日本の民芸運動を支えた版画家として知られる長谷川富三郎。その版画や作品を売るときに気になるのは買取相場だろう。長谷川の作品はどの程度の値段で売れるのか、高く売る方法はあるのかなどの点を知りたい人もいるはずだ。
この記事ではこれらの疑問に答えるため、長谷川作品の市場での販売価格や、おすすめの買取業者などの情報をまとめていく。長谷川作品の売却を考えている人の参考になれば幸いだ。
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長谷川富三郎とは
長谷川富三郎は明治から平成にかけて活躍した版画家である。画号は無弟で、棟方志功らとともに日本の民芸運動を支えた人物だ。師範学校を卒業後に教員となり、仕事と並行して創作に取り組んだ。
晩年には複数の小学校で校長を務めている。このような経歴から、長谷川の作品は子どもにも伝わりやすいストレートな魅力を持つのが特徴だ。教育と画業の双方での活躍が認められ、1974年には第一回日本海文化賞、2003年には鳥取県文化功労賞を受賞した。
日本版画院名誉会員として、同院展の審査委員長を務めるなど、同業者からの信頼も厚い人物であった。2004年8月、敗血症のために死去。享年94の長寿であった。
長谷川富三郎の版画の特徴
長谷川の作品を売るにあたって、その特徴を知っておくことは重要だ。作品の特徴はそのまま、どのような人々に売れるかにつながる。その情報をつかむための参考として、4つの作品から長谷川の版画が持つ特徴を紹介したい。
打吹童子
これは、鳥取県の倉吉地方に伝わる「打吹童子」の物語を題材にしたものだ。長谷川自身が鳥取県の師範学校を卒業しており、その後に倉吉市の小学校に勤務した縁からこの作品が生まれた。三朝バイオリン美術館に所蔵され、打吹公園にもレリーフが造られるなど、長谷川作品のなかでも特に重要なものである。
山陰放送のベリカードのデザインとしても長年使用されるなど、地元メディアにも親しまれていた。
富士晴天
文字通り晴天の日の富士山を題材にした、極めてシンプルな版画である。線がほとんど使用されず、まるでロゴマークのようになっている。「このシルエットが何に見えるか」という心理テストやクイズを経験した人は多いだろうが、そうしたシルエットのようにシンプルな画面である。
向きを変えて見れば、富士山以外のものが見えてくるかもしれない。人によっては、このようにストレートな作品を見ると「子どもでも描ける」と感じることもあるだろう。しかし、そのような評価は芸術作品にはつきものだ。
ピカソやバスキアの作品に対しても、そのように評価する人は多い。長谷川の「富士晴天」も、そうしたタイプの作品であると言えるだろう。
無弟土話
これは版画に長谷川のメッセージを添えたものだ。無弟は長谷川のことで、土話はおそらく造語である。中国語では方言を意味し、日本語はない。
エツ北土話(エツは奥と号が融合した文字)という中国湖南省の方言は日本語の辞書でも見つかる。しかし、それ以上の情報は少なくとも辞書にはない。絵柄や書体からして「泥臭い地道なメッセージ」という意味もあるのではないだろうか。
その作品の1つには「手を抜いたら手がかかる」と書かれているものがある。このメッセージは仕事で手を抜いて失敗した人などに、ストレートに響くのではないだろうか。
無弟いろは譜
これは、いろはかるたの長谷川版というべきものだ。たとえば「い」では「一番大事な健康生活」とある。買取価格の段落で紹介するように、一時期の長谷川は、医学の父であるヒポクラテスを絵の題材にするなど、医療や健康に強い関心を抱いていたようだ。
それが上のフレーズにも現れていると言えよう。先頭に来る文字が決まっていることを除けば、スタイルは無弟土話に近い。
長谷川富三郎の版画の買取価格
長谷川富三郎の買取相場を知るうえでは、ネットオークションや業者の販売ページにおける価格が参考になる。ここでは、メルカリとヤフオク、一心堂書店の3サイトでの価格を紹介しよう。価格や作品の情報は2019年6月28日時点のものであることに留意してもらいたい。
メルカリ
長谷川富三郎の作品はメルカリでも多数出品されている。それらの価格の一部を紹介すると下記のとおりだ。
- ・風神雷神…45,000円
- ・作品名不明(複数出品)…30,000円
- ・作品名不明…4,300円
- ・鯉紋…2,000円
「風神雷神」は、版画ではなく日本画か水彩画と思われる淡いタッチの掛け軸である。高級なお土産品としても売られていそうなポップな雰囲気で、一般家庭の和室にも馴染みやすいと考えられる。出品者が記入した情報によれば、状態も非常に良好とのことだ。
2つ目の作品名不明のものは、複数の作品がセットになっている。写真からでは、それらが長谷川富三郎のどの作品なのかは読み取れなかった。しかし、わかる人が見たら大変貴重な作品が含まれている可能性もある。
旧家の蔵からの出品と書かれているため古い時代の作品の可能性も高く、版画だとしても同時に刷られたものがあまり現存していないこともあるだろう。もしそうであれば、作品の希少性が高くなる。このような出品もあるため、長谷川作品についての知見がある人は、自分が持つ作品の売却だけでなく、掘り出し物の仕入れも考えてみるといいだろう。
3つ目も作品名不明だが、こちらは多くの人が一見して小品と感じるだろう作品だ。事実、4,300円という低価格で出品されている。しかし、これも長谷川富三郎のファンや美術愛好家にとっては高い価値を持つ可能性がある。
その価値を見極められる人なら、このような安価で仕入れて、しかるべき人や店舗に売却するのもいいだろう。
