高級ブランドの腕時計は成功した社会人のステータスとされ、人気の高い商品である。デザイン性やブランド名だけでなく、高い技術によって作られた耐久性なども評価されており、実用品としての需要も大きいものだ。しかし、人気があるだけに、その偽物も数多く市場に出回っている。
偽物を買ってしまうと、すぐに故障したり売却の際に買取不可になるなど、デメリットも多い。本物を見分けるポイントを、ブランドごとに解説していく。
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ロレックスの偽物を見抜くポイント
世界的にその名を知られ、高級時計の代名詞ともなっているのがロレックスだ。流通量が多く、知名度が高いだけに、このロレックスにも当然偽物は数多く存在する。どのような点で見分けられるか、具体的に見ていくことにする。
腕時計の真贋の判定
腕時計の真贋の判定は、肉眼ではほぼできないと考えて良い。よほど粗悪な偽物でなければ、パッと見ただけではわからないものだ。腕時計は小さな商品なので、細かい文字盤の塗装や、刻印の細部などは拡大してはじめてその品質がわかる。高倍率のルーペなどを手元に用意し、明るい場所で観察することをおすすめする。
風防の表面にほどこされた透かし
ここではロレックスでもっともスタンダードなタイプ、エクスプローラーを例にとってみよう。最初のポイントとなるのは、風防の表面にほどこされた透かしである。ロレックスの製品の多くには、シンボルマークである王冠(クラウン)が目立たないように透かしとして入っている。
紙幣と同じで、安易な偽造を防ぐためだ。透かしがなければもちろん偽物である。しかし偽造業者もその存在は知っているので、たいていのケースで透かしが入っている。しかし、低い技術で加工されているため、良く見れば本物とはかなり違うことがわかるだろう。
本物は、ルーペを用いて斜めに角度をつけて見た時にはじめて認識できるほど、うっすらと表面に刻んである。通常、肉眼で腕時計を見ているだけでは気づかないものなのだ。しかし、偽物はこれをハッキリと刻んでしまっているものが多い。肉眼で透かしが確認できるなら、偽物だと言って良いだろう。
リューズの側面
次に、リューズの側面にも注意したい。頭の部分には透かしと同じくクラウンの装飾がほどこされているのだが、本物は刻印ではなく浮き彫りになっている。
浮き彫りはコストがかかる作業であり、偽物を作る業者が安く製作するために刻印にするケースが多いのだ。まれに浮き彫りにしている偽物も存在するが、本物と比べると盛り上がりが小さく、立体感がない。
また王冠の五本指もしっかりと分離しておらず、見た目がシャープでないものがほとんどである。王冠がクッキリと立体的に見えるもの以外は、偽物の可能性が高いだろう。
裏蓋の刻印
裏蓋の刻印も、偽物を見分けるときに役立ってくれるポイントである。ただし、かなり拡大して観察する必要があるため、性能の良い拡大鏡を用意すると良い。
裏面には文字と製造番号等が刻印されているが、注目するのは刻印のクオリティである。「ROLEX」や「STAINLESS STEEL」といった文字を拡大すると、文字の中に小さなドットが見えることがある。
これはレーザー刻印で文字を打つとできるものだ。レーザーを用いると安価に文字が打てる反面、ドットが盤面に残ってしまう。本物は文字の中まで滑らかに仕上げられているので、このようなドットが見えたら偽物だと言える。
ブライトリング、本物と偽物を見分けるには
スイスの高級腕時計ブランドとして名高い、ブライトリングもまた偽物の多く出回っているメーカーである。
単なるタウンユースに留まらず、「航空用計器」と言われるほど、本物の場合は耐久性や耐圧性などに優れている。とはいえ、そういった性能面はなかなか見た目ではわからないだろう。ブライトリングを購入するときに、注意するべき点を見ていこう。
風防部分のコーティング
ブライトリングは、パイロットなどを対象に開発された腕時計が基礎となっている。そのため、いかなるときも一瞬で時間が判別できるよう、「視認性」にとても重点を置いた商品づくりがなされているのだ。その好例として、風防部分のコーティングが挙げられる。
通常の安い腕時計では、風防はコーティングされていない。もしくはせいぜいキズ防止のための加工がほどこされている程度である。しかし、これではパイロットが高度で腕時計を確認したとき、強い太陽光の反射で文字盤が見えないということが起こり得る。
一瞬の判断ミスが乗客の命を左右するため、こうしたことが起こらないよう、ブライトリングでは風防に特殊コーティングが施されているのだ。それが無反射コーティングであり、強い太陽光を浴びても風防内部がしっかり視認できるようにできている。
とくにブライトリングのものは青みを帯びた青色コーティングが多く、眩しい日光のもとでも見やすいのが特徴だ。この青色無反射コーティングは非常に高度な技術であるため、偽物にはまず真似できない。したがって、強い太陽光に当てたとき、反射光で文字が読めないようなら偽物である。
針の接着具合
細かく観察する必要はあるが、針の接着具合もブライトリングの偽物を見抜くために重要なポイントである。短針や長針、秒針をはじめとして多くの針が盤面で回っているが、とくに小さい針を拡大してみてもらうとわかりやすいだろう。本物であれば、どんなに小さな針であってもしっかりと軸に溶接され、接着されている。
