訪問買取時には、業者として気を付けておきたい法律が存在する。法律を守らないと懲役や罰金の対象になってしまうので、気を付けるというよりは正確に把握して厳守する必要がある。
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どのような法律に注意しなければならない?
まずは、絶対に注意しなければならない法律を紹介する。これらの法律を訪問買取業者が守らなかった場合、逮捕また罰金刑に処されてしまう。知らなかったでは済まないので、事前に把握しておく必要があるのだ。具体的には以下のようなルールが特に重要だ。
- ・不招請勧誘の禁止
- ・買い取れるのは承諾範囲のみ
- ・査定のみでアポイントを取った場合は査定のみ
- ・クーリングオフの適用
不招請勧誘の禁止
まず不招請勧誘の禁止に関しては、飛び込み訪問の禁止を指す。事前にアポイントを取っている場合は問題ないが、アポイントなしで急に飛び込み訪問するのは違法となる。もちろん事前に連絡していても、断られている場合は訪問禁止となる。
買い取れるのは承諾範囲のみ
次に買い取れるのは承諾範囲のみというルールに関してだが、これは事前にアポイントを取った範囲でしか買い取りできないというもの。実際にアポイントのサイトは別のものに目を付けて買い取ろうとする業者が多発したので、この取り決めが行われているのだ。
査定のみでアポイントを取った場合は査定のみ
また、査定のみでアポイントを取った場合には、買い取りを目的とした訪問は禁止となる。査定でアポイントを取ったにも関わらず買い取りしようとした場合、不招請勧誘の禁止を犯した場合と同等の扱いとなる。
クーリングオフの適用
ちなみに、アポイントの際に査定後買い取りの勧誘をする可能性がある、といったことを伝えて承諾をもらっていた場合は、査定後買い取り交渉しても問題ない。
そして、近年もっとも注目されているのがクーリングオフの適用に関する法律だ。これに関しては次章で詳しく解説する。
訪問買取時のクーリングオフ
クーリングオフは、消費者が何か購入した際に8日以内であれば契約を取り消せるというもの。これはもちろん訪問販売された際にも適用される法律だが、同様に訪問購入時にも適用される。
消費者に必ず告知しなければならない
クーリングオフ制度は消費者が何か購入したときだけでなく、消費者が何か販売した際にも適用される法律。そして、訪問買取業者はクーリングオフ制度について事前に消費者に告知する必要がある。
告知しないだけでも罪になるので、必ず最初にクーリングオフ制度について消費者が知っているか確認する必要があるのだ。知らなかった場合には内容をきちんと説明し、消費者に知ってもらう必要がある。
消費者がクーリングオフ制度について知らないまま売買するだけでも違法になるので、他の法律に比べてもかなり重視されていると言える。どうしても専門知識を持たない消費者の方が不利になってしまうケースが多いので、消費者保護観点からクーリングオフ制度は導入されているのだ。そのため、徹底して消費者に有利な法律になっている。
クーリングオフを告知しない業者も存在する
しかし、クーリングオフ制度を告知しないまま買い取りを行っている業者が多いのも事実。さらにひどいケースになると、クーリングオフ制度を否定するようなルールを勝手に設けている事業者も存在する。
具体的には、買い取り後一切の払い戻しを禁止している事業者も存在する。もちろん消費者庁等に見つかり次第摘発されるが、違法のまま事業継続されているものもある。ただし、今後はよりチェックの目も法律も厳罰化されることが予測されているので、違法な業者は減っていくだろう。
違法業者がクーリングオフ制度を告知しない理由は?
なぜ違法業者はクーリングオフ制度について知っていながら消費者に告知しないケースが多いのだろうか。それには以下のような理由がある。
- ・警察や公安委員会や関連省庁に届け出を出さないままに事業を行っている。
- ・不当に買い叩いているため、客にばれると8日以内にキャンセルされる可能性が高い。
- ・業者に知識がなく、クーリングオフに関してもなんとなくしか把握していない。
- ・不当なまとめ買いを繰り返しているので、買い取り記録が残ることを危惧している。
つまり、事業そのものが違法か、買い取り方に問題があるのでクーリングオフを適用されると困るということだ。
クーリングオフの対象外となる事例
クーリングオフは売買取引があれば100%発生する権利ではなく、以下のような状況ではクーリングオフ制度は適用されない。
- ・業者間の取引。
- ・海外の人との取引。
- ・国、地方公共団体との取引。
- ・反復的な取引。
- ・店頭への持ち込みによる買取。
以上のような状況では、クーリングオフ制度は適用されない。クーリングオフ制度はあくまでも消費者の立場を守るためのものなので、業者間や行政との売買で適用されないことはなんとなく想像が付くだろう。
消費者が不利にならない時はクーリングオフは適用されない
そうはいっても反復的な取引や、店頭への持ち込み時にクーリングオフが適用されないことは意外に感じられる方もいるかもしれない。その理由は、こういった状況下では消費者が不利にはならないからだ。
反復的な取引の場合、消費者はすでに相場や取引の詳細を把握しており、店頭への持ち込みの場合は消費者が事前に品物の相場等を調べて把握することが可能である。クーリングオフ制度は不利な立場にある消費者を救済するための制度なので、消費者が不利でないときには適用されないのだ。
訪問押し買いで逮捕される事件が発生している
2013年に、山形県で特商法違反容疑で逮捕者が出た。容疑者が貴金属を訪問販売した際、購入価格やクーリングオフ制度の説明書類を渡さなかったとして、志賀直樹(26)が特定商取引法違反の疑いで逮捕されたのだ。
容疑者は82歳の女性宅を訪問し、女性からネックレスや記念硬貨など3点を1万円で買い取った際に法令で定められた書類を渡さなかったのである。
消費者は警戒している
訪問買取時に知っておくべき法律や過去にあった事件について紹介したが、それらをクリアしてもそもそも消費者が訪問買取業者を警戒しているという問題がある。今の時代、インターネットがあるので消費者は必要であれば自分から連絡して出張買取を依頼する。
つまり、訪問買取業者から営業を掛けてもすぐに電話を切られる可能性が高いのだ。実際、訪問買取業者が起こしているトラブルもあり、その情報はインターネット上にも出回っている。訪問買取業者から営業電話があった際の断り方の対策マニュアルまであるくらいなので、買取業者は一般人からあまり好印象を抱かれていないことがわかる。
出張買取業者は儲かる!?
