橋本関雪は兵庫県神戸出身の日本画家である。本名は貫一。父の海関は播磨明石藩儒として詩文に通じ、母のフジは経書に通じていた。橋本関雪は幼いころから父の影響で漢学に親しみを持つようになる。そして、12歳の時に小学校を中退し、四条派の画家・片岡公曠に入門。片岡公曠の元で絵画を学びながら俳句などにも興味を示すようになる。
1903年、20歳になった橋本関雪は竹内栖鳳の画塾「竹杖会」に入りそこで小野竹喬や西山翠嶂、金島桂華といった日本画の有名作家と出会う。その後、門を出てからは従軍記念絵画展を開いたり数々の文展で作品を発表するなど精力的に活動。また、漢詩「関雪詩稿」も出版している。
本コラムでは、そんな橋本関雪の日本画の価値や買取相場、買取の際のポイントについて詳しく解説していく。現在、橋本関雪の作品の売却を考えているなら本コラムを参考にしてみてはいかがだろうか。
本記事のポイント
- 橋本関雪の作品は多く文化遺産に登録されている
- 4000万円で落札された作品もある
CONTENTS
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日本画家・橋本関雪の略歴について
幼少期から芸術となじみの深い環境で育ってきた橋本関雪だが、ここではもっと詳しく橋本関雪について解説していく。橋本関雪の歴史や画歴を知っておくことは橋本関雪の作品の価値を知り、売却する際に基礎知識として役に立つだろう。
白沙村荘(はくさそんそう)を造営
白沙村荘とは、京都の銀閣寺にほど近い場所に位置する橋本関雪が制作をおこなうために造営した邸宅だ。1916年に半分の敷地を入手し、自らの指揮で池を作るなどして庭園を完成させる。1930年にはもう半分の敷地も入手し、すべての庭をつなげる形で庭園を作り直した。園内の各所には竹や笹の林などが配置されており、中国の思想を受けた橋本関雪ならではの造りとなっている。
そんな白沙村荘は、2003年には国の名勝にも指定されている。橋本関雪は、作庭でもそのたぐいまれなる才能を発揮し、白沙村荘のほかにも兵庫県に蟹紅鱈白荘と冬花庵、滋賀県に走井居といった別荘を建て、そこでも庭園を造っている。
中国古典と「玄猿」で評価が高まる
父・海関は孫文や康有為などの大陸文人と交流を持っており、その影響もあってか橋本関雪は中国に興味を抱く。1913年、初めて中国に渡航した橋本関雪。その後も30回以上中国を訪れ、中国の文化を題材としながら東洋の古美術も深く研究した。このころから橋本関雪の評価は急速に高まっていく。
昭和期には動物画を描き始めるようになり、1933年には黒テナガザルが描かれた「玄猿」で昭和天皇から称賛され文部省の買い上げとなった。このことが要因となり橋本関雪は「猿の関雪」と呼ばれるようになる。
「玄猿」は橋本関雪の妻・ヨネを亡くした後、失意の中描き上げた作品だ。玄猿とは天の猿という意味で、黒テナガザルといえば絵師・長谷川等伯を思い浮かべる方も多いだろうが、長谷川等伯は息子を早くに亡くしており、そんな愛する人を亡くした長谷川等伯と愛する妻を亡くした自分に共通点を見つけ、その想いを「玄猿」に込めて描いたとされている。
橋本関雪の受賞歴
ここでは橋本関雪の歴代のさまざまな受賞歴を紹介していく。
- ・1905年 東京美術研精会主催展覧会にて「四面楚歌の声」で研精賞を受賞
- ・1910年 第4回文展にて「琵琶行」で褒状を受ける
- ・1914年 大正博覧会にて「桃源郷」で銀賞を受賞
- ・1916年 第10回文展にて「寒山拾得図」で特選
- ・1917年 第11回文展にて「睨雲林」で特選
- ・1918年 第12回文展にて「木蘭」で特選
上記のほかにも数々の賞を受賞している。
橋本関雪の有名・代表作品
新南画や動物画、作庭など、ジャンルを問わずさまざまな作品を制作している橋本関雪だが、ここではその中でも特に有名な作品を紹介していく。
- ・「玄猿」
- ・「木蘭」
- ・「琵琶行」
