古物商の許可申請をおこなうには、許可申請書や所定の添付書類を営業所を管轄する警察署(防犯係) に提出する必要がある。許可証の交付には約40開庁日(実質約2か月)程度が必要で、添付書類の中には取り寄せに時間がかかるものがあるため、事前の準備が肝心だ。変更届も14日〜20日と期間が短いが、準備に時間を要することがある。申請に必要な書式のURLと共に、書類作成時の注意ポイントについて確認してみよう。
本記事のポイント
- 古物商にまつわる書類のフォーマットを一括入手できる
- 古物商許可・変更届・使用承諾書など書く書類のポイントを解説
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
申請書のダウンロードについて
申請書等の様式は、引用元にかかわらず全国共通で利用できる様式である。届出内容によっては、本記事で紹介する以外の添付書類を求められる場合があるため、申請前に最寄りの警察署への相談をおすすめしたい。DOCファイル(.doc)形式で作成されている書式は、Microsoft Wordの他、GoogleドキュメントやOpenOffice等のフリーツール・フリーソフトでも参照・編集できる。
許可申請書の作成方法
古物商(古物営業)許可申請書は正本・副本1部ずつ作成する必要があるが、副本は白黒コピーで差し支えない。個人申請・法人申請とも、同じ様式を使用する。
許可申請書のダウンロードURL
別記様式第1号その1(イ)※法人申請で、複数の役員がいる場合に限り必要
別記様式第1号その3 ※営業所が複数ある場合に、続紙として使用
別記様式第1号その1(ア)の書き方
許可申請者と法人代表者(1人目)を届け出る様式である。許可の種類は、1.古物商に○(マル)印を付ける。氏名欄には、個人の場合は申請者の氏名、法人の場合は会社名称を記入する。フリガナは1文字1マスで記入するが、濁点・半濁点も1文字とカウントする点と、法人格のフリガナは不要である点に注意が必要だ。
「行商をしようとする者であるかどうかの別」は、古物市場や顧客の住居など営業所外での取引を予定している場合は1.するに○印を付ける。2.しないで許可を得た場合は、顧客に品物を届ける場合を含め営業所外での取引活動ができない。
取り扱う古物の区分は、許可申請時点で該当するものに○印を付ける。申請書を提出するときに、担当者から選択した区分に関する質問を受けることがあるが、正確かつ具体的に回答できなければ、営業実態が伴わない申請と判断される恐れがあるので注意しよう。なお、区分変更の届出は無料でおこなうことが可能だ。
代表者等の欄は、法人で許可申請をおこなう場合は法人代表者の情報を記載し、取締役等の役員の情報は別記様式第1号その1(イ)に記載する。個人申請の場合でも、申請者が未成年の場合には法定代理人(親権者)の情報を記載しなければならない。
別記様式第1号その2の書き方
営業所の所在地と管理者を届け出る様式で、営業所ごとに記載する必要がある。営業所を複数設置する場合は、メインの営業所を「主たる営業所等届出書」で指定する必要がある。
形態は、1.営業所ありに○印を付ける。ネットショップだけで営業活動をおこなう場合でも営業拠点を持つ扱いなので、2.営業所なしを選ばないように気を付けよう。
取り扱う古物の区分は、別記様式第1号その1(ア)で選択した内容と同じ区分に○印を付ける。管理者の欄は、個人申請の場合には申請者と同じ情報を記入するのが一般的である。
別記様式第1号その3の書き方
Webサイト(ホームページ)を利用した営業をおこなうかどうかを届け出る様式である。ホームページを開設する場合は「電気通信回線に接続しておこなう自動公衆送信により公衆の閲覧に供する方法を用いるかどうかの別」の欄の1.用いるに○印を付け、送信元識別符号の欄にURL(アドレス)を記載する。
許可申請書に添付する書類
許可申請書を提出する際は、次の添付書類も必要だ。法人申請の場合、住民票の写しなど個人ごとに発行される証明書については役員全員分を用意する必要がある。
住民票の写し
申請者本人の住所を確認する書類として提出する。本籍が記載されたもので、個人番号(マイナンバー)の記載がないものを用意しよう。同居家族がいても、申請者本人分だけを用意すればよい。住民票の発行日に関する規定はないが、発行日から3か月以内のものを提出するのが無難だ。
登記されていないことの証明書 ※法改正で不要に
成年被後見人又は被保佐人として登記されておらず、申請者単独で意思表示能力があることを証明するための書類として提出する。全国各地の法務局窓口で申請ができる他、東京法務局後見登録課への郵送申請も可能だ。
自治体発行の身分証明書
成年被後見人又は被保佐人として登記されていないことに加えて、破産者でないことを証明するための書類である。自治体の戸籍課(住民課)で発行を受けられるが、住民票と一緒に郵送発行を申し込むとよいだろう。
欠格事由に該当しない旨の誓約書
反社会的勢力に該当しない等を誓約する書類である。サンプルとして東京都公安委員会宛のものを紹介するが、都道府県警察の公式サイトからも書式をダウンロードできる他、宛先を住所地の公安委員会宛に変更した上で自作しても差し支えない。営業所の管理者が申請者と同一の場合は、営業所管理者用の誓約書のみを提出すればよい。
略歴書