訪問買取を行っている業者にはリサイクルショップのように店舗を持っている業者もいれば、訪問買取やネット販売に特化した事業者も存在する。実に様々な形態があるが、結局のところこれらの事業者は儲かるのだろうか。
脱サラして出張買取を含めたリサイクル業で起業しようと考えられている方もいるかもしれないが、法律以前にそもそも儲かるのかは当然気になるところ。儲からなければ法律を知っていても起業はしないはずだ。
まずは利益よりも費用を考えよう
リサイクル業者が儲かるかどうか考える際には、まずは利益よりも費用の方を考えた方が良いだろう。費用が少なければ、万が一売り上げが少なくても赤字分は人件費のみで済む。個人でやる場合は、自分の労力が取られるというだけのことだ。
では、具体的な費用を以下で紹介しよう。
リサイクル業を営む際にかかる費用
リサイクル業を営むには以下のような費用が掛かってくる。
- ・テナント費用
- ・人件費
- ・仕入れコスト
- ・保管コスト
- ・広告宣伝費
ちなみにこれは実店舗を持ち、さらにインターネットも活用してリサイクル業を営む場合の費用だが、実店舗を持たず人も雇わない場合は大幅にコスト削減が可能となる。
ネットのみで営業する場合
もしも仕入れから販売まですべてネット上で行い、個人でやる場合に掛かる費用は以下の通り。
- ・仕入れコスト
- ・保管コスト
- ・広告宣伝費
実店舗を持たず人も雇わない場合には、これだけしか費用が掛からない。また、保管を自宅でやれば保管コストもかけずに済む。広告宣伝をどうするかが難しいところだが、今の時代実店舗があってもなくてもインターネット上での宣伝がメインになるので、検討しておかなければならないポイントの一つだ。
効率化を突き詰めると・・
つまり、最大限効率化することで費用は以下にまで抑えられる。
- ・仕入れコスト
- ・広告宣伝費
広告宣伝はどうすれば良い?
広告宣伝は外注するか自分でホームページを作成するか、もしくはそれらのどちらも行う方法もあるが、ホームページをメインにする場合は広告宣伝費もそれほど掛からない。純粋に仕入れ値より高く売ればそのまま利益になるので、効率的なビジネスと言えるだろう。
実際、効率化してリサイクル業で儲けている人は多数いる。最初の元手も10万円~30万円程度あればリサイクル業界で起業可能なので、週末起業的に始めるのにもおすすめされている。
メルカリやオークションサイトの充実でリサイクル業界は厳しい?
最近はインターネットを活用し、消費者が不用品を直接売買できるようなサービスもある。そのため、わざわざリサイクルショップを利用するよりもそちらの方がお得なのでは、という声が多い。事実仲介サイトを使用して消費者同士で売買した方が双方とも得な場合が多いからだ。
仲介業がメインの業界は今後危うい!?
リサイクル業界に限った話ではないが、何かを売買する際にはなるべく仲介業者が少ない方が手数料が掛からない分メリットがある。その結果、商社やリサイクル業のように、仲介業がメインの業界は今後なくなっていくと言われているのだ。
世の中が便利になればなるほど無駄なものは排除されていくが、商社やリサイクル業は極端に言えばない方が手数料が掛からず良い。そのため、今後淘汰されていくことが想定されるが、現状ではまだ仲介業者も充分に利益を獲得できている。
リサイクル業も今後10年スパンで見ると存続は怪しいが、あと数年は儲かる業界と言えるだろう。
まとめ
訪問買取時に業者が気を付けるべき法律や、そもそもリサイクル業界は儲かるのかといったことを紹介した。リサイクル業は仲介業なので今後10年となると厳しいかもしれないが、現状は儲かっている。
インターネットを最大限活用して実店舗を持たない方法もあるので、元手も少なく始めることができる。