浮世絵は江戸時代を代表する芸術の一つであり、版画技術を用いて多くの作品が世間に流通したことから、現代でも当時の作品が手元にあるというケースは珍しくない。長い年月をヘているだけに、人気のある浮世絵師の作品は高く評価される傾向にあるが、実際にはどの程度の金額で買取ってもらうことができるのであろうか。以下では、江戸期を代表する浮世絵師である東洲斎写楽の作品の買取相場を見てみることにしよう。
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浮世絵とはどのような芸術品なのか
最初に、浮世絵についての理解を深めるために、それがどのような芸術品であるのかについて見ておくことにしよう。
概要
浮世絵というのは、もともとは江戸時代に大和絵から派生して誕生した絵画の技法であり、その特徴はもっぱら当時の風俗を題材としている点にある。そのため、現存している作品の多くは、美しい女性を描いた美人画や、当時の人気の歌舞伎役者や彼らが演じた歌舞伎などを描いた役者絵・芝居絵などとなっている。
浮世絵の種類
浮世絵には二種類があり、一つは手書きで描かれる肉筆浮世絵、もう一つは木版画を用いて量産された木版画錦絵である。このうち、今でも出回っている作品のほとんどは、当時から一般庶民でも比較的入手することが容易であった木版画錦絵となっている。デザイン的には、図柄がはっきりとクリアに描かれていることに加えて、大胆な構図を採用することで見る者にインパクトを与えるようになっているという点が特徴である。
また、作品によっては、あえて影を描かなかったり、遠近法を取り入れて立体的に見せるように工夫されているものも存在している。
海外での評価
浮世絵は、江戸時代末期に欧米にその存在が知られるようになって一気に世界的な評価が高まっている。海外に広まったきっかけは、日本から輸出された陶器の包み紙として用いられていた浮世絵の作品に注目したフランス人の画家であるブラックモンが知人にそれを見せて回ったことがきっかけであるとされている。
それまで国内ではもっぱら庶民の娯楽として安値で流通していた浮世絵であるが、海外での評価の高まりとともに高額で輸出されるようになっていくのである。その反響は大きく、特にヨーロッパの印象派を代表するゴッホやマネの作風に多大な影響を与えることとなった。
東洲斎写楽の人物像について
東洲斎写楽は、江戸時代を代表する浮世絵師の一人であるが、謎の多い人物でもある。そこで次に、彼の人物像に迫ってみることにしよう。
本名
東洲斎写楽は、日本史の教科書などにも登場するメジャーな名前ではあるが、これは本名ではなくペンネームであるということが長年の研究によって明らかとなっている。江戸時代の考証家である斎藤月岑が記した「増補浮世絵類考」によると、東洲斎写楽の本名は斉藤十郎兵衛といい、江戸の八丁堀に居住していた能役者であるとされている。
「東洲斎」を平仮名にして並び替えると、「さい、とう、しゅう(じゅう)」これは十郎兵衛という本名をもじって名付けられたというのが真実であるようである。
生い立ち
東洲斎写楽は謎の多い人物だけに、その生没年も不祥となっているが、絵師としてデビューしたのは江戸時代後期の1794年であるとされている。彼のデビュー作は黒雲母摺大首絵であり、人物の特徴をしっかりと捉えたうえで、あえてその容姿の欠点を誇張して描く作風を取り入れている。もっとも、売れ行きは芳しくなかったようであり、彼が実際に作品を発表した期間はデビュー後のわずか10ヶ月ほどであった。
その間、150点近くもの作品を残していることから、一説には写楽という人物は一人ではなく複数の浮世絵師のチームであったという考え方も存在している。活動を停止した後の写楽の生涯については正確にはわかっていないが、今日山法光寺に保存されている過去帳に、斎藤十郎兵衛が1820年に58歳で死去したという記録があることから、これが正しいものだとすると1762年生まれということになる。
浮世絵を高く売るためのポイント
以上で見てきたように東洲斎写楽は謎の多い人物であるが、当時と異なり現代ではその作風が非常に高く評価されている。そこで、ここでは彼の作品をより高く売るために、どういった点に注意すればよいのかを見ていくことにしよう。
適切に保管すること
浮世絵は、紙に描かれていることから、湿気の多いところに放置しているとカビが生えたり、直射日光にさらされると色彩が薄れてきたりすることがある。そのようにダメージを受けた浮世絵については、当然ながら評価も下がることとなり、いかに人気の高い作品であっても低い金額でしか買い取ってもらえないということになりかねない。
そのようなことにならないように、浮世絵を保有しているという場合には、湿気が低く、虫がつきにくい環境で適切に保管することが重要となる。
価値を理解できる業者に買取りを依頼すること
浮世絵は、長い年月をヘて歴史的な評価が高まっている美術品であるが、その価値を正しく理解していない人が査定した場合には、本来よりも著しく低い査定金額で買い取られてしまうおそれがある。そういった事態を避けるためには、買取りを依頼する業者は、浮世絵の買取実績が豊富で、十分なスキルを有する査定人をそろえている美術品専門のところを選ぶのがベターである。
