CtoCの取引が盛んになり、メルカリなどのフリマアプリが活気付いている。中には、転売ヤーと呼ばれるように、転売を目的に取引している人もいるだろう。多くは、生計が立つ程度に利益を得ていても、古物商許可を得ていないのではないだろうか。
ケースごとに、古物営業法に基づくと古物商の許可申請は必要か確認した上で、古物許可証を所有していない場合に起こりうるリスクについて解説していきたい。
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メルカリでの転売の現状
個人間取引が多くされるようになり、メルカリなどのフリマアプリを利用する人が増えてきている。そこで、メルカリにおける転売の現状を話していきたい。
メルカリ転売は昔より規制が強化されている
2013年にサービスが開始された当初から今にいたるまで、メルカリで転売をおこなっている利用者は少なくない。しかし、転売が社会的にも問題となったことでメルカリでも規制強化がおこなわれたことは記憶に新しいだろう。
転売ビジネスの方法として人気のあった、在庫がないまま販売し、購入されてから仕入れをおこなうというという手法の無在庫転売などには、厳しい規制がはいるようになった。今ではこうした無在庫転売をおこなうと出品の制限やアカウントの停止といったペナルティがある。
また、ツールを使用した大量出品にも規制がはいるようになった。その他、メルカリ内での高額な転売も禁止されている。これは、メルカリで購入したものを購入価格よりも高額な値段でメルカリ内で販売することである。分かりやすい例を出すと、メルカリ内で1,000円で購入したものを1万円で転売する行為は禁止されているのだ。
メルカリ転売で稼ぐ方法としては、メルカリでモノを仕入れて別のサイトやお店で販売するケースと他で購入したモノをメルカリで販売する方法の2通りがある。しかし、前者の転売目的でメルカリからモノを仕入れることは、明確に規約で禁止されるようになった。こうしたことを踏まえると、現在のメルカリは以前と比べて転売ビジネスに制限がかかった状況だといえるだろう。
今も転売市場として注目されるメルカリ
規制の強化などはあったものの、今でもメルカリで転売をしている利用者は多い。転売を目的としたメルカリでの仕入れは禁止されているが、メルカリで転売をすること自体は禁止されていないことが理由のひとつだ。
また、メルカリでの仕入れも規約では禁止されているが、実際はおこなっている利用者も少なくはない。それは転売目的での購入かどうかを第三者が判断することは、非常に難しいからである。このように、今でもメルカリの転売を利用して利益をあげている人はめずらしくないのだ。
そもそも古物商とはなにか?
メルカリ転売の話しになると、同時に話題に上がるのが「古物商は必要か?」ということである。そもそも古物商とはなんのことだろうか。これは、古物を売買することを業とする個人や業者のことをさす。
古物商として収入をえるためには、警察署経由で都道府県の公安委員会に対して許可を申請しなければならない。もしも、古物商の許可をとらず無断で古物の売買を業とすれば、古物営業法違反として罰せられる可能性がある。
古物営業法に違反すると、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、その両方が科せられることもあるのだ。古物商許可が必要な状況で、古物商の許可を得ていないとなると、大変危険な状況になる。
古物商の許可申請が必要なケース
知らず違法行為をしてしまわないためにも、メルカリで古物商の許可が必要になるケースは確認しておくべきだろう。ここでは、古物商許可を得ないで転売していた場合に、古物営業法違反にみなされる可能性があるものをピックアップしていく。
利益目的での古物の売買
利益を出すことを目的として古物を購入しメルカリで販売する場合には、古物商の申請をしなくてはいけない。たとえば、自分で使用するのではなく転売をして利益を出すためにモノを購入する。そして、それをメルカリで販売するといった場合は古物商がいるということだ。営利を目的としているかどうかがポイントとなる。
また、取引の対象が古物であるという点にも注目をしてほしい。古物商が必要となるのは、あくまでも利益目的で「古物」を売買をした場合なのだ。つまり、古物にあてはまらない新品ならば、利益目的でメルカリ転売をしても古物商は不要になる。とはいっても、この古物の定義自体間違っている人が少なくない。
