藤城清治(ふじしろ せいじ)は日本を代表する世界的な影絵作家である。彼は絵本の挿絵も数多く手がけているため、一度は彼の作品を目にしたことがある人は多いのではないだろうか。
この記事では、藤城清治の紹介や彼の手がけた作品についての解説、また彼の作品の買取相場やおすすめの買取業者についてまとめた。藤城清治作品の売却を検討している人はぜひ参考にしてほしい。
本記事のポイント
- 藤城清治はケロヨンの作者としてよく知られている
- 絵画作品だけでなくフィギュアなども高価買取対象に
- レフグラフという技法について
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藤城清治は影絵作家の第一人者と評価される
藤城清治は1924年東京生まれ。幼い頃から絵の才能を認められていた藤城清治は、12歳のときに水彩画やエッチングなど本格的な絵画の技法を学び始める。戦時中は海軍予備学生となっていたが、戦後は大学に戻って絵画の制作や人形劇の活動に励む充実した日々を送った。
1948年、藤城清治は花森安治と出会う。雑誌暮しの手帖の創刊者である彼は藤城清治の才能にほれ込み、影絵の連載が開始される。この連載はなんと1996年まで続く長期連載となり”暮しの手帖”の紙面を鮮やかに彩った。”暮しの手帖”に連載をする一方で、1951年には作曲家芥川也寸志が音楽を手がけた人形劇”雪の女王”を制作したり、1953年には朝日新聞日曜版で影絵の連載を始めた。
彼の所属していた人形劇集団木馬座のTV番組木馬座アワー(日本テレビ系)では、自らがデザイン・プロデュースしたカエルのキャラクター”ケロヨン”を発表。そのため、1960年代生まれの世代には、藤城清治はケロヨンの作者として広く知られている。
その後NHKの教育番組でも彼の作品が使われることが多く、TVを通して藤城清治の作品を知った人も多いだろう。彼の発表する作品は海外でも高く評価され、1983年にチェコスロバキアのブラチスラヴァ国際絵本原画展に出品され、金のリンゴ賞を受賞した。ほかにも中東各国で影絵劇も上演されている。
1989年には長年の功績が認められて紫綬褒章を受章し、2013年には栃木県に藤城清治美術館が開館。彼の作品の展覧会も全国各地でおこなわれている。2019年5月15日には、彼の手がけたステンドグラスが宮崎県の宮崎ブーゲンビリア空港に設置され公開された。
これは新しくオープンした空港に設置されたもので、天照大神や須佐之男命など日本神話でおなじみの神様がモチーフに描かれた壮大な内容。神話が数多く伝えられている宮崎県にふさわしい美しいステンドグラスとなっている。大正から昭和・平成・令和という四つの年号を生きてきた藤城清治。2019年には95歳を迎えたが、影絵作家の第一人者として常に精力的な創作活動をおこなっている。
藤城清治作品の特徴とは
藤城清治作品の特徴は、何といってもそのカラフルで幻想的な世界だ。影絵は通常光と影が中心となるためモノクロが主流だが、藤城清治の作品は複数のカラーフィルムを使って影絵に色をつけ、まるでステンドグラスのような色鮮やかな世界を構築している。
これは藤城清治が編み出した技法で、彼の作品が長年に渡って支持されているのは唯一無二のオリジナリティがあるからだろう。彼の作品は版画で制作されていて、本人公認で複製画も作られ流通している。
版画の技法はレフグラフやリトグラフがほとんどだが、市場に出ている作品の中にはシルクスクリーンで制作されたものも存在する。レフグラフは、伝統工芸品の越前和紙に釉薬を塗った後にデジタルプリントを施していく特殊な技法。リトグラフはアルミ板や石灰石の表面にクレヨンなどの画材で絵を描き、その上から薬品を塗る技法だ。どの技法も影絵のミステリアスさを保ちながら、人形劇で培ったユーモアやかわいらしさをあわせ持っている。
藤城清治の代表作
