抽象絵画の先駆者・山口長男は、数年前から美術品買取市場で世界的な注目が集まる話題の作家だ。人気テレビ番組・「開運なんでも鑑定団」(テレビ東京系)でも紹介された彼の名前は、抽象絵画というカテゴリに関心のない皆さんでも国内メディアで目に触れる機会が多い存在と捉えて良いだろう。今回は、山口長男の描く絵画作品の特徴や価値などを紹介しながら、高い価格で売却する査定ポイントを皆さんと一緒に整理していきたい。
本記事のポイント
- 山口長男は作品によってかなり査定額に開きがある
- 2017年にはサザビーズで注目され話題になった
- 高額査定が期待できるのは1950年以降の油絵(抽象絵画)
CONTENTS
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画家・山口長男とは?
日本における抽象絵画の先駆けとも言える山口長男は、韓国ソウル出身の洋画家だ。
山口長男の経歴
岡田三郎助によって開設された本郷洋画研究所にて絵画の基礎を学んだ山口長男は、1922年の東京美術学校入学を経て卒業と同時にフランスに渡った。当時彫刻家のアトリエに出入りしていた彼は、立体的な造形への関心と技術習得にも努めている。戦後になると二科展の再結成や日本アブストラクト・アート・クラブへの創設に尽力するようになり、晩年には武蔵野美術学園の学園長としても活動していたようだ。
さまざまな展覧会に出品
精力的に制作活動を行っていた山口長男は、二科展、アメリカ抽象美術展、チューリッヒ市立美術館における現代日本の絵画展といったさまざまな展覧会に出品を続けていた。またサンパウロ・ビエンナーレやヴェネツィア・ビエンナーレといった現代美術の大規模国際展覧会においては、日本代表として出品を行っていたため、1950年代の彼が日本の抽象絵画を引っ張る存在であったことは間違いない。
山口長男の絵画における作風
山口長男の絵画作品は、黒系の地に赤茶や黄土色系の大きな色面を配したデザインとなっている。こうした作風を見ているとシャープな輪郭を使って色彩を処理していくハードエッジとは全く異なる特徴があるため、彼の生み出す典型的な温かみは抽象絵画の中でも特殊な位置付けと考えられる。
山口長男の絵画を収蔵する美術館の多さ
武蔵野美術大学教授や武蔵野美術学園の学園長といった形で日本の抽象絵画の発展に尽力した山口長男の作品は、非常に多くの美術館に収蔵されている。1968年に制作した「劃-赤」は島根県立美術館、「脈」は静岡県立美術館での所蔵となっている。また山口長男に関するイベントは国内外で開催されているため、彼の作品に出逢う機会が非常に多い時代と言える。
抽象絵画とは?
山口長男が積極的に取り組んだ抽象絵画は、具体的な対象を描き写すことのない絵画の総称だ。狭義では、絶対象絵画や無対象絵画、非対象絵画と呼ばれることもある。これに対して広義では、ピカソのキュビズムのように事物の形状にさまざまな変化が施される作品もあるため、その捉え方には専門性が必要になると言えるだろう。
抽象絵画における記号や図案、意匠との違い
抽象絵画で多く用いられる丸、三角、四角などの図形については、制作者の意図によって「抽象絵画か、具象絵画か」の判断が変わってくる。例えば何らかの対象を意識したわけではない状況で、キャンバスに三角や丸などの図案や記号が描かれていた場合は、抽象絵画と判断される。これに対して丸をボール、四角をビルや建物といったイメージを制作者が抱いていた場合は、具象絵画もしくは広義の抽象絵画との分類になるのが一般的だ。
日本における抽象絵画の作家とは?
2005年に開催された「1960年代 日本の抽象絵画」というイベントの資料を見てみると、このカテゴリにはたくさんの日本人作家が関わっている実態が見えてくる。例えば、1950年代に日本に入ってきたアンフォルメルの洗礼を受けた元永定正、白髪一雄、津高和一といった作家は、国内の美術に新たな風を吹き込もうとする姿勢がある。抽象絵画に関わったと捉えて良いだろう。また白髪一雄や元永定正などは、世界的に注目度を高める具体美術協会の会員でもあるため、さまざまなパフォーマンスを行う具体についても十分な前衛美術の集団と捉えられる。
山口長男の絵画作品における買取相場
山口長男の買取実績を調べてみると、作品のサイズや種類、市場によって価格に大きな開きが出ている実態に気付かされる。
インターネットオークションにおける買取相場
知名度・流通量ともに高い山口長男の絵画は、ヤフオクなどのインターネットオークションにも出品されている。額装10号の「かたち」や「作品」、肉筆画などは、8.5万円円〜18万円前後の落札が多いようだ。これに対して山口長男らしい黄土色の「竝」については、ヤフオクであっても99.1万円もの高額落札となった実績がある。
開運!なんでも鑑定団でも鑑定実績あり
山口長男の絵画は、人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)に出品されたこともある。1982年に描かれたこの油彩画は、山口長男が生まれた朝鮮半島を赤茶色で表現した作品だ。大地を耕すような彼らしい描き方は世界的に評価が高まっており、番組内では400万円もの評価額がつけられた。
買取業者や美術オークションによる買取例・買取相場提示例
買取業者の1つであるアート買取協会では、「階」を代表作として紹介。買取相場を300〜400万円としている。しかし、多くの買取業者は高額買取対象としながらも、買取相場や買取実績・その価格を提示していなかった。
美術オークションのSHINWA AUCTIONでは、「平面」という作品が出品されたことがある。350万円〜500万円という予想価格(エスティメイト)に対し、400万円の落札で終結した。このほかにも、「作品」の予想価格が700万円〜1,000万円、「線」は1,000万円〜1,500万円の予想価格に対し、1,000万円の落札といった情報が散見される。
サザビーズでも特別オークション開催
世界的トップクラスのオークションハウス・サザビーズでは、2017年4月3日に香港にて山口長男の特別オークションを開催された。トータル28点が出品されるこのイベントの中でも、日本円で、1,400〜2,100万円もの予想落札価格が付けられた「趺坐」に注目が集まった。結果は、この予想を大きく上回る約3,400万円での落札となった。サザビーズ香港ではこのオークションを山口長男が現代美術史に与えた重要性を発信する機会としているため、今後も彼の作品における価値や注目度は高まるのではなかろうか。
山口長男の絵画作品における買取・査定ポイント まとめ
最後に、これから山口長男の絵画を売る上で頭に入れてきたい査定ポイントをご紹介しよう。
抽象絵画は買取業者でも売れる
ここまで紹介してきたとおり、山口長男を中心とした抽象絵画は美術品オークション市場での出品実績が非常に多い実態がある。しかし総合美術買取センターなどの買取業者であれば、山口長男作品の鑑定もできる査定士が在籍しているため、美術品オークションに敷居の高さを感じる皆さんでも気軽に専門店とのコンタクトが図れる時代になりつつある。
買取業者の査定士とのコンタクトはどのようにとる?
