世界情勢や世界経済に不安定要因の多い今の時代は、国内外の富裕層が現物資産投資への注目を高めている。また現物の売買というシンプルな方法によって利益を得る現物資産投資(オルタナティブ投資)は、ペーパー投資に敷居の高さを感じる初心者の皆さんでも、その仕組みを理解しやすいと捉えて良いだろう。転売との違いはすぐに売って価格差で儲けるのではなく、長期保有したり、一定期間時間を空けてから手放すといった時間軸で収益を上げる点だ。
今回は、将来的に現物資産投資を始めようと考える方々と一緒に、近頃多くのメディアで取り上げられているおすすめ商材や今まさに人気が出てきている商材を確認していきたい。金以外の投資対象として注目を浴びている。
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現物資産投資とは?
形を有する物の購入・所有・転売によって投資を行う方法を、現物資産投資と呼ぶ。取扱い業者によっては、このカテゴリに対して実物資産投資や現物取引と呼ぶこともあるようだ。
金融資産投資とは?
これに対して、現物資産投資と比較されることの多い金融資産投資は、投資家自身が「物」を所有することなく、株式や有価証券、預貯金、外貨預金、FX(外国為替取引)といった「紙や証券」によって特定機関が資産価値の保証を行うシステムだ。投資家が投資対象の現物を見ることのない金融資産投資は、契約書などの紙に金額や価値が書かれていることからペーパー投資と呼ばれることもある。
現物資産投資と金融資産投資の混同のないように
投資を始める場合は、「現物資産投資か?金融資産投資か?」といった部分が最初の選択肢となるため、これから紹介する現物投資に適した商材だけでなくこの両者の違いについても投資家に欠かせない基礎知識と捉えて頭に入れておくようにして欲しい。
金
誰が見ても高い価値があると判断できる金は、現物資産投資を考える投資家の多くが注目する話題の商材だ。
金を使った現物資産投資の種類とは?
金を用いた現物資産投資には、金地金(インゴット)、地金型金貨、純金積立といった種類がある。
メイプルリーフ金貨などのコインやインゴットを保有する方法は、購入・保管・売却を行うことで利益が得られるといった意味でも投資初心者であってもその仕組みを理解しやすいことで知られている。これに対して貴金属業者に対して月々購入額を払っていく純金積立については、安全性の高い豊富として徐々に注目度が高まっているようだ。
金を使った現物資産投資を行うメリット
ジュエリーだけでなく通貨の材質としても世界的な需要のある金には、政治経済の影響を受けにくい特徴がある。またリーマンショックや米同時多発テロといった世界的な事件や経済不安が生じた年には、投資家のリスク回避姿勢が強まることにより安全資産とも言われる金の価値が高まる傾向があるようだ。こうした形で不安な時こそ価格が上昇する金は、今の時代に適した投資資産と言えるだろう。
金を使った現物資産投資のデメリット
現物資産投資として金地金や金貨を購入した場合は、盗難や紛失の起こらない場所で保管をする必要が出てくる。また加工に費用のかかる金貨については小売価格と買取価格の間にスプレッドと呼ばれる価格差が生じる難点もあるため、購入・保管・売却といった総合的な角度で考えると金を使った現物資産投資は若干コストが高いと言えそうだ。
アンティークコイン
集める・鑑賞する・学ぶ・投資するといった多彩な楽しみ方のあるアンティークコイン投資も、世界の富裕層が高く注目する存在となっている。
アンティークコインと地金型コインの違いとは?