- ・「秋桜老猿」
- ・「凍雲危桟」
- ・「林和靖図屏風」
「木蘭」は、老齢の父の代わりに男装して出征し数々の手柄を立てた女性を描いた作品で、中国の漢詩「木蘭辞」から着想を得たものである。木の根の上に腰をかけ、斜め下を向く穏やかな表情をした少女が印象的な作品だ。
「琵琶行」というのは、中国の白居易(白楽天)によって作られた長編叙事詩で「琵琶の詩」を意味しており、左遷された白居易が琵琶を弾く女性と出会い、その女性の話に耳を傾けているところを描いた作品だ。
橋本関雪といえば猿が有名で橋本関雪の猿の作品の中で一番有名なのは「玄猿」だろう。しかし猿を題材にした有名な作品はほかにもあり、その一つが「秋桜老猿」だ。「秋桜老猿」は桜の木の上で佇む老いた猿をきめ細かく繊細に描いた作品である。
橋本関雪作品の買取価格相場・値段
日本画だけにとどまらずさまざまな分野でも活躍し才能を遺憾なく発揮した橋本関雪だが、その人気は今もなお高く、高額で買取される可能性が高い。
日本画は、作者によって買取価格が大きく異なり人気作家や有名な作品ともなると数百万から数千万で取引されることも珍しくない。橋本関雪の日本画は、作品の内容などにもよるが人気作は数十万円で取引されており、代表作であれば数千万円も期待できる。
また、複製画の場合は数万円程度で取引されることが多い。
橋本関雪の作品の買取相場
では橋本関雪の日本画は、具体的にどれくらいの値段で買取されているのだろうか。
ヤフオクなどのネットオークションでの事例
過去にネットオークションで落札された金額は以下の通りだ。下記は版画だろう。
- ・「梅渓載詩図」35,500円
- ・「魚果之図」27,552円
- ・「牧羊図」34,700円
- ・「寿星図」19,000円
なんでも鑑定団での評価額
過去に、人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」に持ち込まれたこともある。実際の買取価格というわけではないようだが、参考にしてみても良いだろう。
- ・「雪中鴉図」 600,000円(2019年10月15日放送 )
- ・「掛軸」300,000円(2021年6月22日放送 )
買取業者や美術オークションでの事例
続いて、美術を専門とする買取業者やオークションでは、どれくらいの値段で買取されているのだろうか。
- ・「玄猿」40,000,000円(SHINWA AUCTION)
- ・「梅渓載詩図」170,000円(SHINWA AUCTION)
- ・「猿候画幅」150,000円(古裂會)
- ・「手長画幅」130,000円(古裂會)
- ・「三行書幅」61,456円(古裂會)
- ・「玄猿」51,000円(アンシャンテ)
- ・「詩文建水」50,000円(古裂會)
橋本関雪の日本画の買取金額に関してはピンからキリまでさまざまだ。しかし、代表作といえる作品の原画となると、かなり高額な取引になることがわかる。「玄猿」を例にとると、美術オークションで原画は40,000,000円、版画で51,000円の取引事例がある。版画は、刷られた時期や枚数といった各諸条件により、主に数万円〜数十万円程度での取引となるだろう。
とはいえ、買取業者での買取金額は非公開にされていることが多く、作品や状態によっても買取金額は大きく異なるため、上記の金額はあくまで目安としてとどめておこう。買取サービスを利用する時はある程度の相場を把握し、査定の際に参考にしてみてはいかがだろうか。
橋本関雪の作品の価値を決めるポイント
上記のオークションでの落札価格を見ると比較的高値で落札されている橋本関雪の作品だが、作品の内容、状態により値段は変わってくる。ここでは橋本関雪の作品の価値を決めるポイントを紹介していく。
作品の状態
橋本関雪の作品は、傷や破れなどがない綺麗な作品ほど高額で取引されている傾向にある。反対に汚れや傷、日焼けなどがある作品の場合はそうでない作品に比べて買取価格が下がってしまう可能性が高い。
