日本の近代美術に貢献した作家に森田曠平(もりたこうへい)という人物がいる。彼の作品は高い評価を得ており、市場では高値で取引されている。もし、押し入れや倉庫の奥に森田曠平の作品があって、今後も飾るつもりがないなら買取に出すのがいいだろう。きっとうれしい臨時収入になる。
果たしてその値段はいくらになるのか。今回は森田曠平の人物像や作品風を交えながらその買取相場を紹介していく。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
日本画家・森田曠平を知る
森田曠平は、大正5年に京都に生まれ平成6年まで存命していた作家だ。森田曠平は歴史や女性を題材にした日本画を数多く残しており、その作品は高い評価を受けている。母方の祖父が美術品のコレクターで、芸術家たちとの交流もあった。曠平は幼いころから病弱で外に出て遊ぶ機会は少なく、祖父の趣味である絵に興味を持つようになった。
中学生のころから、関西美術院に通って絵画の基礎を学ぶようになる。第1回京都市美術展洋画部に”洛北風景”という作品を出して見事に入選。このことがきっかけで本格的に美術の道を志すようになった。曠平は東京美術学校西洋画科への進学を希望するが、病弱ということを理由に家族は反対する。結局、曠平は京都市立絵画専門学校を志望校として、京都市立美術工芸学校の教師に絵を教わるようになった。
ところが、結核が再発して進学そのものをあきらめざるを得なくなってしまう。中学を卒業後は独学で絵画の勉強をしていたが、昭和15年から芸術家の小林柯白の元で学ぶようになった。
昭和18年、第30回院展に”広沢の冬”で入選を果たす。しかし、同じ年の11月に小林が胃潰瘍で死去してしまう。師を失った曠平であったが、今度は安田靫彦に師事して活動を続ける。第31回院展に”比叡山”で入選、第41回院展では”波止場”を送って奨励賞を受賞した。その後も院展には作品を送り続けて”磯”、”大原女”、”流人島にて”、といった作品で奨励賞を受賞している。
曠平は創作活動の傍ら、美術の教師を務めるようになり、昭和31年には多摩美術大学日本画科助教授になっていた。奨励賞より上の評価をなかなか得られなかった曠平の作品だが、第50回院展に”洛北仲秋”という作品で初めて日本美術院賞を受賞した。第53回院展でも再び日本美術院賞受賞し、このとき院展同人に推挙される。そして、第58回院展に”京へ”を出品して内閣総理大臣賞受賞の栄誉に輝く。このように曠平は徐々に評価を伸ばすようになった。
昭和51年からは外国の文化を自らの作風に取り入れようと、中国やヨーロッパ諸国を旅行することが多くなる。その経験は創作活動に生かされ、67回院展に”花鎮め”を送って文部大臣賞受賞を受賞した。平成6年12月29日に心不全のため死去した。存命中には画集も出版されており”森田曠平文集”や”森田曠平自選画集夢幻女人”などの書籍がある。
森田曠平の作品の特徴とその買取相場
森田曠平の絵で多く見られるのが女性の肖像画である。曠平の描く女性は独特で、着物もしくは民族衣装姿、丸みを帯びた顔、とがった目、筋の通った鼻といった特徴が見られる。女性の手に四季の花を持たせたり、背景に花や雪を描くことで季節感を表現しているものもある。色はそれほど厚く重ねてはおらず、浮世絵に西洋の絵画の技法を取り入れたような作風だ。
曠平の描く絵は日本画に分類されるが、それまでの日本画の手法に囚われないモダニズムをまとっているのだ。曠平は昭和後期の作品ほど評価が高くなっている。
森田曠平の絵画の買取相場は、作品によって開きはあるが、数万円~50万円ほどといわれている。曠平の作品の中で特に高額で取引されているのは、彼の故郷京都の女性を描いた作品だ。京都南部にある大原で薪売りをしていた”大原女”や、京都の伝統を感じさせる少女”舞妓”がそれにあたる。
もちろん、ここで示した価格は絵画の状態が良好ということが条件に付く。絵に汚れがついていたり、傷があると査定価格は大きくダウンする。状態が悪ければ、本来なら10万円を超える価値があるものが、1万円以下になることもあり得るので保管には気をつけよう。
森田曠平の作品を買い取ってもらうには
美術品の買取でもっとも重要になるのが業者選びだ。美術品は査定のときに、本物の作者の作品であるか、作品の状態はどうかということがしっかりと鑑定される。そのときに、業者によって査定額に差が出ることがある。そのため、美術品の買取では複数の業者に査定を依頼することが大切だ。
査定結果を見比べて一番いい価格で買い取ってくれる業者に持って行こう。業者選びの参考のために、絵画を売るのにおすすめの買取業者をいくつか紹介する。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは絵画をはじめ、骨とう品、アンティークなどさまざまな美術品の買取をしている。ジャンルごとに鑑定士が在籍している。鑑定士は20年以上のベテランのうえ、市場の動向も査定額に反映させているので、適切な査定額を提示してくれるだろう。
総合美術買取センターは、営業所を東京に絞っているため、経費の削減ができている。その削減できた分を査定額に還元しているので、高額買取が期待できるのだ。
