中古品を業として扱う場合には、古物商の許可を受ける必要がある。でなければ古物営業法違反とみなされ、罰則を受けることになるだろう。
しかし、古物商許可の申請は郵送でおこなうことができない。したがって、所轄の警察署へ直接提出をおこなう必要がある。ここでは、古物商の許可をおこなうにあたって、基礎知識を確認するとともに、窓口の営業時間を確認していきたい。
また、個人で開業しようとしている場合や忙しい人である場合に、仮に営業時間内へ行けないようであればどう対処すれば良いか気になる人もいるだろう。そこで、対応方法についても別途確認をおこなっていく。
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古物商許可を申請する
許可を受けるために申請する場合に、どのような点に注意したら良いだろうか。書類を提出するまでの流れを確認していく。
古物商許可を申請するための準備
古物商許可の申請には地域により差があり、申請必要書類も若干違ってくる。事前にしっかりチェックしなければ、予定よりずれ込むこととなってしまう。
自分自身でスケジュールを組み、まずオープンする日を決定しておかなければならない。余裕を持つことでトラブルを回避することができ、スケジュール通りに進めることも可能である。最低でも2ヵ月前位から準備を始めることが望ましい。
また、営業所には管理者という責任者が必要であり、申請の前に管理者の選定も必須である。申請名義人と同じであれば問題ないが、違う場合は書類が必要となってくる。管理者については、1営業所に1人と定められているため、この点も注意が必要だ。
古物商許可の申請ができない人
- ・成年被後見人、被保佐人又は破産者で復権を得ない者(禁治産者、準禁治産者)
- ・禁錮以上の刑、又は特定の犯罪により罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
- ・住居の定まらない者
- ・古物営業の許可を取り消されてから、5年を経過しない者
- ・営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
申請に必要な書類
申請に必要な書は以下の通りである。なお一例であり、管轄の警察署によって相違がある点は留意してほしい。
必要な書類一覧
- 1.申請書(目的欄に古物営業を営むという内容の説明を記載)
- 2.略歴書(最近5年間の略歴を記載したもの)
- 3.誓約書
- 4.住民票の写し略歴
- 5.身分証明書
- 6.成年被後見人、被保佐人に登記されていないことを証明する登記事項証明書
- 7.市町村長の証明書(欠格事由に該当していないことを証明するもの)
- 8.URL使用を証明する関係書類(インターネットで取引する場合)
- 9.営業所の所在地図
- 10.営業所の賃貸借契約書
- 11.駐車場等保管場所の賃貸借契約書(自動車などの買取の場合)
- 12.古物市場規約
- 13.参集者名簿
補足
8のURL使用を証明する関係書類については、プロバイダなどから郵送・FAX・メールで送付された、登録者名、ドメイン、発行元(ブロバイダ名)の3点が記載されている書面、もしくはドメイン取得サービスをおこなっているサイトのプリントアウト(ドメインの登録状況や登録者を検索できるサイト)のいずれかが必要となる。
9の営業所の所在地図については、手書きでも可であるが、地図サイトなどで営業所近辺の地図を印刷するのが便利である。また見取り図として、営業所内の全体見取り図を書いておこう。10の賃貸借契約書は、営業所を借りる場合、営業所の賃貸契約書の写しと使用承諾書が必要になる。
12は古物市場規約といって、古物市場ごとの規約を提出する必要がある。この規約には、古物市場に参加する主な古物商の氏名や住所を記載した名簿を付けなければならない。13の参集者名簿は、事前に必要書類を役所や法務局などで取得する。法人名義の場合は、会社役員すべての住民票、身分証明書、登録されていないことの証明書が必要である。
申請の流れ
古物商許可申請は警察署の生活安全課(防犯課)が担当し、警察署によって窓口はさまざまである。つまりカウンター形式であったり個室が設けられたりしている。
