ここ数年急速に普及してきたのが、格安SIM(Subscriber Identity Module)である。SIMとは、携帯電話やスマートフォンで通信を行うために必要なデータが格納されているICカードで、通常、携帯電話やスマートフォンの中に入れて使用する。
そのSIMだが、通信会社ごとにそれぞれ専用のSIMが必要となる。つまり、格安SIMとは、NTTドコモ、au、ソフトバンクなど大手通信会社より、安い料金で通信ができる通信会社のSIM、という意味となる。
格安SIMを提供する通信会社の多くは、MVNO(仮想移動体事業者)と呼ばれている。
なぜ、“仮想”なのかというと、MVNOは、自前の通信回線を持たず、大手通信会社の回線を借りて通信事業を行っているからで、自前の通信回線を持っていないことから、仮想の移動体事業者、ということになる(自前の通信回線を所有している大手通信会社はMNO(移動体通信事業者)と呼ばれる)。
実は、MVNOが格安の通信料金を実現できる仕組みもそこにある。設置するのに多額の費用が必要となる回線を、自前で設置せずに大手通信会社の空いている回線を借りて通信事業を展開することで設備投資を抑えることができ、その分通信料金を安くできるのである。
勿論、安い分、通信速度などある程度の制限を受けるが、よほどのヘビーユーザーでもない限り、使うのが困難となるほどの制限を受けるわけではない。たいして使うわけでもないのに高額の通信料金を払うくらいなら多少制限があっても安い格安SIMが良い、と考える人が増えて、近年急速に格安SIMが普及してきたのである。
そんな格安SIMを提供するMVNOから、今回はロケットモバイルを紹介していく。
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ロケットモバイルとは
ロケットモバイルは、2016年5月からサービスの提供を開始したMVNOである。ロケットモバイルの“ロケット”は、ロケットのように「尖っている」「ぶっ飛んでいる」サービスをユーザーの皆様に対して提供し続けたいという思いから名付けられた、とのことである。
そのロケットモバイルは、業界最安の料金プランである「神プラン」や、最大登り速度50Mbpsの通信が使い放題の「アゲアゲプラン」など、まさに“尖っている”プランを次々と打ち出し、業界でも注目のMVNOである。
上りbpsと下りbpsとは
本コラムにも何回か出てくる”上り”と”下り”。ロケットモバイルについて詳しく紹介する前、上りbpsと下りbpsとはどんなことを意味しているのか、知っておくと便利なので詳しく紹介していく。
端的に言うと、上りはアップロード、下りはダウンロードのことを意味している。つまり、上りはメールを送信したり、写真や動画を送ったりするときの速度、下りはホームページを閲覧したり、メールを受け取ったり、アプリをダウンロードしたり、動画サイトで動画を見たりするときの速度である。
場面によって一般的に快適に使用できると言える速度が異なる。例えば、メール、メッセンジャーやラインの場合は100Kbps〜1Mbps、YouTubeは低画質であれば500Kbps〜3Mbps、ホームページの閲覧は200Kbps〜2Mbps、高画質動画の場合は3Mbps〜5Mbpsぐらいだろう。
ロケットモバイルの何がすごい?
