河野通勢（こうのみちせい、聖名：ペトル）は、大正から昭和にかけて活躍した洋画家である。1895年（明治28年）に生まれた河野通勢は、父で洋画家の河野次郎に小さい頃から英才教育をうけ、1914年（大正3年）の第1回二科展に初入選するなど早くから才能を開花させた。
洋画家の岸田劉生に画風が認められ草土社に参加、後に草土社同人になり、二科展や文展などでも活躍した。その後、小説の挿絵や風景画、版画、日本画などに注力するようになり、河野通勢の特徴である圧倒的な写実表現を伴った作品は、河野通勢が20歳前後の一時期に多く描かれたことから、「早熟の天才画家」、「大正の鬼才」と呼ばれている。
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河野通勢の作品の価値は
洋画のほか、版画、挿絵、日本画、南画など、様々な分野で活躍した河野通勢の作品は、人気があり、高額で取引される作品もある。
河野通勢の作品としては、油彩、水彩、デッサン、銅版画、リトグラフ、木版画、日本画、南画などがあるが、図柄や技法、作品の状態により数万円から数十万円で取引されており、人気作となると、100万円を超える価格で取引されることもある。
河野通勢の作品の価値を決めるポイントについて
高額で取引される河野通勢の作品であるが、実際に取引する時は、思ったような価格で取引されない場合が往々にして出てくる。作品を取引する時は、その作品の持つ価値を元に価格などが設定されるが、作品の価値を決める要素は色々あり、それらの中に作品の価値にとってマイナスとなるようなものがあれば、作品としての価値が下がるため、取引価格も下がってしまう可能性が出てくるのである。
ここに河野通勢の作品の価値を決めるポイントについて簡単に記載していく。
作品の状態は作品の価値に大きく影響する
高額で取引される河野通勢の作品であっても、作品の状態が悪い場合は、作品としての価値が下がることから、それに伴い取引価格も下がる可能性が高い。作品の状態は、他の要素に比べ作品の価値に大きく影響するからである。
作品の状態が悪い例としては、作品に折り目やシワがある、作品が裂けていたり、破けていたり、一部がなくなっていたり、虫に食われ穴が空いていたり、のように作品中に損傷がある、日光もしくは蛍光灯のような紫外線を含む外光があたることにより色あせが発生している、湿気が多い環境で保管したことによりシミやカビが発生している、温度変化などにより絵具が剥離もしくはひび割れが発生している、などである。
作品の状態が悪くなる原因としては、作品が制作されてから長い年月が経過したことによる経年劣化の場合もあるが、作品を保管する環境や取扱いが悪い場合もある。
作品の状態を悪化させて作品の価値を下げないためにも、作品を保管する場所の温度、湿度を一定に保つ、日光、蛍光灯などのもとで作品を広げない、展示しない、移動や梱包などにおいて丁寧に扱う、など、保管や取扱いには十分に注意したほうがいいだろう。
サインがある作品は需要が高くなる場合がある
作品中に河野通勢のサインがある場合は、需要が高くなる場合があり、取引価格も高くなる可能性がある。
サインは、作品の制作過程の最後に入れられるものであるが、作品によってはサインがない作品もある。その場合、サインがない＝完成していない、とも考えられるが、実際には、何らかの都合でサインが入っていないだけで、作品として完成している場合もあり、その場合は、作品の価値にあまり影響はしない。
ただ、サインがあることではじめて作品は完成する、と考える人もいて、そのような人は、サインがある作品を好む傾向にある。特に、作品を実際に購入するコレクターにそのような人が多いことから、サインがある作品の需要が高くなり、取引価格も高くなる可能性が出てくるのである。
所有している河野通勢の作品についてサインの有無を確認したほうがいいだろう。洋画の場合は、作品の裏側にサインがあることもあるので、作品の裏側も確認をしたほうがいいだろう。
鑑定証は必要不可欠
作品が高額で取引されるような有名な作家ともなると、その作家が制作したと偽った贋作が流通することがある。骨とう品の中でも絵画は特に贋作が多い分野で、例えば、河野通勢の師である岸田劉生は、贋作が特に多い作家として有名であり、河野通勢についても、贋作が流通している可能性が否定できないのが現状である。
贋作は、誰が見ても贋作とわかるような稚拙なものから、素人目には本物か贋作か判断できないような高度なものまで様々な種類があるが、共通しているのは、作者を偽っている限り、作品の出来に関係なく、贋作の作品としての価値は無いに等しい点である。
もし、贋作を贋作とわからずに河野通勢の作品として取引した場合、大きな損となってしまうだろう。大金を費やして手に入れたものが、ほとんど価値のない贋作となるためである。
そのような事態を避けるために、取引の際には鑑定証が必要不可欠となってくる場合が多い。鑑定証は、所定の鑑定機関が、この作品は河野通勢が手掛けた作品である、と鑑定したことを証明したもので、作品と鑑定証が揃っていれば、河野通勢の本物の作品として取引できるといえる。
取引前に所有している河野通勢の鑑定証を確認したほうがいいだろう。鑑定証については、前述の所定の鑑定機関に依頼すれば取得することができるが、手続きなどが複雑なため、鑑定証の取得する場合は、鑑定証の取得を代行する業者に依頼したほうがいいだろう。
河野通勢の作品を売却する場合について
河野通勢の作品を売却する場合についてだが、河野通勢の作品に限らず、美術品の取引経験などがあまりない場合は、できるだけ専門家に依頼した方がいいだろう。
美術品の取引においては、複雑な手続きや問い合わせ、値段交渉、クレーム対応などで、美術品の取引の経験や美術品に対する知識が必要な場合があり、経験や知識がない一般人では対応が困難となるが、経験や知識をもつ専門家であれば、スムーズに対応できる可能性は高いといえる。
専門家は、買取業者では、河野通勢のような大正から昭和期に活躍した洋画家の作品の買取実績が豊富な業者、オークションでは、専門家が対応するアートオークション、もしくは出品の代行を行うオークション出品代行業者などである。
これらの専門家の中には、取引を依頼する場合にそれなりの経費が必要な場合もあるが、取引をスムーズに行うためには必要な経費であると言えよう。