アンティークコイン投資を始める時には、前述の金投資のカテゴリで紹介した地金型コインとの違いを明確にしておく必要がある。アンティークコインには、希少性や歴史的な部分における高い魅力と金属としての価値を兼ね備えた存在だ。
これに対して金投資に用いられる地金型コインの場合は、金属的価値のみで換金が行われる形となる。特にカナダで毎年発行されているメイプルリーフ金貨などについては、世界一の流通量によって希少性はないとも言えるため、同じコインに分類されていてもアンティークコインとは全く異なる存在と捉えるべきだろう。
広い保管スペースが要らない
たった1つで高いプレミアの付くアンティークコインは、重量でおおよその価値が決まる地金型金貨やインゴットと比べて広い保管場所が要らないメリットもある。例えば、5年前に国内オークションにおいて800万円で落札された5ポンド金貨「ウナとライオン」については、現在約5,000万円もの価値があると言われている。
こうした形でひとつの資産にかかる価値が非常に大きなアンティークコインは、旅行や出張などで世界を飛び回る富裕層にとっても扱いやすい現物資産投資となっている。
アンティークコインは歴史や勉強が好きな人に特におすすめ
歴史的背景によって描かれる人物や発行枚数が大きく異なるアンティークコイン投資は、世界史の勉強や情報収集をコツコツできる人におすすめの現物資産だ。
そのコインの希少性や発行された理由がわかると、コイン専門店側とのコミュニケーションも図りやすくなる。また蓄積した知識によって購入時の判断も行いやすくなるため、情報収集や学ぶことが得意な人ほど好循環の生まれる投資方法と捉えて良いだろう。
不動産
年金などの社会保障をあてにできない今の時代は、老後資金調達のひとつとして不動産投資を検討する人が増加傾向にある。
さまざまな使い方のできる不動産
土地、店舗物件、住宅、マンション、アパートといった幅広い種類のある不動産は、用途についても多彩な現物資産投資となっている。
例えば、マンションやアパートといった収益物件の場合は、さまざまな人に貸すことでインカムゲインとも言える運用益が得られる。これに対して将来的に便が良くなる可能性の高い土地などについては、安く買って高く売ることでキャピタルゲインと呼ばれる売却益を狙える存在と捉えて良いだろう。
空室リスクという問題
インカムゲインとキャピタルゲインの両方が狙える不動産には、空室リスクというデメリットもある。
高いお金を払って購入したアパートやマンションなどの収益物件に空き部屋が多い状態が続くと、銀行などからの借入金や屋根や外壁などの補修、固定資産税といった形でコストばかりが膨らむ形となってしまう。
また一度空き部屋が増え始めた収益物件は、再び満室が続くことも難しい実態があるため、学生や単身者好みの洋室へリフォームを行うことで方向転換を図ると更にコストは膨らむと言えるだろう。
国内不動産投資は増加傾向
不動産サービスの大手企業CBREがまとめたデータによると、2017年1月~3月における国内不動産投資額は前年同期比の50%増・1兆3,540億円になったそうだ。日本だけでなく世界的に低金利が長期化する今の時代は、安定した賃料を求めて多くの日本人投資家が不動産投資に注目している。
また国内ではREIT(不動産投資信託)についても10%増加しているため、不動産カテゴリでは現物資産投資だけでなくペーパー投資に関しても大変人気が高いと捉えて良いだろう。
自動車
クラシックカーやビンテージカーと呼ばれる自動車は、過去10年で最もリターンの高いカテゴリとして注目されている。
クラシックカー投資人気のきっかけは9.11テロ
クラシックカーやビンテージカー投資への注目が一気に高まったのは、9.11米同時多発テロがきっかけだ。この時期に金融商品以外で利回りの良い現物資産を本気で探した富裕層や投資家は、現存数が徐々に減少していくクラシックカーを買い漁るようになった。
またこうした彼らの行動は、セカンダリーマーケットにおける流通量を大幅に下げただけでなく、コレクターズアイテムとしてのビンテージカーに更なる魅力を与えたようだ。
現物資産投資に適した車種はどれ?
買取相場において強気の推移が続いているのは、誰もが憧れるフェラーリだ。例えば、1~2年前まで500万円以下で取引されていた80年代の2シーター・ミッドシップクーペについては、2017年現在、1,000万円を下回る価格で買える個体がないところまで価値が高まっている。
またトヨタ2000GT、コスモ・スポーツ、ケン&メリーGT-Rについても、海外オークションで数千万円もの価値が付いているため、海外の車種がわからない皆さんであっても国産車の現物資産投資は可能と言えるだろう。
趣味として楽しむことができる
クラシックカーやビンテージカーを購入したオーナーは、故障続きの愛車に対して「手のかかる子ほど可愛い」といった考えを持ち楽しみながら修理やメンテナンスを行っている。
また愛好家の掲示板やSNSが増える近頃では、ファンミーティングのような会合も国内で多く開催されているため、クラシックカーの場合は単純に買う・集めるだけでなく自分同じような想いを抱えた仲間との交流が現物資産投資に良いモチベーションをもたらすと考えて良いだろう。
ウイスキー
NHK連続テレビ小説・マッサンにより国内ファンの増えるウイスキーは、嗜好品投資カテゴリに新たに仲間入りしたばかりの商材だ。
