずを取引先のもとに出向いて、買い付けることができる許可となる。
ただ、金属くず商の許可に関しては、各都道府県で事情が異なり、古物商免許だけで取得できるところもある。許可が必要とされているのは、北海道、茨城県、長野県、静岡県、福井県、大阪府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県、広島県、岡山県、島根県、山口県、徳島県である。不安な場合には、各都道府県へ確認すると良いだろう。
オートバイ商を営業する上での注意点
自動二輪車及び原付は盗難車が多いというのを認識しておかなければならない。不正品の申告件数が最も多いとされている。不正の部品も多く出回っているが、自動二輪と原付を扱うには注意が必要である。
まとめ
古物商の13品目のうち、「自動車二輪及び原動機付自転車」について確認をおこなってきた。道路交通法や道路運送車両法で定義が異なるため厄介であるが、古物商においては、原動機が付いているかいないかで判断され、電動アシスト自転車はエンジンではなくてモーターとして判断され、自転車類となる。
オートバイ商として業をおこなう場合に、主たる品目は「自動車二輪及び原動機付自転車」となるが、自転車なども扱う場合には合わせて「自転車類」を取っておくと良いだろう。そのほか、販売したいものに合わせて品目を申請すれば良いが、あまりに多いと警察からの確認が入ったりと煩雑になる可能性が高い。
この記事を監修した専門家