スタジオ機材はバッグや腕時計と似ている。ノーブランド品(商標なし)やジャンク品(動作保証なし)は相手にされない。高額買取は、プロ仕様のブランド品(正規品)に限られる。とりわけ、マンフロット(Manfrotto)とGitzo(ジッツオ)は買取業者が「ぜひ買いたい」と思う、最強のツートップと言える。しかし、買取依頼はワンクッション置くべきだ。売りたい製品の価格相場や高額買取のノウハウをチェックしてからでも遅くない。足元は見られるより見るものだ。
CONTENTS
このコラムには、合法的な広告・宣伝が含まれている可能性があります。また、当社のサービスである「ヒカカク!」と「magi」の紹介も含まれています。
「アクセサリ」ではなく「ユニット」
スタジオ機材とは主にストロボやライトスタンド、アンブレラなどを指すが、スタジオには三脚や雲台が常備されているし、マンフロットと言えば、三脚と雲台を外せない。そのため、これらを含めて話を進めよう。「三脚」と言ってもピンキリ。1万円前後で買えるものもあれば、10万円を超えるものもある。カメラのアクセサリ(付属品)と考えればお金をかけにくいが、重要なユニット(構成部品)と考えればお金をかけざるを得ない。この考え方の違いが、アマチュアとプロ・ノンプロの違いと言える。
三脚や雲台が安定しないと作品の仕上がりに大きな差が出る。プロが最後にたどり着くのはジッツオとマンフロットの最上級モデル。生まれも育ちもイタリアのマンフロットは、機能性とデザイン性に優れた製品に定評があり、プロ・アマを問わず写真家に人気の高いブランドだ。三脚の製造は1974年に着手、業務用大型三脚から携帯用小型三脚までラインアップしている。実は、ジッツオとマンフロットは同じVitec(ヴァイテック)グループに属する兄弟会社。2社は一つのユニットと言える。
カメラと三脚、雲台も三位一体のユニット。被写体を撮影する際、カメラの手ブレを最小限に抑えるのが三脚、カメラの向きや傾きを調整するのが雲台だ。雲台にはパンハンドル付き雲台(3WAY雲台)と自由雲台(ボール雲台)があり、中級モデル以上の三脚は雲台の脱着ができる。プロに言わせると、ジッツオ5型システマティック三脚 GT5543LS(希望小売価格143,000円)とマンフロットギア付きプロ雲台405(アウトレット価格71,712円)が最適な組み合わせだ。
価格.com(2019年5月4日現在)によると、ジッツオ5型三脚の最安値はカメラのキタムラ112,181円、コジマネットとJoshinが133,270円で並ぶ。つまり、最大値引率は21.6%、平均値引率は6.8%と受取れる。マンフロット雲台405の最安値はAmazn.com51,782円、Joshinと楽天ビック、写真屋さんが53,930円で並ぶ。つまり、最大値引率は27.8%、平均値引率は24.8%と受取れる。ジッツオの三脚は大幅に値引かなくても売れる、裏を返せば高く買取れるということだ。マンフロットのスタジオ機材もプロ仕様の高額品だから、値引率30%を割らなくても売れるということだ。買取額に期待が持てる。
知らないと損する買取額の舞台裏
まず、高額買取りに必要な行動は「相場を知ること」だ。例えば、ヤフオクを例にとろう。マンフロット055プロカーボンファイバー三脚4段 MT055CXPRO4(新古品)を開始価格42,800円で出品し、即決価格43,800円(入札2件)で落札している。希望小売価格は74,070円、値引率は41%。ちなみに、055は中級モデル(グレード)に該当する。価格.comの最安価格(税別)は48,150円、買取業者の利益を差引いた買取額は、33,705円(48,150円×0.7)となり、ヤフオクの方が有利な売り方と言える。
もちろん、逆のケースもあり得る。マンフロット055 カーボン三脚4段CXPRO4(中古品)を開始価格24,000円で出品したものの、残り1日時点の入札件数がゼロということもある。 希望小売価格(税別)は79,000円、70%オフでもこのモデルの中古品はネットオークションで売れないということだ。落札できない場合、買取業者の利益を差引いた16,800円なら買い取ってもらえるかもしれない。同じく、マンフロット055プロアルミニウム三脚3段+3ウェイ雲台セット(完品)の開始価格17,500円、 即決価格22,500円でも入札件数はゼロ。完品(外箱、付属品、取説付き)でも希望小売価格(50,000円)の55%オフでは売れないということだ。
弘法は筆を選ばないが、プロは三脚を選ぶ。色々な三脚を使って最後にジッツオやマンフロットの最上級モデルにたどり着く。しかし、初めから選ぶべきだろう。仮に、10,000円の三脚からスタートし、毎年1万円プラスして上級モデルに買い替えたとしょう。5年後には1+2+3+4+5=150,000円のコストをかけたことになる。ジッツオGT3543XLSやマンフロット057が手に入る。「いらないから、売りたい」は「いらないから、買わない」と同意語だ。ブランドとグレード、コンディションで売れ方も売るチャネルも変わる。
ブランド力が値引き幅を抑えるマンフロット
マンフロットは、完璧な撮影スタジオを構築するため、必要な機材をラインアップしている。スタジオ用カメラスタンド、屋内撮影と屋外撮影に対応するLEDライト、素早いセッティングが可能なライトスタンド、オートポールと背景紙サポート機材、スーパークランプやマジックアームなどライティングサポートアクセサリー、ブームなどだ。そのすべての買取価格が高いのであろうか。例えば、ポートレートなどの撮影に最適なマンフロット 800 ミニサロン(希望小売価格138,000円)の価格は2019年5月4日現在でヨドバシ.comが33%オフの92,565円(税別)、楽天が40%オフの83,778円 (同)。カメラスタンドはレアなアイテムだが、プロはスタジオ開設時に専門業者から一括購入するのでニーズが低い。