では、そのロケットモバイルの何がすごいのか、紹介していく。
まず、ロケットモバイルは、NTTドコモの高速データ回線網であるXiを使用したMVNOである。つまり、NTTドコモの回線が使用できるエリアであれば、ロケットモバイルも使用できる。
NTTドコモといえば、日本最大の通信会社であり、日本国内のほぼ全域が通信可能エリアであることから、ロケットもモバイルも、日本国内のほぼ全域で使用できるということになる。
また、ロケットモバイルの料金プランは、業界最安値の月額298円(税別、2017年5月現在)の神プランから、1GB、2GB、3GB、5GB、7GBの定額プランがある。
さらに、登り通信が使い放題の「アゲアゲプラン」まで、用途に応じて様々なプランがあり、その人にピッタリなプランを見つけられるのも嬉しいところだ。
アプリのダウンロードやサイト登録などで貯まる「ロケモバポイント」という独自のポイントシステムがあり、このロケモバポイントは、1ポイントで1円分の使用料金から割り引きが適用できる。
例えば、300ポイントを貯めれば、神プランの場合、ロケモバポイントを使用することで、その月の使用料金が0円とすることができる。その上余った2ポイントは、次の月に繰り越すことができるので、利用者にとってとても嬉しいポイントシステムとなっているのだ。
ロケットモバイルの代表的な料金プランについて
ロケットモバイルは、用途により様々な料金プランを用意している。その中から代表的な料金プランを紹介していく。
神プラン
業界最安の月298円(税別)の超低価格プランである。なぜ、こんな価格が実現できるかというと、神プランの通信速度は、最大200kbpsとデータ通信としては、低速であるため、となる。
どれだけ低速かというと、通常の定額プランは、通信速度が最大225Mbpsであるので、200kbpsは、通常の通信速度の1/1000の速度となる。つまり、神プランは、定額プランより通信速度を大幅に抑える事で、実現できたプランとなるのだ。
それほど遅ければ、まともに使用できるのか心配になるところだ。しかし、LINEやSkype、Twitterや軽いブラウジング程度であれば、200kbpsでも実はほとんど支障なく使用することができる。
YouTubeやニコニコ動画などの動画の視聴やアプリのダウンロードでは、映像がカクカクとなったり時間がかかったり、と、さすがに快適に使用できるとは言えない。だが、SNSをメインに使用するのであれば、200kbpsでも十分使用できる。
LINEなどSNSを主に使用する中高生には、料金の安さもあり、ぴったりのプランと言えるかもしれない。
3GBプラン
SNSだけでなく動画なども見たい人向けに、下り通信速度最大225Mbpsの高速通信が使用できる1GB、2GB、3GB、5GB、7GBの定額プランが用意されている。ロケットモバイルが特にオススメしているのが、3GBプランだ。
なぜなら3GBプランは、料金が他のMVNOよりも安く、お得なプランとなっているからである。MVNOを契約する人の多くは3GBプランを選択するため、ロケットモバイルはその人達に向け、より料金を安くしたプランを提供している。
3GBという通信容量で何ができるかといえば、YouTubeでスマホ用標準画質である360pの動画が、12時間程度見る事ができる。1か月3GBと考えると、1日あたり20分くらいとなる。
もちろん、他の用途にも通信容量を使用するので、実際は12時間も見ることはできないが、1か月数時間であれば、十分視聴可能だ。
SNSだけでなく、動画視聴などのしたい場合は、この3GBプランを選択すると良いだろう。
アゲアゲプラン
このアゲアゲプランは、上りの通信が速度最大50Mbpsで使い放題のプランである。通常、利用者が使用する通信は、データを受信する下りの通信を重視する。
しかし、このアゲアゲプランは、上りのみ使い放題、という従来のユーザーの利用法とは重視する部分が異なるプランとなる。
では、どのような利用者がこのアゲアゲプランを必要としているのだろうか。それは、YouTuberやニコニコ生放送配信者など、映像を配信する人達である。映像を配信する場合、特にリアルタイムで配信する場合は、上りの通信が安定しているかどうかが重要となる。いくら面白い放送でも、映像が止まったり、カクカクしたりしていたら、台無しとなってしまうだろう。
その点、このアゲアゲプランは、上り速度50Mbpsと高速であり、しかも使い放題でいくら使用しても料金は変わらないという、YouTuberやニコニコ生放送配信者が必要としている料金プランとなるだろう。
ただし、アゲアゲプランは、下りの通信容量が100MBを超過した場合、500円(税抜)の料金が発生し、以降、1GBを超過するごとに500円(税抜)の課金がされる。そのため、下りを使いすぎると思わぬ高額料金を請求されることもあり、利用時は注意が必要だ。
ロケモバイルの通話プラン
