中古品の買取サービスを実施するためには、古物商の許可を取得する必要がある。古物商が取り扱うことができる商品は、古物営業法によって13品目に分類されている。許可を受けるためには、それらのうちから実際に取り扱いを希望する品目を選択して申請しなければならない。以下では、この13品目のそれぞれについて順を追って見ていくことにしよう。
本記事のポイント
- 13品目に分類しにくい古物もある
- 多く品目を選択した場合のデメリットとは?
- 自分の扱う商品がどの品目に該当するかわからない場合は、所轄の警察署に確認
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古物商の13品目とは
まず、古物商の13品目とは、美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自転車類、写真機類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類をいう。古物商の許可を受けるためには、これらの中から品目を選んで申請することが必要となるのであるが、申請にあたっては特に品目数に上限が設けられているわけではない。そのため、13品目すべてを選択することも可能である。
選択する品目が多ければ多いほど、申請においてチェックされるポイントは多くなるため、必要以上に多くの品目を選ぶことは考えものである。というのも、古物営業法を管轄しているのは警察であり、許可を受けるためには選択した品目を取り扱うのに足りる知識や経験を有しているかどうかを警察が審査することになる。品目数が多ければ、その分、審査に時間を要することとなり、結果的に許可を得るまでの時間が長くなるのである。
また、審査においてその品目を取り扱う予定がないことが判明すれば、その品目の申請を取り下げるよう警察から指導される可能性もある。従って、迅速に古物商の許可を得たいのであれば、必要な品目を厳選して申請した方が良いであろう。なお、取扱品目は、後々追加申請することも可能であることから、まずは古物商の許可を得ることを最優先に考えて申請をおこなうべきである。
警察への捜査協力
古物営業法が警察の管轄とされている背景には、盗品が中古市場に出回ることを抑制するということや、仮に出回った場合にも古物商を警察の捜査に協力させて迅速に盗品を回収し、犯人の逮捕につなげるという意味合いがある。このため、古物商として許可を受けた者は、警察の盗品捜査に協力することが義務付けられており、選択する品目が多い場合には、その分協力を求められる機会が増えることになる。
多くの品目を申請しすぎると捜査協力に忙殺されることになり、肝心の古物商としての業務がおろそかになりがちであるため、この点からも必要以上に多くの品目を申請することは避けるべきである。また、盗品を扱うことによって事件に巻き込まれるリスクもゼロではないため、取り扱いに十分な知識と経験を有する品目に絞って申請するのがお勧めである。
13品目の内容
では、ここからは具体的に13品目の内容について見ていくことにしよう。13品目は、古物営業法に基づいて制定されている古物営業法施行規則によって定められており、その定義については警察のホームページなどで解説されている。
以下では定義について言及したうえで、具体的に該当する物品を紹介することとする。中には明確に定義されていない品目も存在するが、具体例を見ることによって、どういったものが含まれるかは容易に想像できるはずである。
美術品類
1品目目の美術品類とは、美術的価値を有するあらゆる物品を意味することとされている。分かりやすく言い換えると、美術的価値を有する物品であれば、いかなるものであっても、美術品類に該当するということである。
誰もがすぐに思いつく絵画、書、彫刻、工芸品はもちろんのこと、登録火縄銃や登録日本刀なども美術品の範疇に含まれると考えられている。火縄銃や日本刀が美術品類というのは、違和感があるかもしれないが、さまざまな意匠が施された美術的価値を有する物であるという見方ができるということであろう。
衣類
2品目目の衣類とは、主に身にまとうことを目的として作られたような繊維製品や革製品等などであると定義されている。定義を見なくても、用語を見れば何であるかおおむね理解はできるが、着物や洋服、その他衣料品などが該当する。
また、衣類という文言からは想像しにくいが、敷物やテーブル掛け、布団や旗なども法律上は衣類として扱われている。そのため、例えば、ペルシャ絨毯の中古買取をおこなおうとする場合には、衣類を選択して古物商の許可申請をおこなうことが必要となるのである。
時計・宝飾品
3品目目の時計・宝飾品とは、それを所持するものの好みによって選ばれ、身につけられるような飾り物であるとされている。時計や宝石、ジュエリーアクセサリーはもちろんのこと、模造小判やオルゴール、万歩計なども時計・宝飾品として取り扱われている。高額な品物が多いため、中古品の取り扱いには慎重を期すことが求められる品目である。
自動車