古物営業法で古物とは、「一度使用されたもの」「新品でも使用するために一度は取引がされたもの」「上記のものに幾分の手入れをしたもの」と定められている。この中でわかりにくいのが「新品であっても使用目的で取引されたもの」が古物になるという項目ではないだろうか。
具体的に説明すると、店で新品購入し一度も使っていない未使用品であっても、消費者の手に渡ったものはすべて古物になるということだ。新品だと思いこみメルカリで転売をしていても、実は古物営業法では古物にあたる。新品ではないので、本来なら古物商の許可が必要であり、もちろん知らなかったでは済まないこともある。
営利目的で同種の行為を反復しておこなう
営利目的で古物を購入し販売するという行為を一度のみではなく、何度も繰り返しておこなうなら古物商は必要になる。気を付けたいのは、メルカリで反復して利益をあげているなら、たとえ営利目的ではないと主張しても、生計が立つ時点で営業だと判断されるケースもあるということだ。
実際に、そうしたケースでの逮捕事例もある。そうなると、いくら営利目的ではないと言い張っても古物商が必要になるだろう。
古物商の許可申請が不要なケース
逆に、メルカリで転売をしていても、古物商の許可申請が不要なケースはどういったものがあるだろうか。ここでは、想定できるものを解説していく。
使用する目的で買ったものを売る
自分が使用する目的で買ったものが不要になり、購入時よりも高値で販売したとしても古物商は必要ない。確かに利益は出ているが、要らなくなったモノを売るだけでは営業とは言えない。そのためこのケースでは、古物商の対象にはならない。
ただし、例えば現在も売られているものを定価よりも遥かに高くうるなどの行為をおこなうと、「特定商取引に関する法律」などに抵触する可能性がある。そもそも、メルカリでも禁止事項としていたはずだ。
利益の出る古物売買を一回的におこなう場合
古物の売買をして利益を出しても、その行為が反復的ではなく一回的なものならば、それは営業とはみなされない。つまり金銭の発生する古物の売買はあっても、それがたったの一回だけだと利益目的の営業ではないと判断され、古物商は不要となるのだ。
お金の発生していないものを売る
古物商が必要か判断するには、金銭の発生する売買がおこなわれたかどうかも重要だ。人からただでもらったものをメルカリで売っても古物商はいらない。また、なにかのサービスや懸賞などであたった非売品をメルカリで売る場合も同じだ。
お金をだして購入したものではないため、古物商なしでメルカリ転売をしても違法にはならない。しかし、非売品などをお金を出して購入し、メルカリで転売する場合は別になるので注意をしたい。
海外から購入したものを売る
営利目的で購入したものをメルカリ転売しても、古物商がいらないケースもある。それは、海外から自分で購入をしたものを転売する場合だ。自分で使用する目的で購入したものではなくても、海外からの購入品は古物営業法の範囲外になる。
これも気を付けたいのは、自分で海外から買い付けた場合のみという点だ。海外の商品を扱う小売店からの購入や代行業者を挟んでいるなら、古物商が必要となる。理由として、海外の場合に法律が適用されないということにある。
営利目的で購入したものを売る
新品のみを扱っている店で個人事業主や法人として営利目的での購入、すなわち仕入れをおこなったものをメルカリ転売するなら古物商は不要だ。なぜなら、それは一度も消費者(個人)の手に渡っていない新品だからである。
ただ、業者ではなく個人として小売店で新品を購入した場合は、消費者の手に渡ったことになるので転売する時点で古物にあたる。古物にあたるということは、メルカリ転売するには古物商が必要であるため注意したい。
メルカリ転売で生計をたてるなら
メルカリ転売をしている、もしくは考えている人にとって古物商の申請をするべきかどうかは悩みどころだろう。厳密には、利益を出す目的で古物にあたるモノを売買するには、古物商の申請許可が必要になる。出品をしている商品の量や利益額も関係ない。
もし、メルカリ転売での利益が月に1万円しかなくても上記の条件にあてはまるなら、法律的には古物商の許可がいるのだ。しかし、利益目的かどうかはどうやって判断するのだろうか。