申請日より前5年間の職歴を記載する書類である。職歴(経歴)欄に所属した法人名や役職まで記入するため、履歴書の職歴欄とほぼ同一の内容だが、都道府県警察(公安委員会)所定の様式を使うようにしたい。賞罰欄がある場合は、自分自身又は勤務先が古物営業法の規定による行政処分歴の明記が必須だ。
賃貸借契約書と使用承諾書のコピー
営業所の場所が正規に確保されているかを確認する書類で自社ビル・持ち家の場合は添付しなくてもよい。賃貸住宅など物件内での営業活動禁止と賃貸借契約書に記載されている場合は、「古物営業の営業所として使用承諾している」と明記された、家主や管理会社等が作成した使用承諾書が必要となる。賃貸借契約書の名義と許可申請者が異なる場合も同様だ。書式は自由とされているが、記載例を紹介する。
【古物商の営業所はどうすればいい?】継続して商品を管理できる場所どうかが鍵 / 古物査定士認定協会
URLの使用権限を疎明する資料
ホームページを利用して古物営業をおこなった場合に、許可申請書「別記様式第1号その3」への添付が必要である。プロバイダーやホスティング(レンタルサーバー)業者が発行した、登録者名・ドメイン名・発行元(業者名)の3点が明記された書面が必要だが、郵送・FAXで送付された書面に限定され点に留意しておこう。
ドメインを他人から借り受けている場合は、URL使用承諾書の添付も必要だ。警視庁で記載されているURL使用承諾書のサンプルを紹介する。
使用承諾書<(個人用)/a> 使用承諾書(法人用) 使用承諾書(社員用)法人申請の場合は定款・登記事項証明書も必要
法人が許可申請をおこなう場合は、実在する法人であるかを確認する目的で定款と登記事項証明書の添付を求められる。定款はコピーで差し支えないが、「以上、原本と相違ありません」という文言と提出年月日の記載、そして代表者の署名押印が必要だ。定款(事業目的)に古物売買に類する文言が記載されていない場合は、確認書を添付する必要がある。その後、速やかに定款変更をおこなえば大丈夫だ。
登記事項証明書は、役員変更の履歴が明記された履歴事項全部証明書を用意しよう。法務局窓口やオンライン申請による郵送交付が可能だが、登記情報提供サービス(民事法務協会)からのプリントアウトは証明書として利用不可なので注意しよう。
申請手数料も忘れずに
古物商許可申請の申請手数料は19,000円で、申請書と一緒に現金で納付する。都道府県の収入証紙で納付するわけではないため、注意が必要だ。また、申請が不許可となった場合や申請を取り下げた場合でも、手数料は返金されない点に留意しておこう。
許可内容を変更したい場合
許可を受けた内容に変更が生じた場合は、変更日から14日以内、登記事項に変更がある場合については20日以内に営業所を管轄する警察署で手続きをおこなう必要がある。書換申請・変更届出書は正本・副本1部ずつ作成する必要があるが、副本は白黒コピーで差し支えない。書類の書き方は、許可申請書とほぼ同じだ。
書換申請・変更届出書のURL
別記様式第5号 ※取り扱う古物の区分や申請者の氏名・住所、代表者を変更する場合
別記様式第6号その1(ア) ※営業所・市場に関する変更をおこなう場合
別記様式第6号その1(イ)※法人の代表者や役員を変更する場合
許可証の書換を申請する場合
次の内容を変更する場合は、許可証の書換申請が必要となる(手数料は1,500円)。
- ・営業者の氏名・名称・住所または居所
- ・許可を受けた法人の名称・所在地
- ・法人代表者の氏名・住所
- ・行商を「する」「しない」
届出内容の変更を申請する場合
次のいずれかに該当する場合は、許可内容の変更届出が必要となる(上記の書換に該当しない場合に手数料は無料)。
- ・氏名や名称、住所。法人の場合には代表者の名前の変更
- ・主たる営業所・古物市場、その他の営業所・古物市場の名称や所在地が変わった場合
- ・取り扱おうとする品目の変更
- ・営業所の管理者の氏名、管理者の住所変更
- ・行商について変更
- ・サイトのURLの変更
- ・法人の場合には役員の変更、役員の住所の変更
事業内容などに上記のような変更が生じた場合は、管轄の警察署に届け出を提出しなければならない。営業所が変わった場合のみならず、サイトやホームページのURLを変更した場合でも同様である。取り扱っている商品の他に別の品目を追加する場合も変更届を提出する必要がある。
添付書類
営業所の管理者や法人の代表者・役員が変更となった場合は、変更後の住民票の写しを添付する必要がある。役員や管理者全員分の添付は必要なく、変更になった人だけの分で差し支えない。
法人の名称・所在地や役員に変更があった場合は、変更後の法人履歴事項全部証明書の添付が必要である。登記事項の変更には1週間~10日程度かかるため注意が必要だ。営業所を移転した場合は、移転先の賃貸借契約書のコピーも用意する必要がある。
まとめ
古物商の許可申請では複数の書類を用意する必要があるが、自分(自社)で準備できる内容であることがわかった。古物営業法に盗品売買の防止が明記されていることから、警察(公安委員会)では正確な情報を重視しているため、間違いない情報で許可申請をおこなうのが重要だ。申請内容に変更が生じた場合は、14日以内(登記事項に変更がある場合については20日以内)に変更手続きが必要であることも覚えておこう。