日本画の買取を考えたときに、まず気になるのは作者のことではないだろうか。画家としての実力があり、確かな実績を残した人ほど高値がつきやすい傾向にある。昭和と平成に活躍した坪内滄明もそのなかの一人だ。
この記事では、日本画の相場の参考として坪内滄明が描いた絵画の価格を紹介する。坪内滄明作品の相場や価値、そして画業自体についても参考にしてもらいたい。
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坪内滄明とは
坪内滄明は、昭和から平成にかけて活躍した日本画家である。1939年に愛知県に生まれ、晩年は神奈川県で過ごした。富士山や湖などのモチーフを伝統的なタッチで描く、正統派の日本画を得意とした。
1960年に日展で初入選して以来、日展・新日展で数々の賞を受賞している。受けた賞は菊花賞・白寿賞・日本芸術院賞などである。1981年には文部大臣賞も受賞した。
坪内滄明の日本画の作風と特徴を解説
坪内の作品にどのような特徴があるのかは、売却する前に知っておくほうがいい。それによって、不当に安い価格で売ってしまうことを防げるためだ。ここでは、坪内作品のうち1つのシリーズと4つの作品を取り上げて、画風の特徴を説明する。
富岳シリーズ
富岳とは富士山のことだ。坪内滄明はタイトルに富岳とつく作品を多数描いている。主なものを抜粋すると下記のとおりだ。
- ・富岳
- ・富岳松林
- ・富岳白樹
- ・富岳桜盛
- ・富岳曙光
- ・桜富岳
- ・湧雲富岳
- ・富岳雪花
文字を見るだけでもどのような風景画かわかるだろう。富士山と松林、富士山と満開の桜などといった絵だ。また「白富士」や「富岳松籟」など、富岳という文字を使わない富士山の作品もある。
また、少し変わったパターンで「霽れゆく富士」という作品も描いている。このように富士山とさまざまなモチーフの組み合わせを描いているが、いずれにしても富士山は坪内作品の主要な題材と言える。
朝の磯
日の出直後の磯を描いた日本画だ。磯は「石や岩の多い波打ちぎわ」のことだが、この作品の磯は多くの人が連想する風景よりも険しい。たとえば、中国の揚子江などの大河の上流であると聞いても納得する人が少なくないだろう。
一連の富岳の作品を見ても、坪内滄明は岩山のゴツゴツした地肌を描くことに長けている。この「朝の磯」でも、その坪内の特徴が垣間見られるといえるだろう。
小鳥
これは15cm×22cmの小品である。小枝に止まる1羽の小鳥が描かれただけのシンプルな絵だが、それだけに坪内滄明の筆使いを観察しやすい。日本画や水墨画に造詣が深い愛好家であれば、この小鳥1羽を構成している面や線から、坪内の技法の一端を学べるであろう。
湖月
湖に浮かぶ月をモチーフとした日本画である。湖面の霧に浮かぶ白い満月を、幻想的なタッチで描いている。水彩画にも見える柔らかで写実的なタッチは、日本画に強い関心を持たない人にも親しまれやすいだろう。
茜梢
文字通り茜の梢を描いた作品である。梢は「木の幹や枝の先」のことだが、まさにその枝先が強調された作品である。朝焼けか夕焼けをバックに、葉がない木が影絵のようになり、太い幹から細い枝まですべてをくっきりと見せている。
まるで人間の毛細血管のような無数の小枝に、人体と植物が共通して持つ生命力を感じる人もいるだろう。風景画としては、アフリカの草原にそびえ立つ木が、夕陽をバックにしている姿のようにも見えるかもしれない。それだけ雄大な自然のモチーフと言える。
坪内滄明の作品の買取価格
坪内作品の買取相場を調べるには、実際の販売価格を見るのがいい。店舗での価格はここでは紹介できないため、Web上の価格を紹介する。価格はすべて2019年6月29日時点のものである。
書画肆しみづにおける「湖月」の販売価格
東京都文京区で書画の買取りと販売を手がけている書画肆しみづでも、坪内滄明の作品の販売価格がわかる。すでに売却済みだが33万円という高額だ。作品は作風でも紹介した「湖月」である。
絵のサイズは12号で、作品の状態は良好、右下に落款と押印がある。鑑定書はないが、この落款と押印に加えて共シールがあるため、ほぼ真作で間違いないと言えるだろう。装丁は額装と帙箱に加えて、黄袋も付いている。
一通り付属品がそろっていることも高い販売価格につながったのではないだろうか。
楽天市場(書画肆しみづ)での「山湖朝靄」の価格
これも書画肆しみづの楽天市場店での価格だが「山湖朝靄」が33万円で売却済みとなっている。「湖月」と非常によく似た作品であるため、同じ価格で販売されたのだろう。発表価格は50万円となっているので、値下がりして33万円になった可能性もある。
それでも坪内作品が十分に高く評価されていることは実感できるだろう。サイズは15号で、落款と押印、共シールがある。作品と額の状態はともに良好だ。
ヤフオクにおけるタイトル不明作品の販売価格
坪内滄明のリトグラフ作品で、タイトル不明の風景画がYahoo!オークションで落札された履歴がある。タイトルがわからないのは、逆に相場を知るうえで参考になるだろう。その作品名がわかる人なら大体の価値がわかるはずだ。
その本来の価値から相当下がっているはずだが、その金額差が「タイトルがわからないと下がる分」だと言える。この風景画は7,750円で落札されたが、33件の入札履歴がある。おそらく、この入札を繰り返した人たちはタイトルを知っているか、調べる当てがあるのではないだろうか。
このような「タイトル不明」の作品は、絵画の転売のなかで特に利益を上げやすい掘り出し物とも言えるだろう。