藤城清治は長いキャリアを持ち、影絵のほかにキャラクターデザインや人形劇なども手がけている多才な作家である。そのため、代表作を数多く持っているが、ここではその中でも特に有名な作品を紹介しよう。
銀河鉄道の夜
宮沢賢治原作の名作を影絵にした作品。絵本の挿絵として制作され、ストーリー展開に合わせた連作となっている。幻想的な原作の世界観を活かし、かつ新たな魅力を引き出している本作品は国内外で高く評価され、1983年にはチェコスロバキアのブラチスラヴァ国際絵本原画展において金のリンゴ賞を受賞した。
藤城清治が宮沢賢治作品を手がけることは多く、本作のほかにも”風の又三郎”をシルクスクリーン作品として制作している。
こびとの音楽隊
藤城清治の作品には、とんがり帽子をかぶってコミカルな動きをするこびとの妖精が良く登場する。本作はこびとたちがフルートや太鼓、バイオリンなどのさまざまな楽器を弾きこなして、楽しく音楽を奏でている様子が生き生きと描かれた魅力的な作品。かわいらしい世界観に心が温かくなる内容だ。ほかにも、こびとをモチーフにした作品はこびとの旅立ちやこびとの楽園などがある。
ケロヨンワールド
ケロヨンは1960年代に日本テレビ系列で放送されていた子ども番組のカエルのキャラクター。藤城清治がキャラクターデザインを手がけたことで知られているため、藤城清治といえばケロヨン、と連想する人も多いようだ。
ケロヨンは流行語も生み出すなど子どもたちに圧倒的な人気を誇った。藤城清治自身もケロヨンをとても気に入っているようで、ケロヨンをモチーフにした影絵も制作している。動物が暮らす森の中をドライブするケロヨン。カラフルでほのぼのした雰囲気が魅力的な作品だ。
ブレーメンの音楽隊
有名なグリム童話を影絵化した作品。モチーフは馬・犬・猫・にわとりの順でそれぞれの背中に乗る有名なシーンを描いている。しかし、良く見ると馬の腰のあたりにこびととケロヨンがぶら下がっている。猫はバイオリンを弾いていて、にわとりはそのバイオリンにちょこんと座っている。
名作をただ絵にするのではなく、自分なりのアレンジやユーモアを加え、藤城清治にしか描けないブレーメンの音楽隊を描いているのが素晴らしい。遊び心満載な逸品だ。
藤城清治作品の相場・値段を確認
藤城清治作品の相場は2万円~30万円程度。人気作家のため、買取業者側も常に作品買取を積極的におこなっている。一般に販売されている藤城清治の作品はリトグラフやレフグラフが多いが、中にはシルクスクリーンの作品もありジャンルも幅広い。藤城清治美術館では、同美術館監修オリジナルジクレー版画を販売しており、こちらは定価が7.7万円〜22万円ほどとなっている。
藤城清治作品の買取相場・実績・落札事例
- 「夜桜」リトグラフ 22万円(メルカリ)
- 「木馬の夢」リトグラフ 18.5万円(ヤフオク)
- 「生きる喜び」ダイヤモンドスクリーン 10.1万円(ヤフオク)
- 「光る海」リトグラフ9万円(ヤフオク)
- 「光る海」リトグラフ 4.5万円(緑和堂)
- 「花園のシンフォニー」リトグラフ 4.5万円(緑和堂)
- 「3台のピアノ」? 2万円(緑和堂)
また、彼がほかの作家と異なるのは、影絵作品だけでなくケロヨン関連の商品も買取している業者が多い点だ。先に紹介したケロヨンが登場する影絵作品はもちろんだが、ケロヨンのフィギュアなども高値で取引されている。ケロヨンのフィギュアの価格は2,000円~6,000円ほどの価格帯になることが多い。ほかにも、ソフトビニール製のケロヨン人形を探している業者もいるため、もし買取を希望する場合は一度査定をしてみたほうがいいだろう。
ケロヨン関連商品の買取例
- 「野村トーイ カエルのぼうけん ケロヨン ソフビ フィギュア」45,600円(買取スター)
- 「ツクダ ブリキ ケロヨンの電動 ミステリー スティング・レイ」26,500円(買取コレクター)
- 「ケロヨンのぼうけん」800円(ゲオ)
LINE査定に対応している買取業者