営業所は東京だけだが、査定の方法に、電話・メール・査定フォーム・LINEがあるため全国に対応している。また、査定のために家まで来てもらうこともできる。訪問以外の査定を利用するなら、作家名と作品名、作品の種類、大きさ、技法を調べておいたほうがスムーズに値段を教えてもらえる。なお、査定料は一切かからない。
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
30年におよぶ美術品買取の実績を持つのが美術品・絵画買取センターだ。長く営業しているということは、それだけ顧客からの信用も厚いことを意味している。専門の鑑定士が在籍、マーケットの動向把握、顧客志向など適切な査定を期待できる要素がそろっている。
また、対応が素早く、査定を依頼してから24時間以内に結果が返ってくる。査定はLINEや査定フォームという通信技術を使ったものから、宅配・訪問・来社と鑑定士が直接品物を見るものまであり、顧客は好きなものを選ぶことができる。訪問査定は全国に対応しているので地方に住んでいても利用可能だ。
美術品・絵画買取センターでは、査定額が買取価格と謳っている。LINEなどのネットからの査定では、顧客からの情報や美術品の写真を元に査定をおこなう必要がある。そのときの査定額は仮のものだ。買取のために品物を送ってから本査定がある。
よくあるのが、仮査定では良い値がついていたが、本査定で傷や汚れが見つかり査定額が減額されてしまうパターンだ。美術品・絵画買取センターでも同様の減額はあるが、仮査定の段階から詳細な情報を元に適切な価格を提示して、本査定との価格に大きな開きが出ないように努めている。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
八光堂は創業40年以上の美術品専門の買取専門店だ。メディアからの鑑定依頼も受けた実績がある。確かな鑑定眼と100,000件以上の買取データを元に査定をしてくれる。公式ホームページには、在籍する鑑定士が紹介されている。どんな人たちが査定をしているのかがわかれば、安心感も湧いてくるだろう。査定方法は、出張査定、店頭査定、メールとLINEの査定がある。
また、八光堂は定期的に全国各地に出向いて無料の鑑定会を開いている。鑑定会は、美術品を売却したくても近くにいい店舗がないし宅配買取では不安という人に好評になっている。八光堂は海外にも販路を広げており、また、自社オークションもおこなっているので購入した商品の買い手を見つけやすい。そのため在庫費を抑えることができるので、その分、美術品を高く買い取ってくれるのだ。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
本郷美術骨董館は、アンティークモールといって、各美術分野の専門店が集合してできている。大手信用調査会社から買取・販売実績日本一のお墨付きをもらったことがある美術品専門の買取業者だ。本郷美術骨董館では、買い取った品の販売を他社に委託していない。販売時の中間マージンを削減できているので、高価買取を可能にしているのだ。
2019年時点で27人の鑑定士が在籍しており、月に数回勉強会を開いて鑑定力のブラシュアップをおこなっているのが特徴だ。国税庁からも依頼があるほど鑑定の信頼性は高い。買取方式は、店頭買取、出張買取、宅配買取をおこなっている。メールから写真を送る査定もあるので利用はしやすい。
絵画を高く売るために必要なこと
業者選びの重要性はさきほど説明したが、それ以外にも絵画を高く売るコツはある。
森田曠平作品の買取強化をしていないかチェックする
業者は需要が高まっている品があれば、それを通常よりも高く買い取ってくれる。この買取強化の情報は、業者のホームページに記載される。買取を依頼する前に、森田曠平作品を買取強化している業者がないかチェックしておこう。
査定に出す前に品物をきれいにしておく
素人が絵画本体についた汚れを取り除いたり、傷を補修することはできない。だが、絵にかぶっている埃をエアスプレーで払ったり、額縁の埃を拭くことくらいはできる。たかが埃と思うかもしれないが、それだけでも見栄えはだいぶ違い、査定に影響することがある。
まとめて売る
森田曠平の絵画以外にも売りたい美術品があればまとめて売るといい。まとめ売りは業者側にとっては経費削減につながることであり、無条件で査定額をアップしてくれるところもある。まとめ売りで買取価格を上げると明言していない業者でも、交渉次第ではより高く買い取ってもらえる可能性はある。
宅配買取を利用する
出張買取を全国どこでも無料としている業者もあるが、出張買取は店頭買取・宅配買取と比べると業者の負担が大きくなる。そのため、出張査定料は無料としているものの、経費の埋め合わせをするため査定額を下げることがあり得る。査定額を下げたくないという人は、宅配買取を利用するのが無難だろう。
まとめ
病身に負けず画家になるという夢を叶えた森田曠平。そんな彼の作品は、今も多くの人を惹きつけている。だからこそ、買取業者も高いお金を払って買い取ろうとするのだ。もう家に飾られていない森田曠平の絵があれば売ってお金に変えてしまおう。それに、絵画は誰かの目に触れてこそ価値がある。買い取ってもらうことで、絵も日の目を見ることができるだろう。