好きなものを仕入れ販売する古物商に夢を感じる人は多いだろう。特に最近ではスマホ1つで売上を上げやすい社会になっていることから、会社に縛られるのが嫌な人や通勤が苦手な人の副業や主たる生計として古物商が選択されるようになっていると感じる。
しかし、古物商許可申請の手続きは面倒で、なおかつ40日程度の審査期間があることから、仮に無許可で古物商をおこなっていると、逮捕されるのかどうか気になっている人も多いのではないか。
ここでは、「古物商を業としておこなっている」前提で、無許可でおこなっている際にどうなるか確認していく。また、逮捕された場合の罰金や無許可であることのデメリットについても合わせて確認していきたい。
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業としておこなうなら古物商は許可が必要
古物、つまり中古品を売買したり貸し出すことを生業としている場合、古物商の許可を取らなくてはいけない。自分では許可がいらないと思っていても、実は申請が必要なケースが多いため、その点はしっかりと判断をする必要がある。
許可が必要になるケース・不要なケースの整理
古物商許可が必要なケースを簡単にあげると「お金を出して仕入れた古物を販売している」「仕入れた古物を修理するなどの手を加えて販売する」「買取った古物を有料で貸し出す」といった場合になる。
リサイクルショップなどの場合、当然古物商許可が必要になるが、フリマアプリやオークションを利用した売買も許可が必要になるケースがあるので気を付けたい。後者は、特にそもそも本人に古物商の自覚がなく、知らないうちに無許可営業をしてしまっているパターンが多い。
ただし、業としておこなわず、1回限り高額な商品を売った場合や、「古物営業法」の適用範囲ではない、海外で商品を仕入れて転売した場合などは古物許可が必要ない。ただし、後者については、自分が海外から直接買い付けた場合に限っての話であり、海外商品を扱うバイヤーなどから仕入れた場合には、古物許可が必要になる点で注意が必要だ。
古物商を無許可でやっているとどうなる?
古物商を生業とするなら、絶対に許可の申請が必要になる。これは古物営業法という法律により定められているので、古物商を無許可でおこなうことは、法律違反ということだ。法律で定められた義務の中には、例え守らなくても何の罰則もないものもある。
そのため、古物商の許可に関しても軽く見ている人も少なくない。しかし、古物商を無許可でやっている場合、それがバレたときの罰則がきちんと定められている。それが3年以下の懲役刑、または100万円以下の罰金だ。もしくは、無許可営業が発覚するとこの両方が科せられることもある。
また、バレないと甘く見ると大変危険であり、実店舗の場合に許可を受けていることを示すプレートを掲示するほか、ネットであっても許可番号などの記載が決まっており、無許可で営業していると目で見てすぐわかってしまう。
この罰則を厳しいとみるか、軽いとみるかは人それぞれだが、懲役刑になれば刑務所にいれられ労役に服さなければいけなくなる。もちろん出所後の経歴にもずっと付いてまわる事実だ。そう考えると、無許可営業の罪は決して軽いとは言えないだろう。皆やっているから大丈夫、その考えが大惨事を招いてしまうかもしれない。
なぜ無許可だといけないのか
危険な商売でもなく、人を騙すわけでもないのに、なぜ古物商は無許可ではいけないのか。どうして最悪逮捕までされるケースもあるのか。それには歴とした理由がある。古物の中には盗難品や犯罪に関係する品が混ざっている可能性があるためである。
これまで盗難品が市場に出回ったニュースなどを目にしたことがないだろうか。残念ながら、こうした犯罪は少なくない。もし、法律の定めがなく古物商を無許可で誰でもはじめられるとしたら、どうなるか考えてみるといい。
取引きされた古物の中に、盗難品が紛れこんでいても発覚も解決も難しくなってしまうだろう。古物商として登録されていれば、警察が品触れを出して捜査がしやすくなる。古物商に許可が必要な大きな理由は、こうした犯罪の防止、事件の発覚と解決を早めるためだと言える。
古物商になると、古物営業法に従って相手の本人確認や古物台帳に取引の記録を残しておかなくてはいけない。こうしたさまざまなルールが、犯罪防止にも繋がっていくのだ。古物商が無許可ではいけないのは、こういった背景もある。