申請に行く前には必ず担当者がいるかどうかの確認をするため、事前に警察署に連絡する方が無難である。担当者が1日中不在のこともあり、2度手間になってしまうおそれがある。たとえ予約を入れていても、警察署ということもあって担当者が急に不在になることもあるのは覚悟しておかなければならない。
古物商の許可申請する人も年々増え、順番待ちをしているケースも考えられる。やはり申請に関しては余裕を持たなければスムーズには進まない。また、申請の際、名義人と違う人が行く場合は委任状が必要な場合がある。
受付時間
東京都の例を見てみると、警察署の受付時間は、平日の8時30分~午後5時15分までとなっている。これはあくまで窓口営業時間であり、古物商許可の場合時間を指定されることもあるので、事前の予約は必須である。また、手続きに時間がかかることがあることから、早めに来るよう案内しているところもある。残念ながら土日、祝日は申請できない。
申請手数料は19,000円となっており、不許可や申請取消しであっても、返却されない。そして、申請から40日~50日程度で許可が下りるが、地域によって異なり、問題なく進んだときは若干早めに許可が下りる場合がある。許可が下りれば警察署から指定先に連絡が入るようになっている。
受付時間が平日の夕方までということで、郵送してほしいという人も多いだろう。しかし、古物商許可証は郵送してもらえないので、直接警察署へ受け取りに行かなければならない。その際、身分証明書と印鑑を忘れずに持って行こう。
許可証の受理の際に、営業開始に必要な古物商許可プレートの説明がなされる。警察で用意して貰える場合と自分で用意する場合がある。これも地域によって違いがあるので要確認である。
申請許可を早く取り過ぎると
あせって許可を取っても、古物営業の実態が存在しない場合は許可が取り消される可能性がある。
公安委員会は、第三条の規定による許可を受けた者について、次に掲げるいずれかの事実が判明したときは、その許可を取り消すことができる。
三 許可を受けてから六月以内に営業を開始せず、又は引き続き六月以上営業を休止し、現に営業を営んでいないこと(「古物営業法」第6条第3項)
古物商許可申請を行政書士に依頼する場合
先の説明のように古物商許可を申請するには時間や手間がかかる。まして平日のみで受付時間も定められているのでは、職種によって訪れるのは困難である。土日が休みである職種にはそれなりのメリットもあるが、役所や銀行の窓口に行くには、昼休みを利用するか休暇を取る方法しかないようである。
警察署も役所と同様土日には申請はできないことから、行政書士に依頼する人が少なくないのである。そこで、行政書士に依頼する際のメリットやデメリット、探し方についてあわせて確認をおこなっておく。
行政書士に依頼するメリット
行政書士への依頼を検討している場合に、どの程度おこなってくれるかについては関心のあるところだろう。そこで、メリットとして確認をおこなっていきたい。
取得する期間を短くできる
申請には多くの書類に添付書類まで必要となってくる。このような書類を準備することに不慣れな人が多く、戸惑いからストレスが溜まってしまう。また書類がそろっても不備や不足があれば受け付けてもらえない。
申請してから許可に約40日近く必要なので、不備があると予定がくるってしまうことになる。そうなると上手く運ばない上にいろいろな面に支障が出てくる。依頼することによって取得期間が短縮できるのは、大きなメリットである。
警察と打ち合わせをしてもらえる
古物商の許可申請をするには、事前に警察署に相談をしたり、書類を取りに行く必要がある。ほとんど経験したことがない申請をするため、何度も警察署に行かなければならない。自分では書類を全てそろえたつもりでも抜けている場合が多いのである。
一式そろわなければ申請はできないので、多くの時間を費やし疲れてしまう人も多いようである。平日の受付のみということで休みまで取ったのに、また、やり直しとなると貴重な時間が無意味になってしまう。経験豊かな専門家は警察との打ち合わせが容易である。
また、最近だと電話が苦手な人も多いため、そういった作業含めて依頼できることにありがたみを感じる人も多いようだ。
必要な書類を集めて貰える
