京都画壇の最高峰・金島桂華の掛け軸は、多くの買取業者で高価買取対象となっている。また近頃では、ライブオークションにおける落札実績も増えているため、市場の活況といった意味でも将来的に売却を考えている皆さんにとって、より良い状況が生まれつつあると捉えて良いだろう。今回は、金島桂華が多くのコレクターから注目される理由などを見ながら、買取相場で掛け軸を売るために欠かせない査定ポイントを整理していきたい。
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金島桂華とは?
金島桂華は、明治時代~昭和にかけて活躍していた日本画家だ。芸術の分野で優れた功績を残した彼は、国の栄誉機関となる日本芸術院の会員でもあった。四条派に院体画を融合させるというオリジナリティ溢れる視点で描かれた金島桂華の花鳥図は、昭和時代の画家たちからも認められ、また数々の受賞実績へと繋がっていったようだ。
さまざまな師との出逢い
金島桂華の作風は、平井直水や西家桂州、竹内栖鳳といった多くの作家との出逢いによって形成されたといっても過言ではない。幼い頃から絵画に興味を持っていた彼は、14歳から尼崎に移り住み、西家桂州などから絵の基本を学んだと言われている。その後、金島桂華は京都に向かい、近代日本画の先駆者とも呼ばれる竹内西鳳に入門したようだ。
更には、制作に欠かせない精神を磨き上げようと考えた彼は、京都妙心寺で禅の荒行を経験する形となる。こうした形でさまざまな日本画家や禅僧との出逢いを通して、自身の人生や感性を磨き続けた金島桂華の姿勢は、作品だけでなく人間性といった部分でも多くの人を魅了する要素が多いと捉えて良いだろう。
四条派とは?
金島桂華がベースとした四条派というのは、京都画壇で一大勢力となった日本画界における最も大きな派閥だ。塩川文麟によって西洋画の手法を取り入れた四条派は、明治維新以降に画風が大きく変わったと言われている。また金島桂華の師となる竹内栖鳳がリーダーになってからは、西洋画における写実画法や狩野派などの技法も積極的に取り入れているため、こうした四条派の挑戦的な姿勢は竹内栖鳳の作風に対しても大きな影響をもたらしたと言えそうだ。
院体画とは?
金島桂華が四条派の作風との融合を試みた院体画は、中国の宮廷画家たちの画風の総称だ。徽宗の時代に盛んだった院体画には、山水や人物、花鳥といったテーマに即して描かれる特徴があった。また院体画ならではとも言える写実的で精巧な技法は、金島桂華の絵画や掛け軸における高い魅力と価値に繋がる一要因と考えて良いだろう。
私塾・衣笠会や丈杖会での活動
金島桂華は、自身が設立した私塾・衣笠会や、師匠である竹内栖鳳の画塾・丈杖会における活動も盛んな画家だった。かつて衣笠会のあった衣笠は、大正~昭和時代にかけて金島桂華や堂本印象、山口華楊といった日本画家の多くがアトリエを構えていた京都のエリアだ。現在はこの地域に、堂本印象美術館も存在している。こうした環境で自身の画塾を作った金島は、自身の制作だけでなく後進の育成などについても大変熱心な一面あったと言えるだろう。
さまざまな受賞実績
大正時代以降の金島桂華は、帝展や日本美術展、日展といった数々の展覧会で受賞をしている。またそんな彼の受賞実績の中には、勲三等瑞宝章や京都市文化功労賞といったものもあるため、金島桂華の活動への評価や功績は単なる日本画家という域を遥かに超えていたと捉えて良いだろう。
華鴒美術館の存在
金島桂華の作品は、近代日本画壇の収集に積極的な岡山県・華鴒美術館に多く所蔵されている。この美術館のサイトによると、所蔵作品の約6割が金島桂華のものだそうだ。こうした形で美術館展示の多い画家の場合は、それだけ買取市場に掛け軸や絵画などが流れていないと考えられる。また来館によって彼に注目するコレクターも多く存在するため、金島桂華は美術館展示の少ない画家と比べて、遥かに高価買取が期待できる要素の多いと言えるだろう。
金島桂華の掛け軸における買取相場
金島桂華の掛け軸における買取実績や買取相場は、誰もが簡単に利用できるヤフオクとライブオークションハウスのみで公開されている。
凍鶴
絹本に彩色で描かれた「凍鶴」という掛け軸には、ライブオークションで550,000円の高額落札に至った実績が存在する。このオークションのエスティメートを見てみると、最高予想落札価格として1,000,000円が設定されていたことがわかる。こうした実態から推測すると、コンディションの高い金島桂華であれば、かなり高い価格で売却できると考えて良いだろう。
紅白椿
ライブオークションの別な回においては、「紅白椿」という作品に850,000円もの高額落札に至った実績もあるようだ。この絵画におけるエスティメートは、下が1,500,000円、上が2,500,000円となっている。予想価格と比べれば遥かに安い落札になったようだが、それでも800,000円を超える落札額というのは掛け軸としてはかなり高い相場と捉えて良いだろう。
霜朝
絹本彩色で描かれた42.5cm×57.7cmの掛け軸「霜朝」には、1,200,000円もの落札実績がある。このオークション全体の取引を見てみると、中には金島桂華の取引であっても不落札になってしまった作品も存在するようだ。こうした形で落札に至らない可能性を考えると、急な入用や遺産相続によるスピーディーな現金化を求める人にとってはライブオークションよりも買取専門店の利用の方が納得の取引に繋がりやすいと言えるだろう。
金島桂華の掛け軸を高価買取に繋げる査定ポイント
最後に、金島桂華の掛け軸を売る上での注意点とも言える査定ポイントを、当ページのまとめとして整理しておこう。
金島桂華の作品には贋作も多い
金島桂華の絵画や掛け軸を持っている皆さんに最初に確認していただきたいのは、「その作品が本物か?」というポイントだ。多くの日本画家に注目される金島桂華は、勉強中の作家に模写されやすい存在でもある。またこうした偽物は、人気テレビ番組・開運なんでも鑑定団にも持ち込まれているため、コレクター自身が信頼できる画廊などから購入した作品ではない場合は、金島桂華に詳しい買取店に査定依頼をして真贋を早めにはっきりさせる心掛けも欠かせないと言えるだろう。
掛け軸の扱いには注意が必要
掛け軸の買取額を下げる大きな要因は、乱雑な保管や扱いによる経年劣化によるものだ。素敵な絵柄だという理由で長きに渡って茶室に飾りっぱなしにしていたり、湿気の多い梅雨時などに保管をすると、経年劣化によるコンディションの低下が著しくなる。また紙本に明らかなヤケやシミが生じている場合は、再販売の難しさによって買取に消極的になる業者も増えるため、普段から大事に扱う心掛けも忘れないようにして欲しい。
買取査定を行う時の準備とポイント
買取業者に査定依頼をする場合は、まず電話やメールで連絡を入れる前に作品情報の把握と写真の準備を行うことをおすすめする。もし掛け軸の題名や技法、制作年などの情報が全くわからない時には、問い合わせ前にサイズだけでも測っておくと良いだろう。また多くの業者は、依頼主から送られてきた情報と写真から買取の可否判断をする傾向があるため、作家の銘や軸装のコンディション、掛け軸の共箱といった付属品についても全てを写真におさめて送信する心掛けが査定士とのより良いコミュニケーションに繋がると考えて良いだろう。