実際は利益を見込んで購入した商品を転売したとしても「自分で使用するために購入した」「不要になったから売った」と言えば誰にも分からないと考えるかもしれない。現実的にも古物商なしでメルカリ転売をしている人は多いのだ。
だが、こうした自分の言い分が必ず通るわけではない。最終的に古物商が必要かどうかの判断をするのは、警察になるからだ。第三者である警察の視点になったときに、利益や行為などによって「商売として古物の売買をしている」と判断されてしまうと、古物商の許可なしでメルカリ転売することは違法である。
メルカリで生計を立てられるレベルで転売をしているなら、業とみなされて、警察に古物商の許可が必要だと判断されてしまう可能性はかなり高いといえる。古物商の許可なく生計をたてられるレベルでメルカリ転売をしていると、古物営業法違反で罰金や逮捕となってしまうかもしれない。
こうした大きすぎるリスクを考えれば、メルカリ転売で生計を立てる前に許可申請しておくべきである。
古物営業法違反だと見なされてしまう理由
先ほど、生計が立てられるレベルで転売をしている場合に、古物営業法違反になる可能性が高いことを指摘した。この理由について解説していく。
営利目的と明らかだから
「メルカリ転売で生計をたてる」というのは、どういうことだろうか。これは、生活していけるだけの収入をメルカリでモノを売ることで得るということだ。つまり、この行為は営業であり営利目的になる。
第三者の目からみても、生計をたてられるだけの利益があれば営利目的でメルカリ転売をしていることは明らかだ。もし、営利目的ではないと主張しても、それは通りにくいだろう。
出品量が多くなりがちだから
メルカリ転売で生計を立てている人は、不用品や私物を販売している利用者と違って出品量が多くなる傾向にある。また、利益が出る商品やカテゴリーに的をしぼり大量出品をおこなうことも多くなるだろう。
これも古物商の許可をとっておいたほうが良い理由のひとつになる。メルカリだと大量出品者は、業者とみなされることが多いため、古物商の許可なしで販売をおこなうのは非常に危険なのだ。
業として古物の転売をおこなうためには、古物商許可の申請は必須になる。許可がないのに業としてメルカリ転売をしていると違法と言われても仕方ない。どれくらいの量を出品すると業者と見なされるのか、明確な数は未知数だ。そこは第三者の判断となってしまうポイントだ。
だが、警察の調査が入った際に全て自分で使用するために買ったものだと主張しても、出品量が多ければかなり厳しい言いわけにしか聞こえないだろう。
商品の金額が大きいから
数百円の商品を十点出品するのと数万円の商品を十点出品するのでは、後者の方が利益をあげやすいため、営利目的だと見なされる可能性は高い。メルカリ転売で生計を立てる場合、百円で買ったものを倍の200円で販売するよりも、3万円で買ったものを4万円で販売したほうが効率的だ。そのため必然的に出品物の販売額も高くなる傾向にある。
高い金額で販売されているものが、全て営利目的の転売をではない。しかし、コンスタントに高額な製品を出品していると営利目的という印象を持たれやすいのも事実だ。これも生計レベルのメルカリ転売では、古物営業法違反と見なされやすくなる要素のひとつである。
というのも、数百円の商品を十点出品するのと数万円の商品を十点出品するのでは、第三者の受ける印象は異なる。後者のほうが利益目的の転売と見なされる確率は高いのだ。数百円の商品をちまちま転売していても生計を立てられるレベルには追い付きにくい。そのためメルカリ転売で利益目的の転売だと判断される大きな要素のひとつである。
まとめ
法律の適用範囲とならない海外での直接買い付けによる転売などを除き、メルカリで生計が立つと業とみなされる可能性が高いため、古物許可を得ていない場合に、古物営業法違反にみなされることが多い。
しかし、古物営業法に基づき考えれば、1回高額な商品を売って一時的に1ヶ月分の生計にする、1年生計が立つだけの高額商品を1回限り売るといったことであれば、古物許可は必要ないだろう。
そもそも、古物許可を得ていると転売で仕入れた分を経費計上できる点で、生計できる程度の利益を上げている転売ヤーにとって、古物許可申請を得ていない方がデメリットなのではないかと感じる。
この記事を監修した専門家