海外オークションで高額落札が続出
海外オークションハウス大手のサザビーズやボーナムスでは、このカテゴリにおける無限の可能性を感じさせる高額落札が続出している。
例えば、インペリアルと名付けられた人気ウイスキー・マッカランの6リットル入りデカンターボトルには、アジアの個人収集家により約6,600万円もの価格が付けられた。
これに対して香港で開催されたボーナムズオークションにおいては、1960年の軽井沢に約1,436万円、山崎50年に約490万円もの落札額に至っているため、世界のオークション市場においてはジャパニーズウイスキーの注目度も高いと捉えて良いだろう。
簡単に収集できる
ウイスキーの現物資産投資の高い人気は、購入・収集のしやすさによる影響も大きいと言われている。
例えば、有名なウイスキーコレクターのブログでは、購入先としてヤフオクが紹介されている。また酒税法に抵触するレベルの頻繁な売買でなければ、価値の上がったウイスキーをヤフオクで手放すことも可能となるため、ウイスキーの場合は金投資のように専門業者を利用しなくても良い点が敷居の低さに繋がっていると言えそうだ。
ワイン投資からウイスキー投資の時代に
同じ酒カテゴリの現物資産となるワインとウイスキーを比較すると、ワインバブルが崩壊した今の時代は、世界の富裕層がウイスキー投資へとシフトしている実態も見えてくる。
また日本では国内唯一のワインファンド・ヴァンネットの破産によってワイン投資に対するネガティブなイメージが浸透しているため、これから酒類への現物資産投資を始めるならワインよりもウイスキーを選んだ方がメリットも多いと言えるだろう。
美術品
次にご紹介する商材は、富裕層だけでなく会社経営者や個人事業主にも注目される美術品投資だ。
節税目的で購入される美術品
平成27年1月1日以降の制度改正により、会社の会議室やロビーなどに飾られる絵画や彫刻といった美術品の取得価格が30万円~100万円未満であれば償却資産として経費計上できるようになった。この制度を知る事業主の中には、投資と節税がダブルでできる商材として若手アーティストなどの絵画を購入する人も多く見受けられる。
購入先・売却先が豊富な美術品
絵画や骨董品、陶芸品といった美術品は、売買できる市場の豊富さといった意味でも多くの人がチャレンジできるカテゴリだ。特にLINE査定や出張買取といった便利なサービスを行う買取店が増えた今の時代は、現金化までに数ヶ月を要する海外オークションなどを利用しなくてもスムーズに現金化を行える。
またこうした業者とのコミュニケーションにより買取相場の把握や真贋の判断も可能となるため、これまで美術品に対して敷居が高いと感じていた皆さんでも気軽に収集や投資ができる世の中になりつつあると言えるだろう。
日本でも海外オークションにチャレンジできる
サザビーズやクリスティーズといった海外オークションハウスでは、東京などに日本事務所を構えている。また中国オークション市場が活況を迎える近頃では、香港などのハウスと提携する買取専門店も増加傾向にあるため、高額落札を狙う上で欠かせない海外オークションという道も選びやすい状況が日本人の美術品投資に良い後押しをしていると捉えて良いだろう。
トレカ(遊戯王・ポケカ・MTG)
最後の最後に7つ目として2020年以降人気が出ている商材として、トレカ投資がある。国内では遊戯王投資、ポケカ投資、MTG投資と各人気のTCGの中でも流通数が少ない限定カード等への投資が流行している。海外ではスポーツカードへの投資が人気となっており、急激に価値が高騰、AltやRallyなどのスポーツカード投資プラットフォームも登場している。
限定カードや鑑定カードは値上がりが確実な傾向にある
20年~30年前に配布された限定カードや初期カード等を中心に毎年美品の流通が減っていき、価格が高騰している。特に、PSAやBGSという鑑定機関が最高ランクとして評価したPSA10、BGS10などのカードは非常に高額な価格で取引されるケースが多く、初版のリザードン英語版は近年3,000万円以上の相場で取引され、MTGのブラックロータスというカードのPSA10は5,000万円以上の相場でeBayで取引された。
初期カードは美品が数百万円まで
これらのカードはいずれも最初は10万円程度の価格からスタートしており長期間保有していた人やここ2~3年でも高騰しているので数年前に購入した人などは利益が出ている状態だ。遊戯王でも初期カードを中心にシクブルやシクガールなどがいずれも200~700万円程度の相場へと高騰している。
安いものは数千円で手に入る
また、古い限定カードであっても、比較的流通枚数のあるカードはトレカ専門フリマアプリmagiなどで数千円台から購入することができ、数か月~数年で数倍の価値へと高騰するケースもある。大学生のバイト代で稼いだお金から買ったりして投資も出来るため、非常にエントリーしやすい特徴がある。
まとめ
今回は、現物資産投資の中でブームが到来している6つの商材をご紹介してみた。これらの商材にはそれぞれに、当然メリットとデメリットがある。またリスクについては社会動向によって変動する傾向もあるため、時代の流れを客観視しながら自分のニーズに合う現物資産投資を選択してみて欲しい。また、本記事では紹介していないがスニーカーやベアブリック、ロレックスへの投資なども流行しており、限定商品の高騰はまだまだ過熱して行きそうだ。