複数の業者から査定を取得すること
より高く浮世絵を売りたいのであれば、複数の買取業者に査定してもらうことが不可欠である。専門家であるといっても査定人の有する知識には個人差があることから、同じ作品を査定してもらっても業者によって金額が異なることは珍しくない。そのため、なるべく多くの業者から査定を取得して、その中から最も高い金額を提示してくれた業者に買い取ってもらうとよいだろう。
キャンペーンを活用すること
買い取り業者によっては、定期・不定期にキャンペーンを実施しているところがある。その内容はさまざまであるが、例えば特定の浮世絵師の作品を対象に査定価格よりも10%高く買い取るといったようなことが行われることが多い。
そのため、自分が売ろうとしている作品が対象となっているキャンペーンを行っている業者を見つけることができれば、通常よりも高値で買い取ってもらえる可能性が高まるのである。
おすすめの買取業者について
では、以上を踏まえて、東洲斎写楽の浮世絵作品を買い取ってもらう際のおすすめの買取業者について見てみることにしよう。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
第一におすすめするのは、絵画をはじめ、中国美術、骨董品、西洋アンティークなど、幅広い美術品の買取りをおこなっている総合美術買取センターである。美術品のジャンルごとに専門の鑑定人が在籍していることから、浮世絵についても正確な査定金額を提示してもらうことができる優良業者である。
買取を申し込む際には、Web上のフォーム、電話またはLINEを使って査定依頼をおこない、送られてきた査定結果に満足すれば、訪問または宅配にて作品を買い取ってもらうことになる。
送料や査定料はすべて無料であるため、査定結果に納得できない場合にはいっさい費用がかからないという点が魅力の一つである。加えて、申し込みから24時間以内に査定結果を出してくれることから、スピーディーに買い取ってもらえるというのも同社のメリットであるといえるだろう。
ギャラリーホープ
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
ギャラリーホープは名古屋を本拠とする買い取り業者であるが、日本全国からの買取りに対応しているため、どこに住んでいても問題なく利用できる。査定人の丁寧な応対を売りにしているだけあって、はじめて買取りを依頼する場合でも気持ちよく取引できるのが特徴である。基本的な買取りの流れは総合美術買取りセンターと同様であり、当然ながら査定などに費用はかからない。
また、1,000万円を超えるような高額での買取りの場合でも現金払いしてもらうことができるため、早くキャッシュが欲しいという場合にも利用しやすい業者である。なお、ホームページ上で買取強化作家を公表しており、ここに東洲斎写楽の名がある場合には、通常よりも高値で買い取ってもらうことができる。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
八光堂は、40年を超える実績と経験を有する鑑定士が在籍していることから、正確な査定結果が得られる可能性が高い業者の一つである。個人に加えて、法人からの買取にも対応しているため、例えば会社で不要な浮世絵を処分したいというようなケースにも利用しやすい業者であるといえよう。百貨店などに出店していることから、いかに同社が業界内においても高い信用力を有しているかが分かるのではないだろうか。
買取りの流れは前述の2社とおおむね同じであるが、新規出店キャンペーンなどをうまく利用することによって、買取価格を引き上げることが可能となっている。
東洲斎写楽の浮世絵の買取相場
東洲斎写楽の浮世絵の買取相場については、買取業者のホームページ上で明確に示されているケースは見受けられず、正確に把握することは困難である。これは、美術品の査定基準は、買取り業者にとっての重要な営業秘密であり、相場を公表することによって大事な情報が流出することを避けるためであろう。
買取業者の情報を利用することができないため、買取相場を推定するためには、それ以外に東洲斎写楽の浮世絵が取引されているケースを見ていくことが有効である。
具体的には、国内大手のインターネットオークションサイトであるヤフオクの落札結果を見ることで、どの程度の金額で写楽の作品が売買されているかが分かるというわけである。実際にヤフオクのサイトで写楽の落札事例を検索したところ、大判作品である「瀬川富三郎と中村万世」が約42,000円、「四代目岩井半四郎の重の井」や「市川海老蔵の竹村定之進」がいずれも約36,000円で落札されていた。
このことから、買取り業者が写楽の作品を買い取る場合にも、これに近い金額が買取相場となるのではないだろうか。
まとめ
以上で見てきたように、浮世絵師の中でも人気の高い東洲斎写楽の浮世絵は、状態が良いものであれば30,000円台で買い取ってもらえる可能性がある。なるべく高額で買い取ってもらうためには、総合美術買取センターなどの確かな査定スキルを備えた専門の買取業者に依頼するのがおすすめであり、できれば2社以上から査定価格を取得して比較するとよいだろう。