ヤフオク
Yahoo!オークションでも、長谷川富三郎の版画が多数落札されている。しかし、ヤフオクに出品されているものは小品が多い。「医神アスクレピオン」などは、漫画家のサイン入りイラストのようなテイストで、長谷川の画業全体と比べると、相当にリラックスして制作された作品ではないかと思われる。
実際に落札価格も長谷川作品としては低額といえる12,300円となっている。同作も含めて、ヤフオクでの落札価格の一部を抜粋すると下記のとおりだ。
- ・医神アスクレピオン…12,300円
- ・ヒポクラテスの誓い…11,000円
- ・鼓笛童子…8,900円
「ヒポクラテスの誓い」は、医療の世界では非常に有名な宣誓である。医学の父といわれたヒポクラテスが、医師のあるべき姿を言語化したものだ。それが版画とともに長谷川の直筆の字で書かれている。
「医神アスクレピオン」と共通するテーマの作品だが、これらを制作した時期に、長谷川の中で医療に関して思うことがあったのではないかと推測できる。
一心堂書店
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
東京神田の古書店街、神保町に店舗をかまえる一心堂書店も、長谷川富三郎の作品を出品している。ただ、これは日動画廊が編集した作品集である。そのため3,000円という安価で販売されている。
発行年は1976年と40年以上前のもので、美術館でも見られない希少な作品が収録されている可能性もある。状態は並で、サイズは24cm×26cmだ。
長谷川富三郎の版画をさらに高値で売る2つのコツ
日本の版画家のなかでも特に知名度が高い長谷川の作品は、もともと高値で売りやすいものだ。しかし、さらに高く売るための方法を知っていれば、期待以上の利益を手にすることもできるだろう。ここでは、長谷川作品をより高く売るためのコツを2つ紹介する。
ラクマやメルカリなどのフリマアプリも積極的に使う
長谷川富三郎も含めて、画家の絵は基本的に画商に売るのがいい。絵画を好む人は最初に画商で絵を探すことが多い上、画商は富裕層の絵画愛好家とのパイプも強いからだ。個人売買は買い手とトラブルになることもあり、一定の経験がある人でなければスムーズに売るのは難しい。
それでも、長谷川作品についてはメルカリやラクマなどのアプリを使い、ネットのフリマでの売却を試す価値がある。理由は、すでにメルカリで売却されており、「鯉紋」などの作品には買い手がついているためだ。このことから、メルカリのような新しいマーケットでも、長谷川作品の需要があるとわかる。
長谷川の版画は相田みつを作品のようにメッセージがわかりやすいため、アートに特別興味がない人に対しても良さが伝わりやすいのだろう。そのような潜在的な買い手にアピールするためにも、画商の査定価格に納得がいかなかったときは、フリマアプリでの売却を試してみよう。
できるだけ多くの買取業者や古書店で査定を受ける
どんなアイテムを売るときでも、査定を受ける買取業者の数は多いほうがいい。そして、長谷川富三郎の作品は古書店で扱われることも多いため、古書店もその対象に含めよう。東京神田の神保町には、長谷川作品のような古い版画やその画集を扱う店舗が多くある。
休日にそれらの古書店をまとめて周り、現物による査定を複数受けるというのもいいだろう。もちろん、神保町以外にも全国に点在する古書店街でも同じことができる。絵画の買取業者については、古書店ほどは密集していないため、まとめて持ち込み査定を受けるのは少し難しくなる。
代わりに、電話・メール・LINEなどの方法で査定を受けられる業者が多いため、それらの方法を駆使して簡易査定を多めに受けよう。そして、その価格が高かった業者に絞り込んで、それぞれの持ち込み査定や訪問査定を受けるのがいいだろう。
おすすめの買取業者 総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
長谷川の版画に限らず、絵画を高値で売るにはいい業者を選ぶことが欠かせない。そして、長谷川作品を高値で売りたいなら、総合美術買取センターがおすすめだ。同社は長谷川のジャンルである版画を含め、あらゆる種類の絵画やアートを買い取っている。
同社は取り扱う作品や作家の多さから、多数の顧客がついているのが特徴だ。つまり、市場が広く買い手が見つかりやすい。長谷川は買取強化作家には入っていないが、同社は強化作家以外の作品も積極的に買い取っているため問題ない。
長谷川作品の魅力は版画に詳しくない人にも伝わりやすいため、長谷川をまったく知らなかった人が興味を持って、同社から買い上げてくれる可能性も高いだろう。このように、他社と比較しても長谷川作品が売れやすい環境であると推測できるため、その分高値で買い取ってもらいやすいと期待できる。その時点での版画の在庫なども関係するため、常に高値になるという保証はないが、査定だけでも受けてみる価値はあるだろう。
同社はLINE査定や訪問査定など、さまざまな方法で無料査定に取り組んでいるため、気軽に同社のサービスを試してみてはいかがだろうか。
まとめ
手元に長谷川富三郎の版画や日本画などの作品があるなら、その価値を知っておいて損はない。現代の業者の査定はメールやLINEで簡単に受けられるため、時間と労力のロスも極めて小さなものだ。査定価格に満足できたら売却すればいいし、満足できなければ持ち続ければいい。
査定を受けることにデメリットは一切ないため、話のネタを増やす程度の気軽な気持ちで、試しに受けてみてはいかがだろうか。