シミやカビなどが発生する原因は保管状況が関係していることがほとんどだ。温度20%前後で湿度が55%程度と低く、日のあまり当たらない風通しの良いところで保管することで、カビなどの発生を事前に防ぐことができる。保管しっぱなしにするのではなく、日頃からこまめに作品の状態を確認し手入れをするようにしよう。
人気のある作品
数々の作品を世に送り出してきた橋本関雪だが、その中でも特に有名な「玄猿」や「琵琶行」などはそれだけ需要も高く、買取金額も高額になる。また、希少な作品などはもっと高額になることもあるようだ。
橋本関雪といえば猿を思い浮かべる人も多いが、そのほかにも人物画などさまざまな作品を手がけており、そのどれもに価値があるため、橋本関雪が手がけた作品で状態もよければ高額買取が期待できる。
橋本関雪のサインや落款(印)がある作品
作品に橋本関雪のサインや落款がある作品は、取引価格が高くなる可能性があるようだ。サインや落款がなくてもそこまで買取金額に大きな差が生じるわけではないが、橋本関雪のファンはサインや落款のある作品を求める傾向にあり、それが買取金額にも影響する場合がある。
共箱や共シールがある作品
共箱(ともばこ)とは、日本画を入れておく桐箱に作者がサインや作品名などを記載した箱のことだ。箱に入りきらない大きな作品などには、その作品の裏に作者がサインや作品名などを記載した紙片を貼る場合があるがこれを共シールと呼ぶ。
共箱も共シールも、作者がこの作品を自分の作品であると認めた証となるものなので非常に重要だ。この共箱や共シールがあるかないかで買取金額に大きな差が出ることがある。橋本関雪の作品を売ろうと考えていて、共箱などがある場合は必ず一緒に査定に出すようにしよう。
買取業者を選ぶコツ
数々の才能を発揮し知名度も高い橋本関雪の作品を買い取っている業者は多いが、たくさんある買取業者の中からどのようにして業者を選べばいいのだろうか。
複数の買取業者を比較する
橋本関雪の作品を売る際、めんどくさがって最初から1社だけに査定を依頼するのではなく、最低でも2~4社の買取業者に査定を依頼するようにしよう。1社だけに絞ってしまうと、作品の相場をつかめず相場より安値で買い叩かれ損してしまう場合もある。そうならないためにも、複数の買取業者に査定を依頼し、その中で一番高値を提示してくれた買取業者に買取を依頼してみよう。また、複数の買取業者を比較することで値段交渉の際にも役に立つことがある。
最近は店舗までわざわざ作品を持っていかなくても、出張買取や宅配買取をおこなっている買取業者が多いため、それらをうまく活用してなるべく多くの買取業者に査定を依頼することで高額買取につながる。
日本画の買取実績が豊富な業者を選ぶ
橋本関雪の作品を売る時は、過去に橋本関雪の作品を買取した実績のある買取業者に依頼するようにしたい。橋本関雪の作品の買取実績はなくても日本画を積極的に買取している業者は、日本画に詳しく価値のわかる鑑定士が在籍しているため安心して査定を依頼できる。
過去の買取実績はホームページ上に掲載されていることが多いため、橋本関雪の作品を売る場合はホームページで過去の買取実績を確認してみよう。
鑑定証の有無
人気がある日本画や有名な日本画には贋作が多く存在する。橋本関雪の作品も例外ではなく、贋作が出回っているようだ。本物の作品と贋作を区別するために、所定機関が鑑定し本物と認められた証の鑑定証があると安心して取引ができる。橋本関雪の作品を売却する際は鑑定証も一緒に提出するようにしょう。
ネットオークションやフリマアプリを活用
上記では買取業者に買取を依頼する方法を紹介したが、それ以外にもオークションサイトやフリマアプリに出品して作品を売るという方法がある。過去には数多くの橋本関雪の作品が落札されているため、参考にしてみてはいかがだろうか。