必要な書類の多くは役所で取得するため、平日のみの対応となる。先に述べたように職種によっては不可能であり、取得すること自体が大変な作業となる。それに取得するために申請書を一枚一枚書くことも面倒な作業である。依頼することで書類集めをする必要がなくなる。
返金保証サービスもある
行政書士の中には古物商許可が取得できなかった場合、報酬0円を売りにしているところがある。つまり返金保証サービスをおこなっているのである。
許可が取れないということは行政書士も利益がないということなので、1円も儲からないということになる。それでもそのサービスをおこなっているのは、良心的であり、しっかり許可を得る実績を有している可能性が高いと言えるであろう。返金保証付きのある行政書士を選ぶのは良い選択かもしれない。
行政書士に依頼するデメリット
行政書士に依頼すればさまざまなメリットがある。しかし、メリットがあればデメリットも必ず存在する。ここではデメリットについても確認をおこなっていく。
支払う費用が高い
自分自身で時間と手間をかければ費用は抑えられるに違いない。しかし時間と手間は想像以上にかかってしまう。それなら依頼してみようとなるのだが、費用の相場を見ると、40,000円~50,000円となっている。決して安くはないが、自身での申請の手間と時間、精神的な疲れを考えると、依頼に傾くのも納得である。
ただ、どちらを選択するかは、そのときの状況にもよる。また全て依頼するのではなく、書類作成のみというところもある。事務所によって提供しているサービスに違いがあるので、いろいろリサーチして自身に適した依頼先を見つけることが大事である。
性格などが合わない場合ストレスにも
人である以上、合う合わないというものは誰しもある。仮に性格などが合わない行政書士に依頼すると、それだけでストレスになり消耗してしまうこともある。そうならないためにも、時間を節約しすぎず、まずは相談から始めて適切な行政書士を探すと良いだろう。
行政書士を探す方法
行政書士に依頼する場合、どのようにして事務所を探すのかがネックになってくる。もしも知り合いが紹介してくれるならそれも良いかもしれない。ただ、紹介してもらっても、その行政書士とフィーリングが合わない場合がある。
デメリットで触れたように、人とのコミュニケーションはとても大事であるため、合わない相手と付き合うのは難しいと言える。最近はネット検索が簡単にできるため、行政書士の選び方の基準を見てみよう。
費用が明確であること
費用の見積もりをしっかり出してくれる事務所は、比較的トラブルが少ない。合計の費用が分かりやすい事務所を選ぶと良いだろう。行政書士によっては、追加料金が発生して、想定以上に高価になることもある。
実務経験が豊富
行政書士であっても古物商許可の申請をおこなったことがない人もいる。古物商に詳しくないというのは不安であるため、専門に扱う行政書士を選択すると良いだろう。特に、2018年には法改正がおこなわれているため、あまり業績がないと不安が残る。
迅速に対応してもらえるか
迅速に対応してもらえることを見越して依頼するのであるから、余り多忙な行政書士は避けた方が良い。数ヶ月間放置されたケースもあるようである。
行政書士自身が対応してくれるかどうか
行政書士事務所に連絡をしたとき、資格がない事務員が対応することがある。その場合質問をしても的確な答えは返ってこず、かけ直さなければならない。資格を持った者が対応してくれる事務所でなくてはならないだろう。
返金保証サービスがある
許可が取れない場合もあるので、その際費用は返してもらえるのかどうかも大切なことである。返金保証サービスを提供している良心的な事務所選びが必要である。
まとめ
古物商の書類はインターネット上で入手することができても、申請自体は郵送でおこなうことができない。そこで、所轄の警察の窓口まで行かなければならないが、平日の5時ごろまでしか空いていないようである。
規則的な会社に従事している人や忙しい人にとって、営業時間内に提出することが大きな課題となるだろう。そうした場合に、1式依頼すると4〜5万程度と高価になるが、行政書士に依頼する方法もある。行政書士といってもさまざまであるため、安心して古物小関連を依頼でき、なおかつ自分と合いそうな人を見つけていくと良いだろう。
この記事を監修した専門家