ライトスタンドは違う。ブランド、サイズ、使い勝手などが異なるので20本以上を必要とするからだ。そのため、マンフロット アルミ マスタースタンドAC1004BACは楽天でも16,000円の売値が付いている。希望小売価格は20,000円であるから、20%オフとなる。同様に、マンフロットの定常光MLMICROPRO2 デイライトLED 940luxは希望小売価格30,000円に対して、ヨドバシ価格23,194円(22%オフ)、背景紙サポートシステムSKU 1314Bは希望小売価格34,000円に対して、楽天価格27,200円(20%オフ)。マンフロットのスタジオ機材はブランド力で売れるので、値引き幅が最小20%に抑えられている。需要曲線と供給曲線が交わる一点のみが市場均衡点となる。「欲しいのに買えなかった」「売りたいのに売れなかった」という現象はなぜ起こるのか。それは売るチャネル、買うチャネルに問題がある。それではマンフロットのスタジオ機材はどのチャネルで売るべきだろうか。
粗利率30%前後で買取業者を見極める
リサイクルショップには、簡単に不要品を売却できる利点がある。ただ、スタジオ機材の査定はアマチュア同然だし、ブランドの優劣よりカテゴリの優劣で査定額を決める。適正価格を出すのが難しい三脚や雲台などを売却する先には向いていない。試しにマンフロットの三脚と雲台を持ち込んでみよう。「カメラとセットなら高く買うけど」、そういう返答を口にするはずだ。
やはり、カメラ買取専門店が無難な選択だ。ブランドやカテゴリに詳しい専属スタッフが適正な査定額をはじき出すからだ。「事前に査定額を知りたい」なら、トリオカメラ(大阪市)をお勧めする。無料査定で、実際の買取額と同じ査定額を提示してくれる。無料査定は申込フォームに、メーカー名、商品名・型番、外観、動作、付属品の有無を記入の上、メールを送信するだけで事足りる。「お客様をがっかりさせない」のがトリオカメラだ。
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
それでは、買取業者はどのような方法で査定額を決めているのだろうか。中古車からブランド品まで買取業者は多種多様。店舗数もコンビニを超える。それだけ、儲かるということだ。一般の人には、査定額のカラクリや再販の利益構造が見えない。買取業者が取扱う商品は中古品か新古品だから、値打ちが分からないし、売買差益も見えない。それが買取業者のビジネスモデルと言える。「このスタジオ機材はマンフロットだから、1年か2年くらい寝かせれば売れるだろう」、そういう気の長い経営が買取業者に当てはまるはずがない。買取業者は確実に売れる、確実に儲かるロジックを持っている。FC比較ドットコムによると、買取業者の粗利益率は30%前後だ。その上で、価格.comなどを利用してトレンドや相場を確認する。これが絶対的なメルクマール(指標)となる。
例えば、カメラスタンドの最上位機種 マンフロット スーパーサロン230が参考価格(470,000円)の30%オフ(328,900円)で販売されている場合、自社の粗利益328,900円-(328,900円×0.7)=98,670円を差引いた上限230,230円を査定額に提示するはずだ。であれば、買取業者に持ち込む前に価格.comなどで事前に相場をチェックするべきだろう。査定額が230,230円より高ければ良心的な買取業者と判断できる。
売れるブランド品は買取額が高く粗利率が低い、売れないブランド品は買取額が低く粗利率が高い、これが基本になる。マンフロットのスタジ機材は前者の部類に入るが、回転率が高いのでおいしい商品と言える。買取業者はスーパーのように赤字販売することはないが、粗利ミックスで粗利の低下を防いでいる。粗利率が30%を切る場合もあるし、30%超える場合もある。その疑問に答える買取業者は良心的だ。
ネットオークションと購入時の「もしも」を考える
ネットオークションの利点は、出品価格や最低価格を自分で設定できること、オークション(落札)なので相場に近い価格で売却できることだろう。もちろん、手間と時間をかけても、買い手がつかないこともある。そんなリスクを避けたいなら、買取業者に絞るべきだ。フリマアプリでもスタジオ機材は売れるかもしれない。カメラの出品数が多いのはメルカリ。高価なカメラや三脚などの出品が多いラインモールというフリマアプリもあったが、2016年5月31日にサービスを終了した。他のアプリより写真愛好家の割合が多かったが、サービス終了の理由は流通チャネルのイノベーターになり切れなかったということだろう。カメラと同様、スタジオ機材も伝える情報が多いので、フリマアプリは不向きかもしれない。しかも、フリマアプリのメインユーザーは女性だ。買い手を研究してツボを押さえることができるだろうか。
マンフロットのスタジオ機材をより高く売るポイントは、①外箱、付属品、取扱説明書を保管すること、②外観や動作の確認を事前にすること、③汚れを落とし、きれいにすることに尽きる。これだけで、査定額に大きな開きが出る。購入時は売ることなど考えない。だが、「もしも」を考え、キレイに大切に使いたい。