ロケットモバイルには、ドコモの回線を使った「Dプラン」だけでなく、通話の使用頻度が高い人にオススメな、Y!mobileの回線を使った「ロケモバプレミアム」も存在する。
Dプランには通話できるとできないSIMがあり、通話できるSIMは最低利用期間は1年に設定されている。この最低利用期間中に解約をすると9500円の解約手数料が発生してしまう。
また、MNP転出を行うと3000円のMNP転出手数料が発生してしまうため注意が必要。
一方でロケモバプレミアムはY!Mobile回線を使った、1回10分までの国内通話が月々200回まで無料というとてもお得なプランである。最低利用期間は、Dプランの倍の2年に設定されている。
しかし、2年経過する前に解約をすると契約解除手数料の9500円も発生してしまうため注意が必要。また、開通を開始した月を含んだ、3か月以内に解約をしてしまうを契約解除手数料とは別に、3000円の短期契約解除手数料が発生する。
通話料金
Dプランの通話料金が30秒につき20円に対し、ロケモバプレミアムは上記の通り1回につき10分、一月300回まで無料となっている。一月に300回も通話を発信することはあまりないが、1回の通話で10分まで実質無料ということになるため大変お得である。
しかし、10分を超えてしまうと、または一月の通信発信回数が300回を超えてしまうと30秒につき20円の通話料がかかってしまうので注意しておくと良い。
ロケモバポイントを上手に活用すれば、利用料金に割引を適用させたり、安く抑えることもできる。
手続き方法
ロケットモバイルの申し込み手続きは簡単だ。
- 1まず、申し込みのwebサイトに必要な情報を入力する。
- 申込後、申し込みを完了させるURLが記載された通知メールが来るので、そのURLをクリックして申し込みを完了させる。
- その後、通常1週間以内にSIMが送付されるので、APN設定を行って利用スタートとなる。
また、通話プランの場合は、この他に本人確認書類が必要となり、案内に従って個人の名前が確認な資料などのアップロード操作が必要となる。詳細は、ロケットモバイルの公式ページを参照したほうがいいだろう。
使用上の注意について
安くて便利なロケットモバイルだが、使用するうえでいくつか注意することがある。
昼間は通信速度が遅くなる
まず、通信速度だが、昼間は通信速度が遅くなる傾向がある。
これは、ロケットモバイルに限らず、MVNO全体に言えることだが、大手通信会社の通信網を借りて通信を行っている。そのため、大手通信会社の通信料が多くなる昼間は、MVNOが使える回線が少なくなることから、通信速度が遅くなってしまうのだ。
動画視聴などデータ通信量が大きいものは、昼間の場合快適に使用できなくなる可能性があることから、注意したほうがいいだろう。
通信速度の制限
1GB、2GB、3GB、5GB、7GBの定額プランについては、直近3日間のデータ通信量が規定値を超えた場合、通信速度を200kbpsに制限される。
特に、1GB、2GB、3GBなど通信容量が少ないプランは、動画視聴などデータ容量の大きい操作をすると、比較的早く規定値を超えてしまう。そのため、使用時は、こまめにデータ使用量をチェックして上限を超えないように注意したほうが良いだろう。
SIMカード複数持ちは不可能
ロケットモバイルではどのプランでも、一つの契約で複数のSIMカードを持つことはできない。よって家族で通信料をシェアしたり、通話の請求を一つの契約にまとめることはできないため注意が必要。
問い合わせはメールフォームでしかできない
ロケットモバイルでは不明なことがあったり、トラブルが起こったりした際の問い合わせ窓口は公式サイト上の問い合わせメールフォームでしか対応してもらえない。このフォームを利用して問い合わせた場合、返事はすぐに来るという報告もあるが電話で問い合わせしたい人はやや不便に感じるでしょう。
しかし、公式サイトに掲載されている「特定商取引法に基づく表記」という項目にロケットモバイルの電話番号が記載されている。そのため、この番号に電話をすればば問い合わせにも対応してもらえるそう。
しかし、問い合わせ番号と言おうわけではないようなので、緊急時やどうしても電話問い合わせが必要な場合のみにしておくと良いだろう。
まとめ
数多くあるMVNOの中でも、神プランやアゲアゲプランなど独自の“尖った”サービスで今大注目されているMVNOであるロケットモバイル。
料金も、業界最安の神プランをはじめとして、どのプランも低い料金で抑えられている一方、NTTドコモの高速データ回線網を利用していることで、全国どこでも高品質の高速通信が可能となっている。
また、Y!mobileの回線を使った「ロケモバプレミアム」という通話プランの用意もあり、通話の使用頻度が高い人にとってもお得なプランとなっている。
さらに、独自のポイントシステムである「ロケモバポイント」を貯めれば、使用料金がタダになることもあるなど、こちらも“尖った”サービスを実施している。今、格安SIMの購入を検討されている方には、ぜひ、ロケットモバイルをおすすめしたい。