無許可かバレる主な経路
実際、無許可で古物商をおこなっていても、逮捕などされずに営業を続けているケースもある。そのため、どのようにして無許可がバレてしまうのか気になるだろう。無許可がバレるケースはいろいろだ。
取引相手やインターネットでの売買の場合は、サイトの管理者から通報されることもある。大きな利益を上げている場合や、税金関係により警察からチェックがはいることももちろんあるだろう。
最近は、警察がインターネットなどでチェックすることが一層厳重になってきているが、大抵は、第三者などから警察に通報がはいるようだ。個人とは思えないような仕入れや販売の仕方から怪しまれるケースが多い。
いきなり逮捕はあるのか
古物商を無許可でおこなっていると、最悪懲役を言い渡され逮捕される可能性もあると述べた。では、無許可が発覚した場合、いきなり逮捕ということもあり得るのだろうか。インターネットの発達により、さまざまなサービスが出てきたことで古物営業法の存在すら知らずに古物の売買をしている人も多い。
こうした無知ゆえに許可を申請していない人達も、すぐに逮捕されてしまうのか気になるところだ。結論からいうと、組織的な犯罪でもない限り、CtoCが盛んになり、古物を扱う人が増えているといったこともあってか、無許可ということだけでいきなり逮捕されるというケースは、あまり多くないと言われている。
大抵の場合は、古物商許可の申請をする様に指示されるところから始まるはずだ。しかし、明らかに故意に無許可営業をしていたり、金額が大きい場合は取得の指示ではなく逮捕のこともある。過失よりではなく故意の場合、また規模が大きいほど逮捕の可能性はあがるのだ。特に、チケットなどの悪質な転売に関しては、逮捕事例が非常に多くなっている。
ここまでの情報を整理するに、古物商についての知識がなく、古物の売買に許可が必要なことも知らなかった人が、これまでに合計で3万円の利益をあげたと仮定すると、この場合は、逮捕という可能性は極めて低いといえるだろう。ただし、この程度なら逮捕にはいたらないといった明確な線引きがあるわけではない。全ては警察の判断になるため、自分の危険な思い込みで、これくらいなら大丈夫だろうと考えるのは危険だ。
古物商無許可のデメリット
これまで無許可で古物商として業をおこなうことの危険性について述べてきた。これにより、古物商許可の必要性がわかったと思うが、さらに古物商を無許可でおこなう際のデメリットについても掘り下げていく。
逮捕・罰金の可能性
古物商無許可の最大のデメリットは、当然最悪のケースでは逮捕されるということだ。100万円以下の罰金と合わせて、両方が科せられる可能性もあると考えれば、かなり大きなデメリットだと言える。実際に古物商無許可による逮捕者も出ているのだ。
古物商の許可を取るには、難しい試験などを受ける必要もない。また、許可申請に必要となる費用も自分ですべておこなうなら、2万円程度でおさまるだろう。たった2万円と少しの手間を惜しむことによって、逮捕されるなど割りに合わない話しではないだろうか。古物商を生業としたいなら、例え副業だとしても必ず古物商の許可はとっておきたい。
古物市場への参加ができない
古物商の資格がなければ、参加することのできない市場があることを知っているだろうか。この市場は古物商を持つもの同士が売買をすることのできる場所になる。在庫品を販売したり、反対に古物の仕入れをするために利用できる。
古物市場は全国各地で開催されており、インターネットなどでも情報をえられるが正確な情報を知るには都道府県の警察本部の広報課などで、情報開示請求をしてほしい。さまざまなジャンルの古物市場が開催されており、通常のお店で仕入れるよりもずっと安く目玉商品が手にはいるチャンスだ。古物商をしているなら、是非にも利用したい市場になっている。
たが、こんなチャンス市場がありながらも、古物商の資格がないと取引に参加することはできない。古物を売買して儲けたいのなら、古物市場をどれだけ有効利用できるかが鍵となる。古物商にとって、仕入れ先をどれだけ確保できるのかは重要だろう。そんなお宝と出会える古物市場に古物商の許可がないだけで参加できないのは、かなりのデメリットだと言えるだろう。