先に述べたように、藤城清治は業者も積極的に買取をおこなっている人気作家である。その中でも特におすすめの買取業者をピックアップしたため、ぜひ参考にしてもらいたい。
総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
総合美術買取センターは、絵画だけでなくアンティークや中国の骨董品など幅広い買取をおこなっている業者。日本全国に対応しているだけでなく、LINE査定をおこなっている手軽さも魅力だ。現代アートはアンディ・ウォーホルや草間彌生など、国内外の世界的作家を積極的に買取している。査定をおこなう鑑定士は各ジャンルの専門的な知識を備えているため、まずは気軽に査定をおこなってみよう。
美術品・絵画買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品・絵画買取センターは、絵画・骨董品・インテリアアートなどの複数ジャンルを取り扱っている買取業者。しっかりとした査定額と24時間以内のスピーディーな対応をおこなっている。買取は店頭だけでなく出張・宅配買取にも対応可能。お客様第一をモットーにしている業者だ。
藤城清治作品は高価買取をおこなっていると公式ホームページでも述べており、買取だけでなく預かりでオークション出品にも対応している。
出張買取に対応している買取業者
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アート買取協会は美術品に特化した買取業者。骨董品・アンティークなど買取ジャンルは幅広いが、特に力を入れているのは絵画である。鑑定をおこなうときは料金を負担してくれるため、鑑定料が発生せずに鑑定をおこなうことができる。全国各地どこでも自社対応をおこなってくれるところも心強い。
もちろん、藤城清治の作品も無料査定対象だ。アート買取協会は藤城清治作品の買取に実績があり、特に買取強化大賞の作家として扱っている。ぜひ無料査定だけでも依頼しよう。
アース買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アース買取センターは、東京都東久留米市に店舗を構える買取専門店。東京方面を中心に美術品・アンティーク・骨董品を多く取り扱い、しっかりとした丁寧な査定に定評がある。
藤城清治作品の買取強化をおこなっているが、それだけではなくケロヨンのフィギュアやビニール人形など、藤城清治に関連したものは幅広く取り扱っている買取業者だ。藤城清治の作品やフィギュアが手元にある人は、まとめて査定をおこなうことをおすすめする。
売却は買取業者がおすすめ
美術品やアート作品の売却を検討しているなら、リサイクルショップを利用するのではなく、美術品を専門的に買い取ってくれる業者を選ぼう。リサイクルショップでも美術品の買取は可能だが、美術品は真贋の見極めが難しく、非常に専門的な知識を必要とする。そのため、せっかく査定をおこなっても自分の納得のいく買取価格を提示してくれるとは限らないからだ。
美術品は、購入するときに何らかの思い入れがあったり、コレクションとして集めていた人もいるだろう。残念ながら手放してしまうとしても、美術専門の買取業者のほうが作品を丁寧に扱い、しっかりとした査定をおこなってくれることは間違いない。
特に藤城清治の作品は世界的にも有名なため、ぜひ買取したいと名乗りを上げている美術業者は数多くいる。まずは2社以上の専門業者に査定を依頼し、それから比較・検討してじっくり吟味することが大切だ。
まとめ
藤城清治の作品はどれも幻想的で、ずっと眺めていたくなるような美しさがある。多くのファンを持つ作家であるため市場での取引量が多く、売却しやすいといえるだろう。
しかし、売却するとはいっても絵画は美しい状態をキープしたまま次の買手に手渡してほしいもの。売却するときは高額買取をしてくれるだけでなく、作品を大切に扱ってくれる信頼できる業者を選ぶようにしよう。