しかしオークションやフリマのデメリットは手間がかかるという点にある。自分で作品の写真を撮ったり、説明文を考えたりなどやることが多い。売れた場合でも作品を丁寧に梱包して発送まで自分でおこなわなければいけず、割れてしまったと報告を受けることもあるだろう。実際に梱包のミスで起こることもあれば、すり替えなどを目的に故意に割れたといってくることもあるようだ。発送は補償などのことも考えておく必要があるだろう。
また、鑑定証がないと特に、真作か贋作かでトラブルになる可能性もある。時間がない方や面倒なことが苦手な方には不向きかも知れない。
LINE査定に対応している買取業者
ここでは日本画の買取実績が豊富な買取業者を紹介していく。自分に合った買取業者に査定を依頼してみよう。
【ヒカカクおすすめ店】総合美術買取センター
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
美術品専門の買取店でLINE査定や出張買取にも対応している総合美術買取センター。各分野でそれぞれ20年以上の経験を持つ業界トップの鑑定士が在籍しているとのことで、特に、著名作家の買取価格に自信をもつ。もちろん日本画家の橋本関雪も買取対象の作家であり高価買取の期待がもてる。買取方法は、宅配か出張のいずれか。土日に対応していないなど、一部休みの時もあるため確認が必要だ。
アート買取協会
買取価格
スピード
手数料
許可番号
ポリシー
ウイルス
対策
アート買取協会は、日本画や骨董品、アンティーク品を取り扱っている買取業者だ。橋本関雪の作品の買取実績もあり、日本画の作品や作家に詳しい鑑定士がしっかりと鑑定してくれる。その過去の買取実績は確かなもので年間30,000以上の作品を買取している。日本画の買取は専門知識を必要とするが、アート買取協会は絵画や美術品を専門とした買取業者なので安心して買取を依頼することができる。
買取方法は店舗買取、出張買取、宅配買取があり、出張料や送料、鑑定料はすべて無料だ。また、LINE査定もおこなっており、LINEで作品の写真と詳細を送るだけでおおよその査定を提示してくれる。正確な査定額は作品を実際に鑑定してもらわないとわからないので、「とりあえず相場が知りたい」という場合などにうまく活用してみてはいかがだろうか。
出張買取に対応している買取業者
我楽洞
買取価格
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ポリシー
ウイルス
対策
朝鮮美術、中国美術、絵画、掛軸、茶道具、陶芸などの美術品、骨董品を幅広く買取している我楽洞。年間の買取実績は2,000件以上と業界トップレベルの実績。橋本関雪の作品はすべて高額買取対象とホームページには記載があり、作家や作品が紹介されている。買取方法は、「まずは電話をください」とあり、訪問日程を決めることになっている。ということは、出張買取1択なのだろう。
慈光道具屋
買取価格
スピード
手数料
許可番号
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ウイルス
対策
慈光道具屋は、西荻窪に店舗を構える買取販売業者だ。35年の実績があり、日本画や骨董品などの買取実績が豊富で、過去には橋本関雪の掛け軸の買取実績もある。<買い取った作品は自社のオンラインショップで販売したり、ヤフーオークションにも出品するなど、販路が確保されている分高額買取を打ち出している。買取方法は店舗買取と出張買取があり、出張買取の際の出張料や査定料は無料であるため、気軽に相談してみてはいかがだろうか。
まとめ
今回は橋本関雪の日本画の買取相場や価値などについて詳しく紹介してきた。日本画の買取は特殊で、明確な買取金額を公開していない買取業者がほとんどだ。橋本関雪の作品はファンが多く、人気も高いため、買取市場でも高値で取引されている。橋本関雪の作品を売却したいと考えている方は、本コラムで紹介した経験豊富な買取業者や情報を参考に、納得のいく買取金額をめざしてほしい。