4品目目の自動車とは、自動車に加えて、自動車の一部として使用されることを本来の用途とするような物品が含まれると定められている。自動車だけでなく、そのパーツなども含まれている点に注意する必要がある。
具体例としては、中古自動車に加えて、タイヤやカーナビ、サイドミラーやバンパーなどが該当する。きちんと整備されていない中古自動車が販売された場合には、社会の安全を損ないかねないことから、他の品目と比べると許可を受けるためには高度な専門性が求められる品目となっている。
自動二輪車及び原動機付自転車
5品目目の自動二輪者及び原動機付自転車には、自動二輪車と原動機付自転車に加えて、自動二輪車や原動機付自転車の一部として使用されることを本来の用途としているような物品が含まれると定められている。自動車の場合と同じく、自動二輪車や原付のパーツが含まれる点に要注意である。
ここで自動二輪車というのは、いわゆるバイクのことであり、自転車はこれには該当しない。なお、同じタイヤであっても、自動車用のものは「自動車」、バイク用のものは「自動二輪者及び原動機付自転車」として申請する必要がある。
自転車類
6品目目の自転車の定義は、自転車と自転車の一部として使用されることを本来の用途としているような物品であるとされている。自転車本体に加えて、その部品であるかごやカバーなどが具体例として挙げられる。自転車類という言葉からはイメージしにくいが、空気入れなども含まれるため、注意が必要である。
写真機類
7品目目の写真機類は、プリズムやレンズ、反射鏡などを組み合わせることによって作られている写真機や顕微鏡などの機器であると定義されている。分かりにくい表現が用いられているが、簡単にいうとカメラやビデオカメラ、望遠鏡などを意味している。それ以外にもカメラレンズや双眼鏡、その他の光学機器なども幅広く写真機類であると分類されている。
事務機器類
8品目目の事務機器類の定義は、主に計算や記録や連絡などの性能アップのために使用される機械や器具であるとされている。計算機器や記録装置ということなので、パソコンや電卓、コピー機、ファックスなどが当てはまるであろうことは容易に想像できるのではないだろうか。
意外なところでは、シュレッダーなども事務機器類であると見なされている。オフィスで使用する機器はたいていのものがこの品目に当てはまると考えておくとよいだろう。
機械工具類
9品目目の機械工具類には、電動式の機械や器具に加えて、物の生産や修理などのために使われる機械や器具が含まれるのとされている。しかし事務機器類は含まれない点に留意する必要がある。
事務機器類以外のほとんどすべての電動式の機械が含まれることから、その範囲は13品目の中でも非常に広範であると言えよう。工作機械や土木機械だけでなく、家庭用のゲーム機や電話機に至るまで、該当するものを挙げていくときりがないほどである。
道具類
10品目目の道具類の定義は、他の12品目に掲げる物品以外のものであるとされている。これは、一般的にバスケット条項と呼ばれる定義であり、品目を限定列挙することによって、そこから漏れるものがないようにするために設けられているものである。
他の品目に該当しないものであれば、すべて道具類として扱われるため、家具や楽器、CDやDVDなどの日用雑貨の多くがこれに該当することになる。この定義が存在することによって、いかなる中古品の売買であっても、それを業として営むためには、古物商の許可が必要であるということになるのである。
皮革・ゴム製品
11品目目の皮革・ゴム製品とは、主に皮革やゴムによって作られている物品と定義づけられている。「主に」と規定されているため、すべてが皮革やゴムで作られている必要はない点に留意しなければならない。具体的に該当するものとしては、カバンやバッグ、靴、毛皮などがある。
書籍
12品目目の書籍については、明確な定義は設けられていないが、その文言から何を指すかは明らかであろう。文庫本であるかハードカバーであるかを問わず、あらゆる本がこれに該当する。また、漫画や雑誌なども含まれるため、古本回収を業としておこなうためには、書籍の古物商の許可を得なければならないということである。
金券類
最後の13品目目の金券類についても、書籍と同じく明確な定義は存在していない。しかし一般的には金銭の代わりに特定の物品と交換することができる財産的価値を有する券面であると考えておくとよいだろう。
具体的に当てはまるものとしては、商品券やビール券、電車や飛行機の乗車券などである。携帯電話の普及とともに、姿を消しつつあるが、かつて一世を風靡したテレフォンカードなども金券類に該当するものとして扱われている。
まとめ
以上で見てきたように、古物商として業を営むためには、取り扱う品目を厳選して許可の申請をおこなうことがポイントである。13の品目は、それぞれに具体的な定義が設けられており、自分が取り扱おうとする物品がどの品目に該当するかを正確に理解しておくことが、迅速に許可を得るためには重要となる。申請にあたっては専門の代行業者も存在するため、自分だけで申請するのが難しければ、そういった業者に相談してみるとよいだろう。