坪内滄明の日本画をより高く売却する4つのコツ
「湖月」や「山湖朝靄」の事例を見てもわかるように、坪内滄明の日本画はもともと高く売れるものだ。しかし、絵画を高く売るためのコツを知っていれば、より高い値段で売ることもできるだろう。ここでは、そのようなコツを4つ解説する。
タイトルのわからない作品は調べる
ヤフオクの事例で紹介したが、タイトル不明の作品は7,750円と、非常に安く落札されている。もしタイトルがわかっていたら、10万円程度の価格がついた可能性もある。「湖月」などが30万円を超えていることを見ると、これらより価値が低そうな作品であっても、調べる価値は十分にあるだろう。
一番確実な情報を得られるのは画集だが、画廊・愛好家・美術館などのホームページでも、それなりの情報は得られる。少なくともこうした無料の情報源については、一通り調べるべきだろう。画集をすべて買いそろえたら1万円を超える可能性もあるが「湖月」に匹敵するレベルの作品だと感じたら、そのレベルの投資をする価値もある。
付属品はすべてそろえて査定に出す
坪内作品に限らず、どんな日本画でも付属品がそろっているほど高値がつく。「湖月」と「山湖朝靄」の販売事例も、やはり額装・帙箱・黄袋などの付属品がすべてそろっていた。絵画自体の価値が高いことが一番大きかっただろうが、付属品がそろっていたことも重要な要素だったと言える。
付属品がそろっている品物は、大抵本体の保存状態もいいためだ。これは家電製品やゲームソフトなどでも言えることで、付属品を大切に保存している人は、本体も大事に使っていることが多い。そのため、本体の状態についても買い手に安心してもらいやすいのだ。
付属品がなければ買って補充してから売る
もし付属品を紛失したり破損したりしてしまっていたら、新品を自腹で買うのもいいだろう。多少の費用はかかるが、それで本体の価値が高まり、結果的に利益が出る可能性も高い。たとえば、黄袋は、画材店の通販サイトで誰でも簡単に買える。
値段は800円台から4,000円台まで幅広いが、仮に一番高い4,000円台だったとしても買う価値はある。黄袋の値段は基本的にサイズで決まるため、それだけ高額なら絵のサイズも大きいためだ。サイズが大きい絵ほど価格が高く、価値が数パーセント変わるだけでも大きな違いが生まれる。
その数パーセントの違いを生み出すために、4,000円程度を払う価値は十分にあるだろう。
フリマアプリやネットオークションなども試す
業者の査定価格に納得がいかなければ、ネットオークションやフリマアプリを使い、自ら売るのもいいだろう。ネットオークションは定番のヤフオク、フリマアプリはメルカリとラクマがおすすめだ。フリマアプリについては、日本画のように格調の高いアート作品の出品には向いていないと思う人もいるだろう。
しかし、特にメルカリでは日本画の出品も年々増えている。売り手だけでなく買い手も増えているため、試しに販売してみるのもいいだろう。
坪内滄明の日本画の売却で高値が期待できる買取業者3選
坪内作品を高く売るうえで一番重要なのは業者選びである。ここでは、特に高値での買い取りを期待できる業者を3社紹介しよう。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
東京の品川を拠点とする総合美術買取センター。同社はさまざまなジャンルの絵画やアート作品を買い取っているが、特に力を入れているのが日本画だ。これはジャンル一覧で洋画を超えて先頭に来ることでもわかる。
同社は電話・メール・訪問・LINEなど、あらゆる方法で査定を受けられるのが特徴だ。査定は完全に無料であるため、坪内作品の価値を知るために気軽に問い合わせてみるといいだろう。
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
絵画を販売するのは、今回の坪内滄明の作品で初めてという人もいるだろう。そのように初めて絵画を売る人には、アート買取協会がおすすめだ。同社は公式サイトのトップページで「選ばれている理由」を7つ記載している。
その1つ目に書かれているのが「初めてでも安心のサポート」という内容だ。初心者が疑問・不安に思う点をよく理解したうえで、丁寧に査定をしてくれるため安心できる。1件目の査定は特に緊張しやすいため、最初はアート買取協会から試してみるのもいいだろう。
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
特に急いで作品を売却したいときには、美術品・絵画買取センターをおすすめする。同社は24時間以内のスピード査定に対応しているためだ。坪内滄明の日本画のように知名度の高い作品であれば、過去の売買事例も業界内で多数あるため、よりスピーディーに査定してもらいやすい。
もちろん、早いから査定価格が安くなるということもない。特に他社でたまに見られる査定後の減額が一切ない点も安心だ。何らかの事情で早く坪内作品を売却し、激化したいときには同社の査定を受けてみることをおすすめしたい。
まとめ
手元に坪内滄明の日本画・作品があるなら、その価値は正確に知っておくべきだ。売るにしても持ち続けるにしても、価値を正確に知ることは必要である。そして、絵画の価値を一番よく知っているのは業者だ。1社だけでは正しい価格かわからないが、多数の査定を受ければ正しい価格が見えてくる。
そのように生きた情報を集めるため、複数の業者からお試し感覚で、気軽に査定を受けてみてはいかがだろうか。