買取業者への問い合わせは、メール、電話、問い合わせフォームなどから行うのが一般的だ。また近頃では、若い世代の皆さんでも気軽に利用できるLINE査定が可能な専門店も増え始めている。問い合わせフォームやLINEを使ったオンライン査定を利用すれば、買取業者の営業時間中に仕事をしている皆さんでも自分のタイミングで査定士と繋がれる。
問い合わせ前に依頼主側で準備すべきこと
スピーディーに現金化に繋げるためには、ファーストコンタクトとも言える問い合わせ時になるべく多くの作品情報を伝える心掛けが必要となる。例えば、山口長男の絵画を売却予定なら、作品名だけでなくサイズや技法、制作年などの情報を伝えられれば、査定士側でも絵画の買取相場を調べやすくなるだろう。また仮査定時には基本的に写真送付が必要となるため、高画質の写真が撮れるデジカメやスマートフォンを使って問い合わせの準備を行うようにして欲しい。
山口長男の絵画における売り時とは?
2017年にサザビーズで特別オークションが開催され、今も話題に上がることのある山口長男は、まさに「今」が売り時とも言える人気作家だ。1960〜1970年代の作品が注目される近頃では、山口長男のような抽象絵画だけでなく日本発祥の具体美術にも世界的な関心が集まっている。またこうした動向は日本人アーティストの価値や知名度を高めるきっかけになりつつあるため、山口長男を中心とした戦後美術や現代美術の絵画を所有しているなら積極的に買取店に問い合わせをするべきだと言えるだろう。
山口長男の絵画には店頭・宅配・出張のどれが適している?
作品によっては数千万円もの高額査定の狙える山口長男の絵画は、鑑定士が自宅やオフィスに来てくれる出張買取を使った売却が、最も作品を傷つけるリスクが少ない。このサービスを使えば、高額美術品を運搬する際に神経を使う必要もなくなる。また梱包や搬出についても査定士が自ら行ってくれるため、その扱い方がわからない皆さんでもストレスなく現金化に繋げられることだろう。
業者選定時にチェックすべきこととは?
多くの業者で行われている出張買取は、手数料無料といったポイントから比較検討を進めていく方法がおすすめとなる。手数料がかかっても、そのぶん高額査定をしてくれるところはあるかもしれないが、よりリサーチを慎重におこなう必要が生じる。例えば出張買取を得意とする総合美術買取センターなどの場合は、出張費無料で全国の依頼主のところに来てくれる。また良心的な業者では、買取が成立しなかった時の返送料やキャンセル料もとらないシステムを導入しているため、初めての買取における不安が大きい場合は「どこまで無料対応してくれるのか?」といった部分を確認してみると良いだろう。
LINE査定に対応している買取業者
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
納得できない場合に8日以内であれば返金できるクーリングオフを明記している買取業者・総合美術買取センター。売却する際には、宅配もしくは出張買取を選択する。
八光堂
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
八光堂は、数々の作品を買取実績としてあげている中、山口長男の作品は見られないが紹介ページが設けられている。古美術業界では大手の買取業者だ。買取は店頭もしくは出張となる。
出張買取に対応している買取業者
古美術永澤
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
「山口長男の作品を高く評価し買取しております」と明記している古美術永澤は、絵画以外にも様々な美術品を買取している。売却方法は宅配、出張もしくは毎月土曜日2回開催されている持ち込みのいずれかを選択する。
本郷美術骨董館
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
本郷美術骨董館は、買取ナンバーワンの実績を持つ買取業者。買取方法は来店・宅配・出張のほか、全国で毎月おこなわれている鑑定会に持ち込んだ上で買取・売却という方法がある。また、主催のオークションに出品する代行も実施している。
売却するなら方法を慎重に選択しよう
山口長男の作品を売りたいとなった場合に、通常はメルカリやヤフオクなどのフリマアプリ・オークションよりも、古美術専門の店で売却した方が高額査定になる傾向がある。時間に余裕がある場合や高額が見込まれる場合には、必ず買取業者よりも高額になるというわけではないが、高値を期待できる美術オークションに出品するもの1つの選択肢だろう。
特に油絵は高額査定が期待できるだけに、売却方法や売却場所は慎重に選びたい。「ヒカカク!」では今回紹介した買取業者をはじめとして、利用者の口コミをまとめているため、参考にしてみてはいかがだろうか。