しかし偽物ではここまでの手間をかけておらず、ただネジで留めただけのものがほとんどだ。そのため偽物は使っていくうちに針と軸に隙間ができ、ブレが生じてしまう。しばらく使ってから気づく点なので、購入前にしっかりと細部までチェックしておきたい。
ベゼルの仕上がり
ブライトリングはどのシリーズでも、特徴的なギザギザの装飾のあるベゼルがついている。このベゼルの仕上がりも、本物と偽物の見分けにおいて大事な点である。本物のベゼルなら、装飾の刻みは完全に等間隔に配置されており、また丸みがあって上品なエッジだ。
しかし偽物はここの作りこみが甘く、触った時に指に引っかかるような雑な加工であることが多い。装飾の刻みもばらつきがあり、角ばっているので本物と並べると一目瞭然だろう。真上と真横、二つの方向から見て確認すると違いがわかりやすいポイントだ。
裏蓋の内側
「売れてしまえば終わり」のコピー品や偽物は、見えない部分は手を抜いてコストカットしてあることが多い。外からは見えず、普段あまり開けない部分だが、裏蓋の内側を見るのも真贋の判定に役立つだろう。裏蓋を開けてみると、本物であれば美しいペラルージュが装飾されており、見えない部分までこだわる職人のこだわりがうかがえる。
しかし、偽物は研磨すらしていない、ただの金属面がむき出しになっていることがほとんどだ。店頭で購入するとき、やや頼みづらいかもしれないが、裏蓋を開けて見せてもらうのも偽物を避けるための手段である。
各ブランドに共通する、偽物の見分け方
代表的なブランドごとの偽物の見分け方を見てきたが、高級腕時計ブランドはとても数が多い。そのため、ここでは各ブランドに共通して見られる、偽物の特徴を解説していく。
保証書と製造番号
腕時計に限らず、高級ブランド品に共通する偽物の見分け方としては「保証書と製造番号」をチェックするやり方がある。新品で正規品を購入した場合、必ず製造番号が記載された保証書やギャランティーカードが同梱される。
この番号と、製品のどこかに刻印されている(たいていは裏蓋など)ナンバーが一致しなければ、まず間違いなく偽物である。保証書自体を偽造しているケースもあるので、その点には注意が必要だが、最初に確認すべき事項だと言える。
秒針の動き
腕時計の動き、とくに秒針の動きも、粗悪な偽造品を見分ける手段として各ブランドに共通して使えるものだ。1秒ごとに「カチッ、カチッ」と動いたり止まったりを繰り返すような挙動は、高級腕時計では決して見られない。こうした時計は偽物だと断定して良いだろう。
秒針がこのように動くのは、安物のムーブメント(時計の内部構造)を使っているからである。本物に用いられているムーブメントであれば、秒針は流れるように、切れ目なく動き続けているはずだ。ただし、いわゆる「スーパーコピー」と呼ばれる精巧な偽造品は、本物と同じムーブメントを仕入れて使っていることもある。
そのため、このような偽物に関しては、針の挙動を見るだけではプロでも鑑定が難しい。あくまで粗悪品を見分ける手段として使うと良いだろう。
蛍光塗料などの塗りの状態
蛍光塗料などの塗りの状態を観察することも、各ブランドに共通して偽物を見分ける手立てとなるだろう。腕時計のほとんどは、暗い場所でも時間が把握できるように、夜光塗料が盤面の随所に塗られている。アウトドアタイプやパイロット用などは視認性が重要であり、本物の高級ブランド品ならば一瞬で時間が読み取れるはずだ。
盤面を動く針や、配置されている数字はとても小さくて細い線でできている。その細い部分に均等に塗料を塗るには、職人の高い技術が欠かせない。本物なら細部をルーペで拡大してみても、左右均等に、はみ出すこともなく塗られているのがわかる。
いっぽうで、偽物においてはこのような細かい作業がおざなりであることが多い。塗料が枠からはみ出したり、左右どちらかに偏って塗っていたり、ひどいものになると塗料が剥がれていたりする。本物ならばあり得ないことなので、塗装技術をチェックしてみると偽物を見破る役に立つだろう。
並行輸入品の存在
他に注意すべき事項として、並行輸入品の存在が挙げられるだろう。これは海外ブランドが指定した正規ルートを通さずに輸入されたもので、値段は正規品より安くなることが多い。輸入ルートが違うだけという考え方もあるが、正規ルートとは違って、信頼できない販売店から買い付けている可能性があるのだ。
コピー品や、そのブランドの出した余剰品(検品にひっかかったエラー品など)を安く買い付けて売りに出しているケースも存在する。「並行輸入品=偽物」というわけではないが、正規の販売店で買うよりずっと信頼性は下がる。また、修理や保証などのアフターサービスも手薄なため、このあたりをよく購入前に検討しておく必要があるだろう。
まとめ
高級ブランド腕時計の偽物と本物の見分け方をご紹介した。高級腕時計は人気があるだけに、その偽物も数多く市場に出回っているが、偽物を買ってしまうと、すぐに故障したり売却の際に買取不可になるなどデメリットが多いので注意したいものだ。
紹介したような保証書や秒針の動きなど偽物と見分けるポイントをきちんとチェックして自分で納得してから、気持ちの良い取引をしよう。