税金面での優遇が受けられない
古物商の許可をとっていない場合、仕入れにかかった費用を経費として計上することができない。これは非常に大きなデメリットだと言える。何故なら、仕入れ費用を経費として計上するかしないかで税金がかなり変わってくるからである。もし、売り上げに100万円仕入れに40万円がかかった場合、古物商の許可がないと100万円が利益として見なされ税金がかかってしまうのだ。
ところが、古物商の許可をとっていれば40万円は経費として見なされ、利益は60万円となる。そのためかかってくる税金も安くなる。しかも、経費となるのは仕入れ費用だけではない。仕入れの為にかかった交通費なども経費として上げられる。売り上げが大きくなればなるほど、古物商の許可がないとデメリットも大きくなってしまう。
古物をたくさん仕入れて多く売りたい、そう考えている人にとって古物商の許可がないのはデメリットにしかならないだろう。
アカウントの停止の恐れ
古物の仕入れや販売の場として、フリマアプリやインターネットオークションサイトなどを利用している人も多い。簡単に仕入れが可能で、販売も簡単という魅力がある市場だ。利用者のほとんどが古物商などではなく一般の個人であるが故に、値打ちのある品物が安価で販売されているケースもある。
こうしたサイトをうまく利用すれば収益を上げやすくなるため、人気がある。ところが、古物商を無許可でおこなっていると、運営側からアカウントの停止処分を受ける可能性が高いらしい。二度とそのサイトを使って仕入れや販売ができなくなってしまうかもしれないということだ。
フリマアプリやインターネットオークションをメインとしている人にとっては、こうした市場が使えなくなるのは、大きな痛手でありデメリットだろう。
大きな商売ができない
そもそも古物商を無許可でおこなうこと自体、違法である。そのため無許可でありながら古物の売買をおこなっていると、どうしても大きな商売がしにくくなってしまう。
仮に商品を大量に仕入れたり、または販売をすると業者ではないかと周囲に疑いの眼差しを向けられるだろう。堂々と古物の売買ができないのも、無許可ならではのデメリットになってしまうのだ。
信用が下がり融資も受けにくい
中古品の売買自体は、古物商がなくてもできるケースも多い。自分が使うための品をリサイクルショップで購入したり、家庭に眠る不用品をフリマなどで売る場合は許可はいらない。
ただ、生業として定期的に売買をしているのに古物商の許可がないと、周囲からの信用は大きく下がってしまうだろう。許可を申請している場合は、インターネットなどで古物を販売しても、古物商許可番号が表示される。
やはり、ちゃんと許可申請をしていることが分かると、人は安心感を覚えるものだ。中古品を取り扱う古物商は、信用が大切。無許可ということで信用が下がるのは、デメリットになる。
古物商は、古物の仕入れにお金がかかる。そのため、資金がある方が商売しやすいのは言うまでもない。こうした融資を受けるなら、古物商の資格があったほうが有利になる。無許可の古物商は信用度が薄いため、仕入れのための融資は受けにくいのだ。資金不足により思ったように仕入れができない状況は、古物商にとってデメリットになると考えられる。
まとめ
業としておこなうのであれば、古物商の許可を得ることは必要不可欠である。古物で生計を立てている場合に、古物営業法の適用外になる、海外から直接買い付けをおこなっているケースを除いて、まず無許可は厳しいだろう。
警察も盗品の早期発見などを努めていることから、古物許可を受けていない場合に一目瞭然となるようなシステムになっている。特に稼ぐ金額が大きくなればなるほど、目をつけられる可能性が高まるだろう。
そうしたことに怯えて生活するというのはデメリットである上、税金面や古物市場の利用などを鑑みると、結果的に金銭的損失も非常に多くなる。さらには、古物営業法違反とみなされ逮捕されてしまった場合に、3年以下の懲役刑、または100万円以下の罰金もしくは併科となる。
特に、稼ぐ金額が大きい場合に、判断をおこなうのは警察であるため、「業ではない」と言ったところで言い逃れは不可能だと考えた方が良い。40日の申請期間と書類の準備、2万以下の費用をもったいないと思う以上に、損失が大きすぎると